Knorr-Bremse AG 2019年12月期の動向
業績 |
(単位:百万ユーロ) |
2019年12月期 | 2018年12月期 | 増減率 (%) | |
売上高 | 6,936.5 | 6,615.8 | 4.8 |
純利益 | 632.0 | 629.4 | 0.4 |
商用車用システム部門 | |||
売上高 | 3,280.2 | 3,160.1 | 3.8 |
要因
1) 売上高
-2019年12月期の同社売上高は4.8%増の6,936.5百万ユーロ。為替の影響を除くと約3.5%の成長となった。鉄道車両システム及び商用車システムがともに市場を上回った。売上増は、両部門において有機的な成長となり、北米・南米及びアジア太平洋地域における好調な売上高が主に貢献した。
2) 商用車システム
-2019年12月期同部門売上高は、3.8%増の3,280.2百万ユーロとなった。グローバルでのトラック生産が減少したものの、北米におけるOE部門売上高が欧州での減少を相殺した。アフターマーケット部門の売上高も同部門の増収に貢献した。加えて、日立AMSの商用車用ステアリング部門の買収により、65.8百万ユーロの増収効果が生じた。
買収
-日立オートモティブシステムズの商用車用ステアリング事業部門の買収が完了したと発表した。今回の買収により、Knorr-Bremseは、商用車ステアリング用RCB(再循環ボール)およびTOS(トルクオーバーレイステアリング)の事業強化を図る。また、運転支援、自動運転システムの提供とともに、日本および東南アジア市場でのプレゼンス確立を目指すとしている。(2019年4月1日付プレスリリースより)
再編
-取締役会においてKnorr-Bremse Steering SystemsがドイツのWulfrathで運営しているステアリングシステム事業を2020年までに中止する決定を下したと発表した。この決定は様々な事業シナリオを精査し、最近の商用車向けのステアリングシステム部門における買収も考慮に入れたもの。なお、ステアリングシステムの大規模受注が尚早に廃止されたことが、意思決定のプロセスに最も影響を与えたという。同社は、同拠点で蓄積された商用車向けステアリングシステムの開発やプロジェクトマネジメントについての知見は、今後も活用するとしている。現在のところ、同社のWulfrathの拠点では、66名の派遣社員を含む356名の従業員を抱えており、具体的なリストラ案については現在保留中の従業員代表との交渉で最終決定されるという。(2019年5月23日付プレスリリースより)
受注
-欧州の顧客企業からブレーキアクチュエーターの受注を獲得したと発表した。同社はトラックおよびバス向けブレーキアクチュエーターを供給する。期間は、2020年1月1日から2027年12月31日までの8年間で、300万個超のブレーキアクチュエーターを提供する予定で、受注額は数億ユーロ規模となる見込み。供給する製品はNG3およびNG5スプリングブレーキアクチュエーターなども含まれる。(2019年12月16日付プレスリリースより)
-大手バスメーカーとの電動ブレーキシステム(EBS)の供給契約を発表した。Knorr-BremseのEBSは中国の公共輸送機関の8-12mの電気バスに搭載済で、今後バスメーカーが製造する電気バス全モデルに採用される予定。(2019年2月26日付プレスリリースより)
-Blue Birdは、Bendix製ESP(横滑り防止装置)を全バスに標準装備したと発表した。米国ジョージア州Fort Valleyに本拠を置くBlue Birdは、1927年の設立以来55万台超のバスを販売、現在は18万台を超えるバスが運行中のスクールバスメーカー。Blue Birdは2014年に初めてBendix製ESPをオプション採用している。BendixのESPはABSベースの安定性技術で、2005年の発売以来米国、カナダ、メキシコで70万台超の商用車に搭載されている。Knorr-Bremse Group傘下のBendix Commercial Vehicle Systemsは、商用車向けアクティブセーフティ技術やエアブレーキシステムなどを開発、製造するサプライヤー。Blue Birdはまた、全てのスクールバスにリアバックアップカメラを標準装備したこともあわせて発表した。(2019年2月25日付プレスリリースより)
-同社子会社Kiepe Electricは、米国オハイオ州Daytonの15台のトロリーバスに交通輸送システムを供給し、Greater Dayton Regional Transit Authority (RTA)の電気バスを45台に拡張すると発表した。Kiepe ElectricのIMC(In Motion Charging)のコンセプトモデルをバスに取り付けることにより、バスは運転中に架線からのバッテリー充電が可能になる。架線のない区間では、バスはバッテリー電源により作動するという。バスの最終組み立ては、交通輸送システム部品を製造するKiepe Electricのジョージア州Alpharetta工場で行われる。同工場では、これまで約800台の電気バス向けに交通輸送システムを開発、製造している。(2019年1月16日付プレスリリースより)
研究開発費 |
(単位:百万ユーロ) |
2019年12月期 | 2018年12月期 | 2017年12月期 | |
-商用車システム部門 | 187.0 | 166.6 | 151.5 |
合計 | 396.9 | 363.6 | 358.8 |
売上に占める割合 (%) | 5.7 | 5.5 | 5.7 |
-同社は研究開発費が年間売上高の6-7%を占めるよう投じている。
研究開発施設
-同社は主要な研究開発施設5拠点及びその他23の拠点を有している。
