株式会社ジェイテクト 2007年度の動向

ハイライト

2008年3月期のハイライト

業績

(単位:
百万円)

2008年
3月期
2007年
3月期
増減率
(%)
主な要因
全社
売上高 1,157,594 1,025,297 12.9 技術開発力の強化および品質向上に努めるとともに、生産・販売体制の効率化を図った。
営業利益 77,650 64,630 20.1 原材料価格の上昇等の影響を受けたものの、売上高の増加により増益。
経常利益 72,896 66,968 8.9 原材料価格の上昇、法人税法改正による減価償却費の増加等の影響があったが、売上高増加の効果により増益。
当期純利益 43,446 44,900 (3.2) -
機械器具部品事業
売上高 954,968 826,045 15.6 ステアリング、ベアリングおよび駆動系部品とも、国内をはじめ、海外においても主に欧州やアジアで販売を伸ばす。
営業利益 59,569 43,665 36.4 -

受注

「ラッククロス式電動パワーステアリング(RC-EPS)」が、GMのフルサイズSUV「シボレー タホ ハイブリッド」と「GMCユーコン ハイブリッド」に採用された。フルサイズSUVに電動パワーステアリング(EPS)が搭載されるのは初めてのこと。高出力対応の専用モーターを開発したほか、ボールネジとベベルギアによる2段変速機構により、高出力化・高効率化を図った。これにより、車両重量が3トンを超える大型車での採用を可能にした。(2008年1月23日付日刊自動車新聞より)

会社設立

-インド

2007年7月、ハリアナ州に「JTEKT Sona Automotive India Ltd. (JSAI)」を設立。2010年1月からコラム式電動パワーステアリング(EPS)の生産を開始する。出資比率は同社が51%、同社の関連会社「Sona Koyo Steering Systems Limited (Sona Koyo)」(ハリアナ州、同社の出資比率20.1%)が49%。

2007年10月、同社の関連会社「Sona Koyo」と「American Axle & Manufacturing Holdings, Inc. (AAM)」は、合弁で「AAM Sona Axle Private Limited (AAM Sona Axle)」を設立。インド市場の小型トラック、乗用車、SUV向けにアクスルアッセンブリーを生産する計画。

事業計画

CVT(無段変速機)用チェーン事業に参入すると発表。高効率で大トルクに対応可能な「インボリュートチェーン」の開発に成功。2009年を目標に商品化し、2012年には年間100万本、売上高で100億円を目指す。燃費向上を目的に、自動車メーカーが、AT(オートマチックトランスミッション)からCVTへの切り替えを進めていることに対応し、軸受け、ステアリングといった主力事業に続く新規事業領域として参入する。開発した「ジェイテクト・インボリュートチェーン」は、チェーンの形状がらせん状であることが特徴で、国内外を含めて商品化された例はまだない。従来のチェーン式の弱点であった騒音を低減するとともに、金属ベルト式のトルク上限(約350ニュートンメートル)を2倍以上も上回るトルク領域をカバー。既存CVTに比べ、燃費を4-5%向上させる効果がある。(2007年4月9日付日刊自動車新聞より)

パワーステアリング事業の拡充に向け、グループ会社でステアリング・シート部品メーカーの富士機工との連携を強化する。次世代電動パワーステアリング(EPS)などの小型化、高機能化に取り組み、特に需要の急増が予想されるコラム式EPSでは、ステアリング支持部品(コラム)との一体化などで、商品力の向上を目指す。また、日産自動車との取引関係が長い富士機工との一体感を強めることで、新規需要の開拓も狙う。(2007年10月29日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発体制

-研究開発拠点 (国内)
拠点名 所在地
研究開発センター 奈良県橿原市
大阪府柏原市
愛知県刈谷市

研究開発費

(単位:百万円)

2008年3月期 2007年3月期 2006年3月期
全社 30,857 29,957 24,718

研究開発活動 (2008年3月期)

ステアリング部門

従来は油圧パワーステアリングの領域だった3トン以上の大型SUV・ピックアップトラック車で、世界初搭載となる電動パワーステアリングを開発、2007年12月より北米市場に投入。これにより、同社グループは軽自動車用から大型SUV、ピックアップトラック車用まで、電動パワーステアリングの商品ラインナップを揃える唯一のサプライヤーとなる。

2007年12月、従来の油圧パワーステアリングに対する省エネ対応商品として、可変流量(V.F.C)ポンプを北米市場で量産開始。これは、走行条件に応じてポンプの吐出量を制御することによって損失エネルギーを半減し、燃費向上を実現する環境貢献商品。

電動パワーステアリング(EPS)用のホール式ICトルクセンサーを開発し、EPSへの適用拡大を進めていくと発表。エンジンルーム内での高温仕様環境でも安定した操舵フィーリングを実現した。新トルクセンサーは、デジタル演算機能、不揮発性メモリー、温度補正機能を一つのチップに内蔵した高機能ホールICを採用したことにより、トルク検出制度を向上させるとともに、従来式のトルクセンサーに比べ、温度変化による特性変動を30%向上させた。2010年以降に制定される、欧州新安全規格に対応。検出部にICチップを2個使用することで、2つのチップの出力差を監視し、故障検出率を向上させた。(2007年6月26日付日刊自動車新聞より)


