(株) ブリヂストン 2012年12月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2012年12月期 | 2011年12月期 | 増減率 (%) | 要因 | |
売上高 | 3,039,738 | 3,024,355 | 0.5 | - |
営業利益 | 285,995 | 191,321 | 49.5 | - |
経常利益 | 285,043 | 179,317 | 59.0 | - |
当期純利益 | 171,605 | 102,970 | 66.7 | - |
タイヤ部門 | ||||
売上高 | 2,554,126 | 2,536,730 | 0.7 | 1) |
営業利益 | 260,488 | 185,475 | 40.4 | - |
要因
1) タイヤ部門
<日本>
-乗用車および小型トラック用タイヤの販売本数は前年を上回り堅調に推移。
-トラック・バス用タイヤの販売本数は、市販用が減少した影響により前年を下回った。
<米州>
-北米タイヤ事業における乗用車および小型トラック用ダイヤの販売本数は、前年並みに推移。
-トラック・バス用タイヤの販売本数は、市販用が減少した影響が大きく前年を下回った。
<欧州>
-乗用車および小型トラック用タイヤ、トラック・バス用タイヤの販売本数は、市販用が減少した影響が大きく前年を大幅に下回った。
<アジア・大洋州>
-乗用車および小型トラック用タイヤの販売本数は、前年を大幅に上回り好調に推移。
-トラック・バス用タイヤの販売本数は、前年を上回り堅調に推移した。
<中国>
-乗用車および小型トラック用タイヤの販売本数は、前年を下回った。
-トラック・バス用タイヤの販売本数は、前年を大幅に下回った。
受注
-低燃費タイヤ「エコピアEP150」が、日産自動車の新型「シルフィ」の新車装着用タイヤに採用。 (2012年12月25日付日刊自動車新聞より)-マツダの新型「アテンザ」の新車装着用タイヤとして「チュランザT001」の納入を開始。 (2012年11月24日付日刊自動車新聞より)
-同社製タイヤ「トランザER33」が、トヨタの新型「レクサスLS」の新車装着用タイヤに採用されたと発表。 (2012年10月22日付日刊自動車新聞より)
-低燃費タイヤ「エコピアEP150」がスズキの新型「ワゴンRスティングレー」のターボエンジンモデルの新車装着用タイヤに採用。 (2012年9月8日付日刊自動車新聞より)
-Bridgestone Americas Tire Operations (BATO) は、新型20インチタイヤ「Potenza RE97AS」が、GMの2013年型ラグジュアリーセダン「Cadillac XTS Platinum Collection」に標準装着されたと発表。このタイヤは、Cadillacの乗用車ラインアップにおいて、他の「Premium Collection」バージョンでもオプションとして採用されている。2年以上をかけて開発された同タイヤは、米国ノースカロライナ州のWilson工場で生産を行う予定。 (2012年8月20日付プレスリリースより)
-三菱自動車の新型「ミラージュ」に、低燃費タイヤ「エコピアEP150」が採用。 (2012年8月3日付日刊自動車新聞より)
-「チュランザER33エコピア」がトヨタ自動車が発売した日本市場向けの新型「レクサスGS450h」の新車装着用タイヤに採用と発表した。 (2012年3月22日付日刊自動車新聞より)
-2012年1月より発売を開始したトヨタ 「Prius PHV」に、新車装着用タイヤとして「ECOPIA EP150」を納入と発表。 (2012年2月3日付プレスリリースより)
事業計画
新興市場で積極的に投資-2013~17年までの「中期経営計画 (MTP) 2012」を策定、年平均2500億円の設備投資を継続してタイヤの生産体制を強化する。日系自動車メーカーが中国での販売不振を理由に自動車の生産を調整しているが、中国を含め新興市場で積極的に投資、拡大を見込むタイヤ需要を取り込んでいく。同社の津谷正明CEOは、中国戦略の見直しなどは検討していないとした上で「新興市場も成熟市場もリスクのない地域はない。バランスを取りながらリスクマネジメントしていくことが大切だ」と述べた。計画ではROA (総資産利益率) 6%以上、売上高年平均5%以上の成長、営業利益率10%の達成とその後に更に上を目指すとしている。 (2012年10月20日付日刊自動車新聞より)
再編
タイヤ金型の生産拠点を再編-国内での競争力を強化するため、タイヤ生産に使用するタイヤ金型の生産拠点を再編すると発表。短納期対応が必要な金型の生産と技術情報の発信は国内拠点に特化し、それ以外の金型についてはタイ、中国などの内・外製拠点から調達する。国内のタイヤ生産の金型の生産については、東京工場と福岡県の久留米工場で行っているが、このうち、東京工場での生産を取り止め、久留米工場、タイや中国の工場に移管する。久留米工場で生産する金型は、短納期のものや、高い技術力が必要なものに特化する。海外拠点から技術の流出を防ぐ狙いもある。東京工場からの移管は今年7月から順次開始し、2013年6月までに完了する予定。 (2012年5月30日付日刊自動車新聞より)
