Johnson Matthey Plc 2016年3月期の動向
業績 |
(単位:百万ポンド) |
2016年 3月期 |
2015年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 10,713.9 | 10,059.7 | 6.5 | - |
営業利益 | 418.9 | 532.8 | (21.4) | - |
部門別売上高 | ||||
排気コントロールテクノロジー | 3,262.8 | 3,321.4 | (1.8) | 1) |
貴金属製品 | 6,454.1 | 5,690.2 | 13.4 | 2) |
新規事業 | 159.1 | 92.2 | 72.6 | 3) |
要因
1) 排気コントロールテクノロジー
-2016年3月期の売上高は、前年比1.8%減の3,262.8百万ポンド。貴金属製品の売上分を除くと、部門の売上高は前年比7%増となる。
<ライトビークル用触媒>
-ライトビークル用触媒事業の2016年3月期の売上高は、前年比12%増の1,182百万ポンド。欧州の排ガス規制 「ユーロ6b」 の導入、中国における自動車需要の増加、北米における製品・顧客ミックス改善の影響で、全地域で増収となった。
<大型ディーゼル車用触媒>
-大型ディーゼル車用触媒事業の2016年3月期の売上高は、前年比1%増の731百万ポンド。北米、欧州では好調なトラック市場が追い風となり増収。一方、アジアではトラック1台あたりの使用触媒が減少したことが影響し減収となった。
2) 貴金属製品
-2016年3月期の売上高は、前年比13.4%増の6,454.1百万ポンド。
<貴金属>
-貴金属事業ユニットの2016年3月期の売上高は、前年比2%減の130百万ポンド。医療用製品の売上は増加したが、工業用製品の売上が減少した。
<先端ガラステクノロジー>
-先端ガラステクノロジー事業ユニットの2016年3月期の売上高は、前年比13%減の71百万ポンド。自動車ガラス用の掩蔽エナメルや銀ペーストの需要は中国で微減となった。
3) 新規事業
-2016年3月期の売上高は、前年比72.6%増の159.1百万ポンド。
<バッテリーテクノロジー>
-バッテリーテクノロジー事業の2016年3月期の売上高は、前年比56%増の130百万ポンド。前年度に2社のバッテリー素材サプライヤーを買収したことが売上増に寄与した。
<燃料電池>
-燃料電池事業の2016年3月期の売上高は10百万ポンドに達した。自動車部品以外の需要が増加した。
2017年3月期の見通し
-同社は2017年3月期の業績は、前期に比べ改善すると予測。
-排気コントロールテクノロジー部門の業績は、前期実績に比べ微増すると予測。期待される主な要因は、アジアと欧州における自動車生産の継続的な拡大、また西欧におけるトラック需要の増加によるもの。一方、北米で大型ディーゼルトラック用触媒の需要減が予測されている。
-貴金属製品部門の売上高は、プラチナ群金属の価格が下落している影響で前年比微減となる予測。製造事業ユニットの売上高は需要増に伴い拡大すると期待されている。
-新規事業部門は、2018年3月期までに損益分岐点に達すると予測。
研究開発費 |
(単位:百万ポンド) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
全社 | 188.0 | 169.9 | 152.3 |
研究開発費内訳 | (%) |
部門 | 2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 |
排気コントロールテクノロジー | 37 | 42 | 44 |
プロセステクノロジー | 20 | 20 | 19 |
貴金属製品 | 7 | 6 | 6 |
精製化学製品 | 9 | 10 | 8 |
新規事業 | 7 | 5 | 7 |
本社研究 | 20 | 17 | 16 |
合計 | 100 | 100 | 100 |
-英国、中国、日本で排気コントロールテクノロジー製品の試験/検査能力を強化している。
研究開発拠点
-排気コントロールテクノロジー部門は以下8カ国にR&Dセンターを保有:
- ブラジル
- 中国
- ドイツ
- 日本
- 韓国
- スウェーデン
- 英国
- 米国
-2016年3月期、排気コントロールテクノロジーは中国の研究開発施設の拡張工事を開始した。同国で2020年までに排ガス規制が強化されることに対応する。
-バッテリーテクノロジー事業ユニットは、英国とドイツにバッテリー素材用研究開発施設を保有。その他、システム設計および開発施設を英国とポーランドに有する。
-燃料電池事業ユニットの研究開発は、英国のSonning Common拠点にて行なわれている。
製品開発
ニッケル電極バッテリープラットフォーム
-バッテリーテクノロジー事業ユニットが、リチウム電池用にニッケルを多量に含んだ電極CAM-7プラットフォームに関するライセンス契約を締結した。同プラットフォームは電気自動車やハイブリッド車用高密度エネルギー電池技術として適している。同社は、これによりニッケルを使用した自動車向けの製品開発を加速する。
設備投資額 |
(単位:百万ポンド) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
排気コントロールテクノロジー | 68.9 | 69.2 | 72.1 |
プロセステクノロジー | 37.0 | 49.7 | 59.5 |
貴金属製品 | 39.8 | 31.6 | 40.0 |
精製化学製品 | 54.5 | 35.7 | 26.2 |
新規事業 | 7.4 | 6.5 | 8.0 |
コーポレート | 49.4 | 19.1 | 12.5 |
合計 | 257.0 | 211.8 | 218.3 |
国内投資
排気コントロールテクノロジー
-2016年3月期、英国における小型ディーゼル車用触媒の生産能力拡大プロジェクトを完了した。
海外投資
排気コントロールテクノロジー
<ドイツ>
-2016年3月期、ドイツにおいて大型ディーゼル車用触媒の生産能力拡大プロジェクトを開始した。
<中国>
-中国で2020年までに排ガス規制が強化されることに対応するため、排気コントロールテクノロジーはライトビークル用触媒、大型車用触媒の生産能力拡大に向けた拡張工事を行っている。
2017年3月期の見通し
-2017年3月期の設備投資額は前年並みになると予測。