豊田合成 (株) 2020年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2020年
3月期
2019年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 812,937 840,714 (3.3) -ドル元安による替影響、新型コロナウイルス感染による自動車生
営業利益 17,888 36,525 (51.0) -新型コロナウイルスによる減販ドイツTGM事業整理損失
経常利益 16,106 37,356 (56.9) -
当期純利益 11,226 23,309 (51.8) -

 

海外事業動向

<米国>
米国の生産子会社3社の生産能力を強化
-生産能力を増強するのは豊田合成テキサスTGミズーリTGケンタッキーの3拠点。2021年度末までに合わせて約6030万ドル (約65億4千万円) を投じて工場建屋を拡張し、成型機や塗装設備などを増設する。北米におけるラジエーターグリルなどの内外装部品の販売拡大に対応する。今回の投資で、同社グループの北米での内外装部品の売上高を25年度までに18年度の約1.3倍となる約870億円に拡大する計画。(2019年11月21日付日刊自動車新聞より)

米オハイオ州に技術・営業拠点を新設
-近隣にあるホンダの研究開発拠点などのニーズに対応する。豊田合成ノースアメリカ(TGNA、米ミシガン州)のオハイオ事務所として7月から稼働させる。当初は5人で内外装部品やエアバッグの設計・営業に従事し、2020年代半ばには従業員を10人に増やす。(2019年5月21日付日刊自動車新聞より)

<インド>
最適な生産体制構築に向け生産子会社を再編

-2020年中に同社が保有する豊田合成サウスインディア (TGSIN)の全株式を豊田合成ミンダインディア (TGMIN)に譲渡する。4月現在インドの供給体制として、南部ではTGSINがトヨタなどに主に内外装部品を、北部ではTGMINがスズキなどに主にエアバッグやハンドルを提供している。同社は2025事業計画 (中長期経営計画)でインドを重点市場と位置づけており、近年ではDelhi近郊に技術・営業拠点 (Gurgaon事務所)を新設したほか、グジャラート州の新工場を稼働させている。今後もインドでの開発・生産体制を強化するとしている。(202042日付プレスリリースより)

<中国>
中国内陸部でウェザーストリップの生産体制を強化

-昨年12月に子会社化した「湖北豊田合成正奥橡塑密封科技有限公司(TG正奥)」(湖北省十堰市)の工場建屋を現在の1.8倍となる3万1600平方メートルに拡張し、ウェザーストリップの生産能力を2021年5月までに倍増させる。具体的な生産能力は非公表。TG正奥の前身である湖北ロック社は東風ホンダほか東風汽車などに納入実績があり、生産体制を強化して中国内陸部での事業拡大の足がかりとする。(2019年11月18日付日刊自動車新聞より)

<ドイツ>
-ドイツの生産子会社である豊田合成メテオール (TGM) の全株式をドイツの事業ファンド傘下企業SCUR-Alpha1123 (AEQPH社に社名変更予定) に譲渡すると発表した。 2019年11月22日付プレスリリースより

<ベトナム>
エアバッグ部品を増産

-世界で需要が増えている助手席用と脚部を保護するニーエアバッグ部品の生産を増やす。豊田合成ハイフォン (TGHP、ハイフォン市) のタイビン工場に約18億円を投じて新棟を建設し、2021年10月から助手席およびニーエアバッグの生産を始める。23年度の年産能力を2500万個と18年度実績の約1.5倍に高める。エアバッグ部品は縫製に手間がかかるため、タイビン工場の従業員も足もとの約700人から23年度末には2千人へ3倍弱に増やす計画。生産したエアバッグ部品は主に日本へ送り、エアバッグモジュールに仕立てる。同社はエアバッグを中心とするセーフティーシステム製品を重点事業と位置づけており、エアバッグの総生産能力を23年度までに18年度実績の約1.6倍となる年間1億個に引き上げる方針。(2019年11月14日付日刊自動車新聞より)

 

受注

-中国で販売開始されたレクサスの「LM」に同社の超大型スピンドルグリルが採用されたと発表した。アジアを中心に拡大する高級ミニバン市場に投入された「LM」には、従来比で約1.5倍大型となるスピンドルグリルが採用されている。豊田合成は樹脂成型技術やめっき、塗装などの加飾技術を駆使し、レクサスブランドのフロントマスクを大胆に装飾するスピンドルグリルを数多く納入してきたという。(2020年3月26日付プレスリリースより

