Valeo Group 2019年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)

2019年
12月期
2018年
12月期
増減率 (%) 要因
売上高 19,477 19,124 1.8 1)
営業利益 732 1,036 (29.3) -
部門別
コンフォート& ドライビングアシスタンスシステム 3,591 3,741 (4.0) 2)
パワートレインシステム 4,998  5,036 (0.8) 3)
サーマルシステム 4,516 4,517 (0.0) 4)
ビジビリティシステム 5,923 5,699 3.9 5)

要因

1) 売上高
ー2019年12月期の売上高は、前年比1.8%増の19,477百万ユーロ。為替影響で1.7%プラスとなった一方、連結範囲の変更による0.2%のマイナス影響も受けた。為替影響や連結範囲変更の影響を除くと、前年比0.3%の増収となった。新車向けの売上は、同条件下では前年レベルを維持したものの、アフターマーケットでは約2%減少した。その他事業では、16%の増収となった。

2) コンフォート& ドライビングアシスタンスシステム
-2019年12月期の売上高は、前年比4.0%減の3,591百万ユーロ。既存事業での売上は、3.5%増加した一方、トップコラムモジュール事業が同事業部門から外れて別のカテゴリーへ移管されたため、部門内の既存事業売上は影響を受けている。連結範囲の変更を除くと、特にドイツおよびフランスの顧客向けのフロントカメラなど、欧州での新規製品の投入により売上高は上昇した。また、中国における顧客ミックスの改善による売上上昇もあった。

3) パワートレインシステム
-2019年12月期の売上高は、前年比0.8%減の4,998百万ユーロ。売上高が前年比で減少した一方、欧州での電動パワートレインセグメントの製品導入により、自動車生産量を約6%上回った。

4) サーマルシステム
-2019年12月期の売上高は、前年同レベルを維持した4,516百万ユーロ。特に日本の日産やスバルなどのアジアでの顧客ミックスの悪化があった一方、北米や欧州での売上は米国やフランスの複数顧客向けの製品投入から恩恵を受けた

5) ビジビリティシステム
-2019年12月期の売上高は、前年比3.9%増の5,923百万ユーロ。特に照明システムセグメントでの米国顧客などの、北米での様々なプロジェクトの発動により売上高が上昇した

買収

-2019年、同社は顔認証およびドライバーモニタリングソフトウェア開発を行うドイツの大学からスピンオフした企業Asaphusの株式50%を取得した。なお、同社のドライバーモニタリングシステムは、Asphusの統合ソリューションを既に取り入れている。

事業提携

-同社とDanaは、エンドツーエンドの48Vハイブリッドおよび電気自動車(EV)システムを市場投入するためのグローバル規模の提携を発表した。最初の製品は2020年初めに欧州自動車メーカーの量産モデルに搭載される予定。このシステムはValeoが製造した電気モーター、インバーターと、Danaのeギアボックス「Spicer Electrified」で構成されており、三輪、四輪の都市型車両の電動化および重量2.5トン以下の車両のハイブリッド化に必要なすべてのコンポーネントを提供する。また、60V以下の低電圧構造で手頃でメンテナンスの必要性も少なく、あらゆるタイプの車両に簡単に適用できるという。(2019年10月3日付プレスリリースより)

近年の動向

-市光工業は、トヨタ自動車が所有する全株式をValeo子会社のValeo Bayenが取得したと発表した。これにより、同社の議決権所有割合は6.1ポイント増の61.2%に引き上がる。トヨタは、政策保有株式の縮小に関するコーポレートガバナンスコード (企業統治方針) に対応するため、市光工業株の売却を決めた。(2019年5月14日付日刊自動車新聞より)

-同社は、Bpifranceが株式公開市場での株式取得により、Valeoグループの株式資本に対する持ち分が、しきい値の5%を超えたと発表した。同社はBpifranceが再び長期株主として戦略上に関わってくることを歓迎している。Bpifranceの出資は、Valeoグループの戦略と成長可能性に対する自信の表れであるとしており、また電動化や自動運転化、デジタル化により再編が進む自動車産業の中でValeoグループがメジャープレーヤーとしてのポジショニングを強めることの一助を担っているという。(2019年4月29日付プレスリリースより)

