thyssenkrupp AG (旧 ThyssenKrupp AG) 2018年9月期の動向
業績 |
(単位:百万ユーロ) |
2018年 9月期 |
2017年 9月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 42,745 | 42,971 | (1) | 1) |
EBIT | 1,045 | 687 | 52 | - |
部品テクノロジー | ||||
売上高 | 7,875 | 7,571 | 4 | 2) |
EBIT | 120 | 297 | (60) | - |
欧州鉄鋼事業 (Steel Europe) | ||||
売上高 | 9,470 | 8,915 | 6 | 3) |
EBIT | 471 | 493 | (4.5) | - |
要因
1) 全社売上高
-2018年9月期の売上高は前年比1%減の42,745百万ユーロ。同社は昨年米州鉄鋼事業の売却を完了し、同事業売上は今期より報告されない。同売却済み事業を除く前年比売上高は3%のプラス。部品テクノロジー事業の受注が過去最高となったことなどによる。
2) 部品テクノロジー
-2018年9月期の部門売上高は前年比4%増の7,875百万ユーロ。為替の悪影響の中受注が過去最高を記録した。米国の乗用車市場での需要減にもかかわらず、西欧や中国での販売好調が相殺。また、米国市場における大型トラック部品市場の好況も寄与。
3) 欧州鉄鋼事業
-2018年9月期の売上高は前年比6%増の9,470百万ユーロ。鉄鋼価格の上昇と販売量の増加によって前年比プラスとなった。その他の産業におけるサプライヤー企業はおおむね低水準となっているものの、自動車業界の顧客企業によって販売量増加を達成。
主な企業動向
ー同社はグループをより効率化するために2社に分割すると発表。分社後も、両社ともにthyssenkruppの社名を使用する。
- thyssenkrupp Industrialsはエレベーター事業、自動車部品事業、プラント事業から成る。エレベーター事業に関して変更はないものの、部品事業は自動車分野に集中する。自動車向けに生産ラインなどを手がけるシステムエンジニアリング事業が新たに追加される。
- thyssenkrupp Materialsはマテリアル事業、旋回ベアリングおよび鍛造事業、マリン事業を含む。
ーTata Steel Limitedと同社は、両社の欧州での平鋼事業とthyssenkruppの製鋼所を統合し、欧州で製鉄合弁会社を設立するための了解覚書(MOU)に調印したと発表した。折半出資による合弁会社Thyssenkrupp Tata Steelは、高品質で差別化された製品の供給に注力し、年間鋼板出荷量は約2,100万トンを見込む。
研究開発費 |
(単位:百万ユーロ) |
2018年9月期 | 2017年9月期 | 2016年9月期 | |
合計 | 787 | 816 | 778 |
研究開発体制
-2018年9月末時点、90拠点で約5,000名が研究開発に従事。
研究開発拠点
-同社グループのthyssenkrupp Presta North Americaは、7百万ドル以上を投資して、米インディアナ州Fishersに広さ3万7,000平方フィートの技術センターを開設すると発表した。新センターでは、快適で安全なステアリングや、燃費効率を向上し排出ガスを低減するシステムなどを開発する予定。2018年にフル稼働し、現在Indianapolisを拠点にしているエンジニアリング部門が入るほか、インディアナ州Terre Hauteの生産施設やミシガン州Troyの営業・技術オフィスを補完する役割も担うという。(2017年12月19日付Indiana Economic Development Corporationの発表より)
特許
-2018年9月期において約2,200の特許および実用新案を登録。現在、計約20,700件の特許および実用新案を保有。
設備投資額 |
(単位:百万ユーロ) |
2018年9月期 | 2017年9月期 | 2016年9月期 | |
全社 | 1,386 | 1,666 | 1,387 |
-部品テクノロジー | 523 | 551 | 488 |
-欧州鉄鋼事業 (Steel Europe) | 442 | 566 | 400 |
-部品テクノロジー事業は、特に中国、メキシコ、ハンガリーの電動ステアリングシステムの既存工場をサポートし生産能力の増強に焦点を当てた。アクティブおよびパッシブダンパーシステムのメキシコでの新工場建設やルーマニアの工場拡張も行った。また、ハンガリー、中国においてスプリングおよびスタビライザーの高度自動化工場を展開する。さらに同社はハンガリー、メキシコ工場でのシリンダーヘッドモジュールの生産能力の増強も行った。
国内・海外投資
-同社は、ドイツSaxony-Anhalt州Schoenebeckの拠点にステアリング部品工場を新設したと発表した。広さ約3,000平方メートルの工場で、2018年から電動パワーステアリングシステム用ボールねじを生産する。新工場開設によって、65名の新規雇用を見込む。Schoenebeckの拠点では、今後段階的に拡張を行う予定。プロジェクトへの総投資額は約10百万ユーロで、同社はSaxony-Anhalt州から1.5百万ユーロの助成金を受けている。 (2017年10月25日付プレスリリースより)
ー同社は鍛造事業を再構築して、北米、南米、欧州、インド、中国に拠点を置く世界最大の鍛造組織を設立すると発表した。新事業部門「thyssenkrupp Forged Technologies」は2018年10月1日発足予定で、従業員数約7,000名、18カ所の生産拠点と70カ国を超える流通ネットワークで事業を展開する。全世界で50機を超える鍛造プレスで操業し、売上高は約10億ユーロを超える。thyssenkruppのEssen本社が管理統括を行い、鍛造・加工部品や自動車・建設事業や機械工学向けの部品やエンジニアリングシステム等を生産する。また、新部門にはブラジルでクランクシャフトを製造する「Forging & Machining」部門も含まれる。(2017年10月4日付プレスリリースより)
ーハンガリー投資促進公社(HIPA)は、thyssenkrupp傘下のthyssenkrupp Components Technology Hungaryが100百万ユーロを投資し、ハンガリーのJaszfenyszaruに自動車部品工場を開設したと発表した。新工場では、電動パワーステアリングとシリンダーヘッド用カムシャフトを生産し、約450人を新規雇用する予定。(2018年3月2日付プレスリリースより)