-樹脂製バッテリーケースを開発し、トヨタ自動車が3月から中国で発売した「カローラ」と「レビン」のプラグインハイブリッド車(PHV)に採用されたと発表した。収納する電池の間に隙間を設け、外気を取り込んで冷却する構造としたほか、樹脂内部に導体を通して絶縁し、安全性を確保した。(2019年4月4日付日刊自動車新聞より)

-同社初の「サクションブロー工法」を使った樹脂製ターボダクトをトヨタ自動車の新型「ハイエース」(海外向け) 用に納入したと発表した。金属やゴムを組み合わせたターボダクトと比べて重さを1.6キログラムから800グラムへと半減させ、コストも削減した。今後、電動系エコカーの冷却パイプ用などにも売り込んでいく考えだ。(2019年3月28日付日刊自動車新聞より)

 

研究開発活動

LED特許に関するライセンス契約を締結

-スタンレー電気と窒化物系赤色蛍光体および、それを用いたLED特許に関するライセンス契約を締結。窒化物系赤色蛍光体は、青色LEDや紫外LEDなどとの組み合わせによって製造された高演色白色LEDや暖色系LEDに使用され、照明や液晶ディスプレイのバックライトなどで使用されている。この契約により、スタンレー電気はこの特許を使用することが可能になる。(2020年1月17日付プレスリリースより

ラジエーターグリル等向け加飾技術

-光輝感や陰影感を高めた加飾技術を開発したと発表した。ラジエターグリルに使うとグリルがより立体的に見えるようになり、グリル本来のデザインが際立つという。他の外装部品などへ応用できないか検討を進めていく。トヨタ自動車が10月に発売したレクサス「IS Fスポーツ」のラジエターグリルにまず採用された。光を反射するメタリック材を塗料に混ぜて使う際、メタリック材の向きをそろえることで、塗装面の正面と奥行きの明度差を従来より4割高めることに成功した。(2019年11月22日付日刊自動車新聞より)

窒化ガリウム (GaN) を使った電気自動車 (EV) 用インバーター

-名古屋大学や豊田合成などは23日、次世代パワー半導体の素材として注目が集まる窒化ガリウム (GaN) を使った電気自動車 (EV) 用インバーターを開発し、世界で初めてEVを走らせることに成功したと発表した。2025年頃の実用化を見込む。環境省の委託を受け、名大のほか豊田合成、パナソニックなどがEV用インバーターに応用した。これまでGaN半導体を使ったインバーターの出力は数キロワットにとどまっていたが、今回、スイッチング速度の速いGaNトランジスタを並列につなぎ、出力を20キロワットに高めることに成功した。 GaNインバーターは現行製品に比べ電力変換時の損失を2割以上減らすことができる。EVに使用した場合、航続距離の延長や電池の小型化といった利点が見込める。(2019年10月24日付日刊自動車新聞より)

トヨタグループ各社連携「MX191」を東京モーターショーに出展

-トヨタ紡織は、トヨタグループ各社の連携によるインテリアスペース「MX191」を東京モーターショーにて展示した。アイシン精機デンソー、豊田合成東海理化と連携して開発された「MX191」には、自動運転時の多彩なシートアレンジ、乗員を守る安全システムのほか、リフレッシュ、リラックス、目覚めといったシーンに応じたモード切替えなどの先進技術が搭載されている。また、トヨタ「アルファード(Alphard)」、「ヴェルファイア(Velfire)」に搭載されているエグゼクティブラウンジシートも出展する。(2019年10月3日付プレスリリースより

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ベンチャー企業等への投資

2019年1月に「ベンチャー投資企画室」を新設

-新技術や新製品の実用化に向けたオープンイノベーションを加速させるため、スタートアップ企業などに機動的に投資する専門部署「ベンチャー投資企画室」を20191月に新設。豊田合成のコア技術とのシナジーが期待できる、ロボティクス、半導体、次世代自動車部品、素材の4分野に関連したスタートアップや、ベンチャーキャピタルに投資する。運用規模は30億円で、期間は20191月から2年間の予定。(2018119日付 プレスリリースより)