-同社は、2019年の見通しについて、カメラ、トランスミッションシステム、照明部品などの新規契約の生産開始により、2018年下半期より更なる成長を目標としていると発表した。また、コストを100百万ユーロ超、設備投資を100百万ユーロ超削減する新規プログラムも発表した。新たな中期目標については、年末に開催されるInvestor Day前に発表する予定。(2019年2月21日付プレスリリースより)

受注

-2019年、欧州、日本、中国の自動車メーカーとの間で中国および日本市場向けのEV用バッテリー・サーマルマネジメントシステムに関する大型受注を獲得したと発表した。

ホンダ新型「フィット」向けカメラ
-ホンダは、2020年2月発売予定の新型「フィット」に搭載する予防安全支援システム「ホンダセンシング」のセンサーをカメラのみにする。従来より2倍の角度を検知でき、より画像認識の精度を高めたValeo製のカメラを採用する。カメラとミリ波レーダーを組み合わせている現行のホンダセンシングと比べて、安価にもできる。現行のホンダセンシングは、独ボッシュ製の単眼カメラとミリ波レーダーで構成していた。新型では、現行システムに対して約2倍の100度の検知範囲を持つ、同社製の広角カメラのみのシステムに変更する。また米インテル子会社のモービルアイ製の画像処理チップの採用で障害物の認識精度を高め、単眼カメラのみのシステムを実現した。(2019年11月27日付日刊自動車新聞より)

 

見通し

-欧州自動車メーカーが2019年から2022年の間に投入する60V以上のEVについて、2/3の車両が同社の高電圧システムを採用するように、電動化および自動化技術で業界を牽引するポジションを狙っている。なお、2019年に生産された1/4の車両が同社製のADASソリューションを採用した。

-2022年に電動モーターやDC/DCコンバーターといった電動車向け製品の売り上げを現在の5倍にあたる25億ユーロ  (約3065億円) に引き上げる。20年以降に欧州メーカーが発売する小型モビリティ約60モデルに同社の48ボルトシステムを提供する。48ボルトシステムでは世界シェア40%を狙う。日本市場向けにも、大学と連携して48ボルトシステムを搭載した電気自動車 (EV) の軽トラックを制作した。欧州に加え、日系メーカーへのアプローチも強める。3年後をめどに、48ボルトシステムは現在の2億ユーロ  (約245億円) から11億ユーロ  (約1348億円) に、60ボルト以上の高電圧システムは現在の3億ユーロ  (約367億円) から14億ユーロ  (約1716億円) に売り上げを拡大する。高電圧システムに関しては、24年には20億ユーロ  (約2451億円) に到達する見通しだ。(2019年12月17日付日刊自動車新聞より)

-電動化とADAS分野の12種類の新技術プラットフォームをInvestor Dayで公開すると発表した。同社は車両あたりの平均コンテンツの急激な増加から得られる成長機会についても説明する。パワートレインシステムおよびコンフォート&ドライビングアシスタンスシステム事業部門は、競合、バリューチェーン、主要な商業的成果に関する新技術プラットフォームを紹介する。同社はディーゼル事業から徐々に撤退することも発表しており、48 Vシステムと高電圧電動ソリューションの両方に対応する電動パワートレイン製品を拡大し、運転支援市場での地位強化を図るとしている。2020年から2022年にかけて、Valeoグループはグローバル自動車市場より約5%ポイント上回る成長を目指す。収益性改善により、2022年にはEBITDAを売上の15%超に増加させる計画。また、合弁会社のValeo Siemens eAutomotive (VSeA)は、2022年に14億ユーロ、2024年に20億ユーロ超の売上を目指すという。(2019年12月9日付プレスリリースより)

