ZF Group (China)[ZF Group (中国事業)] 2021年12月期の動向

業績

(単位:億ユーロ)
2021年12月期 2020年12月期 増減率 (%)
売上高 70 64 9.4

-ZFグループ全体の売上高は、2021年12月期において前年比17.5%増の383億ユーロ。うち、中国地域は70億ユーロで、前年比9.4%増、グループ全体の19.3%を占めた。

中国4か所目の研究開発センターを建設

-広州テクニカルセンターの建設に着工する。広州テクニカルセンターはZFの中国における4番目の研究開発センター。第1フェーズの投資額は約7億元で、敷地面積約1万平方メートルの土地に建設される。2022年末の竣工、2023年の正式稼働を予定する。完成後は約1,000名の従業員を擁し、様々な先進的試験施設とソフト・ハードウェアのテスト環境を備えると同時に、高速走行、ダイナミック走行、自動運転走行に対応するテストコースを配備する。(2022年3月23日付プレスリリースより)
 

ZFアジア太平洋地区本部の新オフィスの運用を開始

-ZFは、アジア太平洋地区本部の新オフィスの運用を開始したと発表した。新オフィスは上海漕河涇新興技術開発区に位置する。ZFアジア太平洋地区本部は主に、上海の徐匯区漕河涇、松江区九亭鎮、嘉定区安亭鎮3拠点分かれており、今回の新オフィスは事業部と職能部門の中心となる。九亭園区は引き続きZF中国本部を担うと同時に、ZFのエンジニアリングセンター、サービスセンター、イノベーション拠点として機能し、電動トランスミッション、シャシー技術、産業技術などの部門の研究開発を行う。安亭技術センターは、自動運転、アクティブセーフティおよびパッシブセーフティ技術の研究開発拠点として機能する。(2021年6月16日付プレスリリースより)

新規事業部の設立

商用車ソリューション事業部
-ZFは、2022年1月1日付で新たに「商用車ソリューション (Commercial Vehicle Solutions)」(CVS) 部門を立ち上げたと発表した。この新部門は、ZFの旧商用車テクノロジー (Commercial Vehicle Technology) 部門と商用車コントロールシステム (Commercial Vehicle Control Systems) 部門を統合したもので、後者は2020年5月に買収したWABCOを引き継いでいたもの。今回の統合によって、ZFの商用車ソリューション部門は、エレクトロモビリティ、デジタル化、自動運転やネットワークドライブといったコアテクノロジーを主導し、商用車に関するリーディングサプライヤーを目指す。ZFの商用車ソリューション部門は、28カ国61ヵ所の拠点を持ち、従業員は約2万5,000名であるという。(2022年1月13日付プレスリリースより)
 

提携

-ZFは、人工知能を手掛ける天瞳威視(CalmCar)と戦略的提携を締結したと発表した。両社は自動駐車システム(APA)と自動バレーパーキングシステム(AVP)を開発し、2022年に中国OEM向けの量産を開始する。ZF初となる自動バレーパーキングシステムは4台の192°魚眼カメラを搭載し、CalmCarの360°サラウンドセンシングと超音波レーダーセンシングを融合することで、駐車位置と障害物を識別。リアルタイムに自動駐車のルートを設定し、コントロールシステムが指定されたルートに沿って駐車位置まで導く。これにより、駐車場インフラに頼ることなくラストワンマイルの自動駐車を実現できるという。(2021年6月15日付プレスリリースより)

