(株) ブリヂストン 2014年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2014年12月期 2013年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 3,673,964 3,568,091 3.0 -
営業利益 478,038 438,131 9.1 -
経常利益 463,212 434,793 6.5 -
当期純利益 300,589 202,053 48.8 -
タイヤ部門
売上高 3,088,626 3,033,660 1.8 1)
営業利益 435,837 399,496 9.1 -


要因
1) タイヤ部門
<北米>
-2014年12月、2014年の業績が伸び悩んだことについて北米全体の景気回復の遅れを説明。北米は乗用車用タイヤが好調な一方で、景気回復の遅れが鉱山用タイヤなどの販売低迷につながった。15年はグローバルのタイヤ市場が3、4%程度成長すると予測し、業績拡大の見通しを示した。14年の売上高について、期初に前年比6%増の見通しを示したものの、8月の中間決算時には同2.3%増に下方修正していた。 (2014年12月3日付日刊自動車新聞より)

<日本>
-乗用車および小型トラック用タイヤの販売本数は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要などにより、前年を上回り順調に推移。トラック・バス用タイヤの販売本数も、前年を上回り好調に推移。

<欧州>
-乗用車および小型トラック用タイヤの販売本数は、前年を下回る。トラック・バス用タイヤの販売本数は、前年を上回り堅調に推移した。

<アジア・太平洋地域>
-乗用車および小型トラック用タイヤの販売本数は、前年並みに推移。トラック・バス用タイヤの販売本数は前年を上回り順調に推移。

<中国>
-乗用車および小型トラック用タイヤの販売本数は前年を上回り順調に推移。トラック・バス用タイヤの販売本数は前年を大幅に下回った。

ブランド戦略

-2019年までにタイヤブランド「ファイアストン」を世界展開する。北米とメキシコのみで展開する新車装着用タイヤの供給体制を他の地域でも整え、ブランドイメージを高めることで市販用タイヤの拡販につなげる。主力のタイヤブランド「ブリヂストン」の下に位置付けて差別化を図る。ファイアストンのグローバルでの販売数量を拡大することで、中期経営計画で掲げるエリアごとの収益目標の必達につなげるとともに、ブリヂストンブランドの価値向上にも結びつける。 (2014年10月21日付日刊自動車新聞より)

再編

<米国>
-Bridgestone Americasは、米国テネシー州のNashvilleに新本社を建設し、同市内にある既存本社を移転すると発表。新本社には、既存拠点の従業員1,100名に州外から移転してくる3つの事業部門からの600名超を加え、合わせて1,700名超が勤務する予定。30階建てで、面積は51.4万平方フィート。2015年はじめに着工し、2017年半ばに完成する見込み。Bridgestone Americasをはじめ、Bridgestone Americas Tire Operations、Bridgestone Retail Operations、Firestone Building Products、Firestone Industrial Productsの本拠にもなるという。 (2014年11月11日付プレスリリースより)

<中国>
-中国とアジア・大洋州地域のタイヤ事業に関する経営体制を統合すると発表した。従来、独立していた中国のタイヤ事業を、アジア・大洋州タイヤ事業統括会社に組み入れ、2014年7月1日付で実施する。統合によりさらなる成長が見込まれる新興国に対する経営資源の最適活用につなげる狙い。同社では戦略的事業ユニット制 (SBU) を導入しており、グローバルで日本、米州、欧州、中国、アジア・大洋州、中近東アフリカの6地域に分類している。このうち中国は「普利司通 (中国) 投資有限公司」が統括している。今回の地域統合により、アジア・大洋州地域のタイヤ事業統括会社「ブリヂストン アジア パシフィック ピーティーイー リミテッド」の統括範囲を中国まで拡大。これによりSBUを5地域に変更する。(2014年5月13日付日刊自動車新聞より)