研究開発費

 (単位 : 百万ユーロ)
  2019年12月期 2018年12月期 2017月期
コンフォート&ドライビングシステム 579 556 518
パワートレインシステム 293 319 272
サーマルシステム 274 285 286
ビジビリティシステム 360 377 395
その他 44 23 23
合計 1,550 1,560 1,494


-同社は2017年以降、電動化、自動運転、コネクティビティ、デジタルモビリティなどの自動車業界のトレンドに沿った需要を満たすために、12の新技術プラットフォームの開発に合計5億ユーロ超を投資している。 12のプラットフォームは、2022年までに26億ユーロの収入を生み出すと期待されている。投資を行うプラットフォームは次の通り:

  • 高電圧eマシンおよびeアクスル (High-voltage e-machines and e-axles)
  • 高電圧インバーター (High-voltage inverters)
  • 高電圧車載充電器 (High-voltage onboard chargers)
  • EVバッテリー冷却システム (Electric vehicle battery cooling systems)
  • EV車内サーマルシステム (Electric vehicle interior thermal systems)
  • EV向けヒートポンプ (Heat pumps for electric vehicles)
  • 48Veマシンおよびeアクスル (48V e-machines and e-axles)
  • 48V DCDCコンバーター (48V DC/DC converters)
  • フロントカメラ (Front cameras)
  • Scala LiDARシステム (Scala lidar systems)
  • ドライバーモニタリングシステム (Driver monitoring systems)
  • 自動ポッド (Autonomous pods)

研究開発施設

-2019年12月31日現在、世界で20拠点の研究センター、39拠点の開発センターの合計59拠点の研究開発センターを保有する。

-地域別の研究開発センター拠点数:

  • 西欧: 26
  • 中・東欧: 5
  • アフリカ: 1
  • 北米: 6
  • 南米: 3
  • アジア、中近東、オセアニア: 18

-2019年10月4日、Valeo武漢技術センターの第2期拡張工事が完了した。このセンターは武漢開発区に位置し、主にライティング技術と 快適性・ドライブアシストシステムの設計開発を手掛ける。今回拡張した工場の敷地面積は3,000平方メートルで、研究開発設備、完成車実験室などを含むオフィス総床面積は1.4万平方メートルとなる。将来は1,000名を超える研究開発チームを擁し、同グループ世界最大の研究開発センターとなる見込み。(2019年10月15日付け複数メディア報道より)

-Vellore工科大学 (VIT) は、同社がVITのVelloreキャンパス内にCenter of Excellenceを設立したと発表した。同社はVITと新規技術に関する共同研究プロジェクトを発足させ、現在5つのプロジェクトを実行中。1,800平方フィートの施設には同社のパワートレインシステムやサーマルシステム、ビジビリティシステム、自動運転関連の製品や技術が展示され、学生に対して最先端の技術に接触する機会を提供している。この施設は、研究者や学生の研究やプロジェクトに活用されるという。(2019年6月25日付VITニュースより)

-250百万ルピーを投じてインドのチェンナイ(Chennai)に研究開発施設を新設すると発表した。新センターは同社の事業部門と製品グループをサポートし、世界中の拠点にテストおよびプロトタイプサービスを提供する予定。また、インド市場向けソリューションの現地での設計、開発も可能になるという。2010年に50名で操業を開始したチェンナイ拠点の従業員数は現在1,000名を超え、機械設計、シミュレーション、組込みソフトウェア開発、コンピュータービジョン、機械学習、ハードウェアおよび機能安全設計の分野で効率的なサポートを提供している。同部門は、2023年までに従業員を5,000名に増員する計画。(2019年3月18日付 social media updatesより)

-44百万ユーロを投じてアイルランドTuamの研究開発センターのADASおよび自動運転技術の研究開発を強化すると発表した。同センターは今後3年間で50名の技術者を新規雇用し、従業員は500名を超える見込み。Tuamでは自動車用カメラビジョンシステムを開発、製造しており、同拠点で開発された製品はドイツ、ハンガリー、メキシコ、中国でも製造されている。(2019年3月13日付 IDA Irelandプレスリリースより)

