Compagnie Plastic Omnium S.A. 2015年12月期の動向
業績 |
(単位:百万ユーロ) |
2015年 12月期 |
2014年 12月期 |
増減率 (%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 5,009.9 | 4,437.2 | 12.9 | 1) |
純利益 | 262.8 | 229.5 | 14.5 | - |
自動車部品部門 | ||||
売上高 | 4,624.1 | 4,048.1 | 14.2 | 2) |
要因
1) 全社
-2015年12月期の全社売上高は、前年比12.9%増加の5,009.9百万ユーロ。欧州および北米の売上が大きく寄与した。また、為替変動によって405百万ユーロの好影響をもたらした。
2) 自動車部門
-2015年12月期の自動車部品部門の売上高は、前年比14.2%増加の4,624.1百万ユーロ。新工場への投資と新製品が売上増の要因となった。フランス、英国、ドイツ、中国、韓国、日本、インドおよび米国での事業が売上増加に貢献した。
買収
-2016年7月、Faureciaの自動車外装部門の買収を完了したと発表。取引額は665百万ユーロ。(2016年7月29日付プレスリリースより)
-2015年12月、同社はFaureciaより自動車外装部門 (バンパーおよびフロントエンドモジュール) を買収することで合意したと発表した。複合材事業としてFaureciaが 「Smart」 向けに納入しているフランスのHambach工場、ブラジルと中国の合弁会社2社は、今回の買収に含まれていない。(2015年12月14日付プレスリリースより)
合弁事業
-華域汽車系統股份有限公司と同社の合弁会社 「延鋒彼欧汽車外飾系統有限公司 [Yanfeng Plastic Omnium Automotive Exterior Systems co., Ltd.]」 の長沙工場は、初のバンパーラインオフを祝う式典を行った。(2015年1月19日付け各種リリースより)
-主な合弁会社:
- HBPO: Hella、Mahle-Behrと同等比率で出資している合弁会社。フロントエンドモジュールの主要メーカーで、21の組立工場を所有している。
- Yanfeng Plastic Omnium Automotive Exterior Systems (YFPO): 同社が49.95%出資している合弁会社で、中国トップの自動車外装部品メーカー。中国に17の工場があり、約3,400名が開発センターに勤務。
最近の動向
-2015年9月、Volkswagen Groupが米国環境保護庁 (EPA) から指摘を受けたモデル向けには、排気浄化技術であるSCRシステムを納入していないと発表した。同社は、ディーゼル車への排気浄化システム搭載に関して、世界の自動車メーカー13社と提携している。同システムには、尿素タンクやドージングポンプが採用されている。(2015年9月22日付プレスリリー スより)
受注
-2015年に受注した新製品は以下の通り:
- テールゲートおよびスポイラー: 自動車メーカー6社向けに10製品
- ハイブリッドモデル用製品: 加圧燃料タンクを2件受注
- SCRシステム: 自動車メーカー6社向けに6製品
-2015年12月期は132件の新規プログラムを実施。2016年12月期は155件を予定。
新規プログラム数
地域 | 2016年12月期 (予測) | 2015年12月期 |
西欧 | 48 | 52 |
北米 | 22 | 13 |
南米 | 11 | 4 |
アジア | 74 | 63 |
合計 | 155 | 132 |
-2015年初にVolkswagen Groupの新型プラットフォーム 「MLBevo」 向けに、SCR (選択触媒還元) システムの生産を開始したと発表した。2月に開始したAudi 「Q7」 向けの生産に続き、ポーランドのLublin工場でもAudi 「A4」 向けのSCRシステムの生産を開始した。2016~2017年にかけて、Audi 「A5」、Volkswagen 「Touareg」、Porsche 「Cayenne」 にPlastic OmniumのSCRシステムが搭載される予定。Plastic Omniumは、同プラットフォームの寿命全体にわたってSCRシステム200万ユニットを納入する。また、同社製SCRシステムは現在、Audi、 Volkswagen、Porsche、Ford、GM、Chrysler、Renault、日産、トヨタの自動車メーカー9社に採用されている。 2014年に30万ユニットであった生産量は、2018年に220万ユニットまで膨らむとみられ、同社のグローバル市場シェアは35%となる見込み。 (2015年6月19日付プレスリリースより)
-同社は中国において500名のエンジニアや技能者を雇用し、2015年4月現在、100を超えるプログラムに取り組んでいる。欧州で軽量テールゲートの新ライン導入が成功したことに続き、2014年半ばより長安PSA汽車 「DS6」、Volvo 「XC 60」、Land Rover 「Range Rover Evoque」 向けに、複合材料製テールゲート3種類の生産を開始した。2015年には、神龍汽車 「308」 向けに熱可塑性樹脂のみを使用したテールゲートの納入を開始する予定。燃料システムでは、浙江省の寧波 (Ningbo) 工場において、2015年半ばから上汽GM向けのツインシートブロー成形 (TSBM) タンクの生産を始める。さらに、Volvo-Geelyからは初のハイブリッド車向けの受注を獲得し、2017年より生産を開始する計画。(2015年4月17日付プレスリリースより)
-同社は従来に比べて43%軽量化したフロントインパクトビームをHyundai Motor Europe向けに開発した。鋼板を使った同様の部品に比べて、3.7kgの軽量化となる。引き抜き成形したガラス繊維と、熱可塑性樹脂で覆った炭素繊維製のリーンフォースメントを組み合わせることで、高性能・低コストを実現する。同社は2017年までにこの新型インパクトビームを現代自動車のモデルに搭載することを目指す。(2015年3月9日付プレスリリースより)
