Visteon Corp. 2010年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2010年
12月期
2009年
12月期
増減率
(%)
要因
売上高

全社

7,466 6,685 11.7 -
クライメート部品部門 3,300 2,535 30.2 +全地域での生産量増加
-Springfield(オハイオ州)、Basildon及びBelfast(英国)工場の閉鎖
エレクトロニクス部品部門 2,146 1,972 8.8 +全地域での生産量増加
-Landsdale(ペンシルバニア州)工場の閉鎖
内装部品部門 2,159 2,113 2.2

+全地域での生産量増加
-北米内装事業からの撤退
-Enfield(英国)工場の閉鎖


なお、2011年度の連結売上高は100百万ドルの増加が見込まれる。

破産法第11条からの脱却と会社再建
-2010年10月1日、米国連邦破産法11条からの脱却手続きを完了したと発表。同社とその関連子会社は、2009年5月に破産法11条の適用を自主申請していた。今後同社は、空調、エレクトロニクス、内装、照明の4事業に集中していく。(2010年10月1日付プレスリリースより)


受注

-Fordにエレクトロニクスおよびクライメートシステムを供給する。2010年夏に米国で販売されるFiestaの2011年モデル向け。エレクトロニクス製品にはオーディオヘッドユニットとインストメーターが含まれる。また、ドライバーインフォメーション、オーディオおよびエンターテインメントコントロールの画面をセンターパネルに統合したマルチファンクションディスプレイも採用される。一方、クライメートシステムではコンプレッサー、コンデンサー、フルードライン、HVACユニットなどを納入する。(2010年7月13日付プレスリリースより)

-電子制御式エアコンコンプレッサーを開発した。ハイブリッドおよび電気自動車向け。同社はこの製品をBMW「ActiveHybrid 7」に供給している。従来の自動車では、コンプレッサーの動力はエンジンベルトを介して伝達されるため、エンジンが回転中の時のみコンプレッサーが作動する。一方、この電子制御式コンプレッサーはエンジンとは独立して作動するため、エンジンを切っている間でもエアコンを使用することが可能となる。(2010年11月8日付プレスリリースより)

<2011年立ち上げプログラム>

-Audi A6: ラジエーター、低温ラジエーター

-Chevrolet Camaro コンバーチブル: ヘッドランププロジェクター、CHMSL(センターハイマウンテッドストップランプ)、プレミアムオーディオ-8チャンネルアンプ及びスピーカーアッシー、エアコンライン
-Fisker Karma: ハイブリッドパワートレインコントロールモジュール、ヘッドランプ、インフォテインメントヘッドユニット、アンプ及びプレミアムスピーカー
-Ford C-Max (NA): オーディオヘッドユニット、多機能ディスプレイ、デュアルゾーン電子自動温度調節、コンプレッサー、HVACモジュール、エアコンライン、インターナルヒートエクスチェンジャー、ヘッドランプ(EU)
-Ford Escape/Kuga (Vertrek コンセプトカー): コンプレッサー、HVACモジュール、メタルシールフィッティング付きエアコンライン(業界初)、インターナルヒートエクスチェンジャー、クライメートコントロール、多機能ディスプレイ
-Ford Ranger (T6): クライメートシステム(HVAC、コンプレッサー、エアコンライン、エンジンインダクションシステム、パワートレインクーリング、クライメートコントロール)オーディオヘッドユニット
-Hyundai i-30: コックピットモジュール、HVAC、コンプレッサー、エアコンライン、パワートレインクーリング、クライメートコントロール
-Hyundai Veloster Coupe: コックピットモジュール、ドアトリム
-Kia Optima Hybrid: 電気コンプレッサー、HVACモジュール、エアコンライン、コンデンサー、ラジエーター
-Mahindra W201: HVACモジュール、オーディオ&インフォテインメント、ヘッドユニット、ヘッドランプ、テールランプ
-Citroen DS5 Coupe: ソフトインストパネル、ヘッドランプ
-Tesla Model S: ヘッド&リアランプ、CHMSL(センターハイマウンテッドストップランプ)、サイドメーカー、フォグランプ、HVACモジュール、エアコンライン、コンデンサー

合弁会社

-ロシアの自動車部品メーカーOAO Zavod Avtopriborとロシアに合弁会社「OOO Visteon Avtopribor Electronics」を設立。新会社はモスクワの東部約170kmに位置するVladimirを本拠とし、オーディオ、インフォテインメント、ドライバーインフォメーション、コントロール関連の車載エレクトロニクス製品を生産する。AVTOVAZ、GAZ、Sollersといったロシアメーカーのほか、Fordなど海外メーカーのロシア拠点にも納入する計画。なお、Avtopriborはカーメーカーのロシア拠点向けに、ワイパーシステム、インストメーター、トランスミッター、ゲージなどの開発・生産を行っている。(2010年8月26日付プレスリリースより)