-傘下のBendix Commercial Vehicle Systemsは、メキシコMonterreyに技術センターを開設したと発表した。MonterreyのResearch and Technological Innovation Park (PIIT)の既存の敷地内に新設された7,800平方フィートの新センターでは、商用車向けの車両電動化、自動運転、燃費向上などに関する新技術開発に取り組む。同社はエンジニアリングおよび研究開発の主要拠点である米国オハイオ州Elyria本社のほか、メキシコAcuna、米国カリフォルニア州Irvine、ミシガン州KalamazooおよびカナダVancouverでもエンジニアリング事業を展開している。(2019年1月31日付プレスリリースより)
研究開発体制
-2019年12月31日時点において、同社は3,600名の研究開発人員を有する。
研究開発活動
-商用車システム部門における研究開発は、道路安全性の向上、排ガス削減、電動モビリティ、コネクティビティ、自動運転システムにおいて行われた。同時に次世代エアディスクブレーキを含む製品の開発も行われた。
技術提携
-同社は、研究開発に関する提携を15以上にわたって有する。
製品開発
商用車向け隊列走行デモ
-同社はContinentalと協業で、メーカー中立の隊列走行デモカーを共同開発した。複数車のガイド、緊急ブレーキ、個別車両の解放及び隊列走行解消等の機能を有する。同社は試験場において試験及び顧客デモを行っており、今回の隊列走行デモは高速道路隊列走行自動運転において基礎となるとしている。
次世代ディスクブレーキの開発
-同社は牽引車用SYNACT 2ピストンブレーキ、及びトレーラー・低車軸負荷牽引車用NEXTT シングルピストンブレーキ次世代ディスクブレーキシステムの開発を行っている。ディスクブレーキについて同社は、自動運転及び電動化に向けてコンパクト化、軽量化、モジュール化、サステナビリティへの対応性向上を目指している。
Busworldにおける出展
-2019年10月、電気バスフリートなど、持続可能な大量輸送をテーマにした戦略、製品、サービスをBusworldに出展すると発表した。同社はインテリジェントエアプロセッシングユニット(iAPU)を備えたスクリュー型コンプレッサーなどの新型電動ドライブ製品を公開する。スクリュー式コンプレッサーは、高出力、低騒音、低振動を両立しなければならない都市バスなどの圧縮空気の需要が高い車両に理想的なソリューションを提供する。iAPUは、スクリュー式コンプレッサーの電気モーターを制御する。また、マニュアル起動の別システムとして利用可能な電動パーキングブレーキも発表する。この製品は自動的にブレーキをかけることにより、車両の転がりや暴走による事故を防止する。このほかグループ傘下のKiepe Electricは電気バスの充電コンセプト「In Motion Charging 500」を出展する。「In Motion Charging 500」により、バスは移動中に架空線からバッテリーを充電することができるという。さらにKiepe Electricは、自己学習型AIエネルギー管理システム「Smart Fleet Management」なども発表予定。(2019年10月18日付プレスリリースより)
Mobileyeとの協業による大型商用車用旋回支援ソリューション
-同社商用車用システム部門のKnorr-Bremse TruckServicesと、Mobileyeが大型商用車用の統合運転支援システムを備えた後付け可能な旋回支援ソリューションを共同開発したと発表した。両社が開発した運転支援システムは、旋回支援のほか車線逸脱警報、車間距離監視・警報、前方衝突警報などの機能を有する。2022年からEUで発売される新車のトラックとバスは旋回支援システムの装備が義務付けられ、2024年以降に新規登録される全てのトラックとバスに適用されるため、この製品は需要に合うとしている。Mobileyeとの協業により、Knorr-Bremse TruckServicesは2019年秋から後付けソリューションとして統合運転支援システム「ProFleet Assist +」を備えた新型旋回支援ソリューションを提供する予定。さらに両社は、協力関係を強化して安全製品の供給を目指すという。(2019年6月4日付プレスリリースより)
特許
-同社は12,000件を超える特許及び出願中特許を保有している。うち約8,500件が商用車システム部門からの特許である。
設備投資費 |
(単位:百万ユーロ) |
2019年12月期 | 2018年12月期 | 2017年12月期 | |
-商用車システム部門 | 179.2 | 154.7 | 120.0 |
全社 | 331.8 | 308.4 | 235.2 |
-同社の商用車システム部門における2019年度設備投資は、前年比増となった。主に米国エアディスクブレーキ生産能力拡大による。その他サプライヤーツール、生産拠点および生産設備、その他プロジェクト、ITにおいて投じられた。
ドイツ国外における投資
<米国>
-グループ傘下のBendix Spicer Foundation Brake (BSFB)は、米国ケンタッキー州Bowling Greenのホイールエンド製造施設を数千万ドルを投じて130,000平方フィート拡張し、北米の需要増に対応するためにエアディスクブレーキの生産能力を増強すると発表した。同社は400名超が従事する302,000平方フィートの建物に隣接する区画に施設を新設する。同拠点は2020年末までに432,000平方フィートに拡張される。BSFBはKnorr-Bremseの米国子会社Bendix Commercial Vehicle SystemsとDana Commercial Vehicle Productsによる2007年設立の合弁会社で、Bowling GreenでBendixブランドのファンデーションドラムおよびエアディスクブレーキソリューションを製造している。Bendix Commercial Vehicle Systemsは2019年初めに、インディアナ州Huntingtonに6番目となる409,000平方フィートの拠点新設を発表していた。(2019年10月7日付プレスリリースより)