Rheinmetall Automotive AG (旧 KSPG AG) 2017年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2017年12月期 2016年12月期 増減率 (%) 要因
Rheinmetall Automotive
売上高 2,861 2,656 7.7 1)
営業利益 249 223 11.7
部門別売上高
Mechatronics部門 1,621 1,491 8.7 2)
Hardparts部門 968 921 5.1 3)



要因
1) 全社売上高
-2017年12月期の全社売上高は前年比7.7%増の2,861百万ユーロ。為替影響調整後の比較では、前年比7.9%増。

2) Mechatronics部門
-同部門の2017年12月期の売上高は前年比8.7%増の1,621百万ユーロ。商用ディーゼルシステム事業では、主にEGR関係が増収。ソレノイドバルブ事業では全ての製品タイプが好調だったが、特に中国メーカー向けで増収。

3) Hardparts部門
-同部門の2017年12月期売上高は前年比5.1%増の968百万ユーロ。ピストン事業は、市況回復に伴う大型エンジン需要の伸び等により増収。ベアリング事業は、インド、北米における販売拡大により増収。

業務提携

-同社は、Rheinmetall Landsystemeに代表される同社のテクノロジーグループとドライブ・バイ・ワイヤ技術のマーケットリーダーであるParavanが、自動運転分野で提携したと発表した。軍用や民間・軍の両用、緊急車両向けに半-完全自動プラットフォームの設計や開発を共同で行う計画。両社は、今回の提携を将来の自律運転車開発に向けた基礎と位置付け、国内外での広範な分野で協力する。2005年に設立されたParavanは、運転手を必要としないレベル5の自動運転に不可欠とされるドライブ・バイ・ワイヤ技術を15年以上にわたり開発している。(2017年10月4日付プレスリリースより)

-同社は、グループ傘下のKS Kolbenschmidtが、中国の孟州に本拠を置くZYNPとライセンス契約を結んだと発表した。今回の契約は中国市場の商用車用スチールピストンの生産および販売が対象となる。ZYNPは中国市場でKS Kolbenschmidtブランドのスチールピストンの製造と販売を行う。顧客の仕様に合わせたピストンの開発はKS Kolbenschmidtが行うこととなる。ZYNPのシリンダーライナーの市場シェアは世界で16%。米国、欧州およびロシアに販売拠点を持つ。1958年設立で従業員数は11,000名、年間売上高は約570百万ユーロ。(2017512日付プレスリリースより)

合弁事業

-中原内配集団[ZYNP Corporation]と同社グループ傘下のKS Kolbenschmidtが、中国の孟州に設立した合弁会社「中内凱思汽車新動力系統有限公司[ZYNP KS Automotive New Power Systems Co., Ltd.]」は、2017年7月5日、年産1.8百万本の国Ⅵエンジンスチールピストン生産工場建設を開始した。総投資額は14.3億元。設計生産能力1.8百万本。世界最新の知能化自動生産ライン6本を導入する。第1期建設の工期は8ヶ月。第2期建設は2020年に完成する予定。完成すれば売上高は20億元に達する見込みである。(2017年7月6日付けZYNPのプレスリリースより)

新会社

-同社は、同社からスピンオフした3DプリンターのスタートアップSolidteqが市場に参入し、自動車や機械工学分野を中心に、外部にも専門技術を提供すると発表した。同社6年間、傘下のPierburgを通して金属を材料とする積層造形法(SLM)の技術を蓄積してきたが、2016年にSolidteqとして分社化した。ドイツNeussを拠点とする同社は、3Dプリンターや機械加工における経験と、プロトタイプの開発やシミュレーションに関する幅広い専門技術を持つ。フランクフルトの国際工具・金型製造加工技術関連見本市「Formnext」では、革新的な金属3Dプリント技術を披露している。(20171114日付プレスリリースより)

受注

-同社は、総額200百万ユーロ規模の受注を獲得したと発表した。同社2018年から、提携パートナーのリケンが製造するピストンリングを使用した6気筒ガソリンエンジン向けピストンの生産を開始する。また、6気筒ディーゼルエンジン向けピストンは、2019年からチェコのUsti nad Labem工場で生産開始予定。これらの受注額は110百万ユーロ超。また中国の合弁企業KSHPは、2019年から30百万ユーロ超の3気筒ガソリンエンジン向けピストンの生産を計画。グループ傘下のKS Gleitlagerは、2020年に4気筒ディーゼルエンジン向けコネクティングロッドベアリングや、スラストワッシャーの供給を予定。そのほかPierburgLower Rhine 工場で総額7百万ユーロの6気筒ガソリンエンジン向けディバートエアバルブを、Pierburg Mikuni Pump Technology5百万ユーロ超の再循環ウォーターポンプの量産を開始する。(2018425日付プレスリリースより)

