曙ブレーキ工業 (株) 2010年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2010年 3月期 |
2009年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
売上高 | 130,604 | 159,649 | (18.2) | 1) |
営業利益 | 4,663 | (6,289) | - | - |
経常利益 | 2,670 | (7,900) | - | - |
当期純利益 | 2,061 | (16,277) | - | - |
要因
1)
<日本>
-エコカー減税の影響等から自動車販売が回復したこと等により受注は当初の想定を上回ったが、売上高は前期比12.0%減の83,100百万円。
<北米>
-米国政府の実施した需要喚起策の効果等もあり自動車販売台数は緩やかな回復基調にあるが、未だ前年の大幅受注減をカバーするには至らず、加えて円高により売上高は前期比34.5%減の35,800百万円。
<欧州>
-欧州のほぼ全域において自動車販売が不振であったこと等により受注が減少し、売上高は前期比26.3%減の4,200百万円。
<アジア>
-アジアでの事業展開を行っている3ヶ国ともに、大幅に業績が改善。インドネシアでは、受注が順調に増加。(円高影響により円ベースでは減収だが、現地通貨ベースでは増収)中国では、主要な日系自動車メーカーからの受注が第2四半期以降飛躍的に伸び、大幅な増収を達成。タイでは、受注が堅調(円高影響により円ベースでは減収となっているが、現地通貨ベースでは増収)に推移。その結果、アジア地域全体の売上高は前期比4.8%増の15,800百万円。
国内動向
-生産体制の最適化を実施した。曙ブレーキいわき製造(株)及び曙ブレーキ三春製造(株)からの生産移管をそれぞれ2009年9月末と12月末までに完了、曙ブレーキ山陽製造(株)の3拠点から2拠点への再編も2010年3月末に完了した。曙ブレーキいわき製造(株)は、曙ブレーキ岩槻製造(株)と曙ブレーキ福島製造(株)へ、曙ブレーキ三春製造(株)は、主に曙ブレーキ岩槻製造(株)に生産を移管。曙ブレーキ山陽製造(株)では、総社工場を吉備の2工場へ統合した。-ブレーキの性能評価事業とコンサルティング事業を手掛ける全額出資子会社2社を同社に吸収すると発表。グループ経営の効率化と総合力を強化するのが狙い。アケボノテック(福島県いわき市)と曙マネジメントサービス(東京都中央区)の2社で、簡易合併方式で吸収する。(2010年1月21日付日刊自動車新聞より)
-新興国市場向けブレーキ部品を先進国向け車両に活用することを検討する。同社は新興国向けのブレーキ部品については、価格を抑えながらも耐久性を高めていくなど、現地で求められる性能に軸足をおいた製品を開発していく方針。これを近年ダウンサイジング傾向が強まっている先進国でも流用できる可能性があるかどうか具体的な調査活動を進めていく考え。地域と車両ごとで求められるスペックを精査して、共用化できるものについては積極的に採用していくことでトータルコストを抑え、収益力の向上に結びつける。(2月25日付日刊自動車新聞より)
海外動向
<北米>-独Robert Boschから北米ブレーキ事業を譲受けることについて協議を開始したと発表。ディスクブレーキ、ドラムブレーキなどの機構を生産するファウンデーションブレーキ事業を買収する内容。Boschはトヨタに次ぐ同社の大株主で10%強を出資しているほか、Boschが同社に技術供与を行うといった協力関係がある。北米ではファウンデーションのサプライヤーの生産能力が過剰な状況のため、両社は協力関係を生かし、同社に同分野を集約、供給体制の適正化につなげる。(2009年8月31日付日刊自動車新聞より)
>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2010年3月期 | 2009年3月期 | 2007年3月期 | |
全社 | 1,129 | 2,638 | 1,271 |
研究開発活動
<日本>-摩擦材は、乗用車用高性能パッドと低コストパッドが中心。
-ディスクブレーキ・ドラムブレーキは、開発業務の総見直しからプロセスの整流化による業務改革を推進し、部品の共通化・標準化を徹底的に実行。この活動をベースにした商品開発に取り組んでいる。
-曙ブレーキ中央技術研究所では、低環境負荷型独自材料の創製(摩擦材、他分野)、ゼロエミッション、VOC削減に向けた表面処理、接着技術の開発、安定した高摩擦係数を狙ったセラミックス系摩擦材の開発、摩擦メカニズムの解明、摩擦材構造の見える化等のテーマを持ち、独自技術を確立して新世代のブレーキおよび摩擦材を研究。
<北米>
-現地北米カーメーカーはもとよりグローバルなニーズに基づいて北米市場に最適な新摩擦材や次世代ブレーキの開発に取り組んでいる。
