BMW:Efficient Dynamicsを新たな方向へ進化させる4つの先進技術

新世代エンジンへ一新 / PHVを主力車種へ展開 / CFRPを量産車車体骨格へ / 先進運転支援技術の進化

2015/05/19

要 約


BMW

Efficient Dynamics を進化させる4つの先進技術

 BMWの技術コンセプトであるEfficient DynamicsはBMWのドライビングプレジャーの追求と環境・エコの追求を両立させることにある。そのためにBMWは①内燃機関の効率向上、②電動技術(EV、PHVと将来のFCV)、③革新的な車両構造による軽量化、④将来の自動運転に向けた運転支援技術の4つの技術で世界をリードしようと開発を進めている。

3気筒、4気筒、6気筒のモジュール化された新世代エンジン

 これまでのBMWは高性能高効率エンジンと優れた操縦安定性を中心とした車両運動性能でBMWのアイデンティティを作り込んできたが、従来の特徴を進化させながら、新たな方向へ向かって大きな変化が始まっている。これまで魅力の中心は直列6気筒エンジンであったが、ダウンサイジングされて、主力機種は4気筒直噴ターボエンジンに、これまでの4気筒モデルは3気筒ターボに置き換えが進んでいる。

EV、PHVの先進技術と革新的な車両構造の軽量化技術

 i3 とi8のiシリーズで、EV、PHVの最新技術とCFRPとアルミニウム製のモジュールを使った革新的車体構造を採用しているが、従来の主力車種にi3 とi8の先進技術の採用拡大が始まっている。X5と3シリーズにPHVが投入され、順次ラインナップ化が広がる予定である。また、次期型の7シリーズにはCFRPが車体骨格に採用され、アルミニウムの多用も含めて、最新技術による大幅な車体の軽量化が進められている。

 日本メーカーはEV、HV、PHVの分野でリードしてきたが、経済性優先のエコカーを主力として、電動技術以外はコストを抑えたクルマづくりとなっている。一方BMWは直噴ターボエンジンと軽量化、そしてPHVの3つの先進技術で性能と高効率を追求しようとしている。

将来の自動運転に向けた運転支援技術

 BMWが注力するもう一つの先進技術は、将来の自動運転に向けた運転支援技術である。2015年CES(Consumer Electronic Show)でBMWは2つの先進運転支援システムを搭載したi3の試作車を公開した。それは4つのレーザースキャナーで障害物を識別して自動でブレーキを制御する衝突回避システムと、スマートウォッチによる操作が可能で、自動車が自律走行して駐車場に入出庫できる高度な自動駐車システムである。

好調が続く2014年、2015年業績

 こうした積極的な技術開発による、個々の車の商品競争力とブランドイメージの強化の結果、グローバル販売台数と収益は成長を続けている。2014年及び2015年第1四半期の業績は過去最高の販売台数、売上、営業利益が続いており、さらに中国と北米での生産能力増強の投資も進められている。

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