太平洋工業 (株) 2014年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2014年 3月期 |
2013年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 91,976 | 83,700 | 9.9 | - |
営業利益 | 5,500 | 4,340 | 26.7 | - |
経常利益 | 7,062 | 5,372 | 31.5 | - |
当期純利益 | 4,587 | 2,807 | 63.4 | - |
プレス・樹脂製品事業 | ||||
売上高 | 64,529 | 59,614 | 8.2 | -主要顧客の自動車生産は日本では前期並みにとどまったが、米国や中国では前期を上回ったほか、円安による為替換算の影響も加わった。 |
営業利益 | 1,334 | 1,449 | (7.9) | -物量増加や原価改善があったものの、中国での事業立上げに伴う費用負担の増加が影響。 |
バルブ製品事業 | ||||
売上高 | 27,087 | 23,747 | 14.1 | -バルブ関連製品およびTPMS製品の販売が順調に推移し、韓国でのコンプレッサー関連製品が大きく伸びたことに加えて、円安による為替影響を受けた。 |
営業利益 | 4,177 | 2,928 | 42.7 | -物量増加や原価改善に加えて円安に伴う為替差益等が寄与。 |
TPMS (タイヤ空気圧監視システム) の拡充
-TPMSは既に北米、欧州、韓国で装着義務が法制化されている。北米は安全規制、欧州その他地域では燃費規制の観点からTPMSを導入しており、今後は台湾、ロシアが法制化を予定している。日本および中国も今後法制化の可能性があることを鑑み、同社は米国や中国での生産を拡大している。-2014年1月には生産累計1億個を達成。
-2014年5月時点の、北米におけるTPMS送信機の市場シェアは約22%。
-TPMS送信機の生産体制は以下の通り:
生産拠点 (所在地) |
2016年の年産能力 (予定) |
販売対象地域 | |
北大垣工場 (日本 岐阜県) |
1,600万個 | グローバル | |
太平洋汽車部件科技 (常熟) 有限公司 [Pacific Auto Parts Technology (Changshu) Co., Ltd.] (中国 江蘇省) |
300万個 | 中国、その他 | |
Pacific Manufacturing Ohio, Inc. (米国 オハイオ州) |
300万個 | 北米、欧州 |
中期経営計画 OCEAN-15
OCEAN-15 数値計画 | 2015年度 (目標) |
|
売上高 | 950億円 | |
経常利益率 | 6%台 | |
海外売上高比率 | 40%以上 | |
総資産回転率 | 1.05 |
-中期経営目標を達成するための主な施策は以下の通り:
<製品・技術戦略>
1. TPMS (タイヤ空気圧監視システム) の中国現地化
-安全性や燃費の維持、向上につながるTPMSは世界各国で装着が義務化される傾向にあり、中国における法制化を想定し、江蘇省に子会社を設立する。新会社「太平洋汽車部件科技 (常熟) 有限公司 [Pacific Auto Parts Technology (Changshu) Co., Ltd.]」を2014年7月に設立し、2016年4月に生産を開始する予定。設備投資額は約3,000百万円で、同社が100%出資する。
2. 超ハイテン材 (高張力鋼板) 加工技術による軽量化
-2016年3月期までに1.2~1.5ギガパスカル級の引っ張り強度を持つ車体骨格部品を手がける生産体制を構築する。国内3工場 (東大垣工場、九州工場、東北工場) のほか、米国、中国に2,500~3,000トン級の大型プレスマシンを導入し、超高張力鋼板を加工できるようにする。さらに西大垣工場に熱間プレス (ホットプレス) 部品を生産するラインを設置する。同社がホットプレス部品を手がけるのは初めて。これら新規設備の導入に伴う投資額は24億円。車体の軽量化と衝突安全性能の両立を目指す自動車メーカーの要請に応えられる供給基盤を整える。(2013年11月20日付日刊自動車新聞より)
3. 高精度プレス加工の能力増強
-エンジン、トランスミッションの高精度部品をネットシェイプにより、プレス加工で製造する。生産能力増強、新技術の開発、取引先拡大により、2019年3月期までに50%の売上拡大を目指す。
4. アルミダイカスト製品による事業拡大
2015年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2015年3月期 (予測) |
