曙ブレーキ工業 2008年3月期の動向

ハイライト

業績 (単位:百万円)
- 2008年3月期 2007年3月期 増減率 要因
売上高 184,731 173,159 6.7% 日本およびインドネシアでの受注増加
経常利益 12,619 12,157 3.8% -
当期純利益 6,637 6,631 0.1% -


海外展開
<タイ>
2007年7月、タイのディスクブレーキ生産を増強すると発表。2008年半ばをめどに第2ラインの新設に着手、現地メーカーなどからの増産要請に対応する。追加投資額は約8億円を見込む。

2008年5月からタイでブレーキパッド(摩擦材)の生産を開始すると発表。10年までに総額12億円を投じて月産40万個に引き上げる。

>>> 詳細は 設備投資 参照


生産拠点の再編

<日本>
2009年3月期までに東日本地区の6工場を4工場に再編すると発表した。2年間の総投資額は約45億円。10年度以降には年間40億円規模のコストダウン効果を見込むとしている。ディスクブレーキを生産する曙ブレーキ三春製造(福島県三春町)の全生産品目を福島製造(同桑折町)、岩槻製造(さいたま市岩槻区)、山形製造(山形県寒河江市)に移管するほか、いわき製造(福島県矢吹町)の再生ブレーキ全量も福島製造に移管、三春といわきは閉鎖する。また、本社近隣の羽生製造(埼玉県羽生市)の量産摩擦材も福島と山形に移管、羽生は少量生産摩擦材に特化する。(2007年7月3日付日刊自動車新聞より)

<日・米>
2009年までの2年間に日米のブレーキ生産を再編する。これまで製造子会社の曙ブレーキ山陽製造(岡山県総社市)から輸出してきた米クライスラー向けドラムブレーキを、2008年末までにエリザベスタウン工場(米ケンタッキー州)での現地生産に切り替えるほか、富士重工業向けの同製品も岩槻工場(埼玉県岩槻市)に移管する。エリザベスタウンは3工場ある米国生産拠点のうちブレーキシステムの生産に特化させる計画で、他の工場に残るブレーキ生産ラインを2年以内に移管する。こうした再編により、陸上・海上輸送にかかる物流コストを大幅に軽減する。(2008年1月25日付日刊自動車新聞より)

<米>
北米の生産拠点を集約すると発表した。2008年秋をめどにアムテックブレーキ(ケンタッキー州スプリングフィールド)で生産する補修用ブレーキパッドやリビルトキャリパーなどをエーマックブレーキ(同州グラスゴー)に移管する。アムテックブレーキは生産移管後08年末までに閉鎖する。これにより同社の北米生産拠点はエーマックとアムブレーキ(同州エリザベスタウン)の2拠点体制となる。アムテックの閉鎖により、固定費など年間250万ドル超のコスト削減が実現できるとしている。生産移管に併せてエーマックは、700万ドルを投じて工場の拡張を行う。(2008年2月21日付日刊自動車新聞より)


業務提携
<伊藤忠グループとの業務提携>
伊藤忠グループによる北米事業統括会社への出資が完了したと発表した。これにより、同社北米事業における経営資源の拡充、および補修用ブレーキ部品の物流効率を改善する基盤が整った。伊藤忠グループが40%を出資していた統括会社(アケボノ・コーポレーション・ノース・アメリカ=ACNA)傘下のエイマック・ブレーキの持ち分をACNAが買い取り、同時にACNAが発行する第三者割当増資を伊藤忠オートモービル・アメリカと伊藤忠インターナショナルが引き受けた。同グループのACNAへの出資比率は20%となる。(2007年4月11日付日刊自動車新聞より)


新中期3カ年経営計画「New Frontier 30」
<目標>
2011年3月期までに連結売上高2,000億円、営業利益200億円を目指す。

開発動向

研究開発費 (単位:百万円)
- 2008年3月期 2007年3月期 2006年3月期
R&D 2,439 1,271 484

研究開発体制
日米欧に中国を加えた開発拠点において、それぞれの特長を活かし連携しながら商品開発を推進。


各拠点の動向

<日本>
(摩擦材) ・乗用車用高性能パッドと中・大型用ライニングが中心。
・環境に配慮した摩擦材製品を開発するために、新規に採用する原材料については、サンプル入手段階から材料メーカーのMSDS(化学物質安全性データーシート)による環境安全性や法規制の対応内容について評価。さらに、自社による原材料分析等を並行して行う。
(ブレーキ)

アルミ合金を使用した対向型ブレーキが高性能車に採用された。


<北米>
(摩擦材) ・乗用車からピックアップトラック用まで幅広い摩擦材開発を環境面対応(グリーン材)を加味しながら推進。
(ブレーキ)

・主に乗用車、SUV、ピックアップトラック用ディスクブレーキを開発。
・軽量アルミ合金による新ディスクブレーキを完成させ量産化。
・新機構を採用した次世代リヤパーキング付ディスク・ブレーキやフルサイズSUV・ピックアップトラック用新型ディスク・ブレーキを開発し、現在車種展開を行う。
・日本と連携をとり安価な新構造ブレーキや熱容量性向上キャリパーなど次期商品を開発。


