三菱電機 (株) 2011年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2011年 3月期 |
2010年 3月期 |
増減率(%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 3,645,331 | 3,353,298 | 8.7 |
- |
営業利益 | 233,761 | 94,302 | 147.9 | - |
当期純利益 | 124,525 | 28,278 | 340.4 | - |
産業メカトロニクス事業 | ||||
売上高 | 927,002 | 733,132 | 26.4 | -自動車機器事業は、国内及び西欧の一部市場において販売奨励策打切りによる需要の減少が見られるものの、中国・インドをはじめ各国市場での需要が拡大し増収。 |
営業利益 | 100,089 | 26,138 | 282.9 | - |
経営戦略 (2011年6月発表)
自動車機器事業-新興国市場(中国・インド・ブラジル)における事業拡大。
-各地域ごとのニーズに対応した製品開発の推進。
「環境・省エネ」、「情報通信」をキーワードとした開発強化による競争力向上
オルタネータ・スタータ-ISS、エネルギー回生や高効率・小型軽量化など、低燃費化需要に対応した製品のタイムリーな開発と市場投入。
IPU(インテリジェント・パワー・ユニット)
-EV/HEV市場の拡大における、半導体技術と車載技術のシナジー効果による製品競争力強化。
EPS(電動パワーステアリング用モータ・コントローラ)
低燃費化需要に対応した競争力あるラインアップの開発。
カーマルチメディア
カーナビから車載情報センター化への進化に対応した車内外との通信機能の充実。
業績見通し |
(単位:億円) |
2012年3月期 予想 |
2011年3月期 実績 |
2010年3月期 実績 |
||||
売上高 | 営業 利益 |
売上高 | 営業 利益 |
売上高 | 営業 利益 |
|
全社 | 37,700 | 2,300 | 36,453 | 2,337 | 33,532 | 943 |
産業メカトロニクス | 9,800 | 940 | 9,270 | 1,000 | 7,331 |
261 |
>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)
開発動向
研究開発体制
-国内研究所、海外研究所(米、欧)および製作所・連結子会社の開発部門において、基礎研究から応用研究、製品化開発、生産技術開発を推進。また、国内外の大学、研究機関等と連携した研究開発活動も推進している。-産業メカトロニクス事業では、自動車用電装品、電動パワーステアリングおよびその関連製品、カーマルチメディア機器などの競争力強化に向けた開発を行っている。
研究開発費 |
(単位:億円) |
2011年3月期 | 2010年3月期 | 2009年3月期 | |
全社 | 1,517 |
1,337 | 1,444 |
産業メカトロニクス事業 | 449 |
347 | 377 |
割合 | 29.6% |
26.0% | 26.1% |
研究開発活動
-レアアース(希土類)を使用しない電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の駆動用モーターを2012年度にも実用化する。電磁石の原理を応用した新構造や高密度巻線技術の採用などにより、既存のレアアース磁石モーターと同等の性能を確保する。「量産段階でのコストは既存品と同等レベル」(同社)と している。今後、騒音や振動への対策や出力効率の向上などを図り、自動車メーカーに採用を働きかけていく。(2011年2月21日付日刊自動車新聞より)-ハイブリッド車用インバーターモジュールの次世代品を現行型に比べ3割程度小型化する目標を掲げた。量産中の第3世代で実現した従来比「体積で3割、重量で4割の低減」と同等レベルの性能向上を目指す。今後、性能や耐久性の試験を経て量産試作に移る3年後をめどに市場投入する予定だ。同社のハイブリッド車用インバーターモジュール第3世代品は2009年発売のホンダ「インサイト」に採用されている。他の自動車部品に比べ性能向上の見込みが大きい電力関連部品は、搭載車種のモデルチェンジごとに大幅な小型化、軽量化、低コスト化が期待されている。 (2010年11月30日付日刊自動車新聞より)
EV/HEV用自動車機器
1) IPU
-SiCを含めたパワーデバイス技術の活用と高効率な放熱実装技術の開発による、小型化・高機能化の追求。
