Samsung SDI Co., Ltd. 2020年12月期の動向

業績 (連結)

(単位:百万ウォン)
2020年
12月期
2019年
12月期
増減率 (%) 要因
売上高 11,294,770 10,097,426 11.9 -中大型電池、小型電池、電子材料のすべての事業分野で前年比増。
-エナジーソリューション部門:欧州でのEV補助金等の環境政策の影響による自動車向けバッテリーの売上増
-電子材料部門:市況の好調による半導体材料販売の増加、また大画面TVの需要増による高付加価値タイプ偏光フィルムの販売増
営業利益 671,335 462,177 45.3 -自動車電池売上高の大幅な上昇及び前年のESS事業一時費用によるベース効果
当期純利益 630,966 402,366 56.8

  

事業動向

ステランティスと北米向けバッテリーセル生産の合弁会社設立を発表

-2021年10月、ステランティスと同社は、北米向けのバッテリーセル及びモジュールを生産する合弁会社を設立する覚書を締結した。2025年の操業開始を目指し、当初の年間生産能力は23GWh、将来的には最大40GWhまで拡大させるとしている。新工場の建設地は現在検討中。今回の合弁会社は、北米に複数あるステランティス向け電気自動車(EV)生産専用のバッテリー工場の一つとなる。ステランティスは、2030年までに米国での販売台数の40%を電動車両にすることを目指し、電動車両用バッテリーの年間生産能力の確保を進めている。(ステランティスのリリースより)

 

日付 提携企業 内容
2021年04月 Rivian Automotive 米国の複数メディアの報道によると、電気自動車(EV)ベンチャーのリビアン(Rivian Automotive)は電気ピックアップ「R1T」とSUV「R1S」のバッテリーの供給を韓国のサムスンSDI(Samsung SDI)から受けると発表した。両社は車両開発の全工程で協業してきた。リビアンが自社で開発したバッテリーモジュールとパックは急速充電能力を備え、航続距離は300マイル(約483km)超となる見込み。フォードとアマゾンが出資するリビアンは、バッテリーパックの保証内容がテスラとフォードを上回ると発表している。(multiple sources on April 12, 2021)
2021年04月 現代自動車 韓国の複数のメディアは、現代自動車が2024年に発売するハイブリッド車(HV)へのサムスンSDIの円筒型バッテリー搭載に向け提携すると報じた。現代自がサムスンSDIのバッテリーを搭載するのは今回が初めて。これまで現代自はSK Innovation、LG Energy Solution、中国のCATLから電動車のバッテリーを調達していた。現代自にとっては供給先の多角化につながるとしている。(multiple sources on April 14, 2021)
2019年11月 BMW 29億ユーロ (3,487億2,500万円) 規模の電気自動車 (EV) 用バッテリーセルを供給する契約を締結した。契約期間は2021年から2031年まで。両社は2009年からEV共同開発プロジェクトを進めており、BMWの「i3」および「i8」にもSamsung SDI製のバッテリーが搭載されている。(2019年11月21日付各種リリースより)
2019年09月 AKASOL

AKASOLは、サムスンSDIをリチウムイオンバッテリーセルとモジュールのサプライヤーに指定したと発表した。世界的商用車メーカーからの2件の大型量産受注に対応する。サムスンSDIはリチウムイオンバッテリーセルとモジュール累計13GWh分を2020年から2027年までAKASOLに供給する。バッテリーセルとモジュールは欧州とアジアで生産し、AKASOLの各種バッテリーモジュールとシステムに組み込まれる。組立はAKASOLのドイツ・ランゲン(Langen)量産工場とダルムシュタット(Darmstadt)新本社で行う。(AKASOLのリリースをみる)

2019年07月 Volvo Group

ボルボ・グループの電気トラック向けバッテリーパックの共同開発で戦略的提携関係を結んだ。ボルボ・グループはこの提携により、異なるトラックセグメントや市場での顧客の利益のために、エレクトロモビリティの分野での開発スピードを加速し、能力とリソースを長期的に強化していく。サムスンSDIは、バッテリーセルやモジュールを供給する。ボルボ・グループは、サムスンSDIのバッテリーパックの技術をボルボ・グループの生産に活用していく。(ボルボ・グループのプレスリリースをみる)

  

正極材・負極材生産に関する事業動向

<正極材>
正極材メーカーと合弁企業EcoPro EMを設立
韓国の正極材メーカーEcoPro BMSamsung SDIと合弁で、正極材の生産法人EcoPro EMを設立する。資本金は1,200億ウォン (111億6,000万円) でEcoPro BMが60%、Samsung SDIが40%を出資する。新会社は2020年中に慶尚北道の浦項市で工場建設を開始する予定で、2022年第1四半期の生産開始を目指している。(2020年2月11日付各種リリースより)

