日立オートモティブシステムズ (株) 2017年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2017年
3月期
2016年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上収益 992,200 1,001,100 (0.9) -
調整後営業利益 56,300 61,900 (9.0) -
調整後営業利益率 (%) 5.7 6.2 - -

-IFRS基準

-2017年3月期、前回見通し (売上収益1兆円、調整後営業利益率6%)に対し、操業度が改善するも為替影響により売上収益、調整後営業利益共に下回った。

2020年度事業計画

(単位:億円)
2021年度(目標) 2019年度(目標) 2018年度(見通し)
全社
売上収益 13,000 11,000 10,000
調整後営業利益 - 770 620
調整後営業利益率 (%) - 7.0 6.2

-IFRS基準
-2020年度事業計画:2021年3月期

製品戦略
-コンベンショナル製品を基盤にしつつ高付加価値なエレクトロニクス製品の比率を拡大。
電動化・自動運転製品は、更なる高収益体質へけん引する成長ドライバーとして、2017年3月期で売上収益2割を3割に引き上げる。

-同社の関秀明社長兼CEOは、2020年に3兆円超と予想される自動運転などの情報安全市場でシェア10%を目指す考えを明らかにした。日立グループで関連する事業の連携を強化し、自動運転関連技術や製品をワンストップで提供する。グループ内に展開しているさまざまな技術や製品を有効活用して他社との差別化を図る方針だ。(2016年6月27日付日刊自動車新聞より)

地域戦略
-中国・米国の2大市場において電動・自動運転車両の生産シェアが高いカーメーカーに対する拡販を重点強化。

展開事例
-同社とホンダは2017年2月、電動車用モーターの開発、製造、販売を行う合弁会社設立を目的とした基本合意書を締結したと発表した。新会社を国内に設立し、米国と中国に子会社を設立する。新会社はホンダを含めた自動車メーカー各社の需要に広く対応し、グローバルでのモーター供給の拡大を目指す。新会社は7月をめどに、日立AMSが51%、ホンダが49%を出資し、資本金50億円で茨城県ひたちなか市に設立する。新会社の設立と並行して、日立AMSは現在、自社製モーターの取引関係がある自動車メーカーとのビジネス環境を継続し、事業運営を推進する。ホンダは現在、日本で生産している自社製モーターに新会社から供給を受けるモーターを加え、グローバルでの電動車両の普及を目指す。(2017年2月8日付日刊自動車新聞より)

-同社は2017年1月、低速先導車追従走行(渋滞運転支援)を含む11種類の先進運転機能を自動運転用ECU(電子制御ユニット)に実装し、同社の十勝テストコースで実証したと発表した。実証結果をもとに改良を重ね、今年7月にも自動運転用ECUの実用化を目指す。(2017年1月23日付日刊自動車新聞より)

-同社は2016年12月、低速先導車追従走行(渋滞運転支援)を含む11種類の先進運転機能を実装した自動運転ECUの実証テストを実施したと発表した。同社は今回、高速道での渋滞時の走行支援として、自動運転ECUの制御により、低速の先導車を追従走行する機能TJA(Traffic Jam Assist)、低速域の運転支援に有効なLSP(Low Speed Car Passing)や、ALC(Auto Lane Changing)のアプリケーションを開発した。これらすべてのアプリケーションを実装した自動運転ECUを車両に搭載し、同社の十勝テストコースで車両を走行させ、全ての機能が正しく作動することを実証した。この自動運転ECUは、2017年7月に発売を予定している。(2016年12月26日付プレスリリースより)

メガトレンド対応技術の優位性
-メガトレンド対応技術の優位性を日立グループ連携により拡大。

受注

ホットワイヤー式スロットイン型エアーフローセンサー
-2017年3月、ホットワイヤー式スロットイン型のエアフローセンサーがトヨタの新型「Prius PHV」に採用されたと発表した。このセンサーは、高精度・高信頼を特長としており、2015年12月に発売された新型「Prius」に採用され、今回のプラグインハイブリッドモデルにも継続して採用されることとなった。 (2017年3月30日付プレスリリースより)

