4代目トヨタプリウス車両分解調査 (下):TNGAの車体構造と遮音吸音材・制振材の技術

新プラットフォームTNGAの車体構造と遮音吸音材・制振材の技術

2016/03/28

要 約

プリウス車体構造 プリウス車体構造
プリウス車体構造

 前々報の「4代目プリウス車両分解調査(上)燃費40km/Lのために高効率化と軽量化されたパワートレーンユニットの進化」、前報の「4代目プリウス車両分解調査(中)プリウスの走りを変えた新プラットフォームTNGA/シャシー・空力性能技術の進化」に続き、広島県産業振興機構のベンチマーク活動で2016年1月に実施された車両分解調査の内容を報告する。


 今回は、TNGA(Toyota New Global Architecture)プラットフォームの中核とも言える、車体構造に関する技術を紹介する。新型プリウスの車体構造は、①衝突安全性能、②車両運動性能に必要な高剛性車体、のために強固な車体を作る一方、③軽量化による燃費性能、の3つを目的に考え抜かれた技術が織り込まれている。この中では②車両運動性能に必要な高剛性車体は、従来に対し、新しい取り組みとなっている。4代目プリウスでは、超高張力鋼板の採用拡大や、TNGAの考え方に基づいた環状構造の骨格を採用、レーザースポットウェルディングの採用等により、車体のねじり剛性は約60%向上したという。また、この車体構造の静粛性向上の技術として、車体本体でのシール材や制振材の特徴と、今回の新型プリウスで強化されている遮音材吸音材についても紹介する。

 次回レポートでは、番外編として今回までの3つの報告で掲載できなかった部分も含め、車両分解調査での各コンポーネント、各部品の写真と主要部品サプライヤー一覧を紹介する。

過去の分解レポート:
トヨタ 4代目プリウス
(上)燃費40km/Lのために高効率化と軽量化されたパワートレーンユニットの進化 (2016年2月)
(中)TNGA/シャシー・空力性能技術の進化 (2016年3月)

ダイハツムーブ (2015年2/3月掲載)
  (上) サプライヤーリストとシャシー/シート/電装関係部品
  (中) 軽量化・小型化を追求したターボエンジンと3軸ギヤトレーンのCVT
  (下) 直線的骨格で合理性を追求した車体構造

VW  Polo  (2014年11/12月掲載)
  (上):サプライヤーリストとエンジンルーム、運転席周りの分解
  (下):1.2TDIターボディーゼルエンジン、サスペンションの構造

日産 ノート (2014年9月掲載)
  (上):主要安全技術と先進運転支援システム
  (下):スーパーチャージャーを採用したドライブユニット

ホンダ アコードハイブリッド (2014年2月掲載)
  (上):PCUとシャシ関連部品
  (中):電池関連部品と電動サーボブレーキシステム
  (下):ドライブユニット

ホンダ フィットハイブリッド (2013年12月掲載)
  (1) 電池関連部品と電動サーボブレーキシステム
  (2) エンジンとモーター内蔵7速デュアルクラッチトランスミッション

トヨタ アクア (2012年11月掲載)
  (1) 主要部品サプライヤーと電池関連部品
  (2) 燃費35.4km/Lを達成したハイブリッドシステム

日産 リーフ
  (1) 分解調査(2012年2月掲載)
  (2) 主要部品の分解展示報告 (2012年9月掲載)
  (3) カットボディーの展示取材報告(2012年11月掲載)

トヨタ プリウス (2010年3月掲載)
  プリウスの分解実験

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