TPR (株) 2015年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2015年 3月期 |
2014年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 165,849 | 149,081 | 11.2 | - |
営業利益 | 19,393 | 13,554 | 43.1 | - |
経常利益 | 23,063 | 15,551 | 48.3 | - |
当期純利益 | 12,658 | 6,364 | 98.9 | - |
セグメント別売上高 | ||||
日本 | 45,286 | 42,302 | 7.1 | -消費税増税前の駆け込み需要の反動減により落ち込んだものの、外需に支えられた。 |
アジア | 26,200 | 19,516 | 34.2 | -アジア市場では経済成長が鈍化する中、中国での旺盛な受注および新拠点の生産本格化、さらに為替換算の後押しを受けた。 |
北米 | 12,165 | 9,077 | 34.0 | -北米経済が堅調に推移。 |
その他 | 2,651 | 2,162 | 22.6 | -安定した受注が奏功。 |
ファルテックグループ | 79,546 | 76,022 | 4.6 | -中国子会社の増収効果および新規連結効果等。 |
事業計画
東南アジア事業の拡大
-東南アジアでの四輪車向け事業を拡大する。同地域で生産しているエンジン部品の売上高のうち、現在は30~40%となっている四輪車向け製品事業の比率を中期的に50%以上に引き上げる。主要顧客の日系自動車メーカーが同地域で生産を増やす傾向にあることから、これに追従する。ピストンリングやシリンダーライナーでトップシェアを持つ中国などで磨いた競争力の高さを生かし、新規受注につなげる考えだ。各社の生産変動も考慮して明確な期限は設けていないが、2020年度をめどに過半を達成したいとしている。(2015年3月14日付日刊自動車新聞より)
新事業
-既存製品の加工技術を生かしたブレーキドラムや低燃費化に貢献する新型キャパシターなどを新たな事業の柱として育成する。1、2年以内に実用化して受注獲得を目指す方針で、2020年度までに年間売上高で100億円規模となる事業へ成長させる。現在はサンプル品による客先での試験を進めており、早ければ15年度にも量産を開始できる見通しだ。同社では、20年度に連結売上高を13年度比34.1%増の2千億円に拡大する「T&F GOAL 2220」を掲げている。ファルテックを除いた従来のTPR事業では同36.8%増の1千億円を計画。約270億円の増収のうち、37.0%を新製品で伸ばす考えだ。(2014年6月13日付日刊自動車新聞より)
事業譲受
-子会社でキャパシターの開発・製造を手がけるTOCキャパシタは、日清紡ホールディングスより電気二重層キャパシター事業を譲り受けると発表。2015年8月1日付で旭事業所 (千葉県) の生産設備と納入先への営業権を取得する計画。特許などの知的財産権は引き続き日清紡ホールディングスが保有する。
2016年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2016年3月期 (予測) |
2015年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
売上高 | 175,400 | 165,849 | 5.8 |
営業利益 | 21,200 | 19,393 | 9.3 |
経常利益 | 24,400 | 23,063 | 5.8 |
当期純利益 | 12,800 | 12,658 | 1.1 |
中期経営計画
-2015年、中期経営計画 (2016年3月期~2018年3月期) を発表。主な数値目標は以下の通り:
- 連結売上高:193,300百万円 (内、TPR分105,000百万円、ファルテック分88,300百万円)
- 営業利益;26,000百万円 (内、TPR分20,400百万円、ファルテック分5,600百万円)
-金属製品を中心としたTPR事業では「革新と拡大」をスローガンに掲げ、北米や新興国での自動車部品の販売を加速する。エンジン向け以外の新規分野では、アルミと鋳物の複合で軽量化したブレーキドラムと高性能キャパシターを今中計で発売し、次期中計に向けた足がかりとする。ファルテック事業では収益性の向上を図る。
-複数の新製品の生産を拡大する。現時点で受注が確実となった製品群では、20年度に30億円規模の売上高を計画している。主な新製品は、「カーボンスクレーパリング」やパワートレーン用シール材、EGR (排出ガス再循環) 装置・過給器向けの金属部品など。カーボンスクレーパリングはシリンダーの上部に装着する円筒状部品で、ピストンに付着するカーボンを掻き落とす役割を持つ。ライナー内壁の摩耗防止や潤滑油消費量の低位安定化に有効なことから欧米メーカーなどが採用を始めており、20年度には年間200万本を超える生産を予定している。パワートレーン用のシール材はゴムや樹脂を素材としたもので、中国のローカルメーカーをターゲットの中心に置く。最近は中国車の高性能化が進んでいるため、成長分野の一つに位置づける構えだ。エンジン部品での既存の販売網や高いシェアを生かし、受注を増やしていく。一方、ERG・過給器向けの部品は開発中で、従来の鋳造技術などを応用したもの。国内のディーゼル車向けなどで引き合いがあり、2、3年内には実用化できる見通しだ。(2015年2月20日付日刊自動車新聞より)
