Valeo 2008年12月期の動向
ハイライト
業績 | (単位:百万ユーロ) |
2008年 12月期 |
2007年 12月期 |
増減率(%) | 備考 | |
純売上高 | 8,664 | 9,555 | (9.3) | -OE売上:7,045百万ユーロ |
営業利益 | (52) | 319 | - |
受注
-2008年7月、PSAからマイクロハイブリッドスターターオルタネーターリバーシブルシステム(StARs micro hybrid system)を新たに受注し、搭載車が2011年までに100万台を突破する見通しであることを発表。PSAでは他社に先駆けて、「Citroen C2」「C3」に同システムを採用しているが、このほど新型車種にも同システムの搭載を決定した。さらに同社はsmart mhd(マイクロハイブリッドドライブ)も供給予定で、追加受注を見込む。
-2008年7月、Mercedes-Benzの新型「Aクラス」「Bクラス」にマイクロハイブリッドスターターオルタネーターリバーシブルシステム(StARs micro hybrid system)を供給すると発表。
-2008年10月、新型「Volvo XC60」に新技術MicroOptics(TM)を採用したリアランプを供給すると発表。
合弁事業
<ロシア>
-2008年6月、ロシアのItelmaとHVACシステムの生産を行う合弁会社を設立することで合意したと発表。Itelmaは、ロシア国内の自動車業界向け事業を手掛ける部品・システムメーカー。両社は、モスクワから10キロの位置にあるTomilinoに現地工場の運営元となる新会社「Valeo Climate Control Tomilino LLC」を設立、乗用車向けHVACシステムなどValeoブランドでのクライメートコントロール(空調・換気)製品の開発・生産・販売を行う。合弁会社の持ち株比率はValeo95%、Itelma5%。(2008年6月18日付プレスリリースより)
<インド>
-2008年10月、Anand Groupと連携し、Chennai(インド)に合弁会社Valeo Lighting Systems India Private Limitedを設立した。同社が新会社の過半数株式を所有する。同合弁会社では、インド市場への供給を行っている自動車メーカー向けに、ヘッドランプ、リアランプ、フォグランプ等のライティングシステムの開発・生産・販売を行う。(2008年10月2日付プレスリリースより)
市光工業との関係強化
経営参加の強化
-2008年6月、市光工業への経営参加をさらに強化したと発表。同社は、市光工業の株式のほぼ32%を保有する筆頭株主。両社は市光工業のコーポレートガバナンス体制の充実と経営の刷新に向けた新たな取り決めを結び、同等の権限を有する代表取締役2名による新経営体制を敷くことで合意。代表取締役人事では、同社、市光工業双方が現任取締役の中から1名ずつを選任。取締役会の人数については、現在の19名から9名(Valeo選任の役員3名を含む)とする。運営・管理面では、品質管理、電子機器技術、購買、財務の全般にわたり、Valeoの手法を導入するほか、複数の工場についてはValeo主導の経営に移行する方針。(2008年6月2日付プレスリリースより)
ミラー事業の業務提携
-2008年11月、同社と市光工業はミラー事業でも近く業務提携することを明らかにした。同社はミラー部門は持たないが車載用CCDカメラや映像解析技術などミラーの付加価値を高める要素技術を有しており、ミラー事業で業容を拡大したい市光との思惑が一致した。ルームミラーに車両後方の映像を映し出す機能や、ドアミラーにCCDカメラや各種センサーを内蔵し安全制御機能を高めるなど、両社の技術を融合させ自動車用ミラーの付加価値を高める。(2008年11月19日付日刊自動車新聞より)
リストラクチュアリング
-2008年4月、大型トラック向けエンジン冷却用部品部門をスウェーデンのEQTに売却すると発表。同部門の生産拠点は、Mjallby工場、Linkoping工場(ともにスウェーデン)及びJamestown工場(米国ニューヨーク州)の計3ヵ所。従業員数は合せて約900名。(2008年4月3日付プレスリリースより)
-2008年6月、上海に拠点をおく同社の車載用モーター生産子会社の、Nidec (Dalian) Limited(日本電産(大連)有限公司)への売却を完了したと発表。(2008年6月22日付プレスリリースより)
