Hella GmbH & Co. KGaA 2020年5月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
  2020年
5月期
2019年
5月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 5,829 6,990 (16.6) 1)
EBITDA 576 1,191 (51.6) -
部門別売上高
照明 2,624 3,230 (18.8) -
電子機器 2,256 2,504 (9.9) -

 

要因
1) 売上高
-2020年5月期の全社売上高は、前年比16.6%減の5,829百万ユーロ。上半期の生産減が、当年度の事業展開に影響を及ぼした。さらに、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大が需要のさらなる減少を招いた。また、同社は当年度にBehr Hella Serviceの売却を完了。

-自動車部門の売上高は、前年比14.3%減の4,944百万ユーロ。減収の主な要因は、上半期の市場数量減、および2020年1月からの新型コロナウイルス感染症拡大による需要の減退。中国市場は年度末近くに回復の兆しが見られたが、欧米市場での大幅な損失により相殺された。
 

事業再編

-2019年11月11日、宏発科技股份有限公司[Hongfa Technology Co., Ltd.]は、子会社厦門宏発汽車電子有限公司[Xiamen Hongfa Automotive Electronics Co., Ltd.](宏汽車電子)が92.40百万元を投じ、Hella Holding International GmbHが保有する海拉(厦門)汽車電子有限公司[Hella (Xiamen) Automotive Electronics Co., Ltd.](Hella汽車電子)の株式100%と、海拉(厦門)電気有限公司[Hella (Xiamen) Electronic Device Co., Ltd.](Hella電気)リレー事業(SSR及びその他の継電器を含む)部門の在庫品と生産設備などの資産を買収すると発表した。Hella汽車電子の買収価格は55.15百万元。Hella電気リレー事業部門の資産買収価格は37.25百万元。Hellaは全世界における全てのリレー事業を両子会社で行っていたため、買収取引完了後、宏発股份はHellaの世界のすべてのリレー事業(アフターマーケット市場は除く)を引き継ぐことになる。宏発汽車電子の登録資本金170百万元。自動車エレクトロニクス部品、エレクトロニクス・コンポーネントの開発、生産、販売を手掛けている。2018年の売上高は816.8百万元、純利益は160.2百万元だった。(2019年11月13日付けリリースより)

-スタンレー電気は、ヘラーのフィリピンのグループ会社を買収し、同国にランプ製造子会社を設立したと発表した。フィリピンで主に二輪車用ランプ製造を行っているヘラーの同国法人の株式90%を取得し子会社とした。12月に社名を「スタンレー・エレクトリック・フィリピン」とし、フィリピン市場参入の足がかりとする。従来の二輪車用だけでなく、将来的には四輪車用にも事業を拡大し、ASEAN (東南アジア諸国連合) 地域におけるランプ製造拠点として現地供給体制を強化していく。資本金は約8400万円。(2019年11月2日付日刊自動車新聞より)
 

合弁事業

-中国一汽(FAW)との関係強化を発表した。合弁会社Changchun Hella Faway Automotive Lighting [長春一汽富維海拉車灯]を中国一汽のプレミアムブランドである紅旗の戦略的パートナーとすることに合意した。今回の合意により、車体および室内照明の製品のみでなく、ヘッドランプシステムの提供も行うこととなる。中国一汽のさらなるブランドと合弁事業に関する協力を強化することも目指すという。(2019年9月17日付プレスリリースより)
 

事業提携

-HELLA Fast Forward Shanghaiは、Beijing Nebula Link Technology (Nebula Link) とIoV (Internet of Vehicles) 用先進ソリューションでの協業と、中国におけるインテリジェント車両インフラ協力システムの共同推進を行うための出資契約を締結したと発表した。Nebula Linkは、次世代インテリジェント交通システムとインテリジェント・コネクテッドカー (ICV) を専門とするハイテク企業。このNebula Linkとの協業により、中国でのV2Xの開発に貢献する機会を得ることができ、自動運転実現に向けて前進できるという。インテリジェント・コネクテッドカーは中国で急速的に開発が進んでおり、V2Xおよび5G技術の発展に伴いスマートな輸送が可能になる。Nebula Linkは中国のハイテク企業として中核となる研究開発チームを持ち、V2Xの開発、特に車両・インフラ間の協調システム分野での開発を行っているほか、車載V2X装置や路側システム、車両協調セーフティドライブのソリューションを提供している。(2019年8月19日付プレスリリースより)