ベアリング・駆動系部品部門

-ベアリング

アイドリングストップ機構用電動ポンプの新製品を開発。同一出力では世界最小クラスのコンパクト化を実現するとともに、設計の最適化により使用頻度の高い油圧領域での高効率化を実現した。新開発品は、ブラシレスセンサーレスモーターを採用するとともに、コントローラーとポンプを一体設計とし、現行品に比べ60%の小型化に成功。また、各要素の設計最適化により効率性も5-10%向上し、バッテリーへの負荷を軽減した。アイドリングストップ車だけでなく、モーター走行時に電動ポンプが必要なハイブリッド車へのシリーズ展開を図り、2012年に7億円の売上を目指す。(2007年6月1日付日刊自動車新聞より)

自動車のエアコンコンプレッサーのプーリ向けに、低トルクかつ密封性に優れた軸受シール「RD3シール」を開発、量産を開始。同社はその標準化を進めるとともに、アイドラー用等の外輪回転用軸受のシールとして展開する。(2007年9月25日付プレスリリースより)

小型車用軽量ハブユニットを開発。剛性・強度を維持しながら、従来品に比べ30%の軽量化を実現。ハブユニットと周辺部品であるブレーキドラム、ホイールを含めたアクスルアッシーのCAE(コンピューター・エイデッド・エンジニアリング)解析により確立した手法を使い、小型・軽量化を実現した。同社は本製品で2011年に約30億円の売上を目指す。(2007年12月15日付日刊自動車新聞より)

回転時のトルクを大幅に低減した自動車のトランスミッション用スラスト針状ころ軸受(スラストニードル軸受)を開発。この低トルクタイプ軸受は、従来品に比べ回転トルクを約50%低減し、自動車の燃費向上に貢献する。本製品は、ころ端面と保持器ポケット端面とのしゅう動抵抗に着目。保持器のポケット端面に凸部を設けるよう、保持器の断面形状を変更。これにより、従来品と同等の寿命・高速性・耐摩耗性を確保しつつ、回転トルクを50%低減することに成功した。同社は本製品で、2012年に12億円の売上を目指す。(2008年3月14日付プレスリリースより)

CVTチェーン(ジェイテクト・インボリュートチェーン)を開発。従来の金属ベルトに対して燃費が4-5%向上。量産化に向けて開発を推進中。

開発中のタイヤ力検知センサ内蔵ハブユニットについては、このタイヤ力検知技術を用いた車両の安全制御技術の開発にも着手。

寿命8倍でコンパクト化を実現した、長寿命遊星歯車用ニードルベアリングを開発。


-駆動系部品


コンパクトなセンタデフ用トルセンを新開発し、国内最高級ハイブリッド乗用車に搭載。

4WDカップリング(ITCC)については、ITCC用電磁クラッチのDLC(Diamond Like Carbon)- Si皮膜技術が、小型・高性能のITCC開発を実現し、燃費改善に貢献。

設備投資

設備投資額
- 2008年3月期 2007年3月期 2006年3月期
全社 58,912 60,303 43,013
機械器具部品事業 54,411 53,053 37,995

海外投資 (2008年3月期)

-インド

2007年7月、ハリアナ州に「JTEKT Sona Automotive India Ltd. (JSAI)」を設立。2010年1月からコラム式電動パワーステアリング(EPS)の生産を開始する。資本金は約15億円で、同社が51%、同社の関連会社「Sona Koyo Steering Systems Limited (Sona Koyo)」(ハリアナ州、同社の出資比率20.1%)が49%を出資。総投資額は約35億円で、2010年に約90億円の売上を見込んでいる。(2007年10月22日付プレスリリースより)

同社の関連会社「Sona Koyo」と「American Axle & Manufacturing Holdings, Inc. (AAM)」は、合弁で「AAM Sona Axle Private Limited (AAM Sona Axle)」を設立。インド市場の小型トラック、乗用車、SUV向けにアクスルアッセンブリーを生産する計画。新会社はインドのプネ(Pune)に本社を置き、同国北部に生産拠点を設立する。新工場は2008年稼動予定で、当面はTata Motors向け小型車用アクスルを生産する。(2007年10月30日付プレスリリースより)

設備の新設等
事業所名 所在地 設備の内容 設備予定
総額
(百万円)
着手 完了予定
国分工場 大阪府
柏原市
機械器具部品製造設備 等 3,900 2008年
4月
2009年
3月
徳島工場 徳島県
藍住町
機械器具部品製造設備 等 3,600 2008年
4月
2009年
3月
香川工場 香川県
東かがわ市
機械器具部品製造設備 等 2,900 2008年
4月
2009年
3月
ダイベア㈱
本社・堺工場
ほか
大阪府
堺市
機械器具部品製造設備 等 4,700 2008年
4月
2009年
3月
Koyo Corporation of USA アメリカ
サウスカロライナ州
機械器具部品製造設備 等 3,300 2008年
1月
2008年
12月