Kongsberg Automotive 2008年12月期の動向

ハイライト

業績
(単位:百万ユーロ) 2008年12月期 2007年12月期 増減率
(%)
要因
全体
売上高 905.9 398.8 127.2 -
営業利益(損) (1.1) 26.4 -
事業部門別売上高
自動車部品システム 528.8 179.9 193.9 1)
商用車部品システム 267.7 218.5 22.5 2)
パワープロダクトシステム 145.7 0.0 - 3)

要因
1)
自動車部品システム
・厳しい市場環境下にも拘わらず、ギアシフトシステム、シート関連システム、ヘッドレスト、アームレストなどを含む全領域のビジネスで新規に受注。2009年後半以降、さらなる需要の拡大を見込む。

2)
商用車部品システム
・2008年度は新規に大口受注を獲得。クラッチアクチュエーション、ギアシフトシステム、フルイドトランスファーシステム、エアカップリング、シャシーとキャビンスタビライザーなどの主要製品においてシェアが伸張。成長の阻害要因としては年度後半の商用車生産台数の減少。

3)
パワープロダクトシステム
・年度前半の北米、後半の欧州という順で販売が鈍化。これら地域の停滞分は主要製品が好調であった中国市場とロシア市場で大幅に販売が伸張したことで相殺。特に中国では大型トラック向けの製品が記録的な売上をあげ前年比20%の伸び率を達成した。インドでの販売活動も開始。


受注
・米国の大手トラック・エンジンメーカーから、6Lおよび9Lディーセルエンジン用のホース・チューブ製品を受注。6Lディーセルエンジン向けには現在供給中のターボ部品に加え、新たにターボオイルパイプを納入する。また、9Lディーセルエンジン向けには高耐熱特性をそなえた高性能な燃料パイプを供給する。この二つの製品の2010年までの売上は合算で18百万ドルを上回る見込みで、契約を2013年まで延長する方向で検討がすすめられている。生産は、サウスカロライナ州 Pickens工場およびコネチカット州Suffield工場が担う。(2008年3月5日付プレスリリースより)

・主要大型トラックメーカーから、リアアクスルサスペンション用の安全部品を受注。このプログラムの契約期間は4年半で、2009年前半から納入を開始予定。製品の大半はノルウェーのRollag工場で生産される。これにより、Rollag工場での雇用が長期間にわたり保証されることとなる。売上は累計で370百万NOKにのぼる見込み。同社では、開発から性能試験完了まで3年という歳月を費やし、この契約に漕ぎつけた。世界屈指の大型トラックメーカーから複数年契約を獲得したことで、商用車市場における長期的な事業拡大への基盤固めができたといえる。(2008年3月14日付プレスリリースより)

・自動車用シート&ドアシステムの主要メーカー計3社との間で、供給契約を締結。供給する製品は、今後発売される北米仕様車搭載用。受注総額は17百万ユーロに上る見通しで、4.9百万ユーロ相当の追加受注につながる可能性があるという。3年から6年という複数年契約で、2008年後半から供給を開始する予定。受注した一連のケーブル&アクチュエーション、シートサポート、ヘッドレスト用製品は、メキシコ工場で製造。(2008年5月2日付プレスリリースより)

・主要大型トラックメーカーから、次世代のギアレバーユニットを開発・供給するプログラムを受注。契約期間は5年で、2011年から納入開始の予定。この新規受注獲得で、200百万NOKの売上げを見込む。(2008年5月9日付プレスリリースより)

・同社アクチュエーションシステム部門は、北米の大手トラックメーカーから、新たな供給プログラムを受注。追加受注として、パワートレインアセンブリーおよび燃料ホースアセンブリーを供給するもの。契約期間は2008年から2012年。今回の受注による売上は累計で約10百万ユーロにのぼる見込み。(2008年5月15日付プレスリリースより)

・欧州の大手トラックメーカーから、受注を獲得。新規プログラムとしてキャビンスタビライザーなどを供給するもの。契約期間は3年で、2009年前半から納入開始の予定。今回の受注による売上は累計で120百万NOK(15百万ユーロ)にのぼる見込み。契約を延長する方向で検討がすすめられているという。(2008年6月11日付プレスリリースより)

・同社のドライブライン部門は、GMとRenaultの共同開発プロジェクト(X83 Renault Trafic)からマニュアルギアシフター(同社特許技術採用のケーブルアバットメント付)などを受注した。シフタ―付き新型モデルは2010年初めに販売が予定されている。今回の受注で36百万ユーロの売上げを見込む。(2008年8月14日付プレスリリースより)