受賞
-2015年3月、トヨタより 「品質管理優秀賞」 を受賞したと発表した。同社の燃料システムの供給に関して 「車体部門」 で受賞したもの。同社は2004年からトヨタへの供給を行っている。2014年はアジア (中国、タイ、インド)、欧州 (フランス)、南米 (ブラジル、アルゼンチン)、南アフリカの4大陸で、現地の拠点からトヨタ向けに130万基の燃料システムを納入した。また、2015年からはディーゼルエンジン向けSCRシステムの供給も日本で開始する計画。(2015年3月2日付プレスリリースより)
研究開発費 |
(単位:百万ユーロ) |
2015年12月期 | 2014年12月期 | 2013年12月期 | |
合計 | 295.4 | 256.8 | 247.4 |
研究開発体制
-2015年12月末時点、世界で21カ所のR&Dセンターを保有、2,000名超のエンジニアおよび技術者が研究開発に従事。
研究開発拠点
-2015年11月、東京都内に国内自動車産業向けの開発センターを開設したと発表した。20日に開所式を開き、集まった関係者らで新拠点の落成を祝った。この開発センターには80人のスタッフが在籍する予定で、樹脂モジュール部品や燃料・排ガス制御システムの開発、新技術の提案などを手がける。最近はホンダやいすゞ、日産自動車などの日系メーカー向けの売上高が伸びており、開発拠点の現地化によってさらなるビジネス拡大を目指していく。(2015年11月27日付日刊自動車新聞より)
技術提携
-同社とPSA Peugeot Citroenは、従来のスチール製アンダーボディに替わるガラス繊維強化の自己支持型熱硬化性樹脂フロアを開発した。必要な部品数をこれまでの30個超からわずか4個の主要部品に減らし、中型モデル用で8kgの軽量化を実現する。既存の車体組立設備にも対応し、スチールとの複合素材にも使用できるとい う。2014年10月のパリモーターショーでは、Peugeot 「208 Hybrid Air」とCitroen 「C4 Cactus Concept Airflow」の2台のプロトタイプにこのPSAのフロントフロアが採用された。(2015年3月9日付プレスリリースより)
研究開発活動
-自動車部品部門ではCO2およびNOxの排出削減や、空力設計に基づいた製品の軽量化に注力する。
特許
-2015年に142件の特許を取得、合計3,500件以上の特許を取得している。
設備投資額 |
(単位:百万ユーロ) |
2015年12月期 | 2014年12月期 | 2013年12月期 | |
自動車部門 | 242.6 | 191.3 | 219.2 |
環境部門 | 14.0 | 13.2 | 11.6 |
その他 | 12.7 | 49.3 | 28.8 |
調整値 | - | - | (24.0) |
合計 | 269.3 | 253.7 | 235.6 |
-2014年12月、総額17億ユーロの5カ年投資計画を発表。
- 20の新工場に9億ユーロを投資: アジア 12工場、北米 5工場、欧州 3工場
- 既存工場の改修に2億ユーロを投資
- 研究開発に6億ユーロを投資
海外投資
-2015年に9カ所の新工場が稼働。
場所 | 量産開始時期 | 生産品目 | 納入先 |
韓国平澤 | 2015年1月 | フロントエンドモジュール | 双竜 |
中国湖北省武漢市江夏区 | 2015年1月 | バンパー | 上汽GM |
中国北京 | 2015年3月 | フロントエンドモジュール | 北京Benz |
中国重慶 | 2015年3月 | バンパー | 奇瑞、Ford |
ドイツ Regensburg | 2015年3月 | フロントエンドモジュール | BMW |
中国湖南省長沙 | 2015年5月 | バンパー | 上汽GM、GAC-Fiat |
米国テネシー州 Chattanooga | 2015年8月 | バンパー | VW |
ロシア St. Petersburg | 2015年9月 | 燃料システム | 日産、Ford、トヨタ |
米国カンザス州 Fairfax | 2015年11月 | 燃料システム | GM |
<中国>
-2015~2016年の間に中国で4つの工場を開設すると発表した。これにより同社の中国生産拠点は25カ所になる。2015年4月現在、瀋陽、北京、煙台、上海、武漢、広州、重慶の7つの主要地域に生産拠点を持つ。また、Volvo-Geely、FCA (Fiat Chrysler) Group、Daimler Groupから新規受注を獲得し、製品ラインナップを拡充している。(2015年4月17日付プレスリリースより)
<米国>
-2015年春、テネシー州Chattanooga工場を完工。Volkswagen向けの外装車体部品を製造、従業員数は約180名を見込む。工場設立の総投資額はは46.2百万ユーロ。
-2015年秋、カンザス州Fairfax工場を完工。Inergy部門の一部として、GM向けの燃料システムを製造。従業員数は約50名を見込む。工場設立にあたってはGMから出資を受けており、同社は3.6百万ユーロのみ出資。
<英国>
-2015年上半期に英国Warrington新工場を着工。2016年完成予定。これまでに60.9百万ユーロが投資されている。
-新たな製造工場の建設予定は以下のとおり。
場所 | 量産開始時期 | 生産品目 | 納入先 |
メキシコ San Jose Chiapa | 2016年初め | フロントエンドモジュール | Audi |
英国 Warrington | 2016年半ば | バンパー | Jaguar Land Rover |
メキシコ Leon | 2016年後半 | 燃料システム | Daimler |
メキシコ San Luis Potosi | 2017年初め | バンパー | GM |
中国重慶 | 2017年後半 | 燃料システム | ホンダ |
インド Hansalpur | 2018年後半 | 燃料システム | スズキ |