Bosch (China)[博世(中国)] 2017年12月期の動向

事業概況

-近年は研究開発の現地化を促進、中国市場向けに現地化した製品の開発および生産を拡大。
-ディーゼルシステム、ガソリンシステム、車載エレクトロニクス、電動システム、シャシーシステムの分野で事業を展開。

鄭州煤鉱機械集団にSEG Automotiveを売却

-2018年1月、同社は傘下のSEG Automotive Germany(旧:Robert Bosch Starter Motors Generators Holding)とそのすべての子会社を、中国鄭州の鄭州煤鉱機械集団(ZMJ)と香港の崇徳資本投資(CRCI)に売却する取引が完了したと発表。ZMJは、自動車用スターター、ジェネレーター、その他エンジン部品のサプライヤー。投資会社のCRCIは、長年のビジネスパートナーとしてZMJをサポートする予定。(2018年1月2日付プレスリリースより)

-2017年9月、鄭州煤礦機械集団股份有限公司[Zhengzhou Coal Mining Machinery Group Co., Ltd.] は池州中安招商股権投資合伙企業(有限合伙)[Chizhou Zhongan Zhaoshang Equity Investment Llp (Limited Partnership)]及び崇徳基金投資有限公司[China Renaissance Capital Investment Inc.] と共同で、Robert Bosch Investment Nederland B.V.が保有するRobert Bosch Starter Motors Generators Holding GmbH (略称 SG Holding) の全株式を買収すると発表。SG Holdingはスターター、オルタネーター事業子会社の統括会社。買収手続き完了後、鄭州煤礦機械はSG Holdingの研究開発プラットフォームと生産販売網を取得する。なお鄭州煤礦機械は2017年3月、亜新科集団[ASIMCO] 傘下の自動車部品会社を買収している。(2017年9月23日付け鄭州煤礦機械集団会社公告より)

Bosch Mahle Turbo SystemsをFountainVestに売却

-Mahle Groupは、BoschとMahleの合弁会社Bosch Mahle Turbo Systems(BMTS)を投資会社のFountainVest Partners(FountainVest)に売却すると発表。今回の取引は2017年9月6日に合意に至っており、FountainVestは約1,300名の従業員を含む全事業を取得する。BMTSは2008年設立、BoschとMahleは2017年初めからBMTSの売却を計画していた。FountainVestは、BMTSの事業を成長の見込める中国および北米市場に参入させる。(2017年9月7日付プレスリリースより)

新工場、稼働開始

-2017年8月、子会社博世汽車部件(蘇州)有限公司[Bosch Automotive Products (Suzhou) Co., Ltd.]は新しい工場、南京分公司[Nanjing Branch]の着工式を行った。1億ユーロ近くを投じて面積約20,000平方メートルの敷地にアジア太平洋地区市場向け「iBooster」の生産工場を建設する。新工場は「インダストリー4.0」に取り組み、2本の生産ラインを建設する。初期の生産能力は40万台とし、2024年までに300万台超まで引き上げる。iBoosterはバキューム源に頼らない、新しいブレーキシステム・コンポーネントを補完するモジュールの1つ。主にハイブリッド車や電気自動車に用いる。iBoosterとESPhevを組み合わせることで制動エネルギーのほとんどを回生できる。(2017年8月1日付けプレスリリースより)

-2017年4月、Bosch 自動車エレクトロニクス事業部は、武進工場(Wujin Plant)の稼働を開始した。常州市武進経済開発区(Changzhou Wujin Economic Development Zone) に建設されたもので、総建築面積は34,000平方メートル。総投資額は2019年までに8億元に及ぶ見込み。中国市場に自動運転、コネクテッドカー関連の電子部品とサービスを提供する。この工場はBosch 自動車エレクトロニクス事業部が中国に建設した2か所目の工場。(2017年4月12日付けプレスリリースより)

-2017年2月、子会社「羅伯特博世電機(中国)有限公司 [Robert Bosch Motor (China) Co., Ltd.]」の長春支社は長春ハイテク開発区と協定書を結んだ。同社は年産3百万セットのスターターモーター工場を同開発区に建設する。このプロジェクトの総投資額は2億元。敷地面積は4.5万平方メートル、建築面積は3.15万平方メートル。2017年には生産高約7億元、2020年フル稼働後は10億元を見込む。(2017年2月27日付け各種リリースより)

戦略的提携

-2017年11月、中国の新興電気自動車(EV)メーカー愛馳億維(AIWAYS)と上海で正式に戦略的提携に合意。EVシステム技術、自動運転、軽量化、IoVなどの先端技術において提携を展開する。
上海愛馳億維科技有限公司は、上海を本拠とし、江西省上饒市に総額133億元を投資し新エネルギー車(NEV)工場を建設している。(2017年12月1日付けリリースより)

-2017年11月、濰柴動力股份有限公司[Weichai Power Co., Ltd.]はRobert Boschと戦略的提携の枠組み合意書に調印したと発表。両社は世界一流の燃料電池自動車技術イノベーションチェーンと産業チェーンを打ち立て、水素燃料電池及び関連部品を共同で開発、生産する。Boschは濰柴動力の世界先進レベル、中国トップレベルのデジタル化モデル工場建設に協力し、工場の知能化、自動化レベルの向上を図るとしている。(2017年11月22日付け会社公告より)

