日立Astemo (株) (旧 日立オートモティブシステムズ (株)) 2020年3月期の動向

業績

(IFRS基準、単位:百万円)
  2020年
3月期
2019年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上収益 811,600 971,000 (16.4)
調整後営業利益 30,100 38,000 (20.8)
調整後営業利益率 (%) 3.7 3.9 - -

  

ホンダ系企業との経営統合

-2019年10月30日、日立オートモティブシステムズ (AMS)、ケーヒンショーワおよび日信工業の4社が経営統合を行うことを発表した。日立製作所が66.6%、ホンダが33.4%を出資する「日立オートモティブシステムズ株式会社(仮)」となる予定。経営統合に関する基本契約書の締結ののち、ホンダによりケーヒン、ショーワ、日信工業の公開買い付けが行われ、完全子会社化する。完全子会社となった3社を日立オートモティブシステムズが吸収合併し、統合が完了する見込み。2019年10月30日付プレスリリースより

 

事業動向

米国Plug and Playとパートナーシップ契約を締結し、協業を開始

-Plug and Playは米国シリコンバレーを本拠地とし、スタートアップ企業や企業家との独自ネットワークを活用しながらグローバル・イノベーションプラットフォームとして、世界的な大企業と共にスタートアップ企業の支援・育成を行っている。またPlug and Playは、モビリティやIoT、サプライチェーンやロジスティクス、スマートシティなどの広範な産業分野にわたる事業促進プログラムを運営している。同社はこの契約により、自動運転やコネクテッドカーなどの分野において、新技術やアイデアを持つスタートアップ企業との関係を強化すると共に、イノベーション創出を加速させる狙い。(2019年7月31日付プレスリリースより

シャシー・ブレーキ・インターナショナルの買収

-シャシー・ブレーキ・インターナショナルは、オランダに本社を置く、ブレーキ技術を生かした安全システム開発のサプライヤーで、2018年12月期の売上は900百万ユーロを超える。日立AMSはこの買収を通じて、シャシーおよび安全システムの技術力に加えて、自動車全体の車両運動制御技術をはじめ、電動化や自動運転、先進運転支援システムとの統合制御、ソフトウェアを含めた技術力を向上させる狙い。またシャシー・ブレーキ・インターナショナルが提供するキャリパーなどの制動部品の需要は、継続的に拡大すると見込む一方、電動制御ブレーキへのシフトも加速するとしており、今後も積極的に成長領域への投資も行うという。(2019年6月19日付プレスリリースより

 

受注

スズキ車に夜間の歩行者検知機能を有するステレオカメラが採用

搭載車種:「キャリイ (Carry)」「エブリイ(Every)」、「エブリイワゴン(Every Wagon)」「ソリオ (Solio)」、「ソリオバンディット (Solio Bandit)」

-今回、一部仕様変更を受けた「キャリイ」は、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能などの先進運転支援システム (ADAS) が装備される。夜間歩行者検知機能は、日立AMS独自の機械学習技術を活用したもので、膨大な画像の教師データをステレオカメラに入力することで、従来困難であった高精度な夜間の歩行者検知を可能にしている。2019年6月24日付プレスリリースより)(2019年9月12日付プレスリリースより

電気自動車 (EV) 用のインバーターがアウディ「e-tron (イートロン) 」に採用

-アウディにインバーターを供給するのは同社として初めて。採用されたインバーターには、新世代のIGBT (絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ) を内蔵した小型高効率両面冷却パワーモジュールを搭載。これにより、インバーターとしては日立AMSの従来品と比べ、約160%の高出力密度を実現した。イートロンは、2基の電気モーターと電動4輪駆動システムを搭載したアウディ初の量産EV。(2019年5月20日付日刊自動車新聞より)

 

研究開発費

(単位:億円)
  2020年3月期 2019年3月期 2018年3月期
全社 - 641 692

北米現地法人Hitachi Automotive Systems AmericasとTomTomの協業

-ナビゲーションおよび先進運転支援システム(ADAS)用のリアルタイムハザードサービスの開発について、協業を発表した。Hitachi Automotive Systems Americasは、車載センサーとエッジプロセッサー技術を使用して道路のくぼみや破片を検出し、その情報を処理してクラウドに送信する。この情報は、TomTomのクラウドベースの融合エンジンに転送され、トラフィックデータサービスのTomTom Trafficに活用される。TomTomは、接続サービスを実行しているすべてのナビゲーションおよびADASアプリケーションに危険情報を配信するという。(202017日付プレスリリースより)

ミリ波レーダー不要、AEB・遠方検知可能ステレオカメラを開発

-ミリ波レーダーを搭載することなくステレオカメラ単体で、広い画角により、交差点での衝突被害軽減ブレーキ (AEB : Automatic Emergency Brake) を可能とし、遠方検知を両立させたステレオカメラ。このステレオカメラは、左右のセンシングを従来よりも広角化するとともに、左右のカメラで検知する画像範囲を左右に向ける方式を採用することで、検知範囲拡大を図った。これにより、従来のセンシング画素数を大幅に増やすことなく、アダプティブ・クルーズ・コントロール (ACC) 機能の対応可能な遠方検知を維持したまま、交差点右左折時の衝突被害軽減ブレーキが可能となる、従来比約3倍の広画角化を実現したという。(2019年12月25日付プレスリリースより

自動運転のための車両制御技術を開発

-一般道での自動運転車両の実用化に向け、大きな舵角で旋回する場面などにおいても、ステレオカメラやレーダーがセンシングした情報によりAD (自動運転) / ADAS (先進運転支援システム) ECUが指示する軌道を正確に追従走行するための車両制御技術。この技術では、前方のセンシング情報をECU内に一度蓄積してから使用することで、過去から現在までの点を線 (軌道) として認識し、目標となる軌道を高精度に追従できるようにした。またECU内で車両運動の予測シミュレーションを行い、アクチュエーターや車両の応答を予測することで応答遅れに対する補正を行い、軌道追従の精度をさらに高めている。(2019年10月11日付プレスリリースより

自動運転時走行リスク回避のための制御技術を開発

-自動運転における走行制御の判断を行うAD ECU (自動運転用電子制御ユニット) が、様々な移動体の挙動や物陰からの飛び出しなど、走行環境の潜在的なリスクを予測し、疑似的にマップ化して認識することで、予測したリスクを回避できるよう走行制御を行う技術を開発したと発表した。本技術では、移動体の将来時間を2次元のリスク予測マップ上に圧縮表現してAD ECUでの処理を軽減することができるようになり、死角に存在する移動体などもリアルタイムにリスク予測マップ化させることが可能になった。(2019年10月11日付プレスリリースより

  

設備投資額

(単位:億円)
  2020年3月期 2019年3月期 2018年3月期
全社 - 735 661

 

-最低でも1億ドル、最高3億3千万ドルを投じて、ジョージア州Monroeにある同社の既存拠点を拡張する計画であることを発表した。同社はエンジンパワートレインシステムや電動パワートレインシステムのほか、車両の統合コントロールシステムを製造する。Monroeの工場ではフォードやGM、日産、スバル、ホンダなどのOEMに対して先進技術を使用した製品を提供するという。(2019年5月17日付プレスリリースより