武蔵精密工業 (株) 2015年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 158,209 148,820 6.3 -日本と南米で売上が減少したものの、北米、欧州およびアジアで売上が伸長し、増収。
営業利益 11,588 8,567 35.3 -
経常利益 11,875 9,623 23.4 -
当期純利益 6,379 6,827 (6.6) -

会社設立

<中国>
-中国における連結子会社の管理・統括を行う統括会社「武蔵精密企業投資 (中山) 有限公司」を広東省中山市に設立すると発表。資本金は約60百万元 (10億円) で、2014年8月に設立する予定。(2014年7月31日付プレスリリースより)

-中国江蘇省南通市にデファレンシャルやボールジョイント部品を生産する子会社を設立し、2015年9月から稼働すると発表。同国で2カ所目の生産拠点となる。同国内の生産能力を増強し、欧米自動車メーカーとの取引拡大につなげる。資本金6千万元 (約10億円) で全額を同社が出資して設立する。16年度までに1億2200万元 (約20億円) を投資する。従業員数は同年に250人を予定している。売上高は15年度に9400万元 (約14億円) を目指す。(2014年6月23日付日刊自動車新聞より)

事業計画

デファレンシャルの世界販売拡大
-デファレンシャルの世界販売を2019年度に14年度の2.5倍に当たる1千万個に拡大する。小型・軽量、高効率であることが評価され、国内外の自動車メーカー、変速機メーカーからの受注が増加している。販売量の大幅な増加により、同製品の世界市場シェアは、14年度の5%から19年度に10%へ倍増する見通しだ。売上高も同年度には300億円超と、13年度の2倍に拡大する。日本、北米、中国、アジアで生産しているが、生産地域をさらに広げて需要に対応する。(2015年3月19日付日刊自動車新聞より)

中国から北米への輸出拡大

-中国から北米への部品輸出を拡大する。米国市場の回復に伴って、欧米系自動車メーカーなどからの需要が急速に増加しており、現地の生産拠点だけでは供給が間に合わなくなっている。コスト競争力の高い鋳造部品の輸出を増やし、北米での需要の増加に対応する。2015年末には、中国に新工場を稼働させることにより、さらに供給量を増やし、16年度には、北米向け輸出を現状に比べ倍増させる方針だ。(2014年11月20日付日刊自動車新聞より)

構成部品の単品納入からユニット納入への切替
-2015年をめどにメキシコでユニット部品の生産を始める。足回り用部品のデファレンシャル、無段変速機 (CVT) 用のプラネタリーギアを生産する。納入先のホンダがユニットでの納入を求めていることに対応し、構成部品を単品で納入する形態からユニットでの納入に切り替えた上で生産を現地化する。同社はユニット部品の生産をグローバルに拡大しており、デファレンシャル、プラネタリーギアともに16年度に向けて生産量を大幅に増加させる計画。付加価値の高いユニット部品の販売を拡大することにより、収益力の向上につなげていく。(2014年4月4日付日刊自動車新聞より)

受注

-2014年4月、自動車部品の新規受注および生産開始に関して以下の通り発表した:

  • Musashi Auto Parts India:Honda Cars Indiaの「City」に搭載されるマニュアルトランスミッション部品・エンジン部品・足回り部品を受注。2013年12月より生産・納入を開始している。
  • Musashi Auto Parts Michigan:Chryslerの「Jeep Cherokee」や「200」などに搭載されるディファレンシャルASSYを受注。2014年1月より生産・納入を開始している。
  • Musashi Auto Parts Canada:Ford 「F-150」の新型エンジンに適用されるカムシャフトを受注。2015年9月から量産を開始する予定。
  • Musashi Auto Parts:DanaよりFord向けベベルギアを受注した。今回の受注にはタイ・南アフリカ・アルゼンチンへの輸出向けも含まれる。2013年11月より生産・納入を開始している。
  • Musashi Auto Parts Indonesia:Astra Daihatsu Motorの小型車に適用されるトランスミッション部品を受注。生産・納入を開始している。