-中国一汽が主催するハイエンド・オートパーツフォーラムにて、中国一汽と自動車用照明に関して共同開発を行う戦略的協定を締結したと発表した。中国一汽とは合弁企業のChangchun Hella Faway Automotive Lighting [長春一汽富維海拉車灯] を通して年間に渡ってパートナーになっている。今回の合意では、長春一汽富維海拉車灯が中国一汽の、特に紅旗ブランドの重要戦略的パートナーとなることを明確にした。中国一汽や紅旗の将来ブランド戦略に適合するために、先進的な照明ソリューションの知見を活用して協業する。また、ヘッドランプやリアコンビネーションランプ、インテリア・車体照明についての独立した研究開発能力も総合的に改善する。自動車用照明ソリューションは、中国一汽の合弁ブランドにも展開されるという。(2019年7月13日付プレスリリースより)
 

最近の動向

-新型コロナウイルスの影響により、既存のコスト管理プログラムに加えて人件費と材料費を削減するための包括的対策の実施を発表した。ドイツの拠点では操業短縮も準備中で、経営陣は他拠点での操業短縮や生産施設の一時休止なども検討しているという。新型コロナウイルスの流行で2020年度の事業目標が達成できない見込みで、売上高は約65-70億ユーロ規模になるとしている。(2020年3月18日付プレスリリースより)

-ステアリングコントロール・モジュール分野での事業を更に拡大すると発表した。半自動運転 (自動運転レベル2以上) 用のモジュールに対する需要が増加しており、同社の新規受注の約半分が半自動運転関連モジュールであるという。ステアリングコントロール・モジュールは自動運転レベル4への対応として、電子機器に障害が発生した場合でもパワーステアリング機能が継続するフェールオペレーショナルとなる。フェールオペレーショナルなコントロールユニットにより、電子信号で作動するステアバイワイヤの実行が可能になるほか、格納式ステアリングなどの様々な機能も実現可能になる。ステアリングコントロール・モジュールをドイツと中国以外にも、ルーマニアやメキシコ、ブラジル、インドなどの国でも生産する計画であるという。(2019年7月23日付プレスリリースより)

 

受注

-欧州高級自動車メーカーの電気自動車 (EV)向けにバッテリー管理システムを供給すると発表した。2016年からこの自動車メーカーにバッテリー管理システムを提供しており、2020年夏に投入予定の今回のシステムはEV、フルハイブリッド車 (HV)、プラグインハイブリッド車 (PHV)に搭載される予定。バッテリー管理システムはモジュール式のスケーラブルな設計により、使用するセル技術に関係なく関連するドライブエレクトロニクスに統合でき、さまざまなバッテリーおよび車両モデルで使用するための高度な可変性が保証されるとしている。(2020年2月13日付プレスリリースより)

-BMW「X6」向け照明付きラジエーターグリルを開発したと発表した。このキドニーグリルは、車両の開閉時のみでなく、運転中もユーザーの好みに合わせてイルミネーションが施される。照明モジュールをフラットで狭いクロムリング内の限られたスペースに配置するために、照明付きラジエーターグリルを大規模な統合照明コンセプトとして実装した。実装にあたり、ヘッドランプ兼ポジションライトとして承認されるため、法的要件に適合する必要があったという。そのため、合計14個のLEDがキドニー型の狭い樹脂フレーム内に配置されている。この製品は個々のLED回路基板を最適な方法で統合、接続するため、新たな接続技術を初採用した。(2020年1月27日付プレスリリースより)

-ポルシェ「911」に装備される「ウェット・モード」に、濡れた路面を検知するウェット検出機能が採用されたと発表した。この機能は路面の水を検知し、駆動システムを安定させる働きがある。Structural Health and Knock Emission (SHAKE)センサーは、「911」のフロントホイールアーチライナーに組み込まれた。SHAKEセンサーは、圧電素子を使用して空気中の水滴から振動やノイズを検出し、タイヤと道路の濡れ具合を判断する。ポルシェ「911」は、濡れた路面を検出した場合に「ポルシェ・スタビリティ・マネジメント (PSM)」と「ポルシェ・トラクション・マネジメント (PTM)」が機能するとともに、ドライバーに警告や「ウェット・モード」への切り替えを知らせるという。(2019年11月26日付プレスリリースより)