<欧州>
(摩擦材) ・摩擦材開発に特化、高性能を重視した環境規制の厳しい欧州市場に適合する摩擦材から、静粛性を重視した日米市場向け輸出欧州車に適合する摩擦材まで幅広く開発。
・日米市場向けと欧州市場向け材質の両方の性質を取入れた「ハイブリッド材」を開発。
・開発拠点のあるフランス以外では、ドイツに開発の出先機関(現地法人)を置き、より顧客に密着した開発を展開。

設備投資

設備投資費 (単位:百万円)
- 2008年3月期 2007年3月期 2006年3月期
設備投資 14,900 8,900 8,200

設備投資地域別内訳
・日本: 93億円
・北米: 32億円
・欧州: 2億円
・アジア: 23億円

海外投資
<タイ>
タイのディスクブレーキ生産を増強する。2008年半ばをめどに第2ラインの新設に着手、現地メーカーなどからの増産要請に対応する。追加投資額は約8億円を見込む。今夏に稼働する第1ラインでの生産体制に比べ、補機類など小物部品の内製化率を高め現地調達率を引き上げる。同社のタイ工場は06年8月に設立したアケボノ・ブレーキ・タイランド(ABT、チョンブリ県アマタナコン工業団地)。工場建設を済ませ、現在は生産準備を進めており、8月にも現地の日系自動車メーカー向けディスクブレーキの生産を開始する。ABTは、08年度にはブレーキ摩擦材の生産も開始する計画。同社のアジア工場では中国に次ぐ摩擦材生産拠点にもなる。摩擦材生産の開始と前後して、ブレーキシステムの第2ライン設置にも着手し、ブレーキ関連の一貫生産拠点として業容を拡大する。(2007年7月17日付日刊自動車新聞より)

2008年5月からタイでブレーキパッド(摩擦材)の生産を開始すると発表した。10年までに総額12億円を投じて月産40万個に引き上げる。中核拠点となるタイでディスクブレーキと摩擦材の一貫生産を軌道に乗せ、今後も成長が見込めるアジア事業を拡大する。摩擦材生産を開始するのは06年8月に設立したアケボノ・ブレーキ・タイランド(ABT、チョンブリ県アマタナコン工業団地)。現工場の隣接地に2万7千平方メートルの工場用地を取得し着工した。08年5月の完成予定で、月産25万個規模で生産を開始する。(2007年11月15日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画

会社/事業所
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
本社他
(東京都中央区他)
鋳物製造設備、新工法設備、新事務所建設他 3,370 2008年4月 2008年8月
開発部門
(埼玉県羽生市)
試験・研究開発用設備、高性能ブレーキ開発設備 1,520 2008年4月 2009年3月
センサー部門
(埼玉県羽生市)
センサー工場拡張、増産対応設備 160 2008年4月 2009年3月
曙ブレーキ岩槻製造㈱
(埼玉県さいたま市岩槻区)
ディスクブレーキ・ドラムブレーキの製造設備 1,210 2008年4月 2009年3月
曙ブレーキ福島製造㈱
(福島県桑折町)
ブレーキライニング、産業機械・鉄道製品の製造設備 490 2008年4月 2009年3月
曙ブレーキ山形製造㈱
(山形県寒河江市)
ディスクブレーキパッドの製造設備 850 2008年4月 2009年3月
曙ブレーキ山陽製造㈱
(岡山県総社市)
ディスクブレーキ・ドラムブレーキの製造設備 1,260 2008年4月 2009年3月
Akebono Corporation (North America)
(米国ケンタッキー州他)
研究開発用設備 640 2008年1月 2008年12月
Ambrake Corporation
(米国ケンタッキー州)
ディスクブレーキ・ドラムブレーキ・ディスクブレーキパッドの製造設備 3,100 2008年1月 2008年12月
Amak Brake L.L.C.
(米国ケンタッキー州)
ディスクブレーキの製造設備 630 2008年1月 2008年12月
Akebono Advanced Engineering Ltd.
(英国 ウォーキングハム市)
高性能ブレーキ開発施設及び設備 700 2008年4月 2009年3月
曙光制動器(蘇州)有限公司
(中国蘇州市)
ディスクブレーキパッドの製造設備 110 2008年1月 2008年12月
広州曙光制動器有限公司
(中国広州市)
ディスクブレーキ・ドラムブレーキの製造設備 580 2008年1月 2008年12月
PT. TriDharma Wisesa
(インドネシア ジャカルタ市)
ディスクブレーキ・ブレーキ用部品の製造設備 930 2008年1月 2008年12月
Akebono Brake Thailand Co., Ltd.
(タイ チョンブリ県)
ディスクブレーキの製造設備 1,350 2008年1月 2008年12月