(株) 小糸製作所 2011年3月期の動向
ハイライト
業績 | (単位:百万円) |
2011年 3月期 |
2010年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 428,977 | 408,430 | 5.0 | 1) |
営業利益 | 37,434 |
36,054 | 3.8 | - |
経常利益 | 34,319 | 35,983 | (4.6) | - |
当期純利益 | 10,012 |
6,217 | 61.0 | - |
要因
1)
-連結売上高は主力の自動車照明関連事業が増収となり、前期比5.0%増の4,289億円となった。
<日本>
-自動車照明関連事業において、自動車生産台数が販売促進策の効果もあり環境対応車を主体に堅調に推移。売上高は前期比1.0%増の2,561億円。
<北米>
-経済政策の効果等に伴い個人消費を主体に緩やかに回復、自動車生産台数も堅調に推移。為替換算の影響により、売上高は前期比横這いの454億円。
<中国>
-景気刺激策や個人消費の伸びにより高い経済成長が継続し、自動車生産台数も内需向けを中心に大幅に増加。売上高は前期比22.4%増の835億円。
<アジア>
-タイ等は高い経済成長を背景に自動車生産台数が大幅に増加するなか、自動車照明器の受注拡大を図った。売上高は前期比14.3%増の313億円。
<欧州>
-欧州経済が低迷するなか、現地自動車メーカー向けを主体に自動車照明器の拡販活動を展開。為替換算の影響により、売上高は前期比10.4%減の124億円。
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2011年3月期 | 2010年3月期 | 2009年3月期 | |
全社 | 17177 |
17,300 | 18,800 |
自動車照明関連事業 | - |
16,600 | 17,500 |
研究開発体制
-日本では同社の技術本部及び研究所を中心に、米国ではノースアメリカンライティングインク「技術センター」、中国では上海小糸車灯有限公司「技術センター」、欧州ではベルギーにおけるコイトヨーロッパNV技術セクションの世界4極で実施しており、多極化する世界カーメーカーへの開発対応を進めている。研究開発スタッフは、グループ全体で2,112名。研究開発活動
-研究開発費の総額は171億円であり、セグメント別の研究開発費は、日本110億円、北米22億円、中国22億円、アジア12億円、欧州3億円。<日本>
-自動車照明器のコア技術(光学、電子、機構、構造等)の開発
-生産技術の開発
-シミュレーション技術の開発
-鉄道車両関連電装品の開発
-ITS関連機材としてのシステム開発
-インターネットを応用したシステム開発
-照明器以外の自動車部品
-航空機部品の開発
-新規事業分野の新商品開発等
<北米、中国、アジア及び欧州>
-自動車照明器のコア技術(光学、電子等)の開発
-生産技術の開発
製品開発
LEDヘッドランプ-大幅にコストダウンを図った第三世代型のLED(発光ダイオード)ヘッドランプを開発、自動車メーカーへの納入活動を開始した。ハイブリッド(HV)車や 電気自動車(EV)など次世代自動車への採用を目指し、量産効果が生じる2015年前後にはコンパクトカーなど一般車両への採用拡大を図る。 (2010年9月28日付日刊自動車新聞より)
技術供与契約
(2011年3月31日現在)
相手方の名称 | 契約品目 | 契約内容 | 契約期間 |
Electro Optica, S.A. de C.V (メキシコ) |
自動車用照明器 | 技術情報の提供 製造、販売権の許諾 |
1992年4月22日から19年間 |
Industrias Arteb S.A (ブラジル) |
自動車用照明器 | 技術情報の提供 製造、販売権の許諾 |
2006年6月8日から5年間 |
Farba Otomotiv Aydinlatma ve Plastik Fabrikalari A.S. (トルコ) |
自動車用照明器 | 技術情報の提供 製造、販売権の許諾 |
1997年10月24日から15年間 |
Automotive Lighting UK Ltd. (英国) |
自動車用照明器 | 技術情報の提供 製造、販売権の許諾 |
1993年2月24日から18年間 |
Hella Australia Pty Ltd. (豪州) |
自動車用照明器 | 技術情報の提供 製造、販売権の許諾 |
1994年5月1日から20年間 |
Lumotech (Pty.) Ltd. (南アフリカ) |
自動車用照明器 | 技術情報の提供 製造、販売権の許諾 |
2006年5月4日から5年間 |
EP Polymers (M) Sdn. Bhd. (マレーシア) |
自動車用照明器 | 技術情報の提供 製造、販売権の許諾 |
1995年4月29日から20年間 |
AuVitronics Ltd. (パキスタン) |
自動車用照明器 | 技術情報の提供 製造、販売権の許諾 |
2005年3月7日から10年間 |
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2011年3月期 | 2010年3月期 | 2009年3月期 | |
全社 | 16,400 |
15,700 | 31,100 |
自動車関連事業 | - |
14,500 | 29,200 |
