アルパイン (株) 2017年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2017年 3月期 |
2016年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 247,751 | 273,056 | (9.3) | -短期的に為替の急激な変動など外部環境の悪化により売上高が減少。 |
営業利益 | 5,612 | 5,434 | 3.3 | -主に固定費の抑制により微増。 |
経常利益 | 7,439 | 6,170 | 20.6 | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 7,760 | 10,698 | (27.5) | - |
音響機器事業 | ||||
売上高 | 45,973 | 52,824 | (13.0) | - |
営業利益 | 2,475 | 1,462 | 69.3 | - |
情報・通信機器事業 | ||||
売上高 | 201,778 | 220,232 | (8.4) |
-自動車メーカー向け純正品は、欧州自動車メーカー向けディスプレイ製品の売上高は堅調に推移したが、日系自動車メーカーの一部車種のモデル切り換えの影響を受け、売上高が減少。 |
営業利益 | 8,233 | 8,170 | (0.8) | - |
最近の動向
アルプス電気と経営統合
2017年7月、アルプス電気は、アルパインと経営統合すると発表。アルプス電気が株式交換でアルパインを完全子会社化する。アルプス電気は2019年4月に持株会社体制に移行する。両社の経営統合でアルプス電気グループは売上高1兆円規模となる。自動車の電子化が加速する中で、両社の事業領域が重複している。このため経営統合することで車載事業を強化するとともに、事業の効率化を図る。アルパインは18年末に上場廃止となる予定。(2017年7月28日付日刊自動車新聞より)
-2017年6月、ソフトウエア開発会社のシーズ・ラボへの出資比率を引き上げ。アルパインのシーズ・ラボへの出資比率は22.5%だったが議決権ベースで51%に引き上げて子会社化する。自動運転時代に向けたカーナビアプリケーションソフトウエアの開発力を強化するのが目的。シーズ・ラボは今後、アルパイングループで人工知能 (AI) 技術を含む先端技術や、クラウド系ソフトやサーバー関連、次世代ナビソフトなどの開発を担う。(2017年6月23日付日刊自動車新聞より)
-持分法適用関連会社で、オートモーティブ関連の技術開発と販売を行う東軟睿馳汽車技術(上海)(ニューソフトリーチオートモーティブテクノロジーシャンハイ)が実施する第三者割当増資のうち、39%をアルパイン子会社のアルパインエレクトロニクスチャイナが引き受けると発表した。増資金額2億5500万元(約40億8千万円)のうち、アルパインエレクトロニクスチャイナが9945万元(約15億9100万円)を引き受ける。増資後の資本金は5億6270万元(約90億300万円)で、出資比率は東軟集団が46.61%、アルパインエレクトロニクスチャイナが44.33%、瀋陽福瑞馳企業管理中心が9.06%となる。(2016年12月3日付日刊自動車新聞より)
事業再編
-自動車向け電装品事業を強化するため、子会社を再編すると発表。全額出資子会社のアルパイン技研を吸収合併するとともに、全額出資子会社のアルパインテクノ(同)とアルパインプレシジョン(同)をアルパインマニュファクチャリング(同)に吸収合併する。再編は2017年4月1日付で実施する。(2016年12月2日付日刊自動車新聞より)
2018年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2018年3月期 (予想) |
2017年3月期 (実績) |
増減率 (%) | |
売上高 | 250,000 | 247,751 | 0.9 |
営業利益 | 6,500 | 5,612 | 15.8 |
経常利益 | 5,600 | 7,439 | (24.7) |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 800 | 7,760 | (89.7) |
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2017年3月期 | 2016年3月期 | 2015年3月期 | |
全社 | 15,400 | 19,600 | 18,100 |
音響機器事業 | 2,800 | 2,500 | 3,100 |
情報・通信機器事業 | 12,600 | 17,000 | 15,000 |
共同開発
日本IBMと次世代車載システムの開発
-2016年7月26日、日本アイ・ビー・エム (日本IBM) と次世代車載システムの開発に着手したと発表した。年内にも試作機を完成させ、自動車メーカーへの提案を進める。開発するシステムは、アルパインの車載機器とIBMの自動車業界向けIoT (モノのインターネット) ソリューション「ワトソン・IoTフォー・オート モーティブ」を基盤技術として利用し、IBMのクラウドを活用して動的情報によって運転者や同乗者の嗜好に合わせたドライブ環境を提供する。具体的には、ドライバーの運転志向や傾向に合った経路を学習してルート案内するほか、ソーシャル情報や好みを分析して経由地や目的地を提案するなどの活用を検討する。システムは、将来的にコネクティッドカーが数千万台規模で同時接続することを想定した設計とする。(2016年7月27日付日刊自動車新聞より)
中国で技術開発の合弁会社設立
-2016年11月、持分法適用関連会社の東軟睿馳汽車技術(上海)有限公司[Neusoft Reach Automotive Technology (Shanghai) Co., Ltd.]が実施する増資の39%を、子会社のALPINE ELECTRONICS(CHINA)が引き受けると発表した。増資は2016年12月に実施する。増資引受額は99.45百万元で、増資後の資本金は562.7百万元となる。 (2016年11月24日付プレスリリースより)