-
同社は、グループ傘下のKS Kolbenschmidtが、大手自動車メーカーと中国主要メーカーとの合弁会社に最新ピストン「Liteks-4」を供給すると発表した。「Liteks-4」の受注は初めてで、受注総額は47百万ユーロ以上となる見通し。1.5L 4気筒の新型エンジン向けのピストンは、同社グループの中国JVKolbenschmidt Huayu Piston (KSHP) の中国・重慶にあるピストン工場で2021年秋から生産する。ピストンリングはKolbenschmidtと提携するリケンが提供し、組み立て後、OEMに出荷する。ピストンリングは、中国・武漢にあるKolbenschmidtとリケンの合弁会社で生産する予定。 (2018322日付プレスリリースより)

-同社は、グループ傘下のPierburgのクーラントポンプがKarma Automotiveの米国、カナダ市場向けPHEVRevero」に採用されたと発表した。50Wの「CWA 50」と100Wの「CWA 100」の2バージョンを供給する。ドイツのHartha工場で生産されるこのクーラントポンプは、ターボチャージャーから内燃エンジンのクーラント回路へ送り込む空気の冷却に使用される。またハイブリッド車およびEVでは、電動ドライブライン、バッテリー、DC-DCコンバーター、パワーエレクトロニクス部品などの温度制御の役割も担うという。(2018130日付プレスリリースより)

-同社は、グループ傘下のPierburgが、中国・北京を拠点とする米国系エンジンメーカーから、12-13Lのトラックエンジン向け電子制御内圧バルブの受注を獲得したと発表した。受注額は71百万ユーロ以上。Pierburgが開発した同バルブは、中国・崑山市にあるPierburgの工場で2019年から生産される予定。 (2017127日付プレスリリースより)

-同社は、グループ傘下のPierburgが、東南アジアの主要OEMからターボチャージャー用のディバートエアバルブを受注したと発表した。東南アジアからの受注は初めてで、受注額は770万ユーロ。ディバートエアバルブは、PierburgNeussにある工場で製造され、2018年末から出荷が開始される予定。(20171115日付プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
合計 151 142 167


-燃焼エンジンおよび電動ドライブの進化を通じて、排ガス低減および燃費向上に注力する研究開発活動を行っている。

研究開発人員

2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
合計 1,070 1,090 1,035

研究開発活動

-同社は、同社からスピンオフした3DプリンターのスタートアップSolidteqが、スイスLucerneで開催されるAMX (Additive Manufacturing Expo)に初出展し、金属を材料とする積層造形法(SLM)の革新的技術を披露すると発表した。自動車や機械工学分野向けを中心に、3Dモデルの開発・プリントから製品の仕上げ・品質管理までの工程を紹介する予定。 (201828日付プレスリリースより)

製品開発

ソレノイドバルブ
-同社
は、グループ傘下のPierburgが、必要に応じてピストンのオイル冷却を停止させるソレノイドバルブを開発したと発表した。すでに量産を開始しているという。ピストンの冷却には、エンジンのオイルポンプのノズルからピストン内部の冷却通路にオイルを噴射するのが一般的だが、新たなソレノイドバルブは、ノズルへのオイルの流れを遮断し、ピストン冷却をオフにする。既存のバルブをベースに開発されたこの新製品は、小型・軽量で様々なタイプのオイルポンプに対応。エンジンブロックのオイルフィルター・モジュールハウジングにも搭載可能という。(201845日付プレスリリースより)

二次空気ブロアー
-
同社は、グループ傘下のPierburgが二次空気ブロアーを開発し、スピードコントローラーとセットで供給すると発表した。より広範なエンジンマップでの二次空気噴射が可能になり、コンバーターの加熱促進に必要な大量の空気を排気システムに的確に噴出。二次エアポンプを通して、触媒コンバーターの加熱を促進だけでなく、電気エネルギー消費と排出ガスも削減。EU6.2」や米国の「極超低公害車(SULEV)」、中国の「国6」といった排ガス基準達成に貢献するとしている。(2018313日付 プレスリリースより)

ウェストゲート・アクチュエーター
-同社
グループ傘下のPierburgは、新開発のウェストゲート・アクチュエーターを発表した。このウェストゲート・アクチュエーターは、タービンハウジングの直上のウェストゲートバルブを直接駆動する。クーラントの効率的な温度制御により、あらゆる動作条件でのアクチュエーターの過熱を防ぐという。また、12V DCモーターは、モーターとアクチュエーターとの間の低いギア比と高いトルク作動を利用して、モーター負荷を低減する。新製品量産にあたり、システム認証のために500時間を超える試験と試作が行われた。(201836日付プレスリリースより)