EcoPro EMの工場の建設を開始
韓国の複数メディアは、慶尚北道の浦項市で合弁会社EcoPro EMの工場の建設が開始されたと報じた。新工場は2022年第1四半期からハイニッケル正極材を年間31,000トン生産する予定。設備投資額は約1,800億ウォン (約169億2,000万円)。同工場で生産される正極材はSamsung SDIに独占供給されるという。(2020年11月18日付各種リリースより)

正極材生産ラインの一部を子会社に譲渡
韓国の複数メディアは、Samsung SDI (サムスンSDI)が同国の完全子会社STMに正極材生産ラインの一部を約1,097億ウォン(約105億3,120万円)で譲渡すると報じた。Samsung SDIの蔚山事業所に増設中の正極材ラインおよび工場建物などが対象で、譲渡は2021年7~9月期中に行われる予定。また、Samsung SDIはSTMの正極材ライン投資資金として、1,500億ウォン(約144億円)を出資する。Samsung SDIは正極材の生産ラインを段階的にSTMに一元化することによって、素材部門の競争力および専門性を強化する計画。(2021年7月29日付各種リリースより)

EcoPro EMの正極材工場が竣工
EcoPro EMの二次電池用正極材の新工場「EcoPro EM CAM6」が竣工したと報じた。EcoPro EMは2022年上半期から正極材の量産を開始し、全量を二次電池メーカーSamsung SDIに供給する予定。新工場の完成によってEcoPro EMの浦項工場は、ハイニッケル正極材を年間3万6,000トン生産する能力を備えることとなり、これは電気自動車(EV)40万台分に相当するという。(2021年10月21日付各種リリースより)

 

<負極材>
ベルギー企業から負極材料を調達
ベルギーの
Umicoreは、サムスンSDIと複数年の戦略的提携契約を結び、2020年以降8万トンの高性能NMC (ニッケル・マンガン・コバルト)負極材料を供給すると発表した。この負極材料はUmicoreの各地域の工場から供給するが最初は韓国で大部分を生産する。ほとんどが自動車向けで一部がエネルギー貯蔵システム用となる。この契約によりサムスンSDIは欧州とアジアで急成長する自動車用リチウムイオンバッテリー事業に対する負極材の供給を確保する。サムスンSDIはUmicoreで量産実績のある高信頼・高性能複合負極材料を利用し、厳格な品質・持続可能性要件を満たす。契約で定められた大量供給により、電気自動車(EV)サプライチェーン全体で重要な需要予測と可視化が可能となる。(Umicore press release)

  

研究開発拠点

拠点名 所在地
SDI研究所 韓国
京畿道 水原 (Suwon-si) 市

 

研究開発費

(単位:百万ウォン)
2020年12月期 2019年12月期 2018年12月期
研究開発費 808,335 712,558 604,795
対売上高比率 7.16% 7.06% 6.59%

※研究開発費用には政府からの補助金を含む

韓国ソウル市で開催の「InterBattery 2020」に出展
-本展示会において同社は、各ゾーンでは、現在量産中の電気自動車 (EV) 用の小型および中型バッテリーやESS用の大型バッテリーなどを披露するほか、同社製バッテリーが搭載されたプラグインハイブリッド車 (PHEV) であるランドローバー「レンジローバー (Range Rover)」の車両も展示する。また、2027年の量産を目標としている全固体電池について素材およびバッテリーセルの開発ロードマップを公開する。(2020年10月20日付プレスリリースより) 

 

設備投資額

(金額:億ウォン)
品目 2020年
12月期
エナジーソリューション 工場新設/増設・補完投資 等 14,653
電子材料 1,066

-2021年については、バッテリー事業を中心に全事業部門に向け投資を行う予定。

<ハンガリー>
韓国の複数メディアは、同社が約1兆ウォン (950億円) を投じ、ハンガリーの電気自動車 (EV) 用バッテリー工場の生産能力を拡大すると報じた。同社はハンガリー北部のGodで年産30GWh規模の工場を稼働しており、BMW、VWなど欧州メーカー向けにバッテリーを生産している。今回の増設投資により、ハンガリー工場の生産能力は年間40GWhに増強される見込み。(2021年2月23日付各種リリースより)

<米国>
-2021年8月、同社がイリノイ州でバッテリー工場建設を協議していると報じられた。イリノイ州ノーマル(Normal)に工場を有するRivianは4月12日、同社の車両用にサムスンSDIがバッテリーセルを供給すると発表している。以前、米国製バッテリーをステランティスとRivianに供給するために交渉中だと伝えられていた。(2021年8月12日複数メディアより)