Eberspaecher Gruppe GmbH & Co. KG 2019年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
  2019年
12月期
2018年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 4,965.6 4,610.4 7.7 1)
EBITDA 241.1 204.1 18.1 -
部門別売上高
-エキゾーストテクノロジー部門 4,394.9 4,064.3 8.1 2)
-クライメートコントロールシステム部門 506.0 491.9 2.9 3)
-自動車制御部門 64.6 54.1 19.4 4)

要因
1) 全社売上高
-2019年12月期の全社売上高は、前年比7.7%増の4,965.6百万ユーロ。エキゾーストテクノロジー部門にポルトガル子会社、クライメートコントロールシステム部門に中国子会社とフランス子会社をそれぞれ組み入れたこと等により増収。

2) エキゾーストテクノロジー部門
-2019年12月期の同部門売上高は前年比8.1%増の4,394.9百万ユーロ。増収の主な要因は、中国市場での販売増、ポルトガル、ルーマニア両技術拠点の生産増等。 北米の売上高は、主要顧客から継続受注の終了や乗用車需要減により前年割れとなった。

3) クライメートコントロールシステム部門
-2019年12月期の同部門売上高は、前年度比2.9%増の506.0百万ユーロ。燃料式ヒーター事業の売上高は前年比大幅減となったが、特殊車両向け製品、バス&コーチ向け製品、電子ヒーターそれぞれの売上増が上回り全体として増収。

4) 自動車制御部門
-2019年12月期の売上高は、前年比19.4%増の64.6百万ユーロ。主にパワーストレージ(Supercapモジュール)やグロープラグコントロールモジュールの生産立ち上げにより増収。

  

合弁事業

-Eberspaecher Exhaust Technology Internationalは、インドのSharda Motor Industriesとの折半出資の合弁会社設立に合意したと発表した。Sharda Motorは排気ガスシステム、触媒コンバーター、サスペンション、プレス部品などをインド市場向けに製造するサプライヤー。新会社はインド商用車メーカー向けに、BS VI排出基準に準拠した排気ガスシステムの開発、製造、販売を行う予定で、インド北部とPuneに工場を新設して2019年下半期から生産を開始し、2020年の納入を目指す。(2019225日付プレスリリースより)

 

受注

-ドイツポストDHLグループ(Deutsche Post DHL Group)の電気自動車(EV)子会社ストリートスクーター(StreetScooter)向けのヒーターを開発したと発表した。ストリートスクーターの電動トランスポーターバン「WORK XL」に高電圧電動ヒーターとエタノールヒーターを供給する。「WORK XL」は要件に応じて、さまざまな性能レベルの電気モーターとリチウムイオン電池が搭載されており、ダブルバッテリーパックを搭載する大バッテリー容量バージョンでは高電圧ヒーターが採用される。このソリューションはハイブリッド車(HV)および電気自動車(EV)用に特別開発されており、PTC技術を使用した安全な暖房が特徴。また、小バッテリーバージョンにはAirtronic 2エアヒーターをベースにしたエタノールヒーターが装備される。(20191210日付プレスリリースより)

-ヒートシステムがキャンピングカーメーカーWestfaliaのJames Cookモデルの最新バージョンに採用されたと発表した。第4世代のキャンピングカーには、標準で「Hydronic S3 Economy」が装備される。ディーゼルヒーター「Hydronic S3 Economy」はCI-BUSを介して制御される。また、電動ヒートシステム「Plugtronic」はオプション選択も可能。「Plugtronic」は寒冷地の旅行に適しており、エンジンが作動していないときは、夜間にキャンプ場でヒーターを送電網(230V)に差し込むことができるという。(2019年9月19日付プレスリリースより)

-BYDと金龍汽車の40台超の電気バスに屋根用空調システム「AC 136 AE HP (All Electric / Heat Pump)」を供給すると発表した。この電動空調システムはハイブリッドバスと電気バスの要件に合わせて特別にカスタマイズされており、リバーシブル冷媒回路により単一デバイスで冷房と暖房の両機能を兼ね備える。また、診断対応コンポーネントやブラシレスファンも装備し、モジュール設計により迅速で簡単な設置が可能だという。(201934日付プレスリリースより)

 

2020年12月期の見通し

-同社はコロナウイルス感染拡大を理由に、2020年12月期は減収減益を想定。

 

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
合計 159.7 162.4 156.5
売上高に占める割合 (%) 3.2 3.5 3.5

-毎年、研究開発費は対売上7%となるように投じられている。
 

研究開発体制

-約900名が研究開発に従事。

 

研究開発拠点

-研究開発活動は、以下の拠点で実施されている:

  • Esslingen (ドイツ)
  • Hermsdorf (ドイツ)
  • Herxheim (ドイツ)
  • Renningen (ドイツ)
  • Landau (ドイツ)
  • Concord (カナダ)
  • Novi (米国)
  • 上海 (中国)

