愛三工業 (株) 2018年3月期の動向
業績
(単位:百万円)
2018年 3月期 |
2017年 3月期 |
増減率 (%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 212,524 | 203,769 | 4.3 | - |
営業利益 | 9,421 | 8,159 | 15.5 | 下記要因 |
経常利益 | 9,770 | 7,407 | 31.9 | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 4,526 | 4,505 | 0.5 | - |
要因
-2018年3月期実績は、日本は増収増益。アジアは増収増益、米州は減収増益、欧州は増収減益。
営業利益
- 日本:購入費改善や生産性向上など変動費率の改善により、前年比0.6%増
- アジア:各国での販売量の増加により、前年比8.4%増
- 米州:米国での販売量の減少により、前年比2.6%減
- 欧州:販売量の減少により、前年比3.9%減
中期重点方策
-「商品力強化」「ものづくり深化」「収益体質強化」などに注力する。
コア商品拡大
エバポ(蒸発ガス制御)系: キャニスター
- 米・中の環境規制強化に対応し高機能キャニスターを拡販
- 現有ラインを活用した設備展開
吸排気系: EGRバルブ
- 高応答性・高密閉性で大量EGRを実現
- 燃費向上のため搭載車種増、顧客ニーズに応じた品揃えで市場の伸びを掴む
吸排気系:スロットルボディ
- 品揃えの幅を広げ、世界トップシェアを維持・拡大
- 現有ラインを活用した設備展開
吸排気系: 基幹電子部品
- 基幹電子部品を自社開発、量産化
- スロットルボディ・EGRバルブ共用量をまとめ、原低早期化
燃料系: 燃料ポンプ&モジュール
- 燃料保持のための汲み上げ廃止で省電力化
ものづくり改革
設備技術の進化
従来設備の徹底活用
新工法による製品構造変革、工程変革
商品開発
エバポ(蒸発ガス制御)系: キャニスター
- 米・中主体にグローバルで規制強化、よりコンパクトな製品・システム実現
吸排気系:サブシステム
- 高応答・高密閉なEGRバルブが主体
- 過給対応の流量確保技術確立
- 断熱技術の確立
ガス燃料(LPG, CNG, FCV)
- FCVの製品領域拡大
- 水素供給系以外にも拡大
開発の強化:広瀬テクニカルセンター設立
- 開発の基盤強化、燃料系耐久評価設備の集約・一元化および生産工場近接で効率化
開発の強化:システム適合事業の拡大
- カーメーカーの新車開発パートナーとして、環境・燃費改善に参画
- システム適合の高度化・ニーズ拡大にタイムリーに対応
地域成長戦略
米州
- 米国の収益力強化
- メキシコの安定化+拡張
中国・韓国
- キャニスター拡販
アセアン・インド
- 2輪FI製品拡販
2019年3月期見通し
(単位:百万円)
2019年3月期 (予想) |
2018年3月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
全社 | |||
売上高 | 213,000 | 212,524 | 0.2 |
営業利益 | 9,500 | 9,421 | 0.8 |
経常利益 | 9,500 | 9,770 | (2.8) |
当期純利益 | 5,800 | 4,526 | 28.1 |
要因
-為替の影響(1米ドル105円を想定)で増収増益の予想。
中期経営計画
目標経営指標
-グループとして連結売上高2,500億円、連結営業利益150億円を中期経営目標として掲げ、ROE(自己資本当期純利益率)については10%以上を目標としている。
事業戦略
-市場動向や技術トレンドを的確に捉え、成長地域・分野の事業拡大を積極的にはかるとともに、コア技術を活用した新規事業分野の開拓に取り組む。
商品開発・ものづくりの競争力強化
-長年培ってきたバルブ、ポンプ、モータ、センサーなどのコア製品・技術に一層の磨きをかけ、次世代・将来製品の開発や自動車の電動化に対応した製品の開発を進める。またコストハーフをめざしたものづくり主導の競争力強化に努める。
グループ経営基盤の強化
-働き方改革を通じた効果的・効率的なリソース活用などにより収益体質を一層強化するとともに、グループ全体でのコーポレ―トガバナンスの充実をはかり、経営基盤の強化を進める。
新会社
-同社とインド自動車部品メーカーのFiem Industriesは、2輪車・3輪車向け燃料ポンプモジュールの製造・販売を行う合弁会社をインドに設立すると発表した。新会社の資本金は10億ルピーで、持株比率は愛三工業 69%、Fiem 26%。工場は、ラジャスタン州のインド電子産業協会(ELCINA)クラスターに建設される予定。(2018年3月28日付プレスリリースより)
研究開発費