>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2012年12月期 | 2011年12月期 | 2010年12月期 | |
グループ全体 | 82,800 | 83,900 | 85,100 |
タイヤ部門 | 66,700 | 66,200 | 67,400 |
製品開発
超低燃費タイヤ向けゴム-同社と新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) は、従来の低燃費用タイヤ用ゴムと比べてエネルギーロスを44%低減、耐摩耗性能を26%向上した乗用車向け超低燃費タイヤ向けゴムの開発に成功。今回開発したゴムを活用して、現行の低燃費タイヤより転がり抵抗をさらに2割低減した超低燃費タイヤの実用化を目指す。同社とNEDOは、タイヤ用ゴムの各原材料であるポリマーと充填剤などの空間配置を、ナノレベルで制御する「三次元ナノ階層構造制御技術」を開発した。(2012年10月23日付日刊自動車新聞より)
100%サステナブルマテリアルコンセプトタイヤ
-化石資源の使用量をゼロにした「100%サステナブルマテリアルコンセプトタイヤ」を開発。石油由来の合成ゴムやゴム薬品をバイオ素材に転換するとともに、天然ゴムなどの再生可能資源も他の原材料を使用するなど多様化したタイヤ。同社では、今後グローバルでアライアンスを拡げ、100%サステナブルマテリアルタイヤを2020年に実用化する計画。(2012年10月1日付日刊自動車新聞より)
非石油由来の原材料の自動車用タイヤの開発
-非石油由来の原材料の自動車用タイヤを2020年に実用化する目標を発表した。合成ゴムやカーボンブラックをバイオマス由来の原材料で実用化する。化石資源の原材料を、再生可能資源でも利用できるようにすることで、原材料を安定調達できる体制を構築する。(2012年5月25日付日刊自動車新聞より)
「ロシアタンポポ」由来の天然ゴム
-Bridgestone Americas Tire Operations (BATO) が最近行っている研究において、「ロシアタンポポ」がタイヤ用途の天然ゴムとして実用化できる可能性があると発表した。「ロシアタンポポ」は、カザフスタンおよびウズベキスタン原産の多年草で、その根部に天然ゴムを含んでいる。BATOは現在、米国オハイオ州立大学のオハイオ農業研究開発センターを拠点とする産業コンソーシアム「PENRA (the Program for Excellence in Natural Rubber Alternatives)」が取り組む「ロシアタンポポ」に関するプロジェクトに参加している。同社グループは今夏、同州Akronと日本国内の研究施設において、「ロシアタンポポ」由来の天然ゴムに関して更なる試験を計画しており、2014年には拡大試験を行う予定。(2012年5月17日付プレスリリースより)
「グアユール」の研究開発
-天然ゴムの代替資源として有望視する「グアユール」の研究開発を米国で開始すると発表した。タイヤの主要原料の中で大きなウエートを占めるパラゴムノキ由来の天然ゴムの代替資源として実用化を目指す。年内に試験農場を設置し、2015年までに試験生産を目指す。研究開発は、米国子会社のブリヂストン・アメリカズ・タイヤ・オペレーションが主に担当する。年内に試験農場を設置、専任チームが14年に加工技術研究施設を本格稼働させ、15年までに試験生産を開始する予定。グアユール由来の天然ゴムは、在来の天然ゴムと同様、植物が生みだすバイオマテリアルだが、従来のパラゴムノキとは全く異なる土地で栽培される。現在の天然ゴム産出地域は一極集中しているが、グアユール由来天然ゴムを実用化できれば、原材料供給源の多様化が図れる。タイヤ需要の拡大が見込まれる米国大陸での地域生産地域消費によるメリットも見込まれる。(2012年3月12日付日刊自動車新聞より)
タイヤ印刷技術
-タイヤの性能を維持しながら重量も増やさず、耐久性の高い新しいタイヤ印刷技術を開発したと発表した。タイヤはゴムの補強材であるカーボンブラックを使うことから「黒」が一般的。カラータイヤ技術はあるものの、走行中のタイヤは伸縮を繰り返すことやゴムの老化防止材の影響で、色が変色することから、長持ちするカラータイヤは困難だった。同社は今回、ゴムの薬品が浸透するのをブロックする層、耐久性のある新開発のインク、オゾンなど、外部からの影響を遮断する保護層の3つで構成する新しいタイヤ印刷技術をインクメーカー、印刷メーカーと共同で開発した。今後、さらに耐久性を向上するなど技術開発を続け、新しい車のドレスアップ手法として2、3年後に市販用タイヤとして市場投入を目指す。 (2012年1月14日付日刊自動車新聞より)
研究開発拠点数
北米 | 中南米 | 欧州 | 中近東/ アフリカ |
アジア 大洋州 |
日本 | 合計 | |
技術センター | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 2 | 5 |