2014年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
売上高 | 93,000 | 91,976 | 1.1 |
営業利益 | 6,500 | 5,500 | 18.2 |
経常利益 | 7,400 | 7,062 | 4.8 |
当期純利益 | 5,000 | 4,587 | 9.0 |
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2014年3月期 | 2013年3月期 | 2012年3月期 | |
全社 | 735 | 647 | 603 |
-プレス・樹脂製品事業 | 176 | 133 | 122 |
-バルブ製品事業 | 479 | 447 | 344 |
-全社共通 | 71 | 58 | 133 |
研究開発体制
-研究開発を行う各事業部の技術部門・生産技術部門と、将来を見据えた研究開発を行う技術企画センターで構成。-社内関連部門間の相互連携を図り、 専門メーカー・大学・研究機関など産学官を含めた開発体制により、新製品開発および競争力向上のための新材料、新工法の開発を進めるとともに、開発スピードの向上を図っている。
-ソフトウェアの研究開発は、子会社のピーアイシステム株式会社が実施。
研究開発活動
事業セグメント | 担当部門 | 研究開発内容 |
プレス・樹脂製品 | -技術企画センターの技術開発部およびプレス樹脂事業部のプレス技術部と樹脂技術部 | -プレス製品では、超ハイテン材を強化する冷間プレス加工技術やホットプレス等の新工法の研究開発を実施。 -樹脂製品では、軽量化、遮音、遮熱のための成形技術等の研究開発を実施し、2槽式オイルパンの内槽を樹脂化し、軽量化・低燃費化等、燃費向上を図った。 |
バルブ製品 | -バルブ事業部の技術部、生産技術部およびTPMS事業部の技術部 | -タイヤバルブ製品では、樹脂表面に金属薄膜を付着させたバルブキャップを開発。 -カーエアコン用バルブ製品では、電動コンプレッサー用差圧調整弁の開発を実施。 -TPMS製品では、送信機のタイヤ取付位置を自動的に認識するオートロケーション機能を開発。 -高精度プレス製品では、センサープレート等の量産化により部品用途の拡大を図った。 |
全社共通 | -技術企画センター | -複合材料の研究開発。 -金属塑性加工の研究開発。 -TPMS応用製品の開発。 -環境負荷物質削減および使用材料低減による環境にやさしい製品の開発。 |
製品開発
超軽量・発泡成形エンジンカバー-超軽量・発泡成形エンジンカバーを開発。モノづくり日本会議と日刊工業新聞社が共催する2013年"超"モノづくり部品大賞において、「環境関連部品賞」を受賞。
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2014年3月期 | 2013年3月期 | 2012年3月期 | |
プレス・樹脂製品事業 | 8,100 | 4,209 | 4,688 |
-国内 | 4,356 | 2,012 | 3,322 |
-海外 | 3,744 | 2,197 | 1,366 |
バルブ製品事業 | 3,013 | 3,610 | 2,139 |
-国内 | 1,406 | 987 | - |
-海外 | 1,606 | 2,623 | - |
その他 | 103 | 30 | - |
消去 | (49) | (29) | - |
合計 | 11,168 | 7,820 | 6,855 |
<プレス・樹脂製品>
-国内では、生産能力の増強を目的とした東大垣工場、九州工場、栗原工場におけるプレス設備導入工事、自動車の新型モデル用金型等の新製品対応・増産を中心に投資。
-海外では、中国・天津におけるプレス工程拡充を目的としたプレス設備導入工事や中国・長沙における工場新設およびプレス設備導入工事、北米プレス製品事業の新製品対応を中心に投資。
<バルブ製品>
-国内では、TPMS本体組立ラインの改修やバルブ関連製品の増産対応を中心に投資。
-海外では、韓国におけるコンプレッサー関連製品の増産対応を中心に投資。
-2015年3月期の設備投資額は16,090百万円を計画。
国内投資
東北における生産最適化-2014年秋をめどに栗原工場 (宮城県栗原市) を拡張すると発表。従来、栗原工場では樹脂部品を手がけていたが、現地に新棟を建設して車体プレス部品を生産する。プレス、溶接、表面処理の一貫生産体制を構築する。14年11月から生産を開始する。西大垣工場 (岐阜県大垣市) から東北に供給していたプレス部品の生産を現地化し、競争力を高める。これに合わせ、樹脂成形、塗装工程を栗原工場から若柳工場 (宮城県栗原市) に移管し、東北の生産を最適化する。移管計画に伴う総投資額は約23億円。(2013年11月5日付日刊自動車新聞より)