-同社子会社のヴァレオジャパンは22日、茨城県行方市に自動運転車の開発拠点「茨城先進運転支援システム開発評価センター」を新設すると発表した。今年3月に着工し、4月以降に順次利用できるエリアを拡充、2020年11月に工事を完了する予定。拠点開設に合わせ、運転支援・自動運転のエンジニアを21年までに現在の130人から180人に拡充する。新設する拠点には、開発・評価機能のほか、最長直線300メートル、1周600メートルの周回路コースと長さ150×幅100メートルのNCAPテストエリアを設置する。(2019年1月23日付日刊自動車新聞より)

研究開発体制

-2019年12月31日現在、約7,000名のソフトエンジニアを含む約19,900名の従業員が研究開発に従事している。

研究開発活動

-傘下のヴァレオジャパンは、内閣府が中心となり、関係府省・機関が連携して推進する戦略的イノベーション創造プログラム (SIP) 第2期「自動運転 (システムとサービスの拡張) 」に参画し、東京臨海部における自動運転の実証実験に参加すると発表した。このプログラムは、自動運転を実用化し普及拡大していくことにより、交通事故の低減・交通渋滞の削減・交通制約者のモビリティ確保、物流・移動サービスのドライバー不足の改善・コスト低減等の社会課題を解決するための共通課題を研究開発する。同社は自動運転車「Cruise4U」で東京臨海部を走行して取得した実験データや分析結などを報告するという。なお、この実証実験は2019年10月以降に必要な交通インフラが整備され次第、開始される。(2019年6月13日付プレスリリースより)

-Silicon Mobilityは、同社と協業で推進してきたパワートレインの電化に対するプロジェクトであったGMG-EHLの成功を発表した。当該プロジェクトによりSilicon MobilityのOLEAソリューションが、エネルギー効率の向上、CO2排出量の削減、機能的安全性の強化、マイルドハイブリッド車用電子コントロールシステムのコスト削減に寄与することを実証した。GMG-EHLにより、独自のリアルタイムかつ機能的な安全機能を提供する半導体ベースのソリューションであるOLEA FPCU(Field Programmable Control Unit)の設計・工業化が可能となった。Valeoのマイルドハイブリッドシステムのテストベンチで検証されたOLEAソリューションは、モーターやインバーターのエネルギー回収量を改善させ、CO2排出量をさらに5%低減させたという。(2019年5月16日付プレスリリースより)

技術提携

-同社は様々なシステムやサービスについて研究開発パートナーシップを多くの企業と締結している:

  • デンソーテン: アクティブセーフティシステム
  • LeddarTech: アクティブセーフティ製品向け検知・計測ソリューション
  • Mobileye: マイクロプロセッサー、コンピューターヴィジョン・アルゴリズム、レーザースキャナー技術
  • Gemalto:  InVlueバーチャルキーシステム用セキュリティ
  • Capgemini: フリート向けMov’inblue インテリジェントモビリティーソリューション
  • Cisco: スマートパーキングサービス
  • NTTドコモ: コネクテッド車両向けモビリティサービスの開発
  • 百度 (Baidu): オープン自動運転プラットフォームApolloとのパートナーシップ
  • WABCO: 商用車用アクティブセーフティ技術


-同社のエジプト現地法人Valeo Egyptは、エジプト情報技術産業開発庁(ITIDA)および科学研究技術アカデミー(ASRT)との2件の覚書に署名したと発表した。Valeo EgyptはITIDAと協力して、自動車分野における最新のICT技術に関する世界クラスのトレーニングを提供し、エジプト事業拡大の一環として雇用創出に取り組む。同社は研究センター、ソフトウェア・ハードウェアツールおよび国内外の専門家を活用した研究活動への投資により、試作品、特許、研究論文の制作を促進する。また、ASRTとの間ではディープラーニング、電動化、デジタル化分野における学術研究の協力体制を構築するという。(2019年1月29日付プレスリリースより)