モジュラーシステム用インラインバルブ
-同社
は、グループ傘下のPierburgのモジュラーシステム用インラインバルブの投入を発表した。このバルブは、入力ラインと出力ラインの間の通常の軸変位をカットするコンパクトな設計が特徴。アクチュエーターがクーラントパイプの外側にスペースを必要とせず、車内のパッケージがよりコンパクトになるという。ポンプの高い流量と低圧ロスにより消費電力を削減し、従来と比較して30%超の軽量化を実現している。(2018227日付プレスリリースより)

電動スロットルバルブ
-同社は、グループ傘下のPierburgが、新世代の電動スロットルバルブを開発したと発表した。 環境基準「Euro6」適合車での使用に適しているという。ハウジングに、従来のアルミ合金ではなく熱硬化性樹脂を使用した、新開発のハイブリッド素材製のスロットルバルブは、コストと重量を軽減。同樹脂製ハウジング内のコントロールバルブは、より厳しいEMC/ESD基準や、より頻繁なスタート&ストップ、より高い動作温度などのニーズを満たすとしている。 (2017年12月5日付プレスリリースより)

ガソリンエンジン用軽量ピストン(Liteks-4)
-同社は、グループ傘下のKS Kolbenschmidtとリケンが提携し、摩擦を大幅に低減したカスタムメイドのピストン「Liteks-4」を開発したと発表した。ガソリンエンジン向けに開発された軽量の「Liteks-4」は、量産化の準備が整い、高性能用途向けには、リングキャリアとクーリングギャラリーを一緒に供給することも可能。車両シミュレーションでは、NEDCモードのCO2排出量が約1.7%減少した。摩擦損失の低減や軽量化にも重点を置き、エンジン負荷が同じ場合、前世代と比べて、ピストン重量の約10%軽量化を実現した。(2017年10月26日付プレスリリースより)

クランクシャフト用ポリマーベアリング(KS R53L1)
-同社は、傘下のKS Gleitlagerがクランクシャフトベアリング向けに耐摩耗性に優れた「KS R53L1」ポリマーを開発したと発表した。「KS R53L1」は、クランクシャフト向けに開発されたポリマーベアリングで、第1世代のポリマーベアリングと比べ、混合摩擦抵抗が高い場合の摩耗を最大80%低減した。同製品は、マイルドハイブリッド車やプラグインハイブリッド車(PHV)、ガソリン車、ディーゼル車にクランクシャフトベアリングとして使用可能で、低粘度オイルとの併用もできる。コネクティングロッド向けには、新しい「L1」ポリマー層システムと、弾性がより強い2層の「R55」を組み合わせた「KS R55L1」を開発。フルハイブリッドや低粘度オイルに要求される耐摩耗性を実現した。(2017年10月12日付プレスリリースより)

電動ポンプ
-同社は、グループ傘下のPierburgがインテークパイプからの負圧なしでも作動するコンパクトな電動ポンプを開発したと発表した。こうしたタイプは世界初で、2018年から量産化される予定。(2017年9月28日付プレスリリースより)

低圧EGRバルブ
-同社は、グループ傘下のPierburgがコンパクトな低圧EGRバルブを開発したと発表した。DCモーターと組み合わせ、スペースを節約できる利点がある。ディーゼルエンジンとの使用では低い流量で高い制御性を備え、ガソリンエンジンでは排ガスと燃料消費のさらなる削減が可能。コンパクトなデザインと、いわゆるサンドウィッチ構造により、広範な装着条件下で最大限の柔軟性を発揮する。新たに開発されたシール材により、内部漏れも大幅に削減した。(2017年9月20日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
Rheinmetall Automotive 2017年12月 2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
合計 154 149 167 158

-全社設備投資額のうち、ドイツでの投資が約38%、その他が約62%を占める。

海外投資

-同社は、グループ傘下のKS Kolbenschmidtと上海汽車グループ傘下の華域汽車系統[Huayu Automotive Systems]の合弁会社であるKolbenschmidt Shanghai Piston (KSSP)が、中国・重慶に新工場を開設したと発表した。新工場には、第1段階で約500百万元を投資。生産エリアの面積は34,000平方メートルで、従業員数は230人。稼働初年度の年産能力は、ピストン500万個を見込む。 (20171219日付プレスリリースより)

受賞

-Pierburgは、「Volvo Cars Quality Excellence」を受賞したと発表した。この賞は、12カ月間を通して、12項目のサプライチェーンセグメントにおいて高評価を得たサプライヤーに授与される。今回受賞したPierburg の工場では、ソレノイドバルブ、クーラーモジュール、ウォーターポンプおよび再循環ウォーターポンプをVolvoに供給している。(2017年3月28日付プレスリリースより)