Aptiv PLC (旧 Delphi Automotive PLC) 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2016年
12月期
2015年
12月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 16,661 15,165 9.9 1)
営業利益 1,947 1,723 13.0 -


要因
1) 売上高
-2016年12月期の売上高は、前年比9.9%増の16,661百万ドル。北米、欧州、アジア太平洋地域における販売量増加、およびHellermannTyton買収 (2015年12月) による効果が貢献した。

売却

-2016年3月、上海徳爾福汽車空調系統有限公司 [Shanghai Delphi Automotive Air Conditioning Systems Co., Ltd.] の保有株式50%を合弁先の上海航天汽車機電股份有限公司 [Shanghai Aerospace Automobile Electromechanical Co., Ltd.] に売却した。

-2016年12月、電子・安全部門の一部であったメカトロニクス事業の売却を完了した。同事業の売上高は約197百万ドル。

買収

-2016年3月、3Dディスプレイ技術の大手プロバイダー、PureDepth, Inc.の全株式を約15百万ドルで買収した。

-2017年1月、米国ミシガン州を拠点とするMovimentoを40百万ドルで買収すると発表した。Movimentoは、OTAソフトウェアのライフサイクルおよびデータ管理サービスを自動車産業向けに提供する大手プロバイダー。MovimentoはDelphi傘下の独立企業となり、既存のカスタマーサービスモデルを継続していく予定。 (2017年1月4日付プレスリリースより)

技術提携

AutoNaviと地図サービスで提携
-2016年1月、高徳 [AutoNavi] と自動運転分野で提携することで合意した。具体的には、高精度の地図、ナビゲーション、正確な位置情報サービス (LBS) などの分野で提携する。AutoNaviはクラウドサービスプラットフォームとビッグデータを活用し、道路画像、GPSなど多元的データや天気、事故、交通規制、工事などのリアルタイム情報について、収集、分析、処理、配布を広く行い、自動運転クラウドサービスと高精度地図データ制作のための技術と基礎を提供する。(2016年1月8日付け各種リリースより)

AT&TおよびFordとV2Xプラットフォームで提携
-AT&T、Delphi、Fordは、V2X (車車間/路車間) 通信を強化する新機能を開発していると発表した。新プラットフォームは米ラスベガスで開催されているCES 2017で展示される。3社はこのコンセプト実証 (Proof of Concept) に向けて協力。Delphiは車載V2Xモジュールを開発、AT&Tは分析プラットフォーム用のソフトウェアを開発するほか、ワイヤレス通信を供給する。フォードは車載機能の統合開発を担う。V2Xプラットフォームを通じて、AT&Tの全米LTEネットワークはDSRC (Dedicated Short Range Communications) の範囲を拡張する。今回のプラットフォームはそのネットワークを使用して、セキュリティ認証管理の通知と更新を各車両に送信する。新たなプラットフォームは、安全性と車両セキュリティの向上、交通渋滞の緩和、コスト削減ならびに環境保護に貢献し、車車間通信やスマートシティのインフラを促進するとしている。(2017年1月5日付プレスリリースより)

研究開発活動

Mobileyeと自動運転システムを開発
-DelphiとMobileyeは、自動運転のデモンストレーションをCES 2017の会場であるラスベガスの街路と高速道路を組み合わせたルートで行う。これは、Centralized Sensing Localization and Planning (CSLP) 自動運転システムにより6.3マイルを走行するもので、これまで公開された自動運転で最も複雑という。このシステムは2019年までに生産準備を整える予定。CSLPは、業界をリードする知覚システムとコンピューティングプラットフォームを統合した最初の自動運転ソリューションとしている。(2016年12月20日付プレスリリースより)

-Mobileyeと提携しているDelphiは、Intelを提携先に加えると発表した。2019年までに生産する完全自動運転システムの開発を促進する。IntelはMobileyeが開発したソフトウェアの強化を担う。DelphiはCES2017において、Centralized Sensing Localization and Planning (CSLP) システムのデモ車両を披露する。このシステムは10cm以内の精度で位置を検知し、直観的な運転知識で操作を行う。(2016年11月29日付 Detroit Free Pressより)

-DelphiとMobileyeは、レベル4/5の自動運転システムを共同開発すると発表した。2019年下期~2020年の生産開始を目指す。Mobileyeのリアルタイムマッピング技術とDelphiのソフトウェア、カメラ、LiDAR、レーダーなどを組み合わせる。このシステムにはステアリングホイールやペダルも含まれ、緊急時にはドライバーが操作することが可能。小型車からSUVまでさまざまなモデルに搭載できるようになるという。(2016年8月23日付Detroit Newsより)

シンガポールで自動運転プログラム
-2016年8月、シンガポールで自動運転車の試験プログラムを行うと発表した。このプログラムでは、乗客を家や会社から主要な駅まで低速で輸送する。6台のEVに自動運転ソフトウェアを搭載し、4マイルのルートに沿って必要に応じて利用できるようにする。Delphiは2019年までに、ペダルやステアリングホイールがない車両を提供し、それらをスマートフォンアプリで呼び出せるようにするという。試験プログラムの期間は3年間で、2022年までにサービス実施を目指す。2016年内に北米や欧州でも同様の試験を開始する計画。(2016年8月1日付プレスリリースおよびDetroit Newsより)

製品開発

48Vマイルドハイブリッドシステム
-2016年4月、48Vマイルドハイブリッドシステムを公開した。現在、グローバル自動車メーカー2社と提携しており、1年半以内に生産を開始するとしている。同社は1.6Lディーゼルエンジンのホンダ 「Civic」 に、このマイルドハイブリッドシステムを搭載して披露。48Vシステムを用いることでエンジンにかかる負担を最小限にするほか、CO2排出を10%以上低減しながら性能を向上させるという。また、「e-charger」 技術により、発進性能を改善。このデモカーでは、低速トルクを平均25%引き上げることができる。なお、この48Vシステムを搭載した1,100万台のハイブリッド車は、使用期間を通じて40億ガロン (150億リットル) の燃料消費を削減するという。(2016年4月13日付プレスリリースより)

受注

-Volvo 「XC90」 に、ミリ波レーダーと単眼カメラを一体化したDelphi製のセンサーユニットをフロントウィンドウ上部に設置した。車車間/路車間通信などを用いず、同ユニットのみで右折時の衝突回避に対応した。検知距離は120メートルを確保しており、最大10個の対象物を認識できる。(2016年1月28日付日刊自動車新聞より)

研究開発体制

-2016年12月31日現在、全世界に20,000名を超える従業員が研究開発に従事している。

-全世界に15の研究拠点を保有。

  • 北米:5拠点
  • 欧州、中東およびアフリカ:5拠点
  • アジア太平洋:4拠点
  • 南米:1拠点

研究開発費

(単位:億ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
合計 15 15 16


-同社は2017年12月期の研究開発費に12億ドルを投じる計画。

部門別設備投資額

(単位:百万ドル)

2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
電気・電子アーキテクチャ 458 353 326
パワートレインシステム 171 201 322
電子・安全 131 102 82
排除およびその他 68 48 49
合計 828 704 779

地域別設備投資額

(単位:百万ドル)

2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
北米 288 247 214
欧州/中東/アフリカ 338 245 290
アジア太平洋 193 202 253
南米 9 10 22
合計 828 704 779