-上海にアジアテストセンターを開設したと発表した。新センターでは、アジア市場の顧客向けにグループの排気技術試験の専門知識とプロトタイピングを結束して事業を展開する。400名超の従業員が従事する同社の既存の上海拠点に隣接する広さ3,800平方メートルのセンターは試作工場を有し、今後は乗用車や商用車用の材料や部品のレベルからシステムレベルまでの排気システム試験場を設立する予定。将来の排出基準のための技術に加えて、低騒音および高音質の排気システムは、アジア市場で需要が高まっているため、新センターでは音響試験設備も備える。(2019年1月16日付プレスリリースより)

 

研究開発活動

-2019年、以下製品および開発プロジェクトに注力:
エキゾーストテクノロジー部門

  • 排ガス後処理機構の熱管理効率を高める部品およびシステム
  • 排気音と排ガスを改善するモジュラー式排気弁
  • 中国およびインド市場向け排気ガス後処理システム

クライメートコントロールシステム部門

  • 乗用車および小型商用車向けAirtronic 3エアヒーター
  • 乗用車および小型商用車向け小型ウォーターヒーター
  • 触媒コンバーター一体型Hydronic S3 InCatウォーターヒーター
  • エンドユーザーアプリケーションEasyStartの機能拡充
  • 補助バッテリーや車両ヒーター等の各部品をネットワーク接続する特殊車両向けデジタルプラットフォーム
  • 高電圧クーラントヒーター
  • 高電圧および低電圧製品用PTCセラミックス
  • バス・コーチ用ルーフ空調システム

自動車制御部門

  • 自動運転用安全スイッチ
  • 電動車用高電圧PTCヒーター
  • バッテリーソリューション用ソフトウェア

 

技術提携

-Plug and Playが主導する欧州のイノベーションプラットフォームStartup Autobahnに参加し、既存のStartup Autobahnネットワークを通じて新興企業との連携を強化すると発表した。ドイツEsslingen本社では、Next Shedという名前のクリエイティブチームが社内外のベンチャーチームにアドバイスし、必要な産業インフラ、ネットワーク、専門知識などをStartup Autobahnを通じて新興企業に提供する。新興企業との協力体制は、パイロットプロジェクトや共同開発から投資にまで及ぶ。協業分野は、クライメートコントロール事業のみでなく、インテリジェント音響システム、空気品質改善アプローチ、自動運転システムなど多岐にわたるという。(2019年11月5日付プレスリリースより)

 

製品開発

Rinspeed MetroSnapコンセプトカー向けシステム
-ラスベガスで開催されるCES 2020に出展予定のリンスピード「メトロスナップ (MetroSnap)」に熱管理、コネクティビティ、電子スイッチシステムを供給すると発表した。トラクションバッテリーに依存しない追加のエネルギー貯蔵システムにより、「メトロスナップ」は自動でエネルギーを供給できるという。また、省スペースのスプリットエアコンシステムと最新の電気式エアヒーターの組み合わせにより、車内の温度を快適に保つ。このほか、コンテナ内の温度を最適化する冷暖房コンテナも提供する。アプリを介して、フリート管理者はシステムに関する重要な情報の表示、温度制御、GPS追跡を使用して車両の位置とエネルギー貯蔵システムの充電レベルを呼び出すことが可能。さらに自動運転に必要な安全性を確保する高性能スイッチADSS (Autonomous Drive Safety Switches)も「メトロスナップ」に採用された。(2019年12月5日付プレスリリースより)

エンジンに依拠しないヒーター
-電動パワートレイン向けの車両用ヒーターを発表した。ハイブリッド車 (HV)向けのHydronic S3 InCatヒーターは燃料で作動し、エンジンから独立して車両のエンジン始動を防ぎ、燃料消費量を大幅に抑えて快適な温度をもたらす。触媒コンバーターは温水ヒーターに統合されており、炭素および炭化水素の排出を削減する。電気自動車 (EV)向けとしては、航続距離に影響を与えないエコロジーソリューションのエタノールヒーターを発表。Airtronic 2エアヒーターをベースにした新型エタノールヒーターは、現在StreetScooterの「WORK XL」に採用されている。(2019年11月7日付プレスリリースより)

バス用「AC 136 HP CO2」ルーフマウント式エアコンシステム
-新型「AC 136 HP CO2」ルーフマウント式エアコンシステムをBusworld Europeに出展すると発表した。新型「AC 136 HP CO2」は前バージョンのコンセプトをベースとしてハイブリッドおよび電気バスの要件に合わせて環境に優しく安全な冷媒R744 (二酸化炭素)用に特別設計されている。リバーシブル冷蔵回路により、ヒートポンプ技術は1つのシステムで最大22kWの冷却および加熱出力を可能にし、客室の温度を適切に保つ。電動ヒートポンプは周囲の空気から高いCOP (成績係数)で熱を引き出す。さらにCO2によりヒートポンプは化学的に生成された冷媒よりも低い温度範囲で動作できるため、マイナス15℃で使用する場合でもバスからの追加の電気加熱を必要としないという。(2019年10月10日付プレスリリースより)

