ElringKlinger AG 2009年度の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万ユーロ) |
2009年 12月期 |
2008年 12月期 |
増減率(%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 579.3 | 657.8 | (11.9) | - |
税引き前利益 | 49.4 | 60.0 | (17.7) | - |
OE事業 | ||||
売上高 | 418.2 | 476.5 | (87.8) | 1) |
要因
1)
OE事業
-OE事業は世界規模で自動車業界不況の影響を受けた。特に商用車向け製品は売上の落ち込みが厳しく、当該製品の売上高は前年比で半減した。
-エラストマー技術・モジュール部門では樹脂製ハウジングモジュールの新規立ち上げ等が寄与したため、OE事業全体と比べれば売上げ低下は比較的軽微であった。
-シールド技術部門は前年比で増加。これはElringKlinger Abschirmtechnik (Schweiz) AG、ElringKlinger USA, Inc. 及びElringKlinger China Ltd.などで新規プロジェクトを立ち上げたことで、販売に弾みがついたことが寄与。
-第2四半期に入り需要は若干の回復基調に転じ、さらに下期に入ってこの傾向は顕著となった。09年度のOE事業部内の売上げ推移にもこの傾向があわれ た。経済危機に見舞われた第1四半期の売上は87.3百万ユーロであったが、第4四半期では122百万ユーロまで改善した。
企業買収
-主要成長市場である中国では、99年上半期に子会社 Changchun ElringKlinger Ltd.の株式を国営の長春機械電機照明繊維工業投資公司から10%追加取得した。09年6月30日以降、同社が保有する株式合計は88.0%となった。 取得価格は2.2百万ユーロ。同子会社はシリンダーヘッドや特殊ガスケットを中国自動車業界向けに供給しているが、そのほかにもエンジン、トランスミッ ション、排気管用のサーマル音響遮へい部品、樹脂ハウジングモジュールなども取り扱う。-2009年10月29日付けでトルコの自動車部品メーカーOmpas A.S. (Bursa市)の株式90%を取得。残りの10%はオーナー家族が所有する。この取得により、同社は発展するトルコ市場に自社の生産拠点を保有すること になった。取得価格は0.8百万ユーロとOmpas社の負債。従業員は45名で08年度の売上は3百万ユーロ。Ompas社の主要製品は、自動車エンジ ン、トランスミッション、排気管などのサーマル音響遮へいヒートシールド。また、取引企業としては自動車メーカーのBMC、FIATの輸入代理店 Tofas、Ford Otosanがあげられる。新社名はElringKlinger TR Otomotiv Sanayu ve Ticaret A.S.。
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万ユーロ) |
2009年12月期 | 2008年12月期 | 2007年12月期 | |
全社 | 35.7 | 36.5 | 29.8 |
研究開発体制
2009年12月31日現在、研究開発に従事するスタッフは281名。研究開発活動
政府援助プログラム2009年に燃料電池とバッテリー技術の開発のため、政府から助成金3.6百万ユーロを受けた。
自動車用SCRアダプターモジュール
排気ガス清浄用に使用される乗用車に搭載するSCR(選択接触還元)噴射装置用アダプターモジュールを開発し、2009年度中にSOPレベルまで到達し た。この製品は2014年に適用となるEuro 6規制の対応を目指して開発したもので、噴射された尿素を溶解する最適処理を提供するアダプターモジュールでNOxを窒素と水分に分解することができる。 トラックの排気管のNOx削減に関する同社が持つ専門性がこの分野で生かされており、今後新製品の早期開発が促進されることとなる。
シールド技術
異常温度対策と振動音吸収を同時に可能とする統合システムに注力。欧州自動車メーカーとの共同開発し、サーマル音響遮へいシールド用統合排気マニホルドガ スケットを使用した多機能シールド部品を設計。温度減少を抑えながら、触媒作用を促進する。この結果、HCとNOx排気ガス削減。エンジンを最適な稼働温 度により早く到達させる際に、シールドシステムは燃料消費を抑える点で貢献できる。
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万ユーロ) |
2009年12月期 | 2008年12月期 | 2007年12月期 | |
全社 | 95.6 | 149.4 | N.A. |
OE事業部 | 83.1 | 132.2 | 90.9 |
国内投資
-Bletigheim-BissingenのElringKlinger Kunststofftechnik GmbH の新工場の建設は09年度の主要投資の一つ。総投資額は12百万ユーロ。2年をかけて生産ラインは大幅に拡張。なお、本投資には、同社が Moldflon(R)として販売する射出成型PTFEを加工する最初の生産ラインの設置が含まれる。海外投資
-アジア地域では、中国2工場の生産能力増強を行った。中国市場の急激な成長により、2工場では09年度の稼働率は生産能力に近い状況であったため、中国 北部の長春のChangchun ElringKlinger Ltd.では工場拡張工事を開始。また、上海地区にある蘇州ではElringKlinger China Ltd.の新しい工場建設を急いでいる。-新製品の生産開始準備のためブラジルでは09年度に軽量樹脂ハウジングモジュール生産用に射出成型システムを導入。また、前SEVEXの子会社であった ElringKlinger USA Inc.(Buford米国)では、米国トラックメーカー及びエンジンメーカー向けの新規サーマルシールディング部品の生産立ち上げ計画対応と生産ライン の自動化に対する投資を実施。
-ElringKlinger Abshirmtechnik (Schweiz) AGでは生産工場の床面積拡張と生産用工具保管倉庫建設。