-車内や車両付近の微小粒子状物質(PM2.5)の濃度を測定する粒子センサーを開発したと発表した。PM2.5粒子センサーは2020年末に量産を開始し、欧州高級車メーカーのアジア市場向け車両に採用される予定。顧客の注文によると、車両には2つのPM2.5センサーが装備される見込みで、1番目のセンサーは車内の空気の質を制御し、空気の供給とエアフィルターの効率的な使用を自動的に調整することにより、空気の質を改善する。2番目のセンサーは、車両近くの細かい塵の濃度を測定するという。(2019年11月5日付プレスリリースより)

-ドイツの新興電気自動車メーカーe.GO Mobileの電気自動車 (EV) 「e.GO Life」向けに様々な照明機器・電子機器製品が採用されたと発表した。e.GO Mobileとの共同プロジェクトでは、ヘッドランプによって車両の差別化を図ることや周囲から際立たせることに焦点を当て、カスタムされたヘッドランプコンセプトを開発した。「e.GO Life」向けにさらにフロントフォグランプやShapelineモジュラーランプシリーズのリフレクター、ハイマウントストップランプ、リアフォグランプ、リバースランプのほか、読書灯などの内装照明類も供給する予定。そのほか、ブレーキ用電動バキュームポンプ (UP5) などの電子機器製品も展開している。e.GOとは協業を継続し、2020年半ばに量産開始予定の電気バス「e.GO Mover」にも照明機器・電子機器を搭載予定だという。(2019年8月29日付プレスリリースより)

 

業績見通し

-同社は2021年5月期の為替調整後およびポートフォリオ調整後の売上高を、56億ユーロから61億ユーロの範囲になると想定。しかし、新型コロナウイルス感染症は目下経済全般と市況の両方に大きな影響を及ぼしており、上記見通しについては不確実性が高い。
 

研究開発費

(単位: 百万ユーロ)
  2020年5月期 2019年5月期 2018年5月期
全社 620 611 568
-自動車部門 584 579 542
全社売上高に占める研究開発費総額の割合 (%) 10.6% 8.8% 8.6%


-毎年の研究開発費割合の目標は、全社売上高の10%程度。
 

研究開発体制

-研究開発に従事する従業員は、2020年5月期は前年比0.3%増の7,789名 (全社従業員数に占める割合は約21%)。
 

研究開発拠点

-同社は全世界に35の研究開発拠点を保有。
 

研究開発活動

-傘下のHELLA Aglaia Mobile Visionは、ドイツ政府主導のSAFARI自動運転プロジェクトへの参加を発表した。プロジェクトの一環として、同社は視覚センサーシステムの知見を活かし、カメラベースの環境検出システムを開発した。このシステムは車両の自己位置確認に加えて、これらの情報を他の道路利用者の道路地図に提供するために、周囲を認識、分類する。また、同社は運転操作に適した車両周辺の空きスペースを検出するシステムも開発した。これにより、利用可能な駐車スペースや工事現場などの情報の取得が可能となるという。(2019年12月13日付プレスリリースより)

-照明部門における研究開発の主要な焦点の一つは、照明ソリューションの標準化とモジュール化。現在開発中のマトリックスLED技術は、スケーラブルでコスト最適化されたモジュラーソリューションをOEMに提供する。


-オートモーティブライティング事業部門では、OEM向けに現行の照明技術を小型化し、車両開発の自由度を高めることにも注力している。そのために、効率化を目的とした大規模な統合光学システムの開発に取り組んでいる。

-車体照明の分野では、車両のデジタル化・パーソナライゼーションを支援する照明ソリューションに注力している。一例として、車両の開閉時に情報を表示するプロジェクターなどのシステムが挙げられる。また、車両側面を照らす照明ソリューションや、光を利用して車両と道路利用者との間で情報を伝達するシステムにも取り組んでいる。

-BMWやBosch等の企業、アテネ大学、リーズ大学、ミュンヘン工科大学等の学術機関、フィアット研究所やドイツ航空宇宙センター等の研究機関と提携し、EUが資金提供する研究プロジェクト「InterAct」の一環として、自律走行車が非自律走行車とどのようにコミュニケーションをとることができるかを研究している。2020年5月期には、ライトベースの外部ヒューマンマシン技術に関する研究を実施した。プロジェクトの終了は2020年9月を予定。

-「スマートヘッドランプ技術研究プロジェクト」の一環として、性能変動を早期に検知し、それに適切に対応できるインテリジェントヘッドランプの開発を目指している。2020年5月期においては、拡張照明シミュレーションとハードウェア・イン・ザ・ループ試験環境の開発を支援した。これら新システムにより、システム開発過程での早期開発検証が可能となった。

