(株) 村田製作所 2020年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
  2020年3月期 2019年3月期 増減率 (%) 要因
全社
売上高 1,534,045 1,575,026 (2.6) -基地局向けやカーエレクトロニクス向けで積層セラミックコンデンサが増加したものの、スマートフォン向けで樹脂多層基板やリチウムイオン二次電池、積層セラミックコンデンサが減少し減収。
営業利益 253,247 266,807 (5.1) -コストダウン活動による増益要因はあったものの、操業度低下や製品価格の低下、減価償却費の増加に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による海外生産拠点の稼働停止などにより減益。
同社株主に帰属する当期純利益 183,012 206,930 (11.6) -
カーエレクトロニクス用途
売上高 263,500 257,100 2.5 1)


要因
1) カーエレクトロニクス用途
-自動車の販売台数は減少となったものの、部品数増加等のトレンド継続により車載用積層セラミックコンデンサ-の売上が増加し前年比2.5%増となった。一方、電動自転車向けでリチウムイオン二次電池は減少し、一部相殺となっている。
  

研究開発費

(単位:百万円)
  2020年3月期 2019年3月期 2018年3月期
コンポーネント 50,199 49,222 46,909
モジュール 34,865 34,763 30,425
その他 - - -
本社部門 17,422 17,604 16,847
合計 102,486 101,589 94,181

  

製品開発

10センチメートルの近距離を検出できる超音波センサーを開発

超音波センサーは振動で音波を発生させた後も残響振動で一定の時間は反射波を受信できないが、残響振動を強制的に止めることで短時間で受信ができるようにした。現行品と比べて最短検出距離は20センチメートル短くなる。これにより、従来よりも近距離の対象物を検出できるようになり、より狭いスペースへの駐車を可能にする。駐車支援システムなどへの採用を見込み、2023年ごろの量産を目指す。(2019年10月2日付日刊自動車新聞より)

 

設備投資額

(単位:百万円)
  2020年3月期 2019年3月期 2018年3月期
生産設備の増強・合理化等 110,103 200,910 194,101
研究開発用設備の増強 14,871 14,890 15,634
土地および建物の取得 116,549 39,827 57,638
全社 281,599 291,581 306,608

 

設備の新設計画

(2020年3月31日現在)
会社名・事業所名 所在地 設備の内容 投資予定総額
(百万円)
着手 完了予定
(株) 福井村田製作所 福井県
越前市
コンポーネント生産設備 30,000 2020年4月 2021年3月
(株)岡山村田製作所 岡山県
瀬戸内市
コンポーネント及びモジュール生産設備 27,000 2020年4月 2021年3月
(株) 出雲村田製作所 島根県
出雲市
コンポーネント生産設備 20,000 2020年4月 2021年3月
(株)村田製作所野洲事業所 滋賀県
野洲市
半製品等生産設備及び研究開発設備 16,000 2020年4月 2021年3月
Wuxi Murata Electronics Co., Ltd. 江蘇省
無錫市
コンポーネント生産設備 11,000 2020年4月 2021年3月
Philippine Manufacturing Co. of Murata, Inc. Batangas,
Philippine
コンポーネント生産設備 10,000 2020年4月 2021年3月

 

国内投資

岡山村田製作所 の新生産棟の建設を開始

-2019年12月より、新生産棟の建設、厚生棟・エネルギー棟の増築を開始。自動車の電装化によるセラミック部品の中長期的な需要増や電子機器の高機能化などに対応できる体制を整える。新生産棟は鉄骨7階建てで延べ床面積約3万3千平方メートル、建築面積約5300平方メートル。(2019年12月24日付プレスリリースより)

出雲村田製作所の新生産棟の完成

-2019年12月18日には昨年10月から建設していた出雲村田製作所 (島根県出雲市) の新生産棟を完成させた。同拠点は鉄骨4階建てで延べ床面積約4万1千平方メートル、建築面積約1万平方メートルで、約400億円を投じた。自動車の電装化に伴うセラミック部品の需要増などに対応する。(2019年12月18日付プレスリリースより)

福井村田製作所の新生産棟が竣工

-2018年9月より建設を進めていた新生産棟建屋への総投資額は約290億円。この新生産棟により、電子機器の高機能化、自動車の電装化によるセラミック部品の中長期的な需要に対応できる体制を構築する。(2020年2月4日付プレスリリースより

 

海外投資

マレーシア生産子会社Murata Electronics (Malaysia) の生産棟が竣工

-延べ床面積は23,007平方メートルで、建屋の総投資額は約40億円。この新生産棟は、スマートフォンなどのモバイル機器向けや、電装化が進む自動車向けの電子部品の需要増加に対応するための生産能力増強を目的に建設されたという。(2020年2月12日付プレスリリースより

生産子会社であるムラタエレクトロニクスOy (フィンランド) の新生産棟が完成

-主に自動運転用MEMSセンサーを生産する。新生産棟は地上5階建て、延べ床面積は1万6千平方㍍で、約50億円を投じた。精密さが求められる性能テストにおいて、建物外部からの振動が伝わらない特殊な免震構造を採用した。自動車の高機能化・電装化によって、高い測定精度で安定した性能が発揮できるMEMSセンサーが求められている。同社は、これまで培ってきたプロセス技術とムラタエレクトロニクスOyのMEMS技術とのシナジーを生かし、その需要にこたえる考えだ。(2020年2月5日付日刊自動車新聞より)