Hella 2009年5月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ) 2009年5月期 2008年5月期  増減率
売上高 3,285 3,940 (16.6%)
売上総利益 755 925 (18.4%)
税引前利益 18 202 (91.1%)
純利益 7 143 (95.1%)

-2009年5月期の売上高は3,285百万ユーロで、前年度の3,940百万ユーロから16.6%減少。これは、照明および電子機器部門において、自動車メーカーからの受注が急激に減少したことによる。

受注

-Mecedes-Benzの新型E-Class向けに「ハイビームアシスタント」(high-beam assistant)を供給する。このシステムは、オプションとして搭載されるもので、フロントガラスに取り付けたカメラが対向車や前方を走行する車を検 出し、それら車両にハイビームが当たらないようにヘッドランプを制御する。新型E-Classでは、このシステムをライティングのオプションパックとして 提供。同オプションパックには、バイキセノンヘッドランプ、インテリジェントライトシステム、LEDデイタイムランニングライトも含まれる。(2009年 5月6日付プレスリリースより)

-GMが欧州で販売する2009年式「Opel Insignia」に、交通標識認識機能を備えた車載カメラシステムを供給する。このシステム「Opel Eye」は新型 Insigniaにオプションとして搭載される。同システムが速度制限や追い越し禁止などの交通規制標識を読み取ると、車両のダッシュボードに表示され る。このOpel Eyeには、同社の車線離脱警告(LDW)システムの機能が付加されている。(2008年10月20日付プレスリリースより)

-ヘッドランプ・ウオッシャー・システムの受注獲得に向けて、日系自動車メーカーへの提案活動を強化する。同システムは、ヘッドランプの汚れによって生じ がちな対向車に対する眩惑の防止といった安全性の向上を目的として、日本で2010年代前半の装着義務化が見込まれている。同分野でグローバルシェアの過 半数を確保する実績と、洗浄液が乱れの生じやすい高速走行時にも適切なクリーニングが可能な性能を訴求し、受注に結びつける。さらに、ヘッドランプとウ オッシャーを組み合わせたモジュールの納入を目指す。同社は、年間500万台分のヘッドランプ・ウオッシャーを生産しているトップメーカー。一部車種で装 着が義務化されている欧州では、70%のシェアを持つ。(2008年6月30日付日刊自動車新聞より)

日系自動車メーカーとのビジネス拡大に向けて、アイドリングストップ・再始動システム(ISG)の作動時におけるフェールセーフの簡易化や快適性の確保を 実現する電源管理システムの本格提案を開始する。独自の超小型サイズのバッテリー充放電センサーや、アイドルストップ時に電装機器への供給電圧を適正化す る電源コンバーターで、システムの安定作動に必要だった二重系統のバッテリーなどを不要にできる。車重削減につながりISGの効果を際立たせられることや コストメリットを訴求し、燃費向上に取り組む各社のニーズを吸収する。(2008年6月4日付日刊自動車新聞より)

子会社

-中国・厦門のHella Hongfa (Xiamen) Automotive Electronics Co. Ltd. (HAE)を完全子会社化した。合弁パートナーだったXiamen Hongfa Electroacoustic Co. Ltd.から、HAEの株式30%を取得したもの。両社は2003年、自動車用リレーの開発・生産を目的として、HAEを設立していた。(2009年2月 23日付プレスリリースより)

-同社と万都(韓国)は、合弁会社「Mando-Hella Electronics Corp.」の設立契約を締結。資本金は650億ウォンで、両社が50%ずつ出資する。2009年初めより韓国内で工場建設に着手、同年7月に完成の予 定。車間距離制御 (ACC:Adaptive Cruise Control)、駐車支援 (IPA:Intelligent Parking Assistance)、車線維持 (LKA:Lane Keeping Assistance)等の機能を持つ運転支援システムの生産を行う。(2008年10月17日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発体制

-研究開発活動の中心は、ヘッドライト用のLED技術、照明を利用した運転者支援システム、エネルギー管理および特定の電子部品を対象としている。

-2009年5月現在、R&D部門のスタッフ数は前期末の3,528名から13.2%減少し、3,262名に。これは総従業員の14.3%に相当する。

-Behr-Hella Thermocontrol (BHTC)は、東京に開発・販売拠点を開設した。07年末に設立した日本法人BHTC Japan K.Kが08年から本格稼動を開始。当初は日系自動車メーカー向けの販売・技術サポート業務を行い、将来的には開発機能たせる計画。(2008年7月31日付プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万ユーロ) 2009年5月期 2008年5月期 増減率
スタッフ数 3,262 3,528 3,117
研究開発費
-照明 120.3 125.9 119.3
-電子機器

169.4

169.5 145.3
-アフターマーケット等 15.9 14.6 20.2
合計 305.6 310.0 284.8
売上高に占める割合 9.3% 7.9% 7.8%

研究開発実績

超音波式オイルレベルセンサーパッケージとオイルコンディションセンサーを組み合わせた「PULS+C」を開発した。このPULS+Cは、粘度、濃 度、誘電率などエンジンオイルの重要な性状変化を常時監視する機能を備えている。なお、第2世代オイルレベルセンサーである「PLUS」(超音波式オイル レベルセンサーパッケージ)は、2006年から複数の欧州仕様車に標準搭載されている。(2008年10月8日付プレスリリースより)

 

BMWと共同で、新型「7シリーズ」用の車線変更警告システムを開発した。このシステムは、走行スピードが時速50キロを超えると作動、車体両脇に 装備した24GHzレーダーセンサーにより、後続車や隣接車線を走行する車、ドライバーの死角にある障害物を監視、検知し、ドライバーに警告する。危険 ゾーンに入りこんでいる車があれば、サイドミラーに装備された警告灯が点灯する。さらにドライバーが車線変更のためウインカーを出すと、警告灯が点滅し始 め、ステアリングホイールが振動するようになっている。こうした機能をもたせることで、ドライバーの注意を喚起する、より効果的な警告が可能とな る。(2008年8月20日付プレスリリースより)

設備投資

主な設備投資

-メキシコに同社初となる車載エレクトロニクス製品工場を開設する。この新工場では、トランスミッションレンジセンサー、ペダルセンサー、バキュームポン プ、ワッシャーポンプを生産、アジアおよび北米の自動車メーカーに供給する。(2008年10月23日付プレスリリースより)

-Behr-Hella Thermocontrol (BHTC)は、2002年に設立した米国ミシガン州の子会社に5百万ユーロ超の大型投資を行い、北米向けクライメートコントロールパネルの新工場を建設 する。Chrysler、Freightliner、Navistar、Mercedes Benz(Daimler)などからの受注増や、2009年からの新プラットフォーム向け受注に対応するため、生産能力を増強する。(2008年7月31 日付プレスリリースより)