-自動車用照明・メカトロニクス研究拠点「L-LAB」では、導光システムや高解像度アダプティブヘッドランプシステムのコンセプト研究を行っている。

-2020年5月期、Autokonfプロジェクトを完了。同プロジェクトは、ドイツ教育研究省の資金提供を受け、BMW、フラウンホーファーマイクロシステム・固体技術研究所、intedis、itk Engineeringが参加したもので、自律走行のためのフェイルセーフ機能の開発を目的としている。将来のプロジェクトでは、テスト車両で生産に近い状態で開発された後、フェイルセーフシステムをテストする予定。

 

技術提携

-米国の新興企業Oculiiは、ADAS支援運転と自動運転の要件を満たす高性能でスケーラブルなレーダーソリューションを開発するための戦略的パートナーシップを発表した。この協業には、シリコンバレーに本拠を置くベンチャーキャピタル部門のHELLA Venturesが行ったOculiiへの戦略的投資も含まれている。Oculiiが開発したVirtual Aperture Imaging Softwareは、精度、範囲、情報品質をコスト効率よく改善することにより、レーダーセンサーのパフォーマンスをさらに向上させるという。今回の提携では、Oculiiのソフトウェア技術をHELLAの77GHzレーダープラットフォームに統合することに重点を置き、2023年の量産化を目指す。(2020年1月6日付プレスリリースより)

-子会社のHella Gutmannがスマート診断ソリューションを開発する計画であると発表した。同社は現在、新ソフトウェアアーキテクチャと、スマート診断インターフェイス(SDI) mega macs 77およびmega macs 77 VARIOにより、長期的かつ持続可能な全体コンセプトの基盤を築いている。将来的に、同社はリモートサービスを介して特定の困難な問題の解決策を提供する予定。有能なサービス提供企業として、同社のスペシャリストはmega macsにリモートでログインし、車両で特定の操作を実行するという。mega macsデバイスとCSC-Toolにより、同社製品ポートフォリオはADASキャリブレーションの全要件を満たすとしている。(2019年9月30日付プレスリリースより)

-傘下のHELLA AglaiaとTomTomは、車両から採取したクラウドソースのカメラデータを活用してTomTom HDマップをリアルタイムで更新することを目的に協業すると発表した。TomTomのHDマップは安全で快適な自動運転のために重要な要素となる。HELLA Aglaiaは、TomTomの地図提供システムAutoStreamを活用することでTomTom HDマップの最新版にオンデマンドでアクセスし、正確な位置情報取得のためにHDマップを使用する予定。またHELLA Aglaiaは、処理されたカメラデータをTomTomの自動運転用クラウドベースの地図システムに提供し、HDマップをリアルタイムで更新させる。この一連の流れは、ローダグラム (Roadagram) と呼ばれるクラウド上の地図更新を行うことで実現され、HDマップが道路上の現状を反映することに使用される。TomTomのAutoStreamは、その更新されたマップデータを車両に提供する。この技術は2019年末までにカーメーカーやティア1向けに披露されるという。(2019年9月5日付プレスリリースより)

-Faureciaと共同で全方位的なシステムソリューションの設計を行っている。2020年5月期においては、ドイツOEM向けにドアトリムパネルの一体型ライトガイドを開発するために、共同プロジェクトチームを立ち上げた。また、光透過性のある内装照明についても先行開発プロジェクトを進めている。

-米国のスタートアップ企業であるLight Field Labと共同で、導光・導通のための高効率・省コストの新光学材料の開発に取り組んでいる。同社の導光技術を使用して、2019年10月に共同の概念実証の作業を開始し、ヘッドランプとリアランプの両方のアプリケーションでの使用に向けて評価を実施している。同社は、ホログラムに似た三次元表現を生成するためのナノ粒子をベースとしたライトガイドの開発に注力している。
 

製品開発

77GHzレーダーシステム
-この製品はまずアジアのトラック・バスメーカーに供給予定で、市場投入はZFとの戦略的協力の枠組みの中で行われる。その後、グローバル自動車メーカー向けに量産を開始する。この77GHzレーダー技術は高性能、範囲、コンパクト設計を特徴とし、車両への統合を簡素化して車両環境を360度認識できるようになる。モジュール式のスケーラブルなプラットフォームコンセプトをベースとし、そのコンセプトによりNCAPアプリケーションと自動運転機能の効率的な実装を可能にする。また、米国の新興企業Oculiiとの戦略的パートナーシップも発表。Oculiiが開発したソフトウェアを統合することで77GHzレーダープラットフォームのパフォーマンスをさらに向上させるという。開発提携の成果は2023年に量産化される見込み。(2020年2月20日付プレスリリースより)

