カルソニックカンセイ (株) 2013年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2013年
3月期
2012年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 760,870 782,299 (2.7) -
営業利益 10,250 21,962 (53.3) -中国での日本車販売台数の減少
-新興国のビジネス拡大に伴う先行的なコスト負担
-北米中心に新車立ち上がりの集中や、メキシコへの電子部品の生産移管等に伴うコスト
経常利益 13,247 22,027 (39.9)
当期純利益 5,857 24,284 (75.9)

2014年3月期の見通し

(単位:億円)
  2014年3月期
(見通し)
2013年3月期
(実績)
増減率
(%)
売上高 8,300 7,609 9.1
営業利益 200 103 94.2
経常利益 190 132 43.9
当期純利益 100 59 69.5
設備投資額 261 249 4.8
研究開発費 262 238 10.1

地域別売上高の見通し

(単位:億円)
  2014年3月期
(見通し)
2013年3月期
(実績)
増減率
(%)
日本 3,500 3,882 (9.8)
米州 2,500 1,933 29.3
欧州 850 761 11.7
アジア 1,950 1,584 23.1


中期経営計画

-2016年度までの6年間にわたる新しい中期経営計画「CK GX4 T10」を策定した。グローバルでの自動車生産台数が9,500万台超に達するとした市場環境の前提のもとで、売上高と営業利益額で世界の部品サプライヤーのトップ10に入ることを目標に掲げた。その達成に向け環境対応の新製品を10種類開発するほか、市場の急拡大が予想される新興国では現地企業の工場で委託生産を行い需要増大に対応する。(2011年7月21日付日刊自動車新聞より)

目標

-売上高グローバルトップ10 (1兆円以上)
-営業利益グローバルトップ10 (付加価値売上比率7%レベル)
-2016年までに世界をリードする10個の環境型製品を投入する
  • FY2011-2012には2製品を計画し、インジェクション表皮とEGRクーラーを発表
  • FY2013-2014には5製品
  • FY2015-2016には3製品を計画

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
日本 21,270 21,310 18,820
米州 1,490 1,210 1,230
欧州 850 670 600
アジア 160 250 350
合計 23,780 23,460 21,010

研究開発体制

-事業部および地域の開発と連携するために、2013年3月期に4つのセンターを新設。中長期的な技術開発、リソースのマネジメントは以下の4つのセンターが役割を担う。
拠点名 所在地
先行基盤開発センター -
生産技術センター 埼玉県吉見町
実験研究センター 栃木県佐野市
技術リソース統括センター -

地域別研究開発体制
<日本>
-グローバルな製品要求に対する開発活動を行うセンターとして「先行・基本・アプリケーション開発」を担う。将来の開発技術の創出を行う先行・基本開発へのリソースを強化しており、競争力向上を図っていく方針。
-製品競争力の要素である価格面での優位性を高めるため原価低減活動を促進しており、その一環としてLCC開発能力の活用、具体的には中国開発センターや、シーケーエンジニアリング上海への開発移管を進めている。

<米州>
-日本において基本開発および車両製品開発アプリケーション仕様が決定した後、米州における開発体制を活用し、現地顧客との調整を行った上で開発完了とする。メキシコ向け製品の開発についても米州にて管理・運営を行っている。

<欧州>
-米州と同様の機能を有している。ルノー社との連携においては極めて重要な開発活動の一端を担う。

<アジア>
-中国市場の拡大とともに開発の重要性が増加。同社テクニカルセンターの開発体制を大幅に拡大させている。中国向け製品開発の役割を日本と分担し、効率良い協業体制を取ることを目指している。
-ラーセン&トゥブロ インテグレイテッド エンジニアリングサービス (L&T IES) と連携し、インド・チェンナイにグローバル・エンジニアリング・センターとなるCalsonic Kansei Engineering Center India-L&T (CECI-L&T) を設立。

研究開発活動

製品競争力向上
-環境技術ニーズに対応した熱交換器等、環境対応コンポーネント/システムの開発。
-燃費向上、浄化性能向上に貢献する排気システム、構成部品の開発。
-モジュールの高度化と構成部品の高性能化、軽量化開発。
-安全を促進するメーターや情報提供システムの開発。
-快適な運転環境を提供する空調システムの開発。

戦略製品開発
-次世代の電動車両向けシステム、製品開発。
-CO2削減に向けた大幅な軽量化技術・製品開発。
-新興国市場向け低価格車両用システム、製品開発。

製品開発

射出成形表皮
-世界初の表皮射出成形技術を採用した表皮を開発。ソフトパッドインストの採用拡大を狙い、高品質で低コストを実現した。中国、タイ、メキシコで生産を開始。

EGRクーラー
-ガソリン車での採用拡大が予測される、超小型軽量EGRクーラーを開発。新開発したVVGフィンにより、世界トップの熱交換率を実現した。2013年より日系メーカー向けに納入開始。

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
日本 8,700 7,300 6,700
米州 6,900 4,900 2,600
欧州 1,500 1,200 700
アジア 7,800 8,100 5,100
調整値 (100) - -
合計 24,800 21,500 15,100

-主要受注先のモデルチェンジに対応した生産設備の投資を行なったほか、実験設備の増強投資などを実施。

設備の新設計画

(単位:百万円)
  2014年3月期
日本 5,800
米州 8,500
欧州 3,700
アジア 8,100
合計 26,100

海外投資

<中国>
日産向けに中国の2工場でインストルメントパネルの樹脂成形を開始
-中国の2工場でインストルメントパネルの樹脂成形を開始する。湖北省襄陽市の襄陽工場、河南省鄭州市の鄭州工場に新たに射出成形機を導入し、日産自動車が中国合弁工場で生産する次期車向けに、2013年から生産する。中国では広州の工場でインパネの成形を行ってきた。日産車の生産拡大に対応して襄陽、鄭州でも開始し、中国での部品供給を拡充する。(2012年9月21日付日刊自動車新聞より)
  • 襄陽には基材と表皮を一体で射出成形する独自の工法を導入し、質感の高いインパネを低コストで供給する。襄陽はこれまで、広州の工場からインパネ本体の供給を受け、最終組み立てのみを行ってきた。今後の生産拡大を見込んで新規に生産設備を導入し、襄陽でも成形工程から行う。
  • 鄭州では外部の企業に委託していたが、内製化してコストダウンを図る。襄陽では次期「Tiana」向けから開始し、鄭州でも「Qashqai」、「X-Trail」といった車種の次期型から始める予定。

国内投資

インサイト生産を拡大
-自動車メーカーの完成車工場内で部品を生産するインサイト生産を拡大する。コックピットモジュールの骨格であるステアリングメンバーの生産を12月から日産自動車の栃木工場 (栃木県上三川町) で始める。同部品の生産はこれまで外部に委託していたが、日産工場内での生産に切り替えたうえ、内製化する。完成車工場内で部品を生産すると部品の輸送コストがかからないため、自動車メーカーは調達コストを低減できるメリットがある。同社は日産以外の取引先メーカーに対しても、同方式の国内外での導入を提案していく。(2012年9月11日付日刊自動車新聞より)