-日系カーメーカーへは、開発から量産までの現地完結開発を展開。
-摩擦材では環境対応(環境にやさしい原材料を使用)を基礎として乗用車用からピックアップトラック用まで幅広く音振特性に優れた材質開発を実施。
-ディスクブレーキでは乗用車用、SUV用、ピックアップトラック用と幅広く開発しており車種展開を実施。
-Robert Bosch L.L.C.からの北米ブレーキ事業の一部譲受けに伴い、ホイールエンド製品(ディスクローター、コーナーモジュール製品)を担当する部署を北米開発拠点に新設。ホイールエンド製品についても研究開発活動を行う体制を整えている。
<欧州>
-欧州では、摩擦材開発に特化。要求性能が特有で、かつ、REACH(Registration,Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals:化学物質の登録、評価、認可および制限に関する規則)の導入等、環境規制の厳しい欧州市場に適合する摩擦材から日米市場向け輸出欧州車に適合する摩擦材まで幅広いニーズに対応できる開発を実施。
-開発拠点のあるフランス以外では、ドイツに開発の出先機関(現地法人)を置き展開。
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2010年3月期 | 2009年3月期 | 2008年3月期 | |
全社 | 5,400 | 17,800 | 14,900 |
-日本:2,800百万円(次世代生産設備)
-北米:2,100百万円 (次世代生産設備)
-欧州:100百万円(生産・開発設備)
-アジア:400百万円(増産対応)
設備の新設計画
会社/事業所 (所在地) |
設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了 |
本社他 (東京都中央区他) |
鋳物製造設備、新工法設備、情報機器他 | 2,000 | 2010年4月 | 2011年3月 |
開発部門 (埼玉県羽生市) |
試験・研究開発用設備、高性能ブレーキ開発設備 | 1,000 | 2010年4月 | 2011年3月 |
曙ブレーキ岩槻製造(株) (埼玉県さいたま市岩槻区) |
ディスクブレーキ・ドラムブレーキの製造設備 | 1,500 | 2010年4月 | 2011年3月 |
曙ブレーキ福島製造(株) (福島県桑折町) |
ブレーキライニング、産業機械・鉄道製品の製造設備 | 500 | 2010年4月 | 2011年3月 |
曙ブレーキ山形製造(株) (山形県寒河江市) |
ディスクブレーキパッドの製造設備 | 500 | 2010年4月 | 2011年3月 |
曙ブレーキ山陽製造(株) (岡山県総社市) |
ディスクブレーキ・ドラムブレーキの製造設備 | 400 | 2010年4月 | 2011年3月 |
(株)曙ブレーキ中央技術研究所他 (埼玉県羽生市) |
試験・研究開発用設備他 | 100 | 2010年4月 | 2011年3月 |
Akebono Corporation (North America) (米国ケンタッキー州他) |
研究開発用設備 | 500 | 2010年1月 | 2010年12月 |
Ambrake Corporation (米国ケンタッキー州) |
ディスクブレーキ・ドラムブレーキ・ディスクブレーキパッドの製造設備 | 1,000 | 2010年1月 | 2010年12月 |
Amak Brake L.L.C. (米国ケンタッキー州) |
ディスクブレーキの製造設備 | 500 | 2010年1月 | 2010年12月 |
ABMA, L.L.C. (米国ケンタッキー州他) |
ディスクブレーキ・ドラムブレーキ他の製造設備 | 2,000 | 2010年1月 | 2010年12月 |
Akebono Europe S.A.S. (フランス ゴネス市) |
研究開発設備、ディスクブレーキパッドの製造設備 | 500 | 2010年4月 | 2011年3月 |
曙光制動器(蘇州)有限公司 (中国蘇州市) |
ディスクブレーキパッドの製造設備 | 250 | 2010年1月 | 2010年12月 |
広州曙光制動器有限公司 (中国広州市) |
ディスクブレーキ・ドラムブレーキの製造設備 | 250 | 2010年1月 | 2010年12月 |
PT. TriDharma Wisesa (インドネシア ジャカルタ市) |
ディスクブレーキ・ブレーキ用部品の製造設備 | 500 | 2010年1月 | 2010年12月 |
Akebono Brake Thailand Co., Ltd. (タイ チョンブリ県) |
ディスクブレーキの製造設備 | 500 | 2010年1月 | 2010年12月 |