プルービング グラウンド |
2 | 2 | 1 | 0 | 3 | 2 | 10 |
国内研究開発施設
名称 | 所在地 |
技術センター | 東京都小平市 |
化工品技術センター | 神奈川県横浜市 |
ブリヂストンプルービンググラウンド | 栃木県那須塩原市 |
北海道プルービンググラウンド | 北海道士別市 |
海外研究開発拠点
国名 | 所在地 |
技術センター | |
アメリカ | オハイオ州Akron |
イタリア | ローマ |
中国 | 無錫 (Wuxi) |
プルービンググラウンド | |
アメリカ | テキサス州Fort Stockton オハイオ州Columbiana |
メキシコ | Acuna |
ブラジル | San Pedro |
イタリア | Aprilia |
タイ | アユタヤ県Nong Khae |
インドネシア | Karawang |
中国 | 宜興 (Yixing) |
-米国において「グアユール」の試験農場および加工技術研究施設用地を取得したと発表。同社はパラゴムノキ由来の天然ゴムの代替資源として、「グアユール」の実用化を目指している。このプロジェクトはBridgestone Americas Tire Operations (BATO) が行っており、試験農場用地としてアリゾナ州Eloyに281エーカーの土地を取得した。2012年第3四半期に建設開始となる予定の試験農場は、同州Mesa近郊に建設する加工技術研究施設に「グアユール」を提供する計画。一方の研究施設には研究者・技術者32名が勤務し、「グアユール」をタイヤ用の天然ゴムに加工する。2013年はじめに着工し、2014年に本格稼動させる予定。天然ゴムの試験生産は2015年より開始する見込み。 (2012年8月2日付プレスリリースより)
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2012年12月期 | 2011年12月期 | 2010年12月期 | |
グループ全体 | 245,600 | 201,300 | 182,600 |
タイヤ部門 | 223,600 | 174,700 | 159,700 |
-新興国においては、需要の増加に対応するため、乗用車およびトラック・バス用タイヤを生産するインドのプネ新工場の建設、乗用車用タイヤを生産する中国の天津工場の生産能力増強およびベトナムの新工場建設、乗用車および小型トラック用タイヤを生産するタイのノンケー工場の生産能力の増強を進めた。
-成熟国においては、北米での堅調な需要に対応するため、乗用車および小型トラック用タイヤを生産する米国のエイケン工場の生産能力増強を進めた。
-2013年12月期は、タイヤ部門で2,850億円、グループ合計で3,150億円を投資する予定。
海外投資
<ハンガリー>-ハンガリー工場で乗用車用ラジアルタイヤの生産能力を現在の3倍に増強すると発表した。欧州での乗用車用タイヤの需要拡大に対応する。ハンガリー子会社のブリヂストン・タタバーニャ・テルメレー・カーエフテー (タタバーニャ工場) が乗用車用ラジアルタイヤの生産能力を現在の日産6千本から2017年上期中に1万2千本増強し、日産約1万8千本と3倍に引き上げる。 (2012年10月26日付日刊自動車新聞より)
<ポーランド>
-ポーランドにあるトラック・バス用ラジアルタイヤ生産工場で、生産能力を現在の約1.5倍に増強すると発表した。市場でのトラック・バス用タイヤの需要増加に対応、高品質な商品をタイムリーに供給する。同社のポーランドにある子会社のブリヂストン・スタルガルトが、トラック・バス用タイヤを製造するスタルガルト工場に約1億2千万ユーロ (約126億円) を投じて生産能力を増強する。同工場のトラック・バス用タイヤの生産能力は現在、日産2,400本だが、工場設備の増強などで、2014年下期中に、生産能力を現在の56%増となる日産3,750本に増強する。(2012年7月10日付日刊自動車新聞より)
<ベトナム>
-ベトナムのハイフォン市ディンブー工業団地に建設する乗用車用ラジアルタイヤ新工場の建設予定地で、起工式を開催した。新工場は、欧米や日本への市販用タイヤの輸出基地として主に汎用タイヤを生産する。欧米や日本へ供給する乗用車用タイヤは現在、タイのノンケー工場、インドネシアのカラワン工場でもそれぞれ生産能力を増強しているが、さらなる需要増へ対応するため、新工場の建設を決定したもの。新工場は第一期工事の完了後、2014年3月から操業を開始する予定。工事が完成する2016年上期の生産能力は日産約2万4700本を見込んでいる。(2012年7月4日付日刊自動車新聞より)
<中国>
-中国市場での需要増加に対応するため、広東省開平市に発泡ゴムやウレタン、電子精密部品の製造・加工・販売会社を1月4日付で設立したと発表した。新会社は「普利司通 (開平) 高機能製品有限公司」で資本金は2千万ドル (約17億円) でブリヂストンが100%出資する。2013年下期の生産開始を目指しており、同年末の従業員数は約400人の予定。 (2012年4月2日付日刊自動車新聞より)