受注

-ZFは、第4世代の8速トランスミッションが数十億ユーロに相当する大型受注を獲得したことを発表した。このトランスミッションは内燃エンジン車だけでなく、マイルドハイブリッド車(MHV)やプラグインハイブリッド車(PHV)にも適合する。加えて同社はパワーエレクトロニクスや電気モーターなど電動ドライブシステム向けの主要部品も供給する。電動ドライブシステム向けのモジュラーeDriveキット(Modular eDrive Kit)は3つの電力クラスと、プレミアム(800V SiC)およびベーシック(400 V)のセグメントがあり、ここに含まれる3つの電動ドライブはまもなく量産を開始する。1つ目は100kW未満の低駆動ソリューション、2つ目は最大200kWの中ソリューションで、ともに同期モーター(PSM)か非同期モーター(ASM)と400Vのインバーターをベースとしている。3つ目は2022年後半に量産に入る200kW以上の高ソリューションで、PSMとシリコンカーバイドベースの800V対応インバーターと組み合わされる。モジュラーeDriveキットはエネルギー効率を別のモジュールを利用して向上させることができる。eConnectは全輪駆動車向けの柔軟なソリューションで、このシステムでは必要がない限り2番目の車軸を切り離したままにしてエネルギーを節約する。 これにより機械的な抗力損失を最大90%減少させることが可能になる。eConnectは現在市場で利用可能な同等のシステムと比較して効率が2%以上向上するという。(2021年9月6日付プレスリリースより)

-ZFは、東風風神(Aeolus)の「奕炫 MAX (Yixuan MAX)」向け中距離レーダーを発表した。ZFの中距離レーダーはEuro NCAPの安全評価レーティングで最高評価となる5つ星の基準を満たす半自動運転機能を可能にするよう設計された高性能77GHzフロントレーダー。自動車メーカーのニーズに合わせて拡張可能で、車両の速度に応じて強化センシング性能を提供する3種類のモードで動作する。各モードは、歩行者用自動緊急ブレーキ(AEB)などの機能をサポートする低速での短距離の最高解像度から、アダプティブクルーズコントロール(ACC)などの運転機能を強化する高速での長距離物体検出まで運転状況に合わせて調整された範囲と解像度の適切な組み合わせを提供する。「奕炫 MAX」の強化されたcoASSISTシステムには単眼カメラとしては初めて視野角100度を実現したZFのS-Cam 4.8カメラが搭載されている。中距離レーダーと先進カメラ技術の組み合わせは安全性と半自動化機能を強化する正確なセンサーデータ融合に貢献する。(2021年9月2日付プレスリリースより)

-ZFは上海汽車から4Dフルレンジレーダーを受注したと発表した。ZFは2022年からレーダーセンサーの供給を開始する。ZFのフルレンジレーダーはカメラやLiDARなどの光学センサーと同様の機能を備えており、高さを含む4次元で車両の周囲を認識する。これらの技術と組み合わせることで、高解像度レーダーは半自動運転からレベル4などの高度な自動運転までに必要な安全性と信頼性を提供することができる。フルレンジレーダーは、通常12チャネル(送信機3つ、受信機4つ)しかないミッドレンジレーダーよりもかなり高い解像度を備えている。ZFのフルレンジレーダーでは、MMICチップ (モノリシックマイクロ波集積回路) を複数組み合わせて16倍の192チャネルを利用することが可能。開口部の角度は+/- 60度で、低速な都市交通から田舎道や高速道路での運転まで、幅広い状況に対応するように設計されている。77ギガヘルツ帯域とZFの他のレーダーセンサーと共有される高速ランプ周波数変調連続波(FMCW)変調を利用し、対応距離は現在の技術水準を大きく上回る350mを実現するという。(2021年4月13日付プレスリリースより)

-ZFは、今後数年間で140億ユーロ規模の電動ドライブ製品の受注を獲得したことを発表した。ZFの長期的な戦略的提携は、エレクトロニクス、ソフトウェア、および自動運転の分野でさらに加速する。同社は初めて、顧客がハードウェアとは別に購入できるソフトウェア製品も提供する。モジュール式高性能コンピューターZF ProAIなどのハードウェアコンポーネントは、強力な中央コンピューターが次世代自動車では多くの小型制御ユニットに取って代わるため、高い需要があるとしている。同社は乗用車と商用車の両方のOEMに数百万基のZF ProAIユニットを供給する予定。(2021年3月18日付プレスリリースより)

