HUTCHINSON S.A. 2019年12月期の動向

近年の動向

業績

 (単位:百万ユーロ)
2019年
12月期
2018年
12月期
増減率
(%)
売上高 4,314 4,154 3.9

 

買収

-米国Mide Technologyの買収が完了したと発表した。Mideはマサチューセッツ州に本拠地を置くスマートマテリアル技術とメカトロニクスを専門とする企業で、自動車や航空宇宙業界向けに事業を展開している。今回の買収により、材料科学やシステム能力の領域を大幅に拡大でき、急激な市場変化への対応や事業ポートフォリオの拡大が可能になるとしている。(2019年7月23日付プレスリリースより

-スマートマテリアル技術とメカトロニクスを専門とするエンジニアリング会社のMide Technology Corporationの買収に合意したと発表した。Mide Technology Corporationは、米国マサチューセッツ州Medfordに本拠を置き、従業員数は約50名。(201918日付プレスリリースより)

 

合弁事業

-MANN + HUMMELとの合弁会社TCSA (Thermal Control Systems Automotive)の株式の過半数を取得したと発表した。TCSAHutchinsonの流体管理システム(FMS)事業に統合されており、電気自動車(EV)およびハイブリッド車(HEV)の熱管理および冷却システムに特化する。フランスLavalに拠点を置く新会社の従業員数は約60名で、すでに操業を開始、車両内の流体の循環管理用アクティブバルブを製造している。このバルブは様々なプラットフォームに適応可能で、CO2排出量の削減に大きく貢献するという。(201996日付プレスリリースより)

-広島化成と合弁会社を設立すると発表した。会社名はHiroshima Kasei Hutchinson Sealing Japan (HHSJ) とし、日本におけるプレゼンスを高める。事業内容としては、日本の自動車メーカー向けに車体シーリング製品の営業活動や開発、製造を主に行う。そのほか、両社の素材分野での技術・経験、製品開発や製造面でのノウハウを組み合わせることで、日本の製造業の支援を行う。(2019年7月3日付プレスリリースより

 

最近の動向

-工場の近代化推進について発表した。産業、製品、顧客およびサプライヤー、従業員に関する業務のデジタル化により、開発、サプライチェーン、生産のプロセスを最適化するという。同社はソリューションの性能向上のため、自社製品にセンサーやRFIDチップの導入も計画。それにより、製品ライフサイクルに関する正確なデータを収集して維持費の削減を図るとしている。(2019114日付プレスリリースより)

 

受注

-Daimler Truckのトラックフリート10万台にリアエンジンマウントを供給すると発表した。軽量化でより効率的で技術的な基準を満たすことができる新コンポーネントなどを備える3種類のリアエンジンマウントを提供する予定。(2019911日付プレスリリースより)

-GMの新ライトトラック・プラットフォーム向けに、アクセサリーベルトの置き換えとしてエラスティックベルトを納入すると発表した。テンショニング装置を必要としない「The Stretchy Belt」と呼ばれる製品は、シボレー「シルバラード (Silverado) 」やGMC「シエラ (Sierra) 」などのV6、V8エンジン用のベルトに採用された。その他モデルにも適用予定で、重量軽減やコスト削減のほか、メンテナンスの省略化にも繋がる。(2019年7月10日付プレスリリースより

-日本・中国・タイ・メキシコで販売開始された2019年型の「マツダ3(Mazda 3)」のサスペンションに、デュアル・コンパウンド・ブッシュシステムが採用されたと発表した。マツダは同モデルより、リアサスペンションをマルチリンク式からトーションビーム式への変更を決定しており、Hutchinsonの技術を適用することにより、ハンドリングや快適性、信頼性、ダイナミクスを実現させたという。(2019年6月12日付プレスリリースより

-ホンダおよびアキュラブランド4モデルに製品を供給すると発表した。両社は20155月から研究に取り組み、結露に対する性能を向上した外部シールストリップや、防音性能を改善した固定窓用シール、ガラスランチャンネルなどを開発した。これらのシール製品は、2019年から2021年に市場投入されるモデルに搭載予定。(2019321日付プレスリリースより)

 

受賞

-同社ボディシーリングシステムユニットは、PSAグループよりソリューション品質の高さが評価され、「Program Management」部門で表彰を受けた。(2018725日付プレスリリースより)

 

