東海ゴム工業 (株) 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2014年
3月期
2013年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 369,093 263,725 40.0 -
営業利益 13,577 9,204 47.5 -
経常利益 11,041 9,226 19.7 -
当期純利益 4,076 3,003 35.7 -
自動車用品
売上高 312,439 210,267 48.6 -国内では個人消費の回復による需要増に、消費増税を控えた駆け込み需要が加わったことにより、自動車生産台数が前年実績を上回った。海外でも景気回復が顕著な米国を中心に販売が堅調に推移したほか、2013年に買収した欧州子会社を連結範囲に含めたことにより増収増益を達成。
営業利益 9,642 7,080 36.2

中期経営計画

-2011年11月に、中期経営計画「2015年TRI GROUP VISION」を策定。計画最終年度となる2016年3月期の経営目標数値は以下の通り:
  • 売上高:4,200億円
  • 営業利益:340億円
  • 営業利益率:8%
  • ROE:10%
  • ROA:8%
2014年3月期の主な活動
1. 海外での企業買収や新工場設立による全世界への製品供給体制を整備するとともに、原材料調達の見直しなどコスト削減活動を推進し、収益力の高い経営体質の構築に注力した:

Volkswagen向け防振ゴムの供給体制整備
-独Volkswagen (VW) を主要顧客の一つと位置付け、2017年3月期から2019年年3月期にかけて世界各地でVW向けに防振ゴムを供給することを目指す。中長期的にドイツ近郊で開発、営業体制の拡充を図ることで受注につなげる。東海ゴムのポーランド子会社と、13年春に買収した独Anvis Group GmbHの2カ所でVW向けの開発を行う。両社の技術を持ち寄って新製品の開発を行うほか、VWとコミュニケーションを図る統括窓口を設置してグループ全体で情報共有を図る。将来的に研究開発機能をポーランドに集約し、製品開発を集中的に行うことも検討する。(2014年2月18日付日刊自動車新聞より)

防振ゴム、燃料ホース事業で欧州サプライヤーと共同購買
-主力の防振ゴム、燃料ホース事業で欧州サプライヤーとの共同購買に乗り出す。2013年3月期に買収したドイツの防振ゴムメーカー、Anvis Group GmbHとイタリアの燃料ホースメーカー、Dytech-Dynamic Fluid Technologies S.p.A.とともに現在の調達ルートを照合。世界規模で最もコスト競争力のある仕入先から3社分の構成部品、素材を一括調達する。ゴム、樹脂、金属部品などの数十品目を3社で購入することを視野に入れている。この共同購買などを主体としたコスト低減活動により、2016年3月期までに約100億円の収益改善効果 (営業利益ベース) を確保することを目指す。(2013年7月22日付日刊自動車新聞より)

2. グローバル事業運営については、2013年2月に子会社化したイタリアの自動車用ホースメーカーDytech-Dynamic Fluid Technologies S.p.A.との間で技術面をはじめとする統合効果創出に向けた取り組みを開始したほか、2013年5月にはドイツのAnvis Group GmbH、さらに2013年7月にはブラジルのTokai do Brasil Industria de Borrachas Ltda.の買収手続きを完了して子会社化し、欧州や南米での拠点網を整えた。さらに、欧州の既存拠点についても、ポーランド子会社で自動車用防振ゴムと制遮音材を製造する第2工場が稼働した:

燃料供給分野を強化
-燃料ホースを始めとする燃料供給分野で世界のトップグループ入りを目指す。昨年度末にイタリアの燃料ホースメーカー・Dytech-Dynamic Fluid Technologies S.p.A.を買収し、2016年3月期までに燃料ホースの世界販売シェアを10%に引き上げる中期目標を前倒しで達成した。今後は東海ゴムが燃料ホースで蓄積したノウハウと、Dytech-Dynamic Fluid Technologies S.p.A.が保有する燃料タンク周りの製品、技術との融合を図る。これにより、燃料供給分野のシステム提案が可能な体制を確立し、燃料ホースを拡販する。2016年3月期までに販売シェアを14%に引き上げ、トップ集団と肩を並べる事業規模を確保する。(2013年8月7日付日刊自動車新聞より)