新型高解像照明システム「Digital Light SSL | HD」
-この照明技術により、30,000以上のピクセルをインテリジェントかつ個別に制御でき、光学式レーンマーキングなど多くの新たな安全機能を実現するという。SSL | HD照明技術は、防眩ハイビームなどの照明機能を改善するだけでなく、光学式車線アシスタントなど光ベースの安全機能や、歩行者・自転車の保護領域の投影などを可能にする。同社は照明機能の自由なプログラミングや、ペイパーユース方式の新ビジネスモデル開発などのオプションを自動車メーカーに提供する。すでに欧州の高級自動車メーカーから大規模な受注を獲得しており、2022年から量産を開始する予定。(2019年11月19日付プレスリリースより)

2019 Solutrans international transport trade fairでの展示
-道路交通の可視性と安全性を高める製品ソリューションを出展すると発表した。デザインと最先端のEdge Lightテクノロジーを単一の製品に組み合わせたK-LED Rebelutionを出展する。K-LED Rebelutionは遠く離れたところからでも瞬時に見える360度の信号を生成し、点滅信号または回転信号として使用できる。また、暗闇や薄明かりでトレーラーをより見やすくする自動駐車照明システム「Park Safety Fix (PS-Fix)」も公開する。2020年1月発売予定のこのシステムは、牽引車なしでトレーラーを照らすことができるバッテリーサポート電源で構成されている。さらに、警告信号などを地面に投影できるHELLA VISIOTECH技術も発表予定。この技術は、特殊車両用に設計された3つの製品にすでに統合されている。このほか、点滅するLEDサイドマーカーランプを制御する統合電子モジュールを備えたトレーラー用モジュール式リアコンビネーションランプも出展する。(2019年11月15日付プレスリリースより)

新型LEDワークライト「Modular Worklight」
-モジュラーランプシリーズ「Shapeline」に適合する新型LEDワークライト「Modular Worklight」を開発したと発表した。「Modular Worklight」と「Shapeline」の組み合わせにより、少ない製品ラインナップでも個別の外観を提供できるようになるという。「Modular Worklight」はキャビンルーフに統合されるため、外部の影響から保護される。「TECH」(クラシックな直線)と「STYLE」(ダイナミックなカーブ)の2種類で展開される「Modular Worklight」は、近距離および長距離照明用の標準的な配光に加え、防眩バージョンの「ZEROGLARE」も利用可能。(2019年11月11日付プレスリリースより)

Electric Vehicle Technologies Conference 2019での展示
-2023年量産開始予定の小・中型車向けバッテリー管理システム「Dual Voltage Battery Management System」を出展すると発表した。このシステムは従来の12Vバッテリー設置スペースに設置できるよう、12Vバッテリー、48Vバッテリー、低電圧バッテリー管理システムを単一パッケージに統合している。このソリューションは重量とスペースを節約し、既存の車両アーキテクチャに簡単に適合可能。セルのインテリジェント回路により、リチウムイオン電池はアプリケーションに応じて12Vまたは48Vシステムへの切り替えを実現するという。(2019年10月28日付プレスリリースより)

電動化車両向け車両接近通報装置(Acoustic Vehicle Alerting System :AVAS)
-ブリュッセルで開催のBusworldに出展すると発表した。このシステムは従来の内燃エンジンと同様の疑似エンジン音を発する。2019年7月1日以降、歩行者、自転車、視覚障害者などの保護を目的としてEUでは静音性の高い電気自動車 (EV)、ハイブリッド車 (HV)、燃料電池車には標準で発音装置の設置が義務付けられており、同社が開発したAVASは時速20km以下の時に疑似エンジン音を発し、20kmを超えると消音する。この音は車両の後退時にも発せられる。標準の疑似エンジン音はセンサーに保存されて適用されるが、要望に応じて顧客固有の音を開発することも可能だという。(2019年10月9日付プレスリリースより)

Busworld 2019での出展
-24Vインテリジェントバッテリーセンサーや雨光センサー、他の車両や歩行者に視覚的に警告する投影技術「VISIOTECH」、マトリックスLED技術をベースとする照明システムなども出展予定。そのほか、均一な照明を提供するリフレクター設計の90mmLEDモジュールR 80や、車両の内外に様々な歓迎メッセージを投影するマルチレンズアレイ(MLA)も発表する。(2019年10月3日付プレスリリースより)