-2015年11月、中国合弁会社「東軟睿馳汽車技術 (上海) 有限公司 [Neusoft Reach Automotive Technology (Shanghai) Co., Ltd.] の設立を完了。上海に位置する新会社は、自動車関連の技術開発および販売を行う。資本金は384.6百万元 (約73.57億円)で、アルパインの出資金額は150百万元 (約28.69億円)。出資比率は東軟集団股份有限公司が41%、アルパイン子会社のAlpine Electronics (China) が39%、瀋陽福瑞馳企業管理中心が20%となる。拡大を続ける中国市場において、電気自動車などのバッテリパッケージ管理とインテリジェントチャージの重要技術、画像認識やセンサーを融合させた高度な運転支援システム、自動運転の重要技術、および、クラウドプラットフォームベースのテレマティクス、コネクティッドカーなどの分野で研究開発を進め、事業化に取り組む。
主な技術導入契約 |
(2017年3月31日現在) |
契約先 | 国名 | 契約内容 | 契約期間 |
Dolby Laboratories Licensing Corporation | 米国 | DVD等の雑音低減装置に関する特許実施権の許諾 | 1998年1月1日から 特許存続期間満了日まで |
株式会社 東芝 | 日本 | DVDプレーヤーに関する特許実施権の許諾 | 2000年12月31日から 2017年12月31日まで 以後5年ごとの自動更新 |
Microsoft Corporation | 米国 | 基本ソフトに関する使用権の許諾 | 2003年7月1日から 2017年12月31日まで 以後5年ごとの自動更新 |
ソニー株式会社 | 日本 | オーディオ機能付きナビゲーション機器に関する特許実施権の許諾 | 2014年1月1日から 2018年12月31日 |
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2017年3月期 | 2016年3月期 | 2015年3月期 | |
全社 | 7,978 | 7,494 | 7,496 |
音響機器事業 | 1,538 | 1,648 | 1,731 |
情報・通信機器事業 | 6,440 | 5,845 | 5,765 |
-生産過程の詳細な履歴を記録に残すトレーサビリティー(追跡可能性)をグローバルで拡充する。生産現場での情報をリアルタイムに管理する製造実行システム(MES)の一つとして展開し、トレーサビリティー管理システムを世界共通で構築する。製品単位(ロット)ではなく、単品ごとの詳細なトレーサビリティーを世界の工場で統一、不具合の発生時など、早期に原因を解明して、グローバルに横展開することで問題が拡大するのを防ぐ。16年度以降、国内外の生産拠点で順次導入を進める。サプライヤーにトレーサビリティーシステムの統一を求める欧州自動車メーカーの要望に応える。MESで取得したデータは、トレーサビリティーに加え、品質向上や製造工程の自動化にも活用する。(2016年7月25日付日刊自動車新聞より)
2017年3月期の主な設備投資
音響機器事業 | (単位:百万円) |
2017年3月期 | |
金型を中心とした有形固定資産 | 270 |
ソフトウェアの開発等 | 467 |
生産設備の投資 | |
-米州生産拠点 「Alpine Electronics of America, Inc.」 | 147 |
-メキシコ生産拠点 「Alcom Electronicos de Mexico, S.A. de C.V.」 | 65 |
-欧州生産拠点 「Alpine Electronics Manufacturing of Europe, Ltd.」 | 38 |
-アジア・オセアニア生産拠点 「Alpine Technology Manufacturing (Thailand) Co., Ltd.」 | 206 |
-中国販売開発拠点 「Alpine Electronics (China) Co.,Ltd.」 | 58 |
情報・通信機器事業 | (単位:百万円) |
2017年3月期 | |
新製品開発および生産の合理化を目的とした有形固定資産 | 1306 |
ソフトウェアへの投資 | 2261 |
生産設備の投資 | |
-米州生産拠点 「Alpine Electronics of America, Inc.」 | 382 |
-メキシコ生産拠点 「Alcom Electronicos de Mexico, S.A. de C.V.」 | 258 |
-欧州生産拠点 「Alpine Manufacturing of Europe, Ltd.」 | 562 |
-中国生産拠点 「Dalian Alpine Electronics Co.,Ltd.」 | 382 |
-中国販売開発拠点 「Alpine Electronics (China) Co.,Ltd.」 | 175 |
-国内販売拠点 「アルパインマーケティング (株) 」 | 388 |
設備の新設 |
(2017年3月31日現在) |
事業所名 | 所在地 | 設備の内容 | 投資 予定額 (百万円) |
着手年月 | 完了予定年月 | 摘要 |
いわき事業所 | 福島県 いわき市 |
生産設備・研究開発・その他設備 | 3,400 | 2017年4月 | 2018年3月 | 新製品・増産 合理化等 |
Alpine Electronics Manufacturing of Europe, Ltd. | ハンガリー ビアトルバージ市 |
生産設備 | 946 | 2017年4月 | 2018年3月 | 新製品・増産 合理化等 |
Dalian Alpine Electronics Co. Ltd. | 中国 大連市 |
生産設備 | 630 | 2017年4月 | 2018年3月 | 新製品・増産 合理化等 |