Faurecia 2006年度の動向
ハイライト
業績
(単位:百万ユーロ) | 2006年度 | 2005年度 | 増減率 |
要因、背景 |
全体 | ||||
売上高 | 11,648.7 | 10,978.5 | 6.1% | 下記 1-1 |
営業利益 | 69.2 | 267.2 | (74.1%) | 下記 1-2 |
セグメント別売上 | ||||
シート | 4,812.8 | 4,794.4 | 0.4% | 下記 2-1 |
内装モジュール | 3,458.0 | 3,482.7 | (0.7%) | 下記 2-2 |
排気システム | 2,659.4 | 1,961.3 | 35.6% | 下記 2-3 |
フロントエンドモジュール | 718.5 | 740.1 | (2.9%) | 下記 2-4 |
(1)全社
1-1.売上高:フランスカーメーカー向けの売上は10.3%減少する中で、北米とアジア地域の販売はそれぞれ19.7%、27.2%の伸張。フランス国籍以外の大半のメーカーとの取引は前年を上回った。VWへはシート、Fordへはシートと排気システム、Daimlerはインテリアモジュール、BMW及びToyotaへはシート、Chryslerには全製品系列を、Hyundaiには排気システムなどの供給量が増加。
また、2006年度は、同社の低生産コスト地域の生産拠点移設戦略が推進された年でもあった。
1-2.営業利益:営業利益は以下の事由により減少。
- フランスカーメーカーからの受注減。
- 原材料費とエネルギーコストが高騰する中で製品販売価格へ継続的に圧力があった。
- 米国を始めとする新規工場の立ち上げ費用の支出。
(2)セグメント別 売上
2-1. シート
シート部門はほぼ昨年並みの0.4%増で4812.8百万ユーロ。為替変動を加味すると0.2%の減少となる。シート部門の売上は上期に3.9%減少したものの、下期には4.0%の増加に転じた。下期の売上増は以下モデルの新規立ち上げによるもの:Peugeot
207、 Ford Galaxy、Citroen C4 Picasso、Audi Q7、Toyota Yaris、BMW Mini。
2006年度下期ではフランスカーメーカーへの売上は前年比較で14.5%減少した。一方、北米では12.9%増加。 要因は、Chrysler (Sebring)、General Motors (Malibu、 Pontiac G6、Saturn
Aura)、及び下期のBMW X5の立ち上げよる。アジアではVolkswagenグループの受注増に後押しされ10.3%の成長がみられた。
2-2. インテリアモジュール
同部門は前年比0.7%の微減で3,458.0百万ユーロ。為替変動を加味すると1.0%の減少となった。為替変動込みの上期6ヶ月の販売は1.4%上昇したもの、下期では3.4%の減少に転じた。欧州ではフランスメーカーの販売減が上期に引き続きみられ、下期にはさらに落ち幅は8.9%と増大した。新車立ち上がりにともなう供給増があったが、落ち幅を埋め合わせることは出来なかった。以下、2006年に供給したモデル: Peugeot
207、 Mercedes-Benz S-Class、Volkswagen Passat、Audi Q7。
北米では売上が 21.6%上昇。これは、Chrysler PT Cruiser、Chrysler Sebring及び Dodge NitroなどのChrysler車種の立ち上げ効果によるもの。
内装パネル: 8.1百万ユニット/年
ドアモジュール: 0.5百万ユニット/年
ドアパネル/ 25.6百万ユニット/年
アコースティック: 24平方メートル/年
コックピット(Siemens VDOとの合弁経由): 3.6百万/年
2-3. 排気システム
排気システムの売上高は前年比35.6%増で2,659.4百万ユーロ。これは上半期のプラチナ、パラジウム、ロジウムなどの原材料費高騰を反映したモノリス触媒の売上増が61.9%と大きく伸びたことに起因する。モノリス触媒販売増の要因として挙げられるさらなるポイントは、北米、中国、韓国におけるホットエンド製品需要増と、モノリスの精密金属の高い使用率を生み出すこととなる2006年初頭に導入された欧州IV標準に適合するため全欧州車向け要請によるFaurecia社の市場シェア増によるものが大きい。
モノリス触媒の販売と為替変動によるマイナス分0.7%を除いた場合の排気システム部門の売上は14.4%増である。
市場別に見ると、FordのFusion、Explorer及び年度末に発表されたEdgeの販売増に牽引され北米の売上は21.8%増。韓国ではHyundai-Kiaグループの複数の車種に、中国ではFord、 Mazda、 PSA Peugeot
Citroen及びVolkswagenに排気関連製品を供給。この結果アジアでは48.3%増となった。欧州では排気システムがAudi A6、Mercedes-Benz A-Class及びB-Classの好調により販売が4.1%伸びた。
2-4.フロントエンド
為替変動分を除くフロントエンド部門の売上は2.9%縮小して718.5百万ユーロ。しかし下期だけ単独では、北米市場のChrysler新型モデル生産開始、欧州のPeugeot 207及び Renault Clioの立ち上げがあったため2.0%の増加が記録されている。
-フロントエンドモジュール: 100万ユニット/年; 欧州第1位; 売上高 392百万ユーロ、;納入先: アウティ、BMW、クライスラー
-フロントエンドキャリア: 2.6百万個/年; 欧州第1位; 納入先: アウディ、BMW、クライスラー、VW、PSA、ルノー
-バンパー; 4百万個:欧州第4位;売上高: 224百万ユーロ;納入先: PSA、ルノー、VW
-エンジンベンチレーション: 2.3百万個/年; 欧州第3位;売上高: 73百万ユーロ;納入先: PSA、ルノー、日産