・同社自動車内装部品部門は、高級車/スポーツカーを製造する大手メーカーからBody FitTM Modular Seating System(特許取得済み)を受注。受注額は約50百万NOK(約6百万ユーロ)になる見込み。Burton工場(英国)の生産を予定。2011年から納入開始の予定。(2008年9月16日付プレスリリースより)

・Faurecia社より米国市場向けアームレスト等を受注。受注金額は5.9百万ユーロ。2009年より生産を開始し、契約期間は5年間。今回受注のアームレストはメキシコのレイノサ工場で生産する。(2008年9月23日付プレスリリースより)

・ドイツの乗用車メーカーから約18百万ユーロ(約151百万ノルウェークローネ)相当の受注を獲得。契約内容は、欧州市場へのシートヒーターの供給などで契約期間は7年。2010年から生産の開始を予定している。製品はPruszkow工場(ポーランド)で生産する。(2008年10月14日付プレスリリースより)

・南米トラックメーカーの新規受注を獲得。今回受注したのはギアシフトシステムなどで、受注額は約137百万ノルウェークローネ(約17百万ユーロ)となる見込み。供給する製品は、2010年から、Jundiai工場(ブラジル)で生産される。(2008年10月20日付プレスリリースより)

・乗用車部品システムズ部門は、中国系および日系自動車メーカーから、合わせて3件の新規受注を獲得した。中国系メーカー(1社)からはシート製品を、また、日系メーカー(2社)からは、ドアモジュールシステムとサンルーフシステムをそれぞれ受注した。総受注額は約5百万ユーロ(約46百万ノルウェークローネ)になる見込み。今回受注した製品は全て中国の同社工場で生産される。(2008年10月28日付プレスリリースより)

・4.3百万ユーロ(40百万ノルウェークローネ)相当の受注を獲得した。内容はロシア市場へのシートヒーターの供給などで、発注元であるドイツの乗用車メーカーが現地生産する予定の小型車向け。このメーカーからの受注は初めて。(2008年12月8日付プレスリリースより)
-アクチュエーションシステム部門に属するフルイドシステム部は、大手トラックメーカーからホースおよびチューブアッセンブリーを受注したと発表。受注額は35百万ユーロ(326百万ノルウェークローネ)を上回る見込み。契約期間は4年。エンジンの燃料システムなどを中心に供給する。納入する製品の多くは2009年の第1四半期から生産を開始し、残る製品は2010年から生産に入る。(2008年12月9日付プレスリリースより)

・南米の大手トラックメーカーからギアシフトを受注。受注金額は7.5百万ユーロ(70百万ノルウェークローネ)。契約期間は5年。Jundiai工場(ブラジル)で生産を行い、2009年から納入を開始する。(2008年12月15日付プレスリリースより)


企業買収
・2008年1月、Teleflex (TFX)の自動車および自動車関連事業部門の買収手続を完了。買収金額は5億6,000万ドル(全額現金決済)。シフトシステム、シートシステム、フルードマネージメントシステム、その他の産業機器業界向けドライバーコントロールシステムの開発・生産・販売で業界屈指の地位を誇る旧TFX事業部門は、Global Motion Systems (GMS)と改称され、新たなスタートを切る。GMSは現在、世界34ヵ所に生産拠点(北/南米:16工場、欧州:13工場、アジア:5工場)を置いており、従業員数は約8,000人。2006年の売上高は8億5,500万ドル。GMSではMercedes Benz、Toyota、Ford、 Chrysler、GM、Renault、Nissan、VW、BMW、Peugeot、Lear Corporation、Caterpillar、およびScaniaといった買収前からの主要客先に引続き製品を供給する。Kongsbergの自動車関連事業部門の売上げは、GMSを含め、約10億ユーロ規模となる見通し。又、世界20ヶ国に計50ヵ所を超える拠点を構え、11,000人を上回る従業員を抱えることとなる。