-R&P POLYPLASTICは、ロシアのTogliattiで同社と技術会議を開催したと発表した。両社は熱可塑性物質の分野での協力体制の強化に合意した。R&P POLYPLASTICは高価な異材に代え、ポリアミド6をベースにした同等物で置き換えることを可能にするソリューションを発表。さらに両社は、材料の軽量化と製品原価の最適化に関しても議論した。(2019年1月15日付プレスリリースより)

-中国ウェブサービス企業、美団(Meituan)とのラストワンマイル無人配送技術に関する戦略提携に合意したと発表した。両社はラストワンマイル(最終拠点からエンドユーザーへの物流サービス)向け無人配送車を共同開発する。美団の利用シーンと無人運転技術を結び付け、Valeoは美団無人配送車向けにモーター、センサー、照明、熱管理などの重要部品と技術を開発する。美団は中国の生活関連サイト運営大手で、国内食品配送のリーディングプラットフォーム。(2019年1月9日付けValeo WeChat公式アカウントより)

-Mobileyeとの間でMobileyeの自動運転車の安全性を目的とした数学的公式モデルResponsibility-Sensitive Safety (RSS)をベースとする新たな自動運転車の安全基準の開発および促進での提携に合意したと発表した。RSSモデルでは、人間的な責任感と注意力の概念に基づく具体的で計測可能なパラメーターを提供し、ほかの車両がどのような動きをしたとしても自動運転車が事故の原因となることがないように設計された「安全な状態」を定義している。両社は欧州、米国、中国でRSSベースの技術標準の採用を強化するために必要な方策と技術について協業する。このパートナーシップには、安全な自動運転車の検証と商用展開のためのフレームワークの作成、RSSモデルに関する公的研究への資金提供、規格草案の作成、および指定標準化団体の主要委員会や作業グループへの参加などが含まれるという。(2019年1月8日付プレスリリースより)

製品開発

電動化ソリューション展示用デモンストレーション車両
-2019年、同社は複数のデモンストレーション車両を開発し、小型自動車向けの電動化ソリューションの展示を行った:

  • 48Vスターターオルタネーターおよびベルト駆動トランスミッションシステム付き電動カート
  • 48Vスターターオルタネーター、ベルト駆動トランスミッションシステム、6kWhバッテリー (最高速度45km/h、最大航続距離100km) 付き軽量市街地車両
  • 群馬大学共同開発、48Vパワートレイン、最大15kW電気モーター、インバーター、トランスミッション付き軽トラック


PictureBeam Monolithic高解像LED照明をリューション
-2022年に初の高解像LEDスマート照明ソリューションであるPictureBeam Monolithic技術を市場投入すると発表した。1つの照明モジュールから道路に約4,000ピクセルを投影できるPictureBeam Monolithicは、最適な視野を確保するための広い光線を生成し、防眩性を高めることで夜間の道路の安全性大幅に改善する。また、このヘッドランプは光線による道路へのマーキング作成や、道路の様々なカーブでの追跡も可能。新技術により、夜間の歩行者、自転車、道路上の障害物の視認性も向上させるとしている。(2019年12月16日付プレスリリースより)

Drive4U Remote車両オペレーションシステム
-自動運転車の遠隔操作「Valeo Drive4U Remote」を東京モーターショーに出展すると発表した。「Valeo Drive4U Remote」は走行中の車両を内部と外部から確認し、車両単体では制御できない状況に陥った際にオペレーターが遠隔地からコントロールする新しいソリューション。自動運転車Drive4Uは、自動緊急ブレーキを装備し、テレオペレーション時にオペレーターの死角に障害物がある場合でも車両を安全に停車させる。また、センサーには同社が既に量産しているセンサーのみを使用している。今回東京モーターショーで公開される5Gを活用したDrive4U Remoteは、ValeoとNTTドコモのデジタルモビリティの新たな活用法を示す取り組みであり、レベル4の完全自動運転を実現するための重要なテクノロジーになるという。(2019年10月15日付プレスリリースより)

