(株) 東海理化電機製作所 2020年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2020年 3月期 |
2019年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 500,002 | 507,645 | (1.5) | -左はコロナウイルス感染拡大による影響(8,600百万円)を含む |
営業利益 | 22,597 | 29,618 | (23.7) | -上記と同様の影響(3,000百万円) |
経常利益 | 22,914 | 30,110 | (23.9) | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 15,067 | 18,090 | (16.7) | - |
地域別売上高 | ||||
-日本 | 304,695 | 303,105 | 0.5 | -新型車種への拡販など |
-北米 | 102,291 | 104,872 | (2.5) | ー収益認識基準が変更になったことなど |
-アジア | 132,514 | 136,101 | (2.6) | -主要客先向け売上高の減少など |
-その他 | 30,843 | 33,774 | (8.7) | - |
事業動向
<デジタルキーシステム>
スマートフォン使用車両キー認証・デジタルキー配信技術を事業化
-同社は、国土交通省の規制緩和を踏まえ、スマートフォン(スマホ)を使った車両キー認証・デジタルキー配信技術を事業化する。自動車メーカー向けのほか、自動車用施錠装置で培った信頼性を武器に社有車やシェアリング車両などにも関連機器とサービスを売り込む。新たに開発したデジタルキー通信技術は、スマホで広く普及しているブルートゥース通信を用いる。現行のスマートキーより高い周波数帯で電波の直進性が強いため、スマホ位置の判定技術などを工夫して確実に作動するようにした。(2019年9月25日付日刊自動車新聞より)
デジタルキーシステム活用商用車サービス実験開始
-物流サービスや自動車サービスを手掛けるキムラユニティーと共同でデジタルキーシステムを活用した社用車向けサービスの実証実験を開始。このシステムは、モバイルアプリから予約したデジタルキーをスマートフォンに配信することで、車両ドアの開錠・施錠を行う。これにより物理的なキーの受け渡しをすることなく、社用車の利用ができるようになる。2020年度中の実用化を目指し、範囲を広げた実証確認を進める予定。(2020年3月17日付プレスリリースより)
データ・テックと共同開発契約を締結
事業領域の拡大を目的にデータ・テックと共同開発契約を締結したと発表した。データ・テックはクラウド基盤を活用したモビリティサービスの展開に実績があり、東海理化はこの業務協力によって同社のキー認証・デジタルキー配信技術とデータ・テックの車両運行管理・安全運転診断技術を組み合わせた新たな車両運行管理システムを提供することが可能となるという。(2019年5月13日付プレスリリースより)
研究開発活動
ー2020年3月期における同社の研究開発活動は以下の製品等について行われた。
スイッチ関連
-意匠性と操作性を向上させた、レバーコンビネーションスイッチ
-省スペースかつ高級感を高めたドライブモードセレクトスイッチ
シフトレバー関連
-標準化、低コスト化を進めたATシフトレバー
-バイワイヤータイプのシフトレバーのバリエーション展開
セキュリティシステム関連
-小型車への普及を目指したスマートキーシステムの低コストタイプの展開
-シェアカー用キーへのアプローチ
セーフティシステム関連
-小型化ニーズに応えた次期標準リトラクターを搭載したモーター付シートベルト
-低コストドアミラーのラインナップ追加
-世界で初めて車両搭載されたデジタルアウターミラー
その他の分野
-高級質感の藍本杢ステアリング
-新たな本革縫製を採用し、量産化を実現したシフトノブ
製品開発
統合電子ミラー
-車体後部と左右のカメラ映像を組み合わせ、より自然な後方の広角映像をルームミラーに映し出す技術を開発した。乗用車用の電子ミラーは2016年に解禁されたが、装着車は一部にとどまる。同社は映像から物体を検知してドライバーに警告する技術の開発も進め、電子ミラーの費用対効果を高めて普及を目指す。一般的な電子ミラーは、車体後部に取り付けたカメラの映像をルームミラーに映す。映像を単純に合成すると映像が重なる部分が二重になったり、消えたりしてしまう。同社は昨年9月に19.8%出資したベンチャー、カムイ・イノベーション(札幌市中央区)の画像処理技術も使い、より自然で鮮明な後方映像を映し出す技術にめどをつけた。今後、量産開発に着手し、25年頃に自動車メーカーへの納入を目指す。(2019年11月18日付日刊自動車新聞より)