-生産の合理化並びに更新、製品の高品質化、原価低減などを目的として日本を中心に164億円の設備投資を実施。日本は92億円、北米6億円、中国では39億円、アジア24億円、欧州では1億円の設備投資を実施した。
海外投資
<タイ>-同社はタイでの事業を強化する。2012年中にも同社として4番目の工場を開設する。また、既存工場の隣接地では研究開発施設を新設する。タイ国内での自動車 用照明機器類の需要増加により、同社の供給能力はすでに限界に近づいている。今後の受注拡大に対応するため、新工場の開設により生産能力を高める。また、 研究開発力を向上することにより、現地ニーズに即応できる態勢を整える。タイの現地法人タイ・コイトでは、現在、サムットプラカーン県のバンプリー工業団 地内に三つの工場を構えている。これらは隣接しているものの、すでに大規模な拡張の余地はない。小糸は将来的な生産能力の不足を予想して07年までに新工 場用地を確保していたが、その後のリーマンショックによる自動車需要の減退に対応し、工場建設計画を延期していた。タイでの需要拡大に伴い、生産能力の拡 充が必要と判断、計画の遂行に再着手することとした。(2011年1月31日付日刊自動車新聞より)
<中国>
-中国で自動車用ランプ関連製品の生産能力を拡充する。広州では2012年稼働開始を目指して第2工場を開設し、華南地区での供給力を高める。また、天津など華北地区での供給力向上を視野に入れて、現地での新工場開設に向けた調査を開始。華北地区の新工場は13年にも稼働させる考え。現地資本や日系、欧米系 の自動車メーカーが自動車生産規模の急拡大に取り組むなか、同社はコスト競争力ある現地の事業体制を確立し、中国でのビジネス拡大を目指す。 広州では2012年稼働開始を目指して第2工場を開設し、華南地区での供給力を高める。 また、天津など華北地区での供給力向上を視野に入れて、現地での新工場開設に向けた調査を開始。華北地区の新工場は13年にも稼働させる考え。(2011年 1月11日付日刊自動車新聞より)
<米国>
-米ケンタッキー州に金型工場を新設して金型の内製化率を高めるとともに、アラバマ州にある既存のリアコンビネーションランプ工場では工場を増設して、新たに ヘッドランプの生産を開始する。いずれも2012年春頃の稼働開始を目指す。同社は米国で、日系自動車メーカーや米国自動車メーカーからの受注量が拡大し ており、投資の積極化により生産能力の拡大と生産コストの圧縮を実現する。同社の北米事業会社ノース・アメリカン・ライティング(NAL)は中西部のイリ ノイ州に3工場と南部のアラバマ州に1工場の計4工場を持つ。新設する金型工場は両州のほぼ中間に位置するケンタッキー州に設ける。新工場では初期費用と して約20億円を投資し、順次、5年程度をかけて小型から大型までの金型生産を立ち上げる。2、3年後には内製化率は25%程度に高まるとみており、これ により物流費を含めたトータルコストを圧縮する。一方、アラバマ工場では、新たにヘッドランプの生産を開始する。日系を含めた自動車メーカー各社が米国南 部での生産を拡大していることに対応する。すでに、既存工場と同規模の土地を確保しており、約20億円を投資して新工場を建設する。生産設備の一部は中古 品を設置するなど、投資を圧縮する。当初、年産20万~30万台分規模で生産を立ち上げ、順次、50万台規模に拡充していく。(2011年1月1日付日刊 自動車新聞より)
<インドネシア>
-自動車用照明機器の生産・販売を行う新会社を2010年6月に設立。同国での四輪車・二輪車用照明機器の受注拡大に対応するもので、ASEANではタイに続く2番目の拠点となる。設立するのは「PT.インドネシア・コイト」で、カラワン県の工業団地内に本社・工場を置く。資本金3000万ドルで、小糸が 90%、豊田通商が10%を出資。工場は8万平方メートルの敷地に2万平方メートルの建屋を建設。従業員は400人。2011年4月から生産を開始し、年産能力は四輪車用ヘッドライトが40万台(12年)、二輪車用ヘッドライト・標識灯が各120 万台(同)。(2010年5月11日付日刊自動車新聞より)
主な設備の新設計画
(2011年3月31日現在)
会社/事業所 | 設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了 |
静岡工場 (静岡県静岡市) |
自動車照明機器製造設備 他 | 1,901 | 2011年 4月 |
2012年 3月 |
榛原工場 (静岡県牧之原市) |
自動車照明機器製造設備 他 | 1,485 | 2011年 4月 |
2012年 3月 |
小糸九州(株) (佐賀県佐賀市) |
自動車照明機器製造設備 他 | 1,621 | 2011年 3月 |
2012年 3月 |
North American Lighting, Inc. (米国イリノイ州) |
自動車照明機器製造設備 他 | 5,319 | 2011年 3月 |
2012年 3月 |
上海小糸車灯有限公司 [Shanghai Koito Automotive Lamp Co., Ltd. ] (中国上海市) |
自動車照明機器製造設備 他 | 4,094 | 2011年 3月 |
2012年 3月 |
Thai Koito Co., Ltd. (タイ サムットプラカン県) |
自動車照明機器製造設備 他 | 4,150 | 2011年 3月 |
2012年 3月 |