リチウム電池モジュール
-2016年12月、リチウムイオン電池モジュールが、スズキの新型「ソリオ/ソリオバンディット」ハイブリッド仕様車に搭載するパワーパック(高電圧リチウムイオンバッテリー+インバーター)に採用されたと発表した。新型ソリオに採用されたモジュールはグループ会社の日立ビークルエナジー(茨城県ひたちなか市)製で、電池セルと電圧検出基板を一つの筐体にまとめたのが特徴。また、樹脂ケースの使用により電池モジュールとして従来製品比で35%軽量化し、高さも37%低くした。(2016年12月26日付日刊自動車新聞より)

ADAS ECU
-2016年12月、ADAS(先進運転支援システム)ECU(電子制御ユニット)が日産の新型「セレナ」に採用されたと発表した。「セレナ」はこれまで数々の先進安全技術を搭載してきたが、新型「セレナ」は渋滞走行と長時間の巡航走行の2つのシーンで、アクセル、ブレーキ、ステアリングを制御してドライバーをサポートする自動運転技術「プロパイロット」を搭載している。(2016年12月12日付プレスリリースより)

モノチューブショックアブソーバ―
-2016年12月、モノチューブショックアブソーバーが2016年10月にマイナーチェンジモデルとして発売されたLexus「IS」に採用されたと発表した。「IS」シリーズの全モデルに採用されている。モノチューブショックアブソーバーは、応答性に優れたサスペンションシステムを構成する主要部品。(2016年12月7日付プレスリリースより)

発電用と駆動用のモーター
-2016年11月、発電用と駆動用のモーター2種類が、米ゼネラル・モーターズ(GM)の新型「シボレー・ボルト」に採用されたと発表した。 2種類のモーターには、固定部のステーターに挿入されるコイルとして、断面積に比例した高電流を流せるバーコイルを使用した。今回、コイル成形技術を導入し、バーコイルの課題だったコイル曲げを高速・高精度で行えるようにした。生産工程の効率も従来比約40%向上している。(2016年11月25日付日刊自動車新聞より)

2018年3月期の見通し

(単位:億円)
2018年3月期
(予測)
2017年3月期
(実績)
増減率 (%)
売上収益 10,000 9,922 0.7
調整後営業利益 620 563 10.1

-IFRS基準

研究開発費

(単位:億円)
2017年3月期 2016年3月期 2015年3月期
全社 706 699 610


-2017年3月期は,2016年3月期比1%アップの706億円を投資した。

研究開発活動

-2017年1月、同社とクラリオンは、スマートフォン(スマホ)を使って車外から自動駐車するリモートパーキングシステムを共同開発したと発表した。自動車メーカーなどに提案し、早期実用化を目指す。開発したシステムは、クラリオンの周辺監視カメラシステム「サラウンドアイ」と日立AMSの車両制御ユニットやステアリング、ブレーキなどのアクチュエーター制御技術を連携、スマホによる遠隔操作で車両を駐車する。(2017年1月18日付日刊自動車新聞より)

-2016年12月、同社とクラリオンは、スマートフォンを用いた遠隔操作により、車外から並列・縦列駐車や車庫入れ・出庫を自動で行う、リモートパーキングシステムを共同で開発したと発表した。このリモートパーキングシステムは、クラリオンの周辺監視カメラシステムであるSurroundEyeと、日立オートモティブシステムズの車両制御ユニットやステアリング、ブレーキなどのアクチュエーター制御技術を連携させた自動駐車システムで、スマートフォンにより遠隔操作で車両を駐車する。(2016年12月22日付プレスリリースより)