売却

Visteonはレーダーシステム事業をAutolivへ売却したと発表。ここ数年間、両社はレーダー分野で協力関係にあり、死角検知システム(Blind Spot Detection System)や後方通過車両の検知システム(Rear Cross Traffic Detection System)などを開発していた。(2010年3月4日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期

合計

353 328 434

開発体制

-2009年7月、子会社である韓国の漢拏空調(HCC)は中国・上海にエアコンシステムの開発試験センターを開設。(2009年3月2日付プレスリリースより)

製品開発

次世代多機能ディスプレイ向けマイクロプロセッサー
次世代多機能ディスプレイ(MFD)プラットフォームに新開発のマイクロプロセッサーを採用し、MFDの開発能力を強化。Renesas Electronics製のマイクロプロセッサーを内蔵したことで、費用効率を高めたMFD製品を自動車メーカーに供給することが可能となった。その他の機能として、NTSCとPALの映像フォーマットに対応する車載カメラ用のデコーダーをはじめ、様々な機能を高速作動させる2.5メガバイトの追加ランダムアクセスメモリー、情報アクセスとデータ転送を迅速化する高速連続フラッシュインターフェイスが含まれる。新しいマイクロプロセッサーにより、VisteonのMFDプラットフォームはWVGA(Wide Video Graphics Array)薄膜トランジスタディスプレイをサポートし、OpenVGなどの業界標準規格にも準拠する。(2010年12月22日付プレスリリースより)

新型メタルシール材
カーエアコンの冷媒漏れ防止用メタルシール材を開発。2011年から量産開始の予定。同シール材は現在使用されている「R134a」に加えて、「R1234yf」や「R744」等の新冷媒システムにも対応可能。(2010年3月18日付プレスリリースより)

技術提携

ドイツの音響制御システムメーカーMueller-BBMと提携し、アクティブノイズキャンセリングシステム(騒音除去)、エンジンサウンドエンハンスメントシステム(音響増幅)を開発すると発表。また、オーディオシグナルプロセッシング(信号処理)技術を扱う米国のSRS Labsと協力し、車載向けオーディオポストプロセッシング(後処理)システムの開発も行う計画。(2010年1月8日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
クライメート 112 71 133
エレクトロニクス 52 40 64
内装部品 33 32 67
その他 - - 1
コーポレート 12 8 29
合計 209 151 294

海外投資

<ブラジル>
-ブラジルへ数百万米ドルを投資し、内装部品ならびにエレクトロニクス部品の生産能力拡大を図る計画。大部分はGuarulhosのArbor工場の拡大・アップグレードへ投じられる計画。同工場ではインストルメントパネル、コンソール、その他内装部品の生産を行っている。また、インストルメントクラスターやオーディオシステムなどのエレクトロニクス製品を生産するManausの工場も拡張予定。今後3年間で同国での売上を50%増加させるべく、同社は今後もブラジルへの投資を継続する。さらに、アルゼンチンではBuenos Aires、Quilmes、Fuego諸島のRio Grandeで引き続きクライメートシステム製品の組立を行う。これらブラジルおよびアルゼンチンにおける従業員は約2,000名。2009年における全世界売上高の6%を南米が占めている。(2010年11月23日付プレスリリースより)

<ロシア>
-ロシアKalugaに位置するVolkswagenのサプライヤーパーク内に内装部品工場を開設。ロシア市場で販売される新型「Polo」向けに、ドアパネルなど射出成形部品を生産する。この新拠点は、2011年第1四半期からフル生産体制に入る見込み。(2010年9月8日付プレスリリースより)

<中国>
-中国の富奥偉世通汽車熱交換(長春)有限公司(FAWER Visteon Climate Control System (Changchun) Co., Ltd : FVCC)は、長春自動車産業開発区に工場を移転し、生産能力を拡大。新工場では現在生産中のロウ付け式アルミラジエーターに加えて、HVACシステムや機械接合式アルミラジエーターも生産する。FVCCは2009年、Visteonが出資する日本クライメートシステムズ(JCS)と技術提携契約を締結。それに伴い、今回HVACシステムの生産が開始されることとなった。また、FVCCは長春でラジエーターの設計を行う体制を整えた。年産能力は、ロウ付け式アルミラジエーター120万台分、機械接合式アルミラジエーター25万台分、HVACシステム24万台分。なお、FVCCの納入先は一汽VW (FAW-VW)、一汽轎車(FAW Car)、一汽解放(FAW Jiefang)、一汽夏利(FAW Xiali)、一汽海馬(FAW Haima)、上海VW、長安Ford、奇瑞汽車(Chery)、吉利汽車(Geely)、長城汽車(Great wall)など。(2010年6月22日付プレスリリースより)