受賞
-2015年3月期の主な受賞は以下の通り:
- トヨタ:原価改善優秀賞および品質管理優秀賞
- 日産:優良品質感謝状
- ホンダ:優良感謝賞品質賞
- いすゞ:品質達成賞
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2015年3月期 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | |
全社 | 3,858 | 3,605 | 4,034 |
-TPRグループ (ファルテック除く) | 1,881 | 1,826 | 1,921 |
-ファルテックグループ | 1,977 | 1,728 | 2,060 |
主要研究開発拠点
-技術センター (長野工場内)。
研究開発活動
-低フリクション化、熱制御、軽量化への取り組みに加え、排気ガスクリーン化、代替燃料 (バイオ、CNG) 使用に対応した新製品の開発を推進している。
-製品の高精度化に対応したインラインでの計測自動化、革新的コストダウン、生産エネルギーの極小化へ対応した新工法の開発を進めている。
-急速なEV化に対応し、非パワートレイン部品への取り組みを強化。アルミ、樹脂を中心とした軽量化複合製品とゴムを中心としたシール製品への新技術導入を積極的に実施している。
開発の主な成果
<パワートレイン部品>
1) ピストンリング
-超低フリクション & 低LOCリングの開発 (低燃費対応)
-高機能オイルリングの製品化 (信頼性向上)
-ピストンリング革新的コストダウン製造ラインの構築 (低価格対応)
2) シリンダーライナー
-小型エンジン用小径薄肉、高熱伝導ライナーの製品化 (低燃費対応、信頼性向上)
-高耐腐食摩耗ライナー材料の製品化 (代替燃料対応)
-高強度ライナーの製品化 (信頼性向上)
3) バルブシート、バルブガイド
-高耐摩耗バルブシート材料の製品化 (代替燃料対応)
-バルブシート革新的コストダウン製造ラインの構築 (低価格対応)
-焼結バルブガイドの製品化
<非パワートレイン部品>
1) アルミ製品
-新鋳造方案構築および設備導入実施による、EVモーター用モーターフレームの製品化
-遠心鋳造スパイニ形状FC材の応用による、アルミブレーキドラムの製品化
2) 焼結機械部品
-ターボチャージャー用小径シールリングの製品化
-ショックアブソーバー、カップリング部品の精度改善および高強度化工法の開発
3) 樹脂、ゴム製品
-変速機用樹脂シールリングの製品化
-電磁弁スプール樹脂化およびゴムシール部品の高精度化
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2015年3月期 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | |
日本 | 3,357 | 2,112 | 2,514 |
アジア | 2,202 | 2,501 | 2,767 |
北米 | 582 | 2,692 | 973 |
その他 | 11 | 9 | 47 |
ファルテックグループ | 3,936 | 3,073 | 3,666 |
合計 | 10,089 | 10,389 | 9,968 |
-2015年3月期は、海外生産拠点の拡充整備を引き続き実施し、増産投資を中心に設備投資を実施。
設備の新設計画 (自動車関連製品事業) |
(2015年3月31日現在) |
会社名 事業所名 |
所在地 | 設備の内容・ 目的 |
投資予定 金額 (百万円) |
着手予定 年月 |
完了予定 年月 |
完成後の 増加能力 |
同社 長野工場 |
長野県 岡谷市 |
研究開発、ピストンリング生産設備等 | 1,800 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
生産能力に影響を及ぼさない |
TPR工業 (株) | 山形県 寒河江市 |
研究開発、シリンダーライナー生産設備等 | 1,500 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
生産能力に影響を及ぼさない |
安慶帝伯格茨缸套有限公司 [Anqing TP Goetze Liner Co., Ltd.] |
中国 安徽省 |
シリンダーライナー生産設備 | 2,100 | 2015年 1月 |
2015年 12月 |
20%増加 |
TPR Vietnam Co., Ltd. | ベトナム ビンズオン省 |
シリンダーライナー、焼結製品生産設備 | 1,900 | 2015年 1月 |
2015年 12月 |
20%増加 |