ソリッドステート照明(SSL)/高解像度(HD)技術
-同技術の導入により、光源をさらに小型化し、15,000個のLEDピクセルの個別制御を実現化した。個々のピクセルを制御することで光源を直接生成し、多段光学システムを介して路上に投影できるという。多くのピクセルと拡大された発光面は、より高い光の品質と性能を備えた新しいアプリケーションを可能にする。この技術をヘッドランプに統合し、今後3年以内に市場へ投入する計画。(2019年9月11日付プレスリリースより)

外装コンセプト「Front of the Car」
-Plastic Omniumと共同開発の外装コンセプト「Front of the Car」をフランクフルト・モーターショーに出展すると発表した。このコンセプトは車両のフロントエリアに包括的に統合された照明ソリューションで、多数のセンサー、関連照明モジュールおよびその他の構成要素が集約されている。両社は車両のフロントにインテリジェントシステムアプローチを導入することで、顧客に新たな設計の可能性をもたらすという。「Front of the Car」はマルチレベルのプロジェクトで、当初は方向指示器や輪郭照明など特定の照明モジュールを車両の前面に効率的に統合することに注力し、現在はレーダーセンサーやライダーセンサー、フロントカメラなどさまざまな電子部品などを統合する開発も進行中。今後は車両とその周辺、およびヘッドランプ間の通信用大型ディスプレイの統合も目指す。(2019年9月11日付プレスリリースより)

AE110 LiDARシステム
-人工知覚システムおよびLiDARを開発する米国のAEyeは、同社のAE110システムがフランクフルト・モーターショーに出展予定のHELLAのデモ車両に統合されると発表した。業界唯一のソフトウェア定義可能なソリッドステートアジャイルLiDARを備えるAE110は、わずかな時間とエネルギーを使用して従来の第一世代LiDARセンサーの4-8倍の情報を提供する。モーターショーでHELLAは、シーン内の複数の関心領域を定義して瞬時に分析を行うなど、AE110のいくつかの独自機能のデモを実演する。今後、個々のOEM のADAS要件に合わせてカスタマイズされたAEyeのiDARテクノロジーをベースとしたセンシングおよび知覚ソリューションを開発、製造する。(2019910日付プレスリリースより)

フランクフルトモーターショー2019 (IAA2019) でデュアル電圧バッテリー管理システムとサウンドセンサーSHAKEを展示
-市場のトレンドである電動化および自動運転ソリューションをフランクフルト・モーターショーに出展すると発表した。12Vバッテリーの設置スペースに48Vと12Vバッテリー機能(低電圧バッテリー管理を含む)を組み込んだデュアル電圧バッテリー管理システムを発表する。このシステムはセルのインテリジェント回路により、アプリケーションに応じて、リチウムイオン電池の容量を12Vまたは48Vの電動システムで使用することが可能。主にコンパクト-中型サイズの車両向けに設計されたこのソリューションは1kmあたり5-6gのCO2排出量を削減するといい、2023年の量産化を目指す。また、路面の状態を判断する新型センサーも出展予定。サウンドセンサーSHAKE(Structure Health And Knock Emission)は、水滴の振動などのわずかな接触に基づいて道路の状態を検出し、ハイドロプレーニングなどをドライバーに警告するという。(2019年9月10日付プレスリリースより)

LED補助ヘッドランプ
-商用車向けフルLED補助ヘッドランプ「Luminator」および「Rallye 3003」シリーズの投入を発表した。この製品は、印象的なポジションライト、六角形の輪郭、点灯時の照明デザインなどが特徴。また、昼光のような明るい色が疲労のない運転の実現に貢献し、瞬時のハイビームによりヘッドランプフラッシャーの使用が可能になるなど、機能面も充実する。「Luminator」のハウジングと固定ブラケットは亜鉛ダイカスト法で製造され、「Rallye 3003」のハウジングは熱可塑性の軽量樹脂で製造されている。これらの製品はLEDの最適な動作温度を確保するため、230平方センチの水平冷却ストリップがシームレスに統合されている。両製品ともにECE規則に従って試験されており、12Vおよび24Vの定格電圧に適合する。(2019年9月2日付プレスリリースより)

Caravan Salon 2019での展示
-新しいR80モジュールは、レンズの代わりにリフレクターが特別に開発されたことで、均一な照射が可能になるだけではなく、ハロゲンからLEDへの安価な移行を可能にする。また、小規模生産車両でも個別デザインを可能にするShapelineモジュラーランプシリーズも出展する。さらにMulti Lens Array (MLA) 技術も出展し、乗用車分野からキャラバン分野への応用を図る。そのほか、包括的な電子機器ポートフォリオも出展する。(2019年8月20日付プレスリリースより)