受注
- 2006年5月、シトロエンと共同で安全性の高い前後バンパーを開発、「Citroen C6」で採用されたと発表した。同モデルは欧州新車アセスメントプログラム「ユーロNCAP」の衝突テストの歩行者保護項目で最高評価の"4ツ星"を獲得した。歩行者保護の4ツ星はC6が初。シトロエンC6のフロントバンパーは歩行者保護要件と耐衝撃性、修復可能性ももたせてある。歩行者に対しては、バンパーの接触個所を問わずレッグ・セグメント保護が可能で、これが最高評価の理由としている。また、バンパーには人との接触を感知するセンサーを装備。接触を感知すると10分の1秒後にショックアブソーバーが自動的にボンネットを65ミリメートル持ち上げ、衝突に伴うリスクを大幅に低減する。
- 2006年11月、北米で日系自動車メーカーの受注開拓を本格化を発表。これまで現地での取引は部品単位にとどまっていたが、これを収益力の高いモジュールユニットに広げていく。フロントエンドモジュール、ドアモジュールの二つのユニットをコア技術と位置付けて提案活動を展開、北米で増産を計画する日系メーカーの新規ニーズの吸収に取り組む。短期開発に対応可能な体制を生かして、早ければ4年後に投入が予定される次期型車へのモジュール供給を目指す。
>>>最新モデルへの搭載状況 参照
米国での事業展開
- 2006年1月、米国に新拠点を6ヶ所開設する計画を発表。Faurecia North Americaでは、ミシガン州、オハイオ州、サウスカロライナ州で拠点を追加することを計画している。北米におけるこの事業拡大は、複数のカーメーカーの新規プログラム向けに部品供給を行なうためのもの。現在北米で稼動している17工場に加えて、ミシガン州FraserとSterling
Heights、オハイオ州Northwoodで自動車内装システムモジュールを生産する。ミシガン州Sterling Heightsとサウスカロライナ州Fountain Innでは、ジャストインタイム方式でシートを生産、オハイオ州Toledoでジャストインタイム方式で排気システムを生産する。また、ミシガン州FraserとSterling
Heightsの内装システム工場では、同社としては初めて北米市場向けにフロントエンドモジュールを生産する。同社では、2009年末までに北米の売上が25億ドルを超えるという目標通りに進んでいる。
>>>設備投資 参照
日本国内での事業展開
- 2006年2月、日本法人フォルシア・ジャポンと同フォルシア・インテリア・システムを統合し新たにフォルシア・ジャパンを設立。前身のフォルシア・ジャポンはシート及び排気系部品、同インテリア・システムはコックピットモジュールやインパネ、ドアなどを担当していた。合併により部品分野を超えたシナジー効果を追求しサービスや品質を改善するほか、間接部門も統合し経営効率も見直す。
開発動向
研究開発費用
単位:百万ユーロ | 2006年度 | 2005年度 | 2004年度 | 2003年度 |
総費用 |
610.6 | 628.1 | 594.9 | 532.3 |
研究開発体制
- 北米、中国、日本の開発センターの拡張を行い、研究開発活動における地域的拡大を図った。
フランスのR&Dセンターも強化。Flersにシートメカニズム、Brieresにシートユニット、magny-en Vernoisにフォームトリムの、専門センターを立ち上げた。
- 同社のR&D指針の中では、ポーランドのシート開発センターや、インドの内装開発センターに見られるような低コスト地域での研究開発能力の増強を示している。
設備投資
設備投資費用
単位: 百万ユーロ | 2006年度 | 2005年度 |
内装モジュール | 234.3 | 340.0 |
その他モジュール | 69.2 | 93.0 |
持株会社 | 2.7 | 7.8 |
合計 | 306.2 | 440.8 |
単位: 百万ユーロ | 2006年度 | 2005年度 |
フランス | 88 | 139.2 |
ドイツ | 13.2 | 68.6 |
その他欧州諸国 | 113.6 | 125.9 |
北米 | 61.9 | 51.2 |
南米 | 11.2 | 19.6 |
アジア | 16.1 | 31.8 |
その他 | 2.2 | 4.5 |
合計 | 306.2 | 440.8 |
2006年に操業を開始した工場
2006年は数多くの生産工場を立ち上げた。年度内に生産を開始した工場は15カ所に及ぶ。
(a) Banbury(英国)ではBMW向けの専用工場としてMINI用シートを生産。
(b) 中欧では2ヶ所の拠点を新設。Pisek及びTrnava:
- Pisek工場(チェコ共和国)では現地の3メーカー向けにシート、インストパネル、ドアパネル及び排気関連部品の製造を行う。
- Trnava工場(スロバキア)は PSA Peugeot Citroen グループに完成シートと排気関連部品を製造する。
(c) Nijni Novgorod工場(ロシア)ではルノーLogan用のバンパー、インストパネル、ドアパネルを生産予定。
(d) 北米では既存の10拠点に加えて7カ所を新規に立ち上げ、すでに生産を始めている。
- インテリアシステム:Fraser工場及び Sterling Heights工場(ミシガン州)、Northwood工場(オハイオ州)。
- ジャストオンタイムシステムを採用したSterling Heights工場(ミシガン州)とFountain Inn工場(サウスカロライナ工場)。
- ジャストインタイムシステムを採用して排気システムを製造するToledo工場(オハイオ州)と同じくジャストインシステムを採用してシート成形とヘッドレストを製造する Shelby工場(ミシガン州)。
(e) 重慶工場(中国)はFord向けにジャストインタイムシステムを採用したシートとインテリアモジュールの製造。
(f) Tehran工場(イラン)ルノーLogan用製品を内製。