-2017年6月、同社は中国のスマートシティプロジェクトに参画すると発表。天津市と戦略的協力の枠組みについて合意に至った。「スマートな天津」のイニシアチブの実践の可能性を探求することが狙いとなっている。同社はこれまでシンガポール、サンフランシスコ、シュトゥットガルト、ベルリン、ハンブルクなどで培ってきたスマートシティプロジェクトのノウハウを伝授する。スマートシティ化に向け、同社はモビリティ、エネルギー、セキュリティ、デジタル都市管理等の分野のソリューションを提供する。同社の中国における2016年の売上高は前年比12%増の125億ユーロを記録した。(2017年6月20日付プレスリリースより)

-2017年6月、小鵬汽車と戦略的提携に合意。双方は、自動運転分野において提携し、小鵬汽車の自動運転機能を更に高いレベルへと進化させ、操業を開始する。
これまで、小鵬汽車は北斗衛星測位分野のリーディングカンパニーである海格集団、中国でトップのデジタルマップコンテンツ、ナビゲーションや位置サービスソリューションプロバイダである高徳地図との提携を展開してきた。ボッシュとの提携によって、小鵬汽車は全産業チェーンが繋がった自動運転研究開発団体を形成し、小鵬汽車の自動運転機能の操業開始への歩みをさらに加速させる。

-2017年6月1日、同社は百度(Baidu)とスマートモビリティの分野で提携することで合意。同社は百度のApollo計画に参加し、センサー、関連するハード及び「博世道路特徵(Bosch Road Signature)」自車位置把握サービスを提供する。同時に両社は技術面でも提携し、中国の自動運転関連法規の整備をサポートする。(2017年6月1日付けプレスリリースより)

-Boschは中国のインターネットグループ百度(Baidu)と、地図プロバイダー高徳(AutoNavi)および四維図新(NavInfo)との提携に合意したと発表。4社は、Boschの車載レーダーおよびビデオセンサーで収集した情報を使って地図を作成、更新するソリューションを展開する。Boschが収集する自動運転に必要不可欠なこのデータは、今回提携する3社の地図情報に互換性を持たせる。4社は2017年末までにこのソリューションを発表する予定。(2017年4月19日付プレスリリースより)

研究開発体制

-上海 (Shanghai)、無錫 (Wuxi)、蘇州 (Suzhou)、重慶 (Chongqing) および長沙 (Changsha) の5カ所に研究開発センターを保有。中国のニーズにすばやく対応するため、開発研究者の現地採用を強化。

-2008年11月に冬季自動車性能試験センターを内蒙古牙克石 (Yakeshi, Inner Mongolia) に開設。

-2017年、中国事業に64億元の研究開発費を投資した。23のテクニカルセンターを開設し、従業員数は約6,850名。


テクニカルセンター

所在地 設立年 名称 業容
1.上海 1995年 聯合汽車電子有限公司技術中心
[United Automotive Electronic Systems Co., Ltd. Technology Center]
ガソリンエンジンシステムの研究開発
2.無錫 2005年 博世柴油技術中心
[Bosch Diesel Technology Center]
ディーゼルエンジンシステムの研究開発
3.蘇州 2005年 博世 (蘇州) 技術中心
[Bosch Suzhou Technology Center]
自動車電子技術及びブレーキシステムの研究開発
4.重慶 2006年 聯合汽車電子有限公司 (重慶) 技術中心
[United Automotive Electronic Systems Co., Ltd. Chongqing Technology Center]
ガソリンエンジンシステムのマッチング技術サポート等
5.長沙 2012年 博世 (長沙) 技術中心
[Bosch Changsha Technology Center]
電動システム、、スターターモーターの研究開発
6.保定 2015年 長城哈弗技術中心
[Great Wall Motor’s Haval R&D Center]
SUV


試験センター

所在地 設立年 名称 業容
1.内蒙古
牙克石
2007年 博世 (呼倫貝爾) 汽車測試技術中心有限公司
[Bosch (Hulunbeier) Automotive Winter Testing Co, Ltd.]
寒冷気候条件下でのABS、ESP、TCS等各種アクティブセーフティシステムの走行テスト
2.東海 2010年 博世 (東海) 汽車測試技術中心
[Bosch (Donghai) Automotive Test & Technology Center Co., Ltd.]
ABS、ESPなどのセーフティ技術と製品の研究開発及び評価測定テスト


ECUソリューション

所在地 設立年 名称 業容
上海 2005年 易特馳汽車技術 (上海) 有限公司
[ETAS Automotive Technology (Shanghai) Co., Ltd.]
ECU開発


納入状況

搭載部品 供給先 モデル モデルイヤー
ESP 9.3ハイ・ダイナミック・スタビリティコントロールシステム 吉利汽車 領克(Lynk & Co)01 2017
第9世代ESPスタビリティコントロールシステム、TCSトラクションコントロールシステム、バックモニターシステム 一汽海馬 福美来(Family)F7 2017
第9世代ESPスタビリティコントロールシステム 長安汽車 欧尚(Oushang) A800 2017
ESPスタビリティコントロールシステム 江鈴汽車 陸風(Landwind)X2 2017