(単位:百万円)
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
全社 | 11,196 | 10,922 | 10,854 |
-日本 | 10,554 | 10,052 | 9,969 |
-アジア | 642 | 870 | 885 |
研究開発拠点
-同社は、愛知県豊田市に新設した研究開発拠点「広瀬テクニカルセンター」が稼働したと発表した。投資額は、建屋や設備などを含めて約35億円。愛知県内に点在する評価試験機能の大半を新拠点に集約し、製品開発の効率化を図る。内燃機関の進化に対応した技術を開発するのに加え、将来的には燃料電池車などの電動車向けの製品開発も視野に入れる。(2017年8月29日付日刊自動車新聞より)
研究開発活動
-低燃費、排出ガス低減、さらには性能向上、安全性・快適性に応えられる製品の開発を強化。
- 低燃費・排ガス低減 :
-排気ガス循環(EGR)システムの流量制御を行うEGRバルブで要求される 流量・応答性・密閉性
の全てを高い次元で対応したDCモータ式EGRバルブを量産化した。
-北米LEVⅢ規制に加え、欧州のユーロ6規制に対応したキャニスターを量産化、今後規制強化が
予定される中国へも展開予定。 - 性能向上、安全性・快適性の応えられる製品の開発強化。
研究開発体制
-同社は、燃料ポンプモジュールなど主力3製品について売価2分の1を目指す新たな開発体制をスタートさせた。設計、生産技術、調達の担当者を製品ごとに集め、コスト競争力を大幅に高めた製品を開発する。3チームのリーダーには生産技術部門のメンバーを任命し、「どのように造ればコストを下げられるか」を発想の起点に設計する。売価を半減にした製品は2020年の量産開始を想定する。(2017年2月6日付日刊自動車新聞より)
設備投資額
(単位:百万円)
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
全社 | 12,022 | 12,738 | 15,884 |
-54億5千1百万円を国内に、65億7千1百万円を海外に投資。
-日本ではシステム開発力強化および次世代自動車に向けた将来製品の開発のため、広瀬テクニカルセンターの評価設備、システム適合およびその他試験研究に1,132万円を投資。
製品分野への投資額 (製品別)
(単位:百万円)
製品 | フューエルポンプモジュール | スロットルボディ | キャニスター | エンジンバルブ | EGRバルブ | 合計 |
金額 | 2,825 | 1,457 | 629 | 1,794 | 685 | 7,390 |
製品分野への投資額 (地域別)
(単位:百万円)
地域 | 日本 | アジア | 米州 | 欧州 | 合計 |
金額 | 2,284 | 1,879 | 2,419 | 808 | 7,390 |
主な設備の新設計画
事業所名 | 設備の内容 | 投資予定額 | 着工年月 | 完了予定年月 |
本社工場 (愛知県大府市) |
EGRバルブ製造設備 | 967 | 2016年 10月 |
2019年 3月 |
フューエルポンプモジュール製造設備 | 652 | 2017年 5月 |
2018年 10月 |
|
安城工場 (愛知県安城市) |
スロットルボディ製造設備 | 1,522 | 2017年 1月 |
2019年 3月 |
エンジンバルブ製造設備 | 575 | 2017年 2月 |
2019年 3月 |
|
キャニスター製造設備 | 476 | 2017年 4月 |
2019年 2月 |
|
エンジンバルブ製造設備 | 218 | 2017年 3月 |
2019年 2月 |
|
豊田工場 (愛知県豊田市) |
フューエルポンプモジュール製造設備 | 2,559 | 2016年 12月 |
2019年 3月 |
Aisan Auto Parts India Pvt. Ltd. (インドチェンナイ市) |
二輪製品製造設備 | 1,624 | 2018年 1月 |
2018年 12月 |
P.T. Aisan Nasmoco Industri (インドネシア西ジャワ州) |
二輪製品製造設備 | 1,484 | 2018年 1月 |
2018年 12月 |
Aisan Industry Czech s.r.o. (チェコローニー市) |
スロットルボディ製造設備 | 943 | 2018年 1月 |
2018年 12月 |
Franklin Precision Industry, Inc. (米国ケンタッキー州) |
スロットルボディ製造設備 | 689 | 2018年 1月 |
2018年 12月 |
愛三(天津)汽車部件有限公司 (中国天津市) |
フューエルポンプモジュール製造設備 | 557 | 2018年 1月 |
2018年 12月 |