海外投資
<タイ>-子会社Pacific Industries (Thailand) Co., Ltd.において第2工場が完成したと発表。新工場では、ホイールキャップを中心とした樹脂製品やタイヤバルブの生産を行う。2014年はじめからホイールキャップの量産を開始する予定。(2013年7月13日付プレスリリースより)
設備の新設計画 |
(2014年3月31日現在) |
会社名・ 事業所名 (所在地) |
事業 セグメント |
設備の 内容・目的 |
投資 予定額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
完成後の 増加能力 |
同社 西大垣工場 (岐阜県大垣市) |
プレス・ 樹脂製品 |
新製品対応等 | 4,011 | 2013年 10月 |
2016年 3月 |
- |
同社 東大垣工場 (岐阜県大垣市) |
プレス・ 樹脂製品 |
新製品対応等 | 1,902 | 2012年 8月 |
2015年 8月 |
プレス・樹脂製品の生産能力10%増加。 |
同社 養老工場 (岐阜県養老郡) |
プレス・樹脂製品およびバルブ製品 | 増産等 | 1,297 | 2011年 10月 |
2017年 3月 |
高精度プレス製品の生産能力50%増加。 |
同社 栗原工場 (宮城県栗原市) |
プレス・ 樹脂製品 |
増産等 | 2,795 | 2013年 3月 |
2015年 6月 |
工場を増築しプレス工程を新設。 |
同社 九州工場 (福岡県鞍手郡) |
プレス・ 樹脂製品 |
新製品対応 | 202 | 2013年 5月 |
2015年 8月 |
- |
同社 北大垣工場 (岐阜県安八郡) |
バルブ製品 | 新製品対応等 | 1,700 | 2012年 3月 |
2016年 6月 |
- |
同社 美濃工場 (岐阜県美濃市) |
バルブ製品 | 増産・合理化等 | 302 | 2013年 12月 |
2016年 2月 |
- |
同社 本社等 (岐阜県大垣市) |
全社 | 研究開発等 | 389 | 2013年 3月 |
2015年 4月 |
- |
Pacific Manufacturing Ohio, Inc. (米国 オハイオ州) |
プレス・樹脂製品およびバルブ製品 | 新製品対応等 | 426 | 2014年 4月 |
2015年 3月 |
- |
Pacific Manufacturing Tennessee, Inc. (米国 テネシー州) |
プレス・ 樹脂製品 |
新製品対応等 | 1,800 | 2014年 6月 |
2015年 7月 |
工場を新築しプレス工程を新設。 |
太平洋バルブ工業株式会社 [Pacific Valve Industrial Co., Ltd.] (韓国 梁山市) |
バルブ製品 | 維持更新等 | 196 | 2014年 1月 |
2014年 12月 |
- |
太平洋エアコントロール工業株式会社 [Pacific Air Controls Co., Ltd.] (韓国 牙山市) |
バルブ製品 | 増産等 | 1,915 | 2014年 1月 |
2014年 12月 |
コンプレッサー関連製品の生産能力40%増加。 |
Pacific Industries (Thailand) Co., Ltd. (タイ チャチョンサオ県) |
プレス・ 樹脂製品 |
維持更新等 | 136 | 2014年 4月 |
2015年 3月 |
- |
バルブ製品 | 新製品対応等 | 215 | 2014年 4月 |
2015年 3月 |
- | |
天津太平洋汽車部件有限公司 [Tianjin Pacific Auto Parts Co., Ltd.] (中国 天津市) |
プレス・ 樹脂製品 |
新製品対応等 | 1,876 | 2013年 1月 |
2014年 12月 |
プレス工程を拡充。 |
長沙太平洋半谷汽車部件有限公司 [Changsha Pacific Hanya Auto Parts Co., Ltd.] (中国 長沙市) |
プレス・ 樹脂製品 |
新製品対応等 | 2,537 | 2013年 1月 |
2014年 12月 |
工場を新築しプレス工程を新設。 |
太平洋汽車部件科技 (常熟) 有限公司 [Pacific Auto Parts Technology (Changshu) Co., Ltd.] (中国 常熟市) |
バルブ製品 | 新製品対応等 | 3,000 | 2014年 7月 |
2016年 3月 |
TPMS製品生産設備を新設。 |