受注

-2014年12月期の主な受注   *RFTはランフラットタイヤの意味

製品名 搭載モデル
RFT 華晨BMWのプラグインハイブリッド車(PHV) 「530Le」
POTENZA RE050A スズキ 「Alto TurboRS」、トヨタ 「Mark X "GRMN"」、「Lexus RC」、ダイハツ 「Copen」
POTENZA RE080 日産 「Note Nismo」
POTENZA S001 ologic BMW 「i8」
POTENZA S001 RFT 東風英菲尼迪 (Dongfeng Infiniti) 「Q50L」、日産 「Skyline」
POTENZA S007 日産 「Note Nismo S」
ECOPIA R680 スズキ 「Every」
ECOPIA EP25 トヨタ 「Vitz」
ECOPIA EP133 トヨタ 「MIRAI」
ECOPIA EP150 スズキ 「Every Wagon」、「Alto X」、ダイハツ 「Move」、「Move Custom」、日産「DAYZ ROOX」、「DAYZ ROOX Highway STAR」、三菱 「eK SPACE」、「eK SPACE Custom」
ECOPIA EP500 ologic BMW 「i3」
DUELER H/L 33 トヨタ 「Lexus NX」
DUELER H/L 400 上海GM 「別克昂科威 (Buick Envision)」、東風裕隆汽車 [Dongfeng Yulon Motor] 「納智捷 優6 SUV (Luxgen U6 SUV)」
DUELER H/P Sport スバル 「Legacy Outback」
TURANZA T001 マツダ 「CX-3」
TURANZA ER33 トヨタ 「Lexus RC」、「Lexus LS」

受賞

-Bridgestone Americasは、ホンダの第22回環境・安全・人間工学シンポジウムにおいて、米国のノースカロライナ州Wilsonにあるタイヤ工場が環境負荷低減を実現する工場として「Green Factory Environmental Achievement Recognition」を3部門で受賞したと発表。今回、同工場が受賞したのは「エネルギー削減」、「天然資源」、「公害防止」の3部門。Wilson工場の日産能力は、乗用車用タイヤ32,000本超となる。(2014年12月8日付プレスリリースより)

-Bridgestone Europeが2014年「BMW Supplier Innovation Award」を「Efficient Dynamics」部門で受賞したと発表した。BMW 「i3」 向けに開発したタイヤに採用されたブリヂストンの「ologic」技術が評価されたもの。ブリヂストンは現在、BMW 「i」シリーズ用タイヤの単独サプライヤーであり、「ologic」技術を採用した「Ecopia EP500」が 「i3」 に、「Potenza S001」がハイブリッドモデル 「i8」 に採用されているという。 (2014年10月15日付プレスリリースより)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
グループ全体 94,100 89,000 82,800
タイヤ部門 79,400 75,100 66,700

製品開発

植物素材「グアユール」
-米国の乾燥地域で栽培した植物「グアユール」から天然ゴムを取り出し、2015年半ばから試験的にタイヤを生産する。長期的なタイヤの需要拡大や従来の原料「ゴムの木」 (パラゴムノキ) の生育が天候や病害の影響を受けることに備え、天然ゴムの供給源を増やすのが狙い。米国アリゾナ州に30名以上の技術者を抱える加工研究所「バイオラバープロセスリサーチセンター」 (BPRC) を設立。グアユールの品種改良や栽培技術を目的とした研究農場を運用する。2020年代前半の実用化に向けて栽培の最適化や加工プロセスの確立を急ぐ。 (2014年11月28日付日刊自動車新聞より)

加速度センサー内蔵タイヤ
-タイヤ内に取り付けた加速度センサーでタイヤトレッド面の残り溝を推定する技術を開発したと発表。加速度情報を無線で車載解析装置に転送し、トレッド面の磨耗量を推定。ドライバーにタイヤローテーションや交換を促すなど、最適なタイヤ管理が可能となる。トラックなど商用車を中心とした需要を見込んでいる。今後さらなる実地検証やシステムの小型軽量化を図り、数年以内の実用化を目指す。 (2014年11月17日付日刊自動車新聞より)

中国市場向けスタッドレスタイヤ
-中国市場向けスタッドレスタイヤ「ブリザック氷鋭客」シリーズの新製品「ブリザックG01」の販売を9月に開始すると発表。ブリザックG01は従来の同シリーズ製品に比べ、雪道性能だけでなく、ドライ性能と低燃費性能を大幅に向上させたもの。ゴム配合は「ブリザック氷鋭客」シリーズの最大の特徴である発砲ゴム技術を継承し、タイヤパターンには新しい非対称パターンを採用している。販売するサイズは14~19インチ、52の規格を揃えている。 (2014年9月19日付け各種リリースより)