2) EV-ECU
-高度なエネルギーマネジメント技術による、電力・電費効率の最大化。
-車輌としての安全性を確保する機能安全技術の確立。
3) モータ
-小型・軽量・高効率を実現する基本構造の構築。
-幅広い用途に対応できる標準プラットフォームの開発。
4) BMU
-バッテリーメーカーとの協調による車輌充放電制御システムの開発。
5) 車載充電器
-階調制御等、独自の電力変換技術を組み込んだ高効率の追求。
-小型・軽量化のためのトータルシステム最適化。
製品開発
1) フルSiC-IPM-2011年2月、東京・千代田区の本社で「研究開発成果披露会」を開催、報道関係者に最近の研究開発の成果を公開した。山西健一郎社長は「環境志向の高まり、新興国での社会インフラの整備などが加速する中、当社の事業機会も拡大が期待できる。成長戦略を高効率な自動車機器を含む環境・エネルギーや社会イ ンフラを中心に展開していく」などと述べた。また、研究開発投資については「2010年度で1500億円前後」とした上で、「さらに成長戦略の展開に向けた投資を増やしていく」などと語った。SiCインテリジェントパワーモジュールはパワー半導体素子のすべてをSiC(炭化ケイ素)で構成したうえで、駆動 回路と保護回路を内蔵したもので、「世界初の技術」(同社)だという。一般的なシリコンを使ったインテリジェントパワーモジュールと比べてインバーターの損失を約70%低減し、モジュールの体積も半減した。一般産業用機器や昇降機などのほか、自動車分野でも用途開発を図る。(2011年2月17日付日刊自動車新聞より)
2) 電動パワーステアリング用モーターコントローラーユニット
-2010年11月、電動パワーステアリング(EPS)用の世界最小・最軽量のモーターコントロールユニットを開発したと発表した。コントローラーの内部構造の改良により従来品に比べて体積を50%、質量を30%削減。また、独自技術と電磁気設計の最適化で出力性能を同30%向上した。EPSは近年、さらなる燃費低減や搭載性向上のため駆動するモーターとコントローラーの小型化や軽量化が求められている。こうしたニーズを背景に新製品の開発を行った。 (2010年11月5日付日刊自動車新聞より)
3) メモリーカーナビゲーションシステム
4)カーボンナノチューブを用いた車載用DIATONEスピーカー「DS-G50」
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2011年3月期 | 2010年3月期 | 2009年3月期 | |
全社 | 126,964 |
102,767 | 150,128 |
産業メカトロニクス事業 | 34,116 | 22,911 | 44,655 |
割合 | 26.9% |
22.3% | 29.7% |
-産業メカトロニクス事業においては、FA機器及び自動車用機器における増産等を目的として投資を実施。
設備投資
国内-2011年1月、姫路製作所広畑工場(兵庫県姫路市)を拡張し、電動パワーステアリング(EPS)関連製品を生産する新工場を建設すると発表した。モーターコントロールユニットなどを2012年8月から生産する計画。新工場の稼働開始にあわせ、一部、生産ラインの集約化による生産性向上を図り、EPS関連製品の生産能力を現状の年間700万台から同1200万台へと増強する。 (2011年1月20日付日刊自動車新聞より)
海外
-2011年3月、中国の江蘇省に電動パワーステアリング用機器とカーマルチメディア製品を製造・販売する子会社を設立すると発表した。新会社の名称は 「三菱電機汽車部件(中国)有限公司」とし、江蘇省常熟市の東南経済開発区に本社・工場を置く。同社の自動車用機器の中国現地拠点としては2カ所目とな る。資本金3千万ドル(約24億5千万円)のうち三菱電機が90%、同社の中国法人が10%を出資して4月中旬に設立する。工場は敷地面積が約5万平方メートルで、延べ床面積が約2万平方メートルの建屋を建設する。初期設備投資額は資本金同等額を予定している。2012年の稼働開始を予定。15年度には 既存拠点と合わせて、中国国内での自動車機器事業の売上高を現状の3、4倍に相当する500億円に拡大することを目指す。(2011年3月10日付日刊自動車新聞より)
設備投資計画 |
(単位:百万円) |
2012年3月期 | 主な内容・目的 | |
全社 | 200,000 | - |
産業メカトロニクス事業 | 45,000 | -FA機器及び自動車用機器の増産、合理化 等 |
割合 | 22.5% | - |