「コンフォート&セイフティシートベルト」
-シートベルトを装着しやすくしたり、安全装置と連動して運転者に危険を知らせるシステムを開発した。高齢化や自動運転時代をにらんで自動車各社に提案する考えだ。「コンフォート&セイフティシートベルト」は、装着時にベルト取付部が前方に移動するとともにバックル部が上方にせり上がり、身体をひねらなくてもベルトを装着できるほか、カーブ進入時にベルトを少し引き込んで上半身を動かないようにしたり、断続的にベルトを引き込んで運転者に警告を出すなどの機能を持つ。制御ユニットなどが必要だが、リトラクター(ベルト巻き取り装置)用のモーターを応用してコスト上昇も抑えた。東京モーターショーで実機を展示している。(2019年10月28日付日刊自動車新聞より)
将来コックピットモックなど最新製品を東京モーターショーに出展
-同社は将来コックピットモックや最新製品を東京モーターショーに出展した。将来コックピットモックでは、「五感で伝える / 伝わる」UX (User Experience) を基軸にクルマと対話ができるインターフェースを表現。製品展示では、運転中の安定操作を確保し、様々なドライブシーンで快適な操作を実現するアームレスト一体タッチパッドや、モーターを使用することで、装着感の向上、乗員への危険報知・警告を行うコンフォート・セーフティシートベルトのほか、スマートフォンキーに認証技術を組み合わせて、個人別のサービス提供や、ジェスチャー操作によるドア開放を可能にさせた次世代ドアエントリー向け画像認識システムなどを展示。(2019年10月10日付プレスリリースより)
ステアリングスイッチ
-同社はタッチパッドを組み込んだステアリングスイッチを開発。部品点数を減らせ、発売後の機能更新にも対応が容易なことが特徴だ。新たなHMI (ヒューマン・マシン・インターフェース) 部品としてトヨタ自動車をはじめとする完成車各社に売り込んでおり、早ければ2021年頃の納入を目指す。(2019年7月18日付日刊自動車新聞より)
業務提携契約 |
(2020年3月31日現在) |
契約会社名 | 相手方会社名 | 契約内容 |
同社 | 豊田合成 (株) | エアバッグ、シートベルト等を一体としたセーフティシステムの開発、設計、販売および生産について豊田合成 (株) と提携して業務を行う。業務提携の範囲は日本を含む全世界を適用範囲とする。 |
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2020年3月期 | 2019年3月期 | 2018年3月期 | |
日本 | 27,533 | 25,224 | 24,727 |
北米 | 586 | 631 | 671 |
全社 | 28,119 | 25,856 | 25,398 |
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2020年3月期 | 2019年3月期 | 2018年3月期 | |
全社 | 23,065 | 25,307 | 20,139 |
-2020年3月期:
- 日本: 13,656百万円
- 北米: 3,811百万円
- アジア: 4,284百万円
- その他: 1,315百万円
-2021年3月期 (予想):
-自動車用部品事業を中心に総額約23,000百万円を予定。
海外投資
<メキシコ>
-メキシコの複数メディアは、同社が40百万メキシコペソを投じてNuevo Leonの事業を拡張すると報じた。拡張により、同社は767名の新規雇用を創出する見込み。(From multiple sources on December 13, 2019)
設備の新設計画 |
(2020年3月31日現在) |
事業所名 | 所在地 | 設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
本社・本社工場 | 愛知県 大口町 |
スイッチ、エレクトロニクス製品等の部品製造、組付、検査設備等 | 5,071 | 2020年4月 | 2021年3月 |
豊田工場 | 愛知県 豊田市 |
シートベルト、装飾品の部品製造、組付、検査設備等 | 1,617 | 2020年4月 | 2021年3月 |
音羽工場・萩工場 | 愛知県 豊川市 |
キーロック、ステアリングホイール等の部品製造、組付、検査設備等 | 4,546 | 2020年4月 | 2021年3月 |
2021年3月期の見通し |
-2021年3月期の業績予想は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い算定困難として未開示。