-2016年10月、同社と日立ソリューションズ(同品川区)は、自動運転ECU(電子制御ユニット)のプラットフォームを共同開発したと発表した。これを活用することで自動運転車向けのアプリケーション開発を効率化できる。同プラットフォームは、日立AMSの自動運転システム開発技術と、日立ソリューションズの組み込み用データベース技術を融合、自動運転システムのアプリケーション開発に最適化したリアルタイムデータベースを搭載する。専用ソフトウエア開発キット(SDK)を通じて、ECU上のアプリケーション開発や動作検証を汎用パソコン上で行える。日立AMSは2016年末から評価を実施し、17年7月から新プラットフォームに基づく自動運転ECUとSDKを提供する。(2016年10月27日付日刊自動車新聞より)

-2016年10月、同社は、GPS位置情報にカメラ画像情報と業界初の走行レーン見失い対処機能を統合した自車位置推定技術を開発したと発表した。自動運転車で求められる、走行しているレーンまで高精度に自車位置を検出できる。今回開発した業界初のレーンマーキングフュージョン機能は、前方・周辺監視カメラの画像情報を蓄積し、画像情報処理での走行レーンを見失った際、直前の検出情報を活用して走行レーンを正確に推定する。同社では、自車位置検出の高度化に向けて、GPSによる位置情報に前方・周辺監視カメラの画像情報を自動運転ECU(電子制御ユニット)内で照合させることで精度向上を図っている。(2016年10月12日付日刊自動車新聞より)

-2016年9月、日立製作所と同社は、自動車制御システムの安全要件を自動検証する技術を共同開発したと発表した。安全要件の検証時間を従来の目視で行うのと比べて10分の1に短縮できる。今回開発したのは、自動車メーカーや部品メーカーが制御システムの設計開発において作成する安全要件を検証する際、要件に漏れがないかをコンピューターで自動検証する技術。設計者に頼っていた要件の記述を、記号化してあいまいさをなくした。両社は自動車制御システムの安全・信頼性を保持する同技術の適用拡大や普及を通じ、自動車メーカーの自動運転車の開発に貢献する。(2016年9月30日付日刊自動車新聞より)

-2016年7月、同社は、同社の車両運動制御「G-Vectoring」に基づいた新技術をマツダが開発したと発表した。国内販売される「Axela」から順次搭載される予定。マツダの新技術「G-Vectoring Control (GVC)」は、車両の横方向と前後方向の運動を連携させ、四輪への接地荷重を最適化してスムーズで効率的な車両運動を実現する。マツダの新世代車両運動制御技術「SKYACTIV-Vehicle Dynamics」の第一弾として今後の市場拡大が期待される。(2016年7月14日付プレスリリースより)

-2016年4月、日立製作所、同社、クラリオンの3社は、自動運転車両やコネクテッドカーなどの次世代ビークルを支える中核技術の一つとして、無線通信により電子コントロールユニット (ECU) のソフトウェア更新を行う「OTA (Over the Air) ソフトウェア更新ソリューション」を開発したと発表した。このソリューションは、更新ソフトウェアの送信を行うデータセンター (OTAセンター) から車両側のシステムまでを、日立グループの技術によりワンストップで構築するもの。高い信頼性、セキュリティ、従来比1/10の時間でのソフトウェア更新を実現し、2018年の提供開始を予定している。(2016年4月28日付プレスリリースより)

-2016年4月、同社は、マイルドハイブリッド車向けに高出力の48ボルトリチウムイオン電池パックを開発したと発表した。今夏以降、自動車メーカーにサンプル出荷し、2018年度中に量産する予定。新製品はバッテリーマネジメントシステム基板やセルに加えて、リレー、ヒューズを一体化し積載性を高めた。従来の自社製品と比べて約1.5倍の出力密度となる角形リチウムイオン電池セルを内蔵する。最大出力10キロワット以上、最大入力13キロワット以上(いずれも10秒間)と、48ボルトシステム用モーターで加速をアシストするトルク性能を発揮できるとしている。開発と販売は日立AMSが担当し、製造は自動車用リチウムイオン電池製造会社の日立ビークルエナジー(茨城県ひたちなか市)が行う。(2016年4月22日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:億円)
2017年3月期 2016年3月期 2015年3月期
全社 504 725 774