-2008年8月、欧州におけるリアライティング製品の生産拠点の統合を発表。Neuses工場(ドイツ)の生産をフランスおよびポーランドにある同社の他拠点に移管する計画。Neusesにあるワイパーシステム部門工場での生産は継続。(2008年8月29日付プレスリリースより)
-全世界の正社員(5,000名)の削減計画の実施に着手した。削減数の3分の2は、欧州となる。
開発動向
研究開発費 | (単位:百万ユーロ) |
2008年12月期 | 2007年12月期 | 2006年12月期 | |
ドライブアシストドメイン (Driving Assistance) |
200 | 193 | 188 |
駆動系効率化ドメイン (Powertrain Efficiency) |
218 | 230 | 214 |
快適性追求ドメイン (Comfort Enhancement) |
221 | 242 | 232 |
その他 | - | 3 | 6 |
合計 | 639 | 668 | 640 |
純売上高に占める割合 | 5.5% | 5.5% | 5.5% |
研究開発体制
-2008年12月31日現在、世界61のR&Dセンターに約6,180名が勤務している。
地域 | 開発拠点数 |
西ヨーロッパ | 35 |
東ヨーロッパ | 1 |
北米 | 11 |
南米 | - |
アジア | 13 |
アフリカ | 1 |
合計 | 61 |
研究開発活動
-2008年6月、研究費として、フランスの政府系金融機関OSEOから61百万ユーロの資金供与を受けると発表。エンジン効率の向上と二酸化炭素排出の削減を目的とした研究開発プログラムLOwCO2MOTIONRが対象。LOwCO2MOTIONは2つの先進技術を核とするプログラム。1つ目の技術は、カムシャフトを使用する従来型エンジンバルブの替わりに電磁アクチュエーションを採用し、各エンジンバルブを個別に作動させる「カム無しエンジンシステム」。ガソリンエンジンの場合、この技術を採用することで燃費、CO2排出ともに20%の改善が可能という。もう一つは、同社独自のStARS+X技術に基づく次世代マイクロハイブリッド開発。スタート・ストップ機能と回生ブレーキ機能を組み合わせたもので、停車時にはエンジンをスタンバイ状態に保ち、ドライバーがブレーキを離すと、エンジンが再始動するシステム。(2008年6月18日付プレスリリースより)
製品開発
「Safe4U(TM)」
2008年9月、フロントエンドモジュールの新製品「Safe4U(TM)」を開発し、衝突時の歩行者へのダメージを20-40%低減させることに成功したと発表。これは、可鍛鋼などのエネルギー吸収材を使用し、乗員や歩行者に対するパッシブセーフティ機能を構造的に持たせたもの。欧州で2010年より発効となる、自動車の歩行者保護に関する新規格(Phase 2)にも対応している。また、アクティブセーフティ機能としてレーダーと2台のカメラを搭載。これにより、歩行者か障害物かを識別することが可能になる。(2008年9月19日付プレスリリースより)
360Vue(TM)
2008年10月、超音波センサーと連動して車両の周囲360度の視野をカバーするマルチカメラベースの新システム360Vue(TM)を開発したと発表。複数のカメラによるモニター機能により、車両周囲の障害物を検知し障害物との距離を正確に計測、より安全な低速操作を可能にする。2008年後半には360Vueを搭載した初のモデルが登場。(2008年10月2日付プレスリリースより)
設備投資
設備投資額 | (単位:百万ユーロ) |
2008年12月期 | 2007年12月期 | 2006年12月期 | |
欧州 | 415 | 365 | 437 |
北米 | 102 | 64 | 86 |
南米 | 73 | 32 | 39 |
アジア | 48 | 92 | 87 |
消去 | - | - | (2) |
合計 | 638 | 553 | 647 |
投資活動(2008年12月期)
2008年に、新製品ならびにいくつかの製品グループの生産能力拡大のために行なった投資は以下の通り。
-メキシコおよびカナダのAT生産能力拡大。
-将来のマイクロハイブリッドStARS生産に向けた電動システム関連。
-ドイツでの超音波センサー生産に向けたインテリアコントロール製品関連。
-ドア閉鎖システムを製造するスロバキア工場の完成に伴い、セキュリティシステムの開発関連。
-ブラジルでは、サーマル、照明・電気製品の生産設備の改良と生産スペースの拡大。