3. アジア新興国対応として、2013年4月にタイの自動車用ホースメーカーInoac Tokai (Thailand) Co., Ltd.に追加出資して子会社化し、東南アジアにおける営業・供給体制を強化した。

4. 自動車用ホース事業については、インドネシアとベトナムで新工場が稼働したほか、インドで2カ所目となる自動車用防振ゴムの新工場が量産体制に入った。

2015年3月期の計画
-自動車用品部門では、新たに同社グループに加わった会社が、同社と互いに保有する製造拠点や技術・開発、販売、調達などのリソースを共有し統合効果を最大化することにより、全世界で高品質な製品を迅速に供給できる「メガサプライヤー」の地位獲得を目指す。

2015年3月期の見通し

(単位:百万円)
2015年3月期
(予測)
2014年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 400,000 369,093 8.4
-自動車用品 338,000 312,439 8.2
営業利益 16,000 13,577 17.8
経常利益 14,000 11,041 26.8
当期純利益 5,000 4,076 22.7

-2015年3月期の自動車用品部門の売上高は、2014年3月期比で8.2%の増加と計画。日本が消費増税前の駆け込み需要の反動で売上が減少するものの、米国および中国で自動車生産台数が増加することから、増収を達成するとしている。また、2013年に買収した企業2社が2015年3月期より12カ月のフル連結対象となることも要因の一つとして挙げられる。

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 11,673 9,698 8,660
-自動車用品 8,764 7,442 6,770

研究開発体制

-技術研究所「テクノピア」において、材料技術研究所・新事業開発研究所の連携により技術開発を進めている。2014年3月期は、低コスト化、環境対応、乗り心地性向上、グローバル対応に資する先進技術開発を推進した。

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 31,334 25,295 20,191
-自動車用品 26,348 19,240 17,237

-2014年3月期、自動車用品事業では、同社および海外子会社の自動車用防振ゴム、ホースの生産設備を中心に投資。

海外投資

<インドネシア>
-インドネシアの二輪車・四輪車用ホース製造・販売子会社PT. Tokai Rubber Auto Hose Indonesia (TRHI) で新工場の開所式を行ったと発表。TRHIは2011年8月に設立され、2012年2月からリース工場で二輪車用樹脂ホースの量産を行っている。新工場の開設により、リース工場から生産設備を移設するとともに、新ラインにて四輪車用樹脂・ゴムホースの生産も開始する。敷地面積は約38,000平方メートルで、建屋面積は約11,000平方メートル。投資額は約3,100億ルピア (約28億円)。(2013年12月20日付プレスリリースより)

<ポーランド>
-ポーランド子会社のTRI (Poland) Sp. z o. o.が同国内に第2工場を開所したと発表。新工場は、自動車用防振ゴムおよび制遮音材の製造・販売を行う。投資額は約11百万ユーロ (約14億円)。敷地面積は41,500平方メートルで、建屋面積は5,000平方メートル。2013年8月より稼働を開始している。(2013年10月24日付プレスリリースより)

<インド>
-インド北部で建設を進めていた新工場で11月から防振ゴムの量産を開始すると発表。スズキなど、インド北部で完成車を生産する日系メーカー向けに供給する。新工場は現地生産子会社「Tokai Rubber Auto-Parts India Private Ltd.」の第2工場として、ラジャスタン州のニムラナ工業団地に設置。2012年1月に南部のバンガロール近郊で稼働した工場と合わせ、防振ゴムの供給で2工場体制を確立したことになる。2016年3月期に同工場で年11億円の売上高を確保する計画。約13億円を投資し、生産基盤を構築した。敷地面積は約4万平方メートル、建屋面積は約3,600平方メートル。(2013年10月18日付日刊自動車新聞より)