IAA 2019での技術展示
-エレクトロモビリティや自動運転のメガトレンドを視野に入れた照明および電子機器ソリューションをIAAフランクフルト・モーターショー2019に出展すると発表した。コンセプト車両を用いて、多様な照明や電子機器が、電気自動車 (EV) やハイブリッド車 (HV) のシステム全体で様々な電動化や機能ステージを支える方法を示す。また、マイルドハイブリッド車 (MHV) 向けの新ソリューション「Dual Voltage Battery Management System」や「PowerPack 48 Volt」も出展する。車内の照明ソリューションにより、多くの自動運転シナリオをサポートするほか、カスタマイズや運転中の快適性を向上させる。さらに、「Front of the car」アプローチというヘッドライトや電子機器をシームレスに車体に統合させる車両前方に関する新コンセプトを開発中で、新しいスタイリングや機能の可能性を提供する。そのほか、安全性に貢献する高解像度デジタルヘッドランプ技術や、自動運転に貢献するセンサーやデータ処理ソリューションの統合も行っている。(2019年8月16日付プレスリリースより)

ヘッドランプの曇り防止技術
-イノベーションセンターのHELLA Fast Forward Shanghaiが、ヘッドランプの曇りを解決するソリューションを開発したチームを表彰したと発表した。表彰を受けたチームは独自開発の照明制御システムを用いて、半導体の冷却技術をヘッドランプに応用した。この技術は、ヘッドランプ内の水蒸気を凝縮して水分を外へ流出させることで、ヘッドランプの曇りを防止するというもの。プロジェクトは、照明や電子機器分野に関する豊富な開発資源を活用することで、アイデアから実際の製品化までわずか100日で成功させた。プロジェクト支援の間、チームを効率的に成功へ導くための援助を行う投資家もしくはプロジェクト参加者としての役割を果たしたという。(2019年8月7日付プレスリリースより)

レーザー技術ベースの照明システムコンセプト
-欧州の研究機関Fraunhofer Application Centerとレーザー技術をベースにしたヘッドライトシステムの試作を共同開発中であると発表した。リアルタイムで容易に交通状況に適応するためには、アダプティブ高解像度配光システムが必要となる。そのためにはヘッドランプとセンサーシステムを車両にパッケージとして取り付ける必要がある。欧州地域開発基金 (ERDF) によって資金提供され2019年2月に完了したHipEと呼ばれる研究プロジェクトの中では、Fraunhoferは適合性に関して様々な材料をテストし、レーザー光源を組み込んだ高解像度ヘッドランプモジュールの設計・製作を行った。ヘッドランプアプリケーションの要件を完全に満たすため、両者は本研究プロジェクト終了後も開発に取り組む。(2019年7月9日付プレスリリースより)

Light Designソリューション
-自動車用照明と電子機器を組み合わせたソリューションを発表した。自動車の技術革新のサイクルが早まり自動車用照明システムも複雑さを増す中、「Light Design」は照明システムの容易な構成や、電子システムとの統合コスト削減に貢献するという。モジュール製品を購入した顧客に対し、「ALiSiA (Advanced lighting Simulation Architecture)」や「GAIN (Graphical Animation Interpreter)」などのソフトウェアツールへのアクセス権を提供する。「ALiSiA」では、PC上で照明機能の動作テストや調整が行え、「GAIN」では自動車メーカーなどが照明の動きなどを容易にデザインすることが可能になり、開発に要する時間とコストを削減する。(2019年6月26日付プレスリリースより)

マイルドハイブリッド向けシステム
-48Vのマイルドハイブリッド車向けに「Dual Voltage Battery Management System」と「PowerPack 48 Volt」を開発したと発表した。2020年以降、EUで新規登録される自動車に設けられる1キロメートル当たり95グラムのCO2排出という制限値を背景に、同社のソリューションは5-6グラムのCO2削減が可能になる。小・中型車向けの「Dual Voltage Battery Management System」は内燃エンジン搭載車をマイルドハイブリッド車に変換することが可能で、48Vバッテリー・12Vバッテリー・DC-DCコンバーターを従来のバッテリースペースに搭載できるように単一パッケージに統合している。また、より高い定格出力クラスの車両向けに設計された「PowerPack 48 Volt」は、バッテリー管理機能を持つ48Vリチウムイオン電池パックとDC-DCコンバーターを組み合わせ、12Vバッテリーとともに車両に搭載することで、回生ブレーキ・電動走行モードなどのハイブリッド車に搭載される機能のほか、高級車向けの快適機能も適用可能にするという。(2019年6月4日付プレスリリースより)