研究開発費

 (単位:百万ユーロ)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
全社 216 208 206

-毎年、売上高の約5%を研究開発費に投資。

 

研究開発体制

-中核研究開発拠点をフランスのMontargisに保有。同拠点では200名超が研究開発に従事。その他に27拠点のテクニカルセンターを保有。

-2019年、シンガポールの研究センターに先進エンジニアリングチームを設置。同センターでは、スマートネットワークマネジメント、コネクティビティ、高度ロボット工学の分野で国のイノベーションエコシステムを活用することで、地域の自動車産業との関係強化を実現する。

 

研究開発活動

-軽量化、燃費向上、診断・制御機能向上、静粛性・制動性向上、コネクテッドソリューションとの統合に重点を置いた研究開発活動を行っている。

 

技術提携

-製品の設計向上のため、Centrale LyonおよびEMLyonと技術提携を行っている。

 

製品開発

ポリアミド製クレビスブラケット
-東京のSPE (Society of Plastic Engineers)Hutchinsonポリアミド製クレビスブラケットを日本の自動車業界に紹介したと発表した。アルミニウムからポリアミド樹脂への転換となるポリアミド製クレビスブラケットは、自動車の軽量化に特化したサブ構造製品のポートフォリオ開発の一部となるという。同社は特に北米での顧客の需要に対応するため、数年間にわたりこの軽量樹脂部品を製造している。(2019419日付プレスリリースより)

防振システム「SmartDamper
-「
SmartDamper」は電磁アクチュエーター、センサー、閉ループで機能する電子コンピューターで構成しており、シリンダーの停止によって引き起こされた振動の周波数と振幅をリアルタイムで測定し、それと同等の反対方向の振動を発生させることで、元の振動を中和することを可能にする。それにより、運転中とアイドリング中の両方で、最適な防音および振動の快適性条件を車両の乗客に提供するという。また、燃焼機関によって発生する振動を減少させるよう設計されているため、CO2排出量の削減にも貢献するとしている。(2019315日付プレスリリースより)

ダイナミック断熱システム(DIS)
-電気自動車
(EV)とハイブリッド車の熱管理を最適化するダイナミック断熱システム(DIS)を発表した。 このシステムは革新的な断熱材により、バッテリーパックと外部環境との間に熱障壁を作り出す。低温時はパック外への熱量移動を減らしてバッテリー性能を高め、高温時はバッテリー過熱のリスクを低減し、冷却システムに供給するエネルギーを削減するという。(2019211日付プレスリリースより)

国際展示会IZB出展製品
-ドイツWolfsburgで開催される自動車部品の国際展示会「Internationale Zuliefererborse (IZB)」に出展すると発表した。同社は、フルイドマネジメントシステムやベルトドライブシステム、シーリング技術を紹介。来場した自動車産業の顧客や専門家とのディスカッションを通して、軽量化や燃費効率の向上、快適・安全ソリューションの開発促進を目指す。こうしたソリューションの開発に向け、同社のリサーチ・イノベーション・センター (CRI) は、複合材料、熱可塑性プラスチック、ポリマー、メカトロニクス、サーマル・電気エネルギー貯蔵などについて開発を進めているという。(20181011日付 プレスリリースより)

オール熱可塑性プラスチックドアシール
-オール熱可塑性プラスチック製のドアシールを開発したと発表した。新製品は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)製品の30-50%の重量で、リサイクル性や美観にも優れる。Jaguar- Land Roverなどの高級車メーカーからすでに受注を獲得しているという。(2018724日付プレスリリースより)

 

特許

-保有特許は750件。毎年平均100件の特許を取得している。

 

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
全社 165 165 153

 

海外投資

<中国>
-3番目となるファブハウス「822 Fab House」を中国の蘇州工業団地に開設したと発表した。ファブハウスは、世界中の従業員、パートナー、顧客をもてなす施設であると同時に技術・イノベーションのショーケースとしての役割も果たすという。新施設では同社の主要製品が展示され、1階のテストマシンは、中国での同社のテスト能力を証明する。今後、最新車載技術と拡張現実 (AR)を搭載したハイブリッド車のモックアップも展示予定。(20191120日付プレスリリースより)

<ポーランド>
-20177月にポーランドDebicaにボディシールシステム工場を新設したと発表した。広さ21,000平方メートルの新工場はDebicaのコミュニティから支援を受け、欧州の自動車業界向けにガスケットを生産する。(20171011日付プレスリリースより)