IAA 2019出展技術
-電気モーター、車載チャージャー、DC/DCコンバーターなどの電動システムを搭載したファミリータイプのプラグインハイブリッド車 (PHV) の試作を披露すると発表した。この試作車は40kmの電動走行ができ、最高速度は70km/h。さらに長距離走行では内燃エンジンへの動力切替えを行うことが可能。また同社は、電気自動車 (EV) の重要課題の1つであり、車載電池の寿命を守るためのバッテリー・サーマルマネジメント技術も出展する。そのほか、自動運転分野では、超音波センサーからカメラ、レーダー、LiDARシステムなどのセンサー類や、収集したデータを解析して車が置かれた環境下で走行するための車載人工知能 (AI) システムも紹介する。さらに、エクスペリエンスシェアリングのトレンドの高まりに応えるために開発中の、仮想的な車に乗り旅を共有できる没入体験を可能にするイノベーション「Valeo VoyageXR」も披露する。(2019年9月11日プレスリリースより)

共感的乗員モニタリングシステム
-同社とアイルランドの共感型AIのスタートアップ企業であるSensumは、乗車中に乗員の感情に作用して、ニーズを汲み取るようなシステムを開発するために協業すると発表した。そのシステムは、快適性や運転の満足感に働きかけるほか、運転手の疲労度合いや注意力のレベルをモニタリングすることで、安全面にも貢献する。パリで開催された「Viva Technology」会議では、Sensumは車両システムがどのように乗員の感情に共感して作用するかを披露した。Valeoとしては、車内に配置された様々なセンサーからの情報をベースに人工知能を活用することで、個々の乗員の生理的・感情的な状態を感知して、調光・フレグランス・音響・温度などを個々にカスタマイズするシステムを提供する。またSensumの感情共感型AI技術は、個人の些細な生理的変化からキャッチしたデータを処理するため、より人間の感情に作用できるという。(2019年5月23日付プレスリリースより)

幼児置き去り検知システム
-生体検知センサーを活用した車室内への「幼児置き去り検知システム」を2022年から量産開始する。現在はカメラを使った検知システムが主流で、センサーを使った製品の量産は「 (同社が) 初」 (小谷純也ビジネスデベロップメント) となる。欧州では22年に、新車の安全性を評価するテスト項目に幼児置き去り検知機能が追加される見込みとなっており、それまでに精度のさらなる向上を図る考え。(2019年5月23日付日刊自動車新聞より)

Viva Technologyでの展示技術
パリで開催される会議「Viva Technology」への参加を発表した。同社は新モビリティサービス、ユーザーエクスペリエンス、フリート管理ソリューションの分野での課題に対応するため、30社の新興企業を迎えて最新の技術革新を発表する。同社は、カメラ、センサー、テレマティックス、ヒューマンマシンインターフェースなど幅広い技術を活用して走行中の車内の乗員を仮想シミュレートする「Valeo Voyage XR」をフランスで初公開する。また、共感的AI企業のSensumと共同で、乗員のニーズを理解するための車内評価システムを開発。このシステムにより、安全性と快適性の問題に取り組むことが可能となる。さらに、微粒子、一酸化炭素、二酸化窒素、二酸化硫黄、オゾンのレベルを測定するセンサーを搭載した車両20台をパリに配備し、開発した大気質マップも公開予定。この地図はリアルタイムの画像により、空間と時間の両方で都市の大気質の変動を追跡するという。(2019年5月13日付プレスリリースより)

上海モーターショー展示技術
-最新技術を上海モーターショーに出展すると発表した。同社は、最高時速100km、最大航続距離150kmの都市型2人乗り48V電気自動車(EV)や、自動車が電力網のリンクになることを可能にするリバーシブル充電器などを公開する。また、走行距離を最適化するように設計された、EV用の全天候型熱・快適ソリューションや、現時点で自動車業界唯一の量産型LiDARである「Valeo SCALA」も発表予定。(2019年4月15日付プレスリリースより)