マイクロレンズアレイ(MLA)ベースのシステム
-中国で開催の国際自動車照明フォーラムにおいて、光学システムなどの照明部品のサイズ縮小を実現するマイクロレンズアレイ(MLA)をベースとするシステムを発表した。このシステムにより、自動車用照明部品は機能性に限定せず、形状およびサイズを通して個別化した特性を提供することが可能となる。材料を改良し、関連するパラメータを最適化することによって、ヘッドランプ照明技術などにも適用できるという。(2019年6月25日付プレスリリースより)

高さ20mm以下のヘッドランプコンセプト

-いくつかの技術コンセプトを選択して組み合わせ、モジュール化した開発システムを構築し、車両設計、顧客仕様、規制要件に基づいて追加の変更が可能。2021年には、スリムラインコンセプトに基づいた最初のヘッドランプシステムが顧客に提供される見込み。

車室内アンビエント照明の機能強化
-環境照明の色や色の強さを調整できる機能に加え、光を利用して情報を表示するシステムを開発。また、アンビエント照明の機能を追加したルーフコンソールを開発。

第3世代12/48V電圧変換器を開発
-内燃機関が停止した際などに、48Vの電気系統に蓄えられたエネルギーを12ボルトの負荷に供給することが可能。最新世代の12/48V電圧コンバーターは、2023年に量産を開始する予定。

重量・寸法を最適化した高効率な車載用充電器を開発
-充電容量は3kW~22kWで、双方向充電が可能。スマート充電機能を搭載しているため、充電時間を調整して系統への負荷を軽減し、充電時間のピークを回避することが可能。

ウルトラブロードバンドベースのキーレス・ハンズフリー車両アクセスソリューション
-高精度な定位技術により、中継攻撃からシステムを保護。さらに、カーシェアリングサービスのようなアプリケーションでもアクセスを安全に管理することができるという柔軟性も備える。iOSとAndroidの両方のOSに対応しており、早ければ2022年には市場に出回る可能性がある。
  

設備投資額

(単位: 百万ユーロ)
  2020年5月期 2019年5月期 2018年5月期
全社 431 551 432

-設備投資の内容は、グローバルな開発・管理・生産体制の長期的な拡大に向けた投資を含む。また、製品別の設備投資も実施した。
 

海外投資

<中国>
-BHAPとの合弁会社HELLA BHAP Electronicsが中国の鎮江市で生産を開始したと発表した。7,000平方メートルの生産エリアで、2019年末にサンルーフ用コントロールユニットの量産を開始した。今後数カ月以内に照明機器用電子部品の生産も開始予定で、さらにエネルギー管理および運転支援分野製品などポートフォリオを拡大する計画。現在の従業員数は約65名で、BAICグループの企業が主な顧客となるが、顧客ベースは中国とグローバル市場を視野に入れるという。(2020年1月9日付プレスリリースより)

-HELLA BHAP Electronics (Jiangsu)と鎮江 (Zhenjiang) 市がプロジェクトの継続に関する契約を締結したと発表した。両社間の合意に基づき、政府からの補助金や支援方法の詳細については明確にされているという。照明用エレクトロニクス機器やサンルーフの電動コントロールユニット、バッテリーマネジメントシステムなどの生産から始め、将来的には省エネ・電動化などの市場トレンドのメインとなる製品ポートフォリオを展開していく見通し。(2019年6月19日付プレスリリースより)

<リトアニア>
-Invest Lithuaniaは、HELLA Lithuaniaが欧州市場のガソリン車向け空気圧アクチュエーターの製造を開始したと発表した。アクチュエーターの製造はHELLA Lithuaniaが実施する5番目のプロジェクトで、自動車メーカーに直接販売を行う。完全自動化された生産ラインはウェイストゲートアクチュエーター専用で、現在準備中の新ラインの導入により毎年数百万個のアクチュエーターを製造することが可能になるという。この製品は20名の従業員が3シフトで製造し、12名の技術者とオペレーターがラインの保守と運用を担当している。アクチュエーターの製造プロセスでは、樹脂部品のレーザー溶接などの高度な技術と、誤った部品を検出して欠陥部品を特定する自動システムを使用している。(2019年10月31日付 Invest Lithuaniaプレスリリースより)