-ZFは、レベル2+対応の coASSIST自動運転システムの量産を東風汽車「風神奕炫 (Aeolus Yixuan)」向けに開始したと発表した。今後、coASSISTにはGen21中距離レーダーも搭載予定。Mobileyeと共同開発のcoASSISTにはMobileyeのEyeQカメラ技術が採用されており、Hellaの短距離レーダーも装備している。最新のカメラとレーダセンサーユニットを中央制御ユニットと組み合わせることで、アダプティブクルーズコントロール、交通標識認識、車線変更・車線維持アシスタント、高速道路・交通渋滞アシスタントなどの機能が可能になる。(2021年2月23日付プレスリリースより)

-ZFは、ブレーキ制御ソリューションがVWの電気自動車 (EV)「ID.3」、「ID.4」およびVWグループのMEBプラットフォーム採用車に標準装備されると発表した。ソフトウェアインターフェースを最適化した新ブレーキシステムは、VWの電動アーキテクチャーに容易に統合でき、相互接続することが可能で、自動緊急ブレーキなどの運転支援機能もサポートする。また従来必要であった機械部品をソフトウェア機能に置き換えることで軽量化とコスト削減にも貢献する。電動ブレーキブースター (EBB)と最新世代のEBC470横滑り防止装置 (ESC)をベースとするこのシステムは、EuroNCAPの厳しい安全要件も満たしている。(2021年1月26日付プレスリリースより)

新製品

-ZFは、400Vと800Vの両方の電圧クラスで自動車メーカーに最大限の柔軟性を提供する、拡張性に優れたモジュール型インバータ・アーキテクチャを開発したと発表した。このモジュール型インバータ・プラットフォームは、あらかじめ定義された半導体に依存せず、自動車メーカーがシリコンからシリコンカーバイド(SiC)へ移行するのをサポートする一方で、将来の半導体トレンドにも対応できるよう設計されている。このようなインバータのイノベーションは、2025年までに生産が開始される次世代電動ドライブのためにすでに準備されている。インバータ内の制御基板はインバータソフトウェアのホームである。ゲート駆動技術は、パワー半導体から絞り出すことができる電気自動車(EV)の安全性、性能、効率、航続距離を担うため、インバータの重要な構成要素の一つである。新世代のインバータは、これらのハードウェアとソフトウェアの最適化機能を顧客に提供し、パワー半導体のスイッチング時間の高速化、短回絡保護機能の向上などを実現する。ZFは、この分野において独自に、またはWOLFSPEEDのような強力なパートナーと共に、重要な知識を蓄積してきた。(2022年1月4日付プレスリリースより)

-ZFは、世界トップレベルの量産型単眼100度視野カメラの一つであり、現在では幅広い顧客に導入されている「S-Cam 4.8」をはじめとする軽自動車前方カメラ事業を含むセンサー群を通じて、自動運転の基盤を提供すると発表した。ZFは、中距離レーダーやフルレンジレーダーなどの次世代レーダー・ポートフォリオを発表し、主要センサーを効果的かつ手頃なオプションで提供するとともに、検知範囲と解像度を強化したレーダーも発表する。ZFの次世代レーダーファミリーには、高度な3Dアンテナを搭載したオプションや、データを中央処理装置に送り込み、手頃な価格で360度のセンシングを可能にするリモートレーダーヘッドを搭載したシステムなどがある。ZFのセンサー群には、カメラとレーダーの冗長性を高め、より詳細に環境を感知するための第3のセンサーとなるLiDARオプションも含まれる。また、ZFはパートナーであるドイツのLiDAR メーカーIbeoと協力し、2022年以降ソリッドステートのIbeoNEXT LiDARの導入を支援するとともに、優れた性能と手頃な価格のバランスを備えた将来のLiDAR製品を開発している。(2022年1月4日付プレスリリースより)