AIプラットフォームスタートアップのトライエッティング

-人工知能 (AI) プラットフォームを提供するスタートアップのトライエッティング (名古屋市中区) に5千万円を出資したと発表した。ロボット開発のQBITロボティクス、樹脂3Dプリンターのエスラボなどに続く4件目の出資となる。トライエッティングが持つAI技術と、豊田合成が蓄積した材料設計技術を組み合わせ、高機能材料などを効率良く開発する。(2019年8月30日付日刊自動車新聞より)

樹脂3Dプリンター開発のエス.ラボ

-樹脂3Dプリンターを開発するエス.ラボ(京都市伏見区)への出資を決めたと発表した。両社で3Dプリンターの高精度化や高速化に取り組み、製品開発・生産への応用を目指す。今回の出資は光学設計に強いイムザック(山形県山形市)、ロボット開発ベンチャーのQBITロボティクス(東京都千代田区)に次ぐ3件目の出資となる。エス.ラボ社の3Dプリンターは汎用樹脂を使えることが特徴で、豊田合成としては、3Dプリンターの性能を高め、少量生産部品や外装部品の加飾などに応用したい考え。(2019年7月30日付日刊自動車新聞より)

光学設計のイムザック

光学設計などに強みを持つベンチャー企業、イムザック (山形市) に5千万円を出資し、株式の19.1%を取得。共同開発を始めると発表した。自動運転技術の進展をにらみ、赤外線を透過する樹脂や、光学技術を駆使したHMI (ヒューマン・マシン・インターフェース) などの実用化を目指す。(2019年5月16日付日刊自動車新聞より)

 

研究開発体制

北島技術センター 愛知県稲沢市
美和技術センター 愛知県あま市
TGR Technical Center, LLC 米国ミシガン州プリマス
Toyoda Gosei North America Corporation 米国ミシガン州トロイ
Toyoda Gosei Europe N.V. ベルギー
Toyoda Gosei Asia Co., Ltd. タイ チョンブリ
Toyoda Gosei(China) Investment Co., Ltd. 中国 上海
Minda TG Rubber Pvt. Ltd. インド ハリヤナ

-IoT (モノのインターネット) 技術やデータ解析により品質改善や予兆保全を指南できる社内人材の育成を急ぐ。現在は国内で十数人いるが、海外拠点への展開も視野に入れ、早期に50人以上へと増やす考え。自社の生産技術に精通した人材に主導させることで原価低減や品質改善効果を最大化する。(2019年7月29日付日刊自動車新聞より)

 

技術導入契約

(2020年3月31日現在)
相手方の名称 (国名) 契約内容 契約期間
Intier Automotive Interiors of America (米国) ウレタンスプレー表皮に関する特許・ノウハウライセンス 2002年11月18日 - 2019年5月10日
Daimler AG (ドイツ) ミリ波レーダー用カバーに関する特許ライセンス 2011年11月10日 - 2019年9月23日

 

研究開発費

(単位:百万円)
2020年3月期 2019年3月期 2018年3月期
自動車部品事業 31,374 30,025 27,200
オプトエレクトロニクス事業 - - 600
合計 31,374 30,025 27,800

 

設備投資額(地域別)

(単位:百万円)
2020年3月期 2019年3月期
日本 19,126 20,033
米州 12,727 14,346
アジア 8,570 11,020
欧州・アフリカ 1,410 1,491
合計 41,835 46,891

 

2021年3月期の見通し

-2021年3月期の決算予測は未定。

 

中期経営計画

2025年度の売上高を17年度に比べて約2割増の1兆円以上とする中長期経営計画を発表した。自動運転や電動化などの自動車業界の大きな潮流に対応した次世代製品の開発やエアバッグをはじめとする既存事業の強化、ものづくり革新を重点分野とし、リソーセスを手厚くする。25年度の売上高営業利益率は8% (17年度実績は5.1%) 、ROE10% (同6.6%) をそれぞれ目標に設定した。25年度に新製品・新技術の分野の売上高1700億円を目指す。(2018年5月23日付日刊自動車新聞より)