ECOPIA 「ologic」タイヤ - 狭幅・大径化
-BMWグループが投入した量産型電気自動車 (EV) 「BMW i3」 の新車装着タイヤに「エコピアEP500オロジック」が採用されたと発表した。新型EVに採用されたのは、狭幅・大径化することで、低燃費と安全性を高次元で両立する新技術「オロジック」を採用したタイヤで、i3向けの単独タイヤサプライヤーとなる。 (2014年1月20日付日刊自動車新聞より)

共同開発

-花王とタイヤのウエット性能と燃費性能を高める高機能ゴム材料を共同開発したと発表。洗剤などの開発で培った花王の界面制御技術を用い、シリカの配合量を高める100%植物由来薬品「新シリカ分散向上剤」を開発。ウエット路面でのブレーキ性能を12%向上した。グローバルで生産する乗用車用タイヤから建機用タイヤまで幅広く活用していく。 (2014年11月20日付日刊自動車新聞より)

研究開発拠点数

  北米 中南米 欧州 中近東/
アフリカ
アジア
大洋州
日本 合計
技術センター 1 0 1 0 2 2 6
プルービング
グラウンド
2 2 1 0 3 2 10

国内研究開発施設

名称 所在地
技術センター 東京都小平市
化工品技術センター 神奈川県横浜市
ブリヂストンプルービンググラウンド 栃木県那須塩原市
北海道プルービンググラウンド 北海道士別市

海外研究開発拠点

国名 所在地
技術センター
アメリカ オハイオ州Akron
イタリア ローマ
中国 無錫 (Wuxi)
タイ Bangkok
プルービンググラウンド
アメリカ テキサス州Fort Stockton
オハイオ州Columbiana
メキシコ Acuna
ブラジル San Pedro
イタリア Aprilia
タイ アユタヤ県Nong Khae
インドネシア Karawang
中国 宜興 (Yixing)

設備投資額

(単位:百万円)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
グループ全体 296,300 274,900 245,600
タイヤ部門 268,300 255,900 223,600


タイヤ部門の投資内容
-米国およびタイにて建設・鉱山車両用ラジアルタイヤの新工場建設中。
-ベトナムおよびロシアにて乗用車用ラジアルタイヤの新工場建設中。
-中国およびハンガリーなどで既存工場の生産能力増強。

海外投資

<メキシコ>
-メキシコのグアナファト州に新設する自動車シート用ウレタンフォーム工場の建設地で安全祈願祭を実施したと発表。新工場はBridgestone Automotive Products de Mexico, S.A. de C.V. (BAMX) が運営する。2015年上期に量産を開始する予定で、年産能力は約36万台分。従業員数は2017年に約100名となる見込み。 (2014年5月30日付プレスリリースより)

<中国>
-2014年10月、中国子会社の普利司通 (瀋陽) 輪胎 (BSSY、遼寧省) が瀋陽経済技術開発区への工場移転に伴い、開所式を行ったと発表した。BSSYはトラック・バス用ラジアルタイヤの製造会社で、ブリヂストンが100%出資している。新工場の敷地面積は39.5万平方メートル。一日当たりの生産本数は約5,000本。

<ベトナム>
-ベトナム子会社のBridgestone Tire Manufacturing Vietnam Limited Liability Company (BTMV) が、Hai Phong市のDinh Vu工業団地に建設した乗用車用ラジアルタイヤ工場の開所式を行ったと発表した。新工場は2014年4月に生産を開始しており、日産能力は2014年末に約10,000本、2017年下期には約49,000本に達する見込み。欧米や日本への市販用タイヤの輸出基地として、主に汎用タイヤを供給する。 (2014年10月24日付プレスリリースより)

<ロシア>
-ロシアのウリヤノフスク州Zavolzhye工業団地で乗用車用ラジアルタイヤ工場「Bridgestone Tire Manufacturing C.I.S. LLC」を着工したと発表した。敷地面積は約81ha。2016年上期に生産を開始する。生産品目はロシア・CIS市場向けのウィンタータイヤをはじめとする乗用車用ラジアルタイヤで、生産能力は2018年下期に日産約12,000本となる予定。同時期の従業員数は約800名を見込んでいる。 (2014年4月2日付プレスリリースより)