Parker-Hannifin Corporation 2019年6月期の動向
業績 |
(単位:百万ドル) |
2019年6月期 | 2018年6月期 | 増減率 (%) | 要因 | |
売上高 | 14,320.3 | 14,302.4 | 0.1 | 1) |
営業利益 | 2,431.2 | 2,239.2 | 8.6 | - |
部門別売上高 | ||||
多角的産業セグメント | 11,809.5 | 11,986.7 | (1.5) | 2) |
要因
1) 売上高
-2019年6月期の売上高は0.1%増の14,320.3百万ドル。主な増収要因は航空部門の販売数量増であるが、為替による305百万ドルのマイナス影響を受けた。
2) 多角的産業セグメント
-2019年6月期の多角的産業セグメント売上高は、1.5%減の11,809.5百万ドル。北米向け売上高が前年比1.2%増となった一方、その他市場向け売上高が4.9%減となった。なお、為替影響などを除くと、それぞれ前年比1.8%増、1.1%増。北米では、大型トラック、エンジン、建設市場用途の販売が堅調であった。その他市場では、アジア太平洋、ラテンアメリカでの販売が堅調で、欧州では販売が伸び悩んだ。
買収
-2019年10月29日、接着剤やコーティング、振動制御技術のリーディングカンパニーであるLord Corporationを3,765百万ドルで買収した。この買収により、同社の電動化関連製品等のみならずマテリアルサイエンス分野でも能力を拡充できると期待される。Parker-Hannifinでは、Lord Corporation買収にあたって専門チームを立ち上げ、両者間のシナジーを確実なものにできるよう統合計画を策定してきた。
-2016年12月、Clarcorを買収することに合意したと発表した。買収額は負債の引き受けを含む43億ドル。Clarcorはテネシー州Franklinに本拠を置く各種フィルター製品のメーカーで、年間売上高約14億ドル、従業員数は全世界で6,000名。今後Parkerの製品群にClarcorのエアフィルターおよび液体用フィルター製品が加わる。Parkerは現金および新規借入によってこの取引を行う計画で、2018年第1四半期に買収が完了する見込み。(2016年12月1日付プレスリリースより)
-2016年7月、同社は、ドイツHannoverを本拠とするArnold Jaeger Holdingより、Jaeger Automobil-TechnikとJaeger Automotive Polskaを買収したと発表した。Jaeger Groupは、自動車向けのゴム-プラスチック直接接着シーリングシステムや2部品の直接射出成形技術の開発を行っている。今回買収した事業の従業員数は約250名で、年間売上高は約45百万ドル。製品は、車載システムの主要部品のシール・保護に用いられている。Parkerによる買収後は、Engineered Materials GroupのPraedifa Technology部門の傘下となる。(2016年7月1日付プレスリリースより)
最近の動向
-2019年6月期、単独で売上高の3%以上を占める顧客はない。
-2016年6月、同社の油圧ハイブリッドシステム 「RunWise」 を搭載したごみ収集車の累計走行距離が400万マイルに達したと発表した。「RunWise Advanced Series Hybrid Drive System」 は、ブレーキエネルギーの71%超を回収し、貯蔵したエネルギーを使用することでトラック1台あたり年間最大4,300ガロンの燃料削減につなげるという。(2016年6月7日付プレスリリースより)
受注
-フロリダ州Orlando市が、同社の 「RunWise」 ハイブリッドシステムを搭載したAutocar E3 ごみ収集用ハイブリッドトラック10台の稼働を開始したと発表した。これにより、同市のごみ収集用ハイブリッドトラックは目標台数に達した。Autocar E3導入は、平均で48%の燃料削減効果につながるとともに、ブレーキの交換頻度削減、生産性向上にも寄与するという。最初に導入されたハイブリッドトラック9台のケーススタディによると、同9台の使用が10年間で2.8百万ドルのコスト削減につながると期待されている。 (2016年4月22日プレスリリースより)
見通し
ー同社は、2020年度売上高が前年並みから前年比3%減の間になると見込む。
研究開発費 |
(単位:百万ドル) |
2019年6月期 | 2018年6月期 | 2017年6月期 | |
合計 | 294.9 | 327.9 | 336.7 |
製品開発
Aquabloc3D
-Parker HannifinのEngine and Mobile Filtration部門のRacorは、ディーゼルなどの燃料用の新たな濾過フィルター「Aquabloc3D」を開発したと発表した。1つの疎水性濾過フィルターで燃料と水とを分ける従来の水分離器とは違って、「Aquabloc3D」は、クリーンな燃料だけをエンジンに送るために3段階で濾過。耐用年数が長く、バイオディーゼル燃料におけるフィルター機能も大幅に改善されたという。トラックやバスなどに幅広く使用されているParker社製スピンオンフィルターの代替品としても使用できる。(2018年7月11日付プレスリリースより)
パワーテイクオフユニット向け消音技術
ー同社は、同社のChelsea Products部門が、トランスミッションPTO(パワーテイクオフ)向け「QT Gear」を開発したと発表した。新ギアには、特許出願中のサウンドダンピング(防振)技術を採用。PTOの耐久性やトルク性能を変えることなく、ディーゼルエンジンのねじり振動の軽減を実現した。(2018年3月7日付プレスリリースより)
設備投資額 |
(単位:百万ドル) |
2019年6月期 | 2018年6月期 | 2017年6月期 | |
合計 | 195.1 | 247.7 | 203.7 |
海外投資
<米国>
-2016年6月30日、68.5万ドルを投じて米国ミシシッピ州のHolly Springs工場を拡張したと発表した。今回の拡張は、サウスカロライナ州から同工場に生産を移管したことに伴うもの。これにより、Holly Springs工場の従業員数は124名に増員される。移転に関わる費用の一部はミシシッピ州開発局が補助した。同社はミシシッピ州Batesville、Olive Branch、Madisonにも拠点を有する。(2016年6月30日付 Mississippi Development Authorityの発表より)