Novelis, Inc. 2016年3月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2016年
3月期
2015年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 9,872 11,147 (11.4) 1)
純利益 (38) 148 - -
セグメント別売上高
北米 3,266 3,483 (6.2) 3)
欧州 3,223 3,783 (14.8) 4)
アジア 1,992 2,340 (14.9) 5)
南米 1,575 1,850 (14.9) 6)


要因
1) 全社売上高
-2016年3月期の売上高は前年比11.4%減の9,872百万ドル。アルミ圧延製品の出荷は増加したが、アルミの平均価格や市場価値が下がり、減収となった。

2) 純利益
-2016年3月期、コスト削減への取り組みを強化したが、38百万ドルの純損失を計上。アルミの平均価格や市場価値の低下、再編コスト及び減損費用として48百万ドル計上したこと、また欧州通貨の下落が主な減益要因。

3) 北米
-2016年3月期、北米における売上高は前年比6.2%減の3,266百万ドル。自動車部品の出荷は増加したが、アルミ価格や市場価値の低下、製缶用や特殊アルミの出荷減により減少した。

4) 欧州
-2016年3月期、欧州における売上高は前年比14.8%減の3,223百万ドル。製缶用や自動車向けの出荷は増加したが、アルミの平均価格や市場価値の低下、特殊アルミやノンフラット圧延アルミの売上が減少したことが主な減収要因。

5) アジア
-2016年3月期、アジアにおける売上高は前年比14.9%減の1,992百万ドル。製缶用アルミや自動車向け出荷は増加したが、アルミの平均価格が下落したことや特殊アルミの出荷減により、増加分は一部相殺された。

6) 南米
-2016年3月期、南米における売上高は前年比14.9%減の1,575百万ドル。主な減収要因はアルミ平均価格の下落、特殊アルミやノンフラット圧延アルミの出荷減。

受注

-2015年12月、Fordの新型トラック 「F-Series Super Duty」 向けに、同社のミリタリーグレードの高強度アルミ合金を納入すると発表した。Ford 「F-150」 の2015年モデルに続き、アルミを多用した 「F-Series Super Duty」 も、車体や荷台にNovelisのアルミ合金を採用した。これにより、最大350ポンドの軽量化を実現している。同社は、米国ニュー ヨーク州のOswego工場で同モデル向けのアルミシートを生産する予定。同工場では、3本目の自動車用シートの最終加工ラインを稼働させ、「F- Series Super Duty」 向けに生産を行う予定。出荷開始は2016年春を予定している。(2015年12月15日付プレスリリースより)

受賞

-2016年2月、一汽大衆 (FAW-Volkswagen) より2015年 「Excellent Supplier Award」 を受賞したと発表した。同社がこの賞を受賞するのは2年連続となる。Novelisは、中国で販売されるAudiのモデル向けに、アルミ部品の開発を行っている。(2016年2月8日付プレスリリースより)

-2015年1月、中国子会社のNovelis Chinaが一汽大衆 (FAW-Volkswagen) より2014年 「Excellent Supplier」 賞を受賞したと発表した。Novelis Chinaは、2012年から一汽大衆へアルミ材料を納入している。2年間の提携を経て、車両軽量化への貢献が認められ、2014年に 「Good Supplier Nomination」 賞を受賞した。そして、「Excellent Supplier」 賞は両社の強固な関係を別の形で評価したもの。同社のアルミ製品は、一汽大衆が生産するAudi 「A6L」、「Q3」、「Q5」、「A3」 の4モデルに採用されている。(2015年1月15日付プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万ドル)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 54 50 45



研究開発体制

-2016年3月現在、約330名が研究開発に従事。

研究開発拠点

-自動車部品の研究開発は、米国ジョージア州Kennesawおよびスイス Sierreで行っている。

特許

-2016年3月現在、申請中案件を含む特許数は180件。

技術提携

-2015年3月、同社とHenkel Adhesive Technologiesは、量産車に使用するアルミニウム接着技術の開発に向けて、長期提携契約を締結したと発表した。この提携により最初に発売するのは、アルミ表面前処理技術の 「BONDERITE M-NT 8453」。このクロムフリー化成処理技術は、車両構造の接合部における接着力や耐久性を高めるほか、外装部品の塗装の仕上がりを良くするという。この技術は、米国ミシガン州にあるHenkelのMadison Heights拠点と、同国ジョージア州KennesawにあるNovelisのグローバル研究技術センターが共同で開発した。すでに販売を開始しており、複数の大手自動車メーカーが採用を検討している。生産は、まずミシガン州WarrenにあるHenkelの工場で行い、Novelisから全ての顧客にグローバルに販売する予定。(2015年3月5日付プレスリリースより)

製品開発

リサイクル材を主原料としたアルミ合金
-2016年2月、リサイクル材料を75%使用した自動車向けアルミ合金 「RC5754」 が、量産乗用車の構造部品に使用されていると発表した。この 「RC5754」 は、Jaguar Land Roverと共同開発したもので、Jaguarの 「REALCAR (REcycled ALuminum CAR)」 プロジェクトを構成する主要な要素となる。「RC5754」 は、まずJaguarの新型 「XE」 に採用され、新旧のJaguar Land Roverモデルに使用されるとみられる。(2016年2月11日付プレスリリースより)

高強度アルミ合金
-2015年8月、自動車安全機能部品向けアルミ合金Novelis Advanz 7000シリーズを開発したと発表した。この7000シリーズは強度を従来の自動車向けアルミ比で2倍から3倍に高めているのが特徴。バンパー、衝突防止 リング、ドアビームなどに適している。(2015年8月17日付け各種リリースより)

設備投資額

(単位:百万ドル)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
北米 143 122 147
欧州 146 257 241
アジア 35 85 198
南米 39 53 117
消去・その他 7 1 14
合計 370 518 717

-2016年3月期の設備投資額は前年度よりも減少。大規模プロジェクトが最近開始されたか準備段階であるため。

-2015年3月期の設備投資は米国、ドイツにおける自動車用アルミシートの仕上げ加工能力の拡大、米国ニューヨーク州Oswego拠点の第3ラインおよびドイツNachterstedt拠点の第2ラインの建設。

海外投資

<ドイツ>
-2015年11月、ドイツのNachterstedtに自動車向けアルミ熱処理工場を開設したと発表した。欧州をはじめグローバルの顧客に納入する。新工場は、既存の圧延工場およびアルミリサイクルセンターに隣接している。85百万ドルを投じた新工場により、自動車用シートの生産能力は年間12万トン増加する。また、新たに従業員56名が雇用される。フル稼働時には、欧州における自動車用シートの年産能力は35万トンに引き上げられる見込み。新工場は、自動車用軽量構造やボディパネルに使用されるアルミ合金 「Novelis Advanz」 シリーズなど、高品質の自動車用シートを供給する。(2015年11月18日付プレスリリースより)