-ZFは、バス運行会社のニーズに対応した高度なフリート管理ツール「ZF Bus Connect」を発表した。このソリューションは、ZFのグローバル研究開発拠点であるデータベンチャー・アクセラレーター(Data Venture Accelerator)で開発されたもの。ZF Bus Connectは、電気自動車(EV)と内燃機関、またはハイブリッドシステムを搭載したシティバスや大型バスが混在するフリート向けに開発された。ユーザーは、リアルタイムでの車両位置や、現在のエネルギーまたは燃料消費量、バッテリーの充電状態の確認のほか、車両部品の状態、ブレーキの摩耗度合い、その他のシステムメッセージを確認するなど、車両のあらゆる側面をチェックすることが可能。このシステムは、車載ユニット、クラウド、データ分析用のウェブベースのポータルの3つの領域をカバーしている。フリート管理会社は、このオールインワンソリューションをZFからパッケージとして購入するか、あるいはサードパーティのソリューションとして、対応する車載機でクラウドソリューションに接続し、ポータル経由で情報にアクセスして利用する。(2021年11月23日付プレスリリースより)

-ZFは、電気自動車 (EV) 向けに800Vの製品を導入すると発表した。同社は、電動ドライブラインに対応する部品の開発・製造を通じて、高電圧車両向けの動力供給製品の設計を強化している。製品の中心となるのは、半導体に炭化ケイ素を使用したパワーエレクトロニクス。今回、将来のプレミアムEVやEVスポーツカー市場に対応するため、800V向けの製品の生産開始に向けた準備段階にあるという。ZFは、自動車生産で初となる新しいチップ技術を使用しており、シリコントランジスタの代わりに炭化ケイ素部品を使用し、パワーエレクトロニクスの内部スイッチング損失を低減させた。パワーエレクトロニクスは、バッテリー走行時や回生時に非常に高いエネルギー処理能力を発揮するため、電動ドライブライン全体の効率が向上し、航続距離延長にも貢献するとしている。(2021年3月9日付プレスリリースより)

国内投資

-ZFは、カーボンピークアウトとカーボンニュートラルの実現および、中国の電気自動車(EV)産業の発展のために、中国での投資を継続すると発表した。ZFは完成車メーカーに完全にローカライズした電動化パワートレインを提供するため、電動駆動システムの生産を行う2工場を2022年と2023年に杭州と瀋陽でそれぞれ稼働開始させる。商用車のスマート化分野では、中国で商用車用自動緊急ブレーキシステムOnGuardMAXをリリースする。車両のモーションコントロール分野では、ソフトウェアを活用することで、さらに多くの車両制御機能を実現する。また、軽量化設計などの方法によりエネルギー消費量や排出ガスの低減を実現するとしている。(2021年9月17日付プレスリリースより)

-ZFは、中国の嘉興に商用車向け事業を行う拠点が完成したと発表した。延床面積は約6万平方メートル。2021年末には従業員数が420名に達する見込み。同拠点では主に商用車用トランスミッション、電動油圧式ステアリング、電動セントラルドライブシステム、電動アクスルシステム、パワーモジュール、低床バス用アクスル及び次世代モビリティソリューションなど、コア部品の研究開発、生産を手掛ける。拠点には2つの法人が設立されている。ZF商用車技術(嘉興)有限公司は、ZF商用車技術事業部中国本部の機能及びトラック用トランスミッション販売事業を担当する。ZF伝動技術(嘉興)有限公司は、製品開発、製造、組立、販売及びアフターサービスを担当する。また、ZFは同拠点の開業式典と同時に電動セントラルドライブシステムCeTrax CP、AMT統合型分離機構ConAct、シャシーサスペンションシステムAirtracXの3つの製品を発表した。(2021年6月18日付プレスリリースより)

-ZFは、子会社のZF電駆動科技(瀋陽)有限公司[ZF Electric Mobility Technologies (Shenyang) Co., Ltd.]が電気駆動システム工場の建設を開始したと発表した。この工場の総投資額は10億元。2023年の生産開始を目指す。新工場は瀋陽市鉄西区に位置し、敷地面積は5万平方メートル、延床面積は3.1万平方メートル。この工場ではモーター、電子制御システム、電動駆動システムの生産、組立、テストを行い、主に中国本土と国際的OEMに新エネルギー車用電動駆動部品およびシステムを供給する。将来は主流OEMの多くの新エネルギー車プラットフォームに採用されると見込んでいる。(2021年4月8日付プレスリリースより)