2016年3月期の業績予想

(単位:百万円)
2016年3月期
(予測)
2015年3月期
(実績)
増減率 (%)
売上高 160,000 158,209 1.1
営業利益 11,700 11,588 1.0
経常利益 10,500 11,875 (11.6)
当期純利益 6,800 6,379 6.6


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 1,880 1,563 1,481

研究開発体制

担当部門 役割
開発部 -シャシー系、エンジン系、駆動系商品の開発
-次世代商品に向けた技術開発
-知的財産の管理
生産技術部・塑型技術部 -新生産技術方案の研究開発
-新塑型技術方案の研究開発
九州武蔵精密 (株)
技術部
-二輪、汎用ギア、カムシャフト等の生産技術に関する研究開発

研究開発活動

駆動系商品開発
<ディファレンシャル>
-同社の小型・高精度べべルギアを適用し、従来比10%軽量化となる軽量ディファレンシャルASSYの量産開発および適用拡大を図っている。
-今後も軽量化開発および現地調達化開発を継続的に行い、新規受注に向けた拡販活動を継続する。

<プラネタリィギア>
-日本で培ったノウハウを各海外拠点へ水平展開し、日本と同等の品質を確保した競争力の高いプラネタリィASSYの量産を開始し、今後は同社の生産技術力を活かした拡販活動を展開していく。

エンジン系商品開発
-環境対応エンジンに対応した、高精度な加工面性状を低価格で実現する加工法方案を構築し、一部のカムシャフト量産品に適用を拡大するなど、今後の事業拡大に向けた競争力の強化に取り組んでいる。
-エンジン構造の進化への対応や顧客への使用提案力を強化すべく、新技術の開発も継続して行っている。

足廻り系商品開発
-主要客先の機種開発に対し、仕様提案から設計・評価までを一貫して行い、世界の各拠点で同社開発の小型ボールジョイントが適用され、軽量化に貢献している。
-今後も更なる軽量化デザインの提案や現地鋼材を活用した仕様・製法の開発・評価を実施し、現地リソースを活用しながら、グローバル展開を推進していく。

先進技術開発
-要素技術の領域において、トライボロジーをベースとした技術に基づく表面改質技術の研究開発を産学共同で推進している。
-ハイブリッド車や電気自動車、電動パーソナルモビリティー向けの独自の電動ユニットの研究を推進するとともに、研究開発要員の最適配置、試験・計測機器の導入、最新のシミュレーション技術、構造解析技術の活用による技術レベルの向上と効率化を実施している。

生産技術開発
加工技術開発
-加工領域において、自社ブランド商品の現地調達化に向けた最適工程設計の確立を図っている。
-ディファレンシャルにおいて、現地の特性を生かした工程設計や現地設備の活用を推進している。
-プラネタリィASSYにおいて、特殊表面処理の現地立ち上げ等を行い、グローバル供給体制を確立し、各極で量産を開始している。
-足廻り系商品において、同社オリジナル技術により塑型精度を高めることで加工工程廃止を実現し、構成部品の現地開発を推進することでコスト低減に努めている。

設備投資額

(単位:百万円)
2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 16,324 24,314 22,907

-2015年3月期 地域別設備投資内訳 (単位:百万円)
地域 新機種対応 増産対応 合理化投資 既存設備の更新 その他 合計
日本 580 415 - - 956 1,951
北米 854 - 558 - 355 1,767
欧州 505 - - - 28 533
アジア 4,662 3,153 - - 3,418 11,233
南米 177 - - 200 463 840

設備の新設計画

(2015年3月31日現在)
地域 計画金額 (百万円) 設備等の主な内容・目的
日本 3,000 研究開発、新機種対応、既存設備の更新、合理化
北米 3,200 新機種対応、四輪部品の生産能力増強、既存設備の更新、合理化
欧州 600 新機種対応、既存設備の更新
アジア 7,200 新機種対応、二輪・四輪部品の生産能力増強
南米 1,000 新機種対応、合理化