北米商用車ショーでの展示
-スマートエミッション制御システムや効率的・パワフルなサーマルマネジメントシステムのソリューションを北米商用車ショー (NACV) に出展すると発表した。同社のトンネルミキサー技術に基づき、混合装置の操作は尿素の変換性能に関して拡張される。これにより同社は、広範囲で適応するためのインラインやU字型などのシングルパスの排ガス処理システムを提供する。また特に低NOx排出基準といった現在および将来の排出ガスのガイドラインに適合する中・大型トラック向けの新型エキゾーストマニホールドも発表。このほか第2世代のエアヒーター「Airtronic」や、第3世代のウォーターヒーター「Hydronic」など寒冷期の快適性と安全性を向上する製品も出展予定。(2019年9月5日付プレスリリースより)

Busworld 2019での展示
-ベルギーで開催されるBusworld 2019にて、バスのサイズや動力タイプを問わず快適な冷房や暖房、換気を行うためのソリューションを紹介すると発表した。ルーフマウント式の電動エアコンシステム「AC 136 HP CO2」は、ハイブリッドバスや電気バス向けに開発された環境に優しい暖房・冷房ソリューション。この電動式のサーマルマネジメントシステムは自然冷媒の二酸化炭素を使用し、2021年から導入される。同社はまた、ミニバスおよび中型バスでの使用に適した、2020年導入予定の「Airtronic L3 Commercial」のディーゼル版も展示する。さらに2021年導入予定の大型バス向けの新「Hydronic L3」ウォーターヒーターは、16-35kWの出力を持つ第三世代の製品。従来製品と比較してより小型で軽量となり、様々な気候帯での使用に適しているという。(2019年8月15日付プレスリリースより)

電子スイッチシステム
-高い信頼性と耐久性、量産性を兼ね備えた電子スイッチシステムを開発したと発表した。半導体ベースで冗長性のあるセーフティスイッチシステムは、2019年秋に量産を開始し、自動運転レベル4に対応する車両に使用される。当該半導体スイッチは、ハイブリッド車 (HV) や電気自動車 (EV) で過電圧や低電圧、ショートした際に12Vの送電回路のスイッチのオン / オフを行う。これにより、安全関連機能を100マイクロ秒未満の速さで保護することが可能になる。自動運転に向けて同社の電子分野の技術者は、電流のスイッチについての包括的なノウハウや車両送電網におけるインテリジェント配電を提供する。(7月25日付プレスリリースより)

プログラマブル制御ユニット(PCU)
-車両追加機能用プログラマブル制御ユニット(PCU)を開発したと発表した。このPCUはIP40 要件を満たしてLV124規格に適合しており、6.3 mmフラットコネクター付きリレープラグインハウジングによりさまざまな車種で使用できる。配送トラックでは積荷に適した室内照明として機能し、必要に応じて明るさを調整して安全性を向上させる。また、将来的には自動運転用視認アプリケーションとして利用することもできるという。さらにCAN / LINなど車載通信ネットワークの環境下では、ゲートウェイとしても機能する。(2019年6月3日付プレスリリースより)

 

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
合計 149.2 86.8 103.2


-2019年12月期の各部門への配分は以下のとおり。

  • エキゾーストテクノロジー部門 98.6百万ユーロ:複数拠点の生産能力拡大
  • クライメートコントロールシステム部門 46.6百万ユーロ:複数拠点の生産能力拡大およびドイツHermsdorfの新工場
  • 自動車制御部門およびセントラルサービス部門 4.0百万ユーロ:

-2020年12月期の主要投資は、コロナウイルス感染拡大により延期もしくは中止(同社発表)。
 

国内投資

-2019年、Hermsdorf工場におけるPTCセラミックの製造を新しく建設した工場に移管。

 

海外投資

<アジア>
-需要に対応すべく、複数拠点において電子ヒーターの生産能力を増強。

<ポルトガル、ルーマニア>
-2019年12月期は、ルーマニアOradea(2016年操業開始)、ポルトガルTondela(2017年操業開始)の両拠点において生産能力を大幅に増強。

<インド>
-Bangalore工場のバス用空調システムの生産能力拡大を発表した。9月初旬に2倍の規模の新工場に移転することで生産能力を倍増させる。約6,000平方メートルの新工場の従業員数は約100名で、生産、組立スペースに加えて新製品ラインや物流スペースなども備える。Bangalore工場では近々ハイブリッドおよび電気バス用電動空調システムを生産する予定。将来的にはインドで年間最大7,000基のバス用空調システムを製造し、アジア市場に供給する計画。(2019年9月5日付プレスリリースより)

<メキシコ>
-排気システム用部品工場をSaltilloに建設すると発表した。15,000平方メートルの新工場では、微粒子フィルターや触媒コンバーター、排気システムなどを製造する。工場は2019年夏に完成予定で、最初の製品は2019年末に出荷される見込み。新工場では250名の雇用を創出し、長期的には500名に増員する計画。(2019年5月9日付プレスリリースより)