日産の新興国戦略:2014~15年に中国と南北アメリカで各年産200万台体制

中国にヴェヌーシアブランド、インドネシアなど3カ国にダットサンブランドを投入

2012/07/13

要 約

日産の販売実績と計画 本レポートは、日産の新興国地域での生産能力増強を中心とした事業戦略について報告する。

 日産は、2011~2016年度6カ年中期経営計画「日産パワー88(エイティエイト)」で、2016年度までに世界シェアと営業利益率をそれぞれ8%に引き上げる計画。初年度である2011年度は、円高や2つの大きな自然災害にもかかわらず、新興国を中心に過去最高の販売台数と成長を果たした。

 2012年度は引き続き新興国市場での拡大を進める。販売拡大と生産能力の増強が優先課題だとしている。

 日産は中国、ロシア、ブラジルなどでアジアブランド・ナンバーワンを目指しており、下表の主要新興国地域で大幅な設備増強を計画している。

 中期計画の最終年度である2016年度のグローバル販売は、グローバル全需9,500万台を前提に760万台とされ、2016年度末には800万台以上のグローバル生産能力を構築する構想で(2011年度末は540万台)、今後も新たな設備増強計画を打ち出すとしている。

 また、2012年に中国市場にヴェヌーシアブランドを、2014年にインドネシアなど3カ国にダットサンブランドを投入し、従来カバーできていなかったエントリープライスセグメントに参入する。


主要新興国地域での設備増強計画

中南米  メキシコ(生産能力年間17.5万台、2013年末稼働)、ブラジル(20万台、2014年前半)の新工場を建設する。中期的にメキシコで100万台超を生産する。
 南北アメリカの生産能力合計は、2011年度120万台から2014年度までに200万台に拡大する。
中国  既存の花都工場、襄陽工場を増強、新たに大連工場(15万台、2014年)を建設し、中国全体で、2014~15年に年産200万台体制とする。
ロシア  ルノーと共同で、ロシア最大手アフトワズの経営権の50.01%を取得することが決定。2016年までに3社合わせて160万台の生産能力を構築する。
アセアン  アセアン地域の生産能力を、2011年度の38.5万台から2016年度に70万台に拡大する。
 うちインドネシアでは、2011年前半の5万台から2014年に25万台に増強する。

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