PictureBeam Monolithic 高解像LED照明ソリューション
-Creeと共同で自動車向け照明システム用の高精度LEDアレイソリューションを開発したと発表した。Valeoはこの照明システム「Valeo PictureBeam Monolithic」をCES 2019に出展。「Valeo PictureBeam Monolithic」は、防眩ハイビーム路面標示機能と高性能のロービーム・ハイビームが1つになったソリューションで、他の市販の高精度照明システムよりも小型で軽量になっている。Valeoの電子システムの制御下で、各ピクセルはドライバーのニーズと道路状況に基づいて個別にオン、オフ、または自由に調整することが可能になるという。(2019年1月10日付プレスリリースより)

CES 2019展示技術
自動運転車、パワートレイン電動化、デジタルモビリティの最新技術などをCES 2019に出展すると発表した。すでに量産されている同社のセンサー(超音波、カメラ、レーザー、レーダー、LiDARS)と人工知能によって操作を行うグループ初の自動運転車「Valeo Drive4U」や、走行中の自動運転車内の乗員を仮想シミュレートする「Valeo Voyage XR」を発表予定。このほか、車両後部のトレーラーやキャラバンをバックミラーに映し出さない「Valeo XtraVue Trailer」や、CREEと共同開発した高精度照明システム「Valeo PictureBeam Monolithic」も公開する。(2019年1月7日付プレスリリースより)

Mov'InBlue モビリティソリューション
-同社とCapgeminiが共同開発したスマートデジタル・モビリティソリューションのMov'InBlueと、欧州のカーシェアリングプラットフォームのDrivyは、相互運用可能なシェアモビリティソリューションを発表した。このソリューションにより、フリート管理者はDrivyのセルフサービス・カーシェアリングにフリート車両を利用できるようになる。Drivyのプラットフォームとの統合により、Mov'InBlueは250万人のユーザーがいるDrivyのコミュニティとあらゆるフリート車両を共有できるようになり、フリート管理者は車両の使用を最適化して追加の収入源を得ることができるという。(2019年1月4日付プレスリリースより)

テレマティクスプラットフォーム統合のグローバルV2Xシステム
-同社と Autotalksは、テレマティクスプラットフォームに統合されたグローバルV2X機能をCES 2019に出展すると発表した。ライブデモでは、世界規模で展開するためにDSRCとC-V2Xを切り替えることができるValeoのテレマティクスプラットフォームを発表する予定。AutotalksのV2Xチップセットは、802.11p / ITS-G5規格に基づくDSRCと、3GPP規格に基づくC-V2Xの両方をサポートする世界初のソリューション。AutotalksのV2Xチップセットにより、DSRCとC-V2Xの通信を切り替えることが可能。このチップセットは、セルラーネットワークアクセスデバイス(NAD)からV2Xを分離し、テレマティックコントロールユニット(TCU)の展開におけるドメインの分離とセキュリティ、スケーラビリティ、およびコストの最適化実現を目指すという。(2019年1月3日付プレスリリースより)

特許 

-2019年、出願された1,698件を含めて、合計33,340件の特許を保有

設備投資額

(単位:百万ユーロ)

2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
コンフォート&ドライビングアシスタンスシステム 534 582 537
パワートレインシステム 418 458 390
サーマルシステム 460 454 430
ビジビリティシステム 522 538 508
その他 52 21 37
合計 1,986 2,053 1,902


-2019年12月期の設備投資額は前年比3.3%減。特に中国、韓国、ドイツ、イタリア、スペインをはじめとする同社の事業展開地域の大部分で投資活動が減少した。投資が拡大したのは、チェコおよびポーランド。事業・製品ごとでは、コンフォート&ドライビングアシスタンスシステム事業部門およびトランスミッションシステム製品、サーマルパワートレイン製品、照明システム製品などで投資が減少した。