大豊工業 (株) 2018年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2018年
3月期
2017年
3月期
増減率 備考
全社
売上高 114,665 108,953 5.2 -軸受製品およびシステム製品の売上が増加
営業利益 6,800 6,357 7.0 -
経常利益 6,785 6,265 8.3 -
親会社株主に帰属する当期純利益 4,254 4,454 (4.5) -
自動車部品関連事業
売上高 95,262 89,400 5.4 1)
営業利益 10,281 9,750 5.4 -


要因

1) 自動車部品関連事業
-軸受製品では、顧客ニーズに応えた結果、大幅増となった。
-システム製品で国内およびタイにおいてバキュームポンプが着実に増販し、EGRバルブ等の増販もあった。
-ダイカスト製品では、競争の激化により微増。
-ガスケット製品では、タイおよび中国での現地生産が伸び増収。

2019年3月期の見通し

(単位:百万円)
2019年3月期
(予想)
2018年3月期
(実績)
増減率
(%)
売上高 115,000 114,665 0.3
営業利益 5,800 6,800 (14.7)
経常利益 5,700 6,785 (16.0)
親会社株主に帰属する当期純利益 4,000 4,254 (6.0)


-売上高は増収をみこむが、円高の影響により減益の予測

製品別売上高 (単位:百万円)
2019年3月期
(予測)
2018年3月期
(実績)
増減率
(%)
軸受製品 47,500 48,200 (1.5)
システム製品 17,800 16,612 7.2
ダイカスト製品 10,000 9,619 4.0
ガスケット製品 15,700 15,502 1.3
設備/金型 18,600 19,186 (3.1)


-2019年3月期の軸受製品売上高は475億円で全体の41.4%を占める見通し。

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

設備の新設

-2019年3月期、同社グループの設備投資予定額は12,000百万円。主な内訳は以下の通り。

事業所名 主要設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
目的
本社および本社工場
(愛知県豊田市)
ダイカスト製品製造設備等 1,486 新製品切替・更新・拡張・能力増強
細谷工場
(愛知県豊田市)
軸受製品製造設備等 2,600 新製品切替・更新・拡張・能力増強
篠原工場
(愛知県豊田市)
組付製品製造設備等 1,277 新製品切替・拡張・能力増強
九州工場
(鹿児島県出水市)
軸受製品製造設備等 720 新製品切替・拡張・能力増強
幸海工場
(愛知県豊田市)
軸受製品製造設備等 123 新製品切替・拡張・能力増強
大豊精機 (株)
本社および本社工場
(愛知県豊田市)
軸受製品製造設備等 516 新製品切替・拡張・能力増強
(株) ティーイーティー
春日井工場
(愛知県春日井市)
加工設備 54 新製品切替・拡張・能力増強
大豊岐阜(株)
本社および本社工場
(岐阜県可児郡)
軸受製品製造設備等 500 新製品切替・拡張・能力増強・合理化
日本ガスケット (株)
滋賀工場
(滋賀県米原市)
軸受製品製造設備等 1,838 新製品切替・拡張・能力増強
Taiho Corporation of America
本社および本社工場
(米国 オハイオ州)
軸受製品製造設備等 445 新製品切替・拡張・能力増強
PT. Taiho Nusantara
本社および本社工場
(インドネシア 西ジャワ州)
軸受製品製造設備等 494 拡張・能力増強
Taiho Corporation of Europe
本社および本社工場
(ハンガリー Ujhartyan)
軸受製品製造設備等 109 拡張・能力増強・合理化
韓国大豊 (株)
[Taiho Corporation of Korea]
本社および本社工場
(韓国 Daegu)
軸受製品製造設備等 71 拡張・能力増強
大豊工業 (煙台) 有限公司
[Taiho Kogyo Corporation of Yantai]
本社および本社工場
(中国 煙台市)
軸受製品製造設備等 1,512 新製品切替
常州恒業軸瓦材料有限公司
[Hengye Bearing Materials Co.,Ltd (Changzhou)]
本社および本社工場
(中国 常州市)
軸受製品製造設備等 204 拡張・能力増強・合理化
Taiho Corporation of Thailand
本社および本社工場
(タイ、パトムタニ県)
軸受製品製造設備等 51 拡張・能力増強

設備投資額

(単位:百万円)
2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 10,303 6,904 6,548
自動車部品関連事業 9,871 6,559 6,266


自動車部品関連事業
-新製品切替や生産能力増強、維持更新を目的とした設備投資を実施。国内、海外の投資は以下の通り:

  • 国内の連結子会社:大豊岐阜 (株) による第3工場の建設やシステム製品製造設備への新製品切替や生産能力増強を目的とした投資を中心に実施。
  • 海外子会社:大豊工業 (煙台) 有限公司による軸受製品製造設備への新製品切替や生産能力増強目的の投資を中心に実施。

-同社は、2018年内にも、標準的なものより長さを約1/3短くした新たなエンジン用軸受生産ラインを導入する。新しい生産ラインは設備投資をこれまでの約半分に抑えられる。多品種生産が可能で、生産効率化のネックだった段取り替えの時間も6割短縮できる。まず国内工場に導入して安定的な生産を確立した後、同社の収益の稼ぎ頭となっている中国や欧州などの生産拠点にも展開していく。生産効率化を図り、中国の地場の軸受ライバルメーカーに負けない競争力を確保する。新しい生産ラインは量産に向けたテスト段階にあり、今後、軸受の納入先からの認証を得てからマザー工場としての機能を持つ日本を皮切りに、海外拠点にも展開し、競争力の高いエンジン用ベアリングをグローバルで供給していく。(2018年2月26日付日刊自動車新聞より)

研究開発費

(単位:百万円)
2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 3,905 3,549 3,398
自動車部品関連事業 3,445 3,176 3,067

研究開発活動

-同社は、潤滑システム製品の開発を加速する。新規事業として日系自動車メーカーと共同で、潤滑油の通る油路の設計を最適化することでカムシャフト全体に均一にオイルを供給できるカムシャワーを開発する。油量低減に加え、潤滑油を供給するオイルポンプの駆動量を抑えることにつながり、従来のものと比べて約1%の燃費向上効果が見込まれる。クルマの電動化技術の開発が進んでいるものの、同社では内燃機関の燃費を向上する技術が依然として強く求められていると判断、これらニーズに対応するため、主力の軸受から潤滑システムへと事業領域を拡大する。(2017年6月20日付日刊自動車新聞より)

軸受製品

-高性能エンジンに対応したエンジン用軸受、ブッシュ、コンプレッサ用特殊軸受、各種軸受などを継続し開発、低燃費化のための摩擦低減を実現すべく様々な取組みを実施。
-低摩擦効果が得られる樹脂コーティング付きクランクワッシャーを開発・量産化。
-油量を制御する新溝形状エンジン用軸受けを開発・量産化。
-ブッシュでは、高性能新アルミ軸受材料、高性能新カーボン軸受材料を開発中。
-カーエアコン用コンプレッサー向けの特殊軸受では、高性能、軽量新シュー・低コスト新斜板を開発・量産化。

システム製品
-EGRバルブを応用し、ターボチャージャーの多段化に必要となる高温排ガスの切替えバルブの量産を開始。
-ウエイストゲートバルブ用アクチュエータは構成部品削減の新設計で生産開始。

ダイカスト製品
-CAE (流動解析) を用いて冷却・湯流れを最適化し、薄肉鋳造および鋳造精度向上を実現、高精度で低コストな製品を提供。
-新たに、脱内燃機関を見据え、FCVやHVの製品にも領域を広げていく。