リストラクチュアリング
自動車部品システム部門
・市場環境に迅速に対応し、いくつかの生産拠点を統合するなど大きな組織改革を実施。人件費削減とシナジー効果を狙って、それぞれ自動車業界を納入先とするドライブライン部門とインテリアシステム部門を2008年10月に組織統合した。
・低生産コスト国への工場移転による原価低減活動を継続。リストラ施策の第1段階は2008年度中に終了。市場の変化に対応する目的で第2次リストラ策をすでに発表している。2008年度第4四半期から開始し、2009年度内には終了予定。
・欧州と北米では無駄の最小化と価値の最大化を追求するリーン経営規範(Lean principles)を実行。リーンチャンピョン(Lean Champion)ネットワークによって各工場は改善。今後も継続する。生産量の減少を補てんするため余剰生産能力を活用して内製化をすすめる施策を2008年に開始。これは2009年も引き続き実施する予定。

パワープロダクトシステム部門
-2008年度を通して、一部工場や人員の他部門への移転を行いながら、業務体制を整備。部門統合の一環としてthe Limerick( Pennsylvania州)とHagerstown(Maryland州)のTeleflex事業から同部門の分離が完了。北米と欧州の工場を2か所を閉鎖する追加リストラ計画もある。

-北米内装システム事業の再編を発表。ミシガン州Westland工場が担う自動車用シートのランバーサポートの組立て生産をメキシコのReynosa工場に移管。2008年秋、生産移管完了をもって、同工場を閉鎖。また、テキサス州Willis工場が手掛ける事業のうち、内装システムの生産については、メキシコのMatamoros工場に移管。内装システム以外の自動車向け製品の生産については、従来通り継続する方針。(2008年4月18日付プレスリリースより)

-子会社であるKongsberg Power Products Systems ASのMarsta工場(スウェーデン)の閉鎖を発表。Marsta工場は、従業員54名、商用車およびオフハイウェイ市場向けに高強度ケーブル、ペダル、ハンドコントロール、油圧バルブ、電気部品を生産。同工場の現行事業は、閉鎖にともない、欧州の他工場に移管される見通し。(2008年4月23日付プレスリリースより)

-ブラジルItajuba工場の生産をJundiai工場に移行。Itajuba工場では南米の自動車市場向けにギアシフターを生産。現在35名体制。Jundiai工場への生産移管は、2008年12月までに完了予定。(2008年7月1日付プレスリリースより)

-北米で生産事業の再編を実施すると発表。世界の自動車市場の急激な減速に対応した措置。 Van Wert工場(米国オハイオ州)の生産をメキシコのNuevo Laredo工場に、Haysville工場(米国カンザス州)の生産をメキシコのMatamoros工場に移管する。これら米国の2工場は2009年夏を目途に閉鎖される予定。(2008年12月13日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発体制
・開発センターは本拠地ノルウェーKongsberg工場におかれている。


R&D 活動
自動車部品システム部門
・従来型に比べて大幅に軽量化された省スペース製品を開発するプロジェクトに注力。このプロジェクトは燃費向上と二酸化炭素排出の軽減に貢献。シート暖房システム、ヘッドレスト、ランバーサポートシステムなどの製品領域では20%から80%の軽量化に成功。ハイブリッドや最新バッテリーなどの代替燃料に関する開発は同社にとって新たな関心領域。世界各国のR&Dネットワークでは200名のエンジニアが現在ハイブリッド車の新企画に取り組んでいる。この開発プロジェクトにはシフト・バイ・ワイヤのソリューションや薄型形状シート用座り心地対策なども含まれる。

商用車部品システム部門
・商用車部品部門でも軽量化と環境対策などの研究開発に大きな工数をかけている。2008年度は引き続き合成物質の研究を実施。複合エアカップリングの次世代モデルはすでに新市場に導入済。素材を真ちゅうから合成物質に変更したことで重量をほぼ半分に落とすことに成功。ドライブラインとシャシー製品の領域でも環境対策に注力。軽量で強度のあるサスペンション製品と高いエンジン効率を引き出すエレクトロニックドライブライン製品は、燃費とCO2排気ガスの削減に効果がある。

パワープロダクトシステム部門
・ガソリン車、ディーゼル車、電気自動車用として新型エレクトロニックスロットル制御システムに関してメーカーと緊密な連携をはかりながら市場調査と研究開発に取り組んだ。顧客サイドのエンジン制御機器と代替燃料に関する課題をサポートする作業を現在行っている。かかる領域の製品の一部は2008年に立ちあがっており、2009年にも引き続き新製品が立ち上がる予定。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)

2008年12月期

2007年12月期

自動車部品システム 18.7 8.0
商用車部品システム 14.7 18.2
パワープロダクトシステム 3.8 0.0
社内調整 0.9 0.6