スズキ:日本、インドに加え、東南アジアでの生産・販売を強化

低燃費モデル投入で国内軽自動車市場のシェア30%を確保

2013/05/13

要 約

スズキの地域別新車販売台数 スズキの地域別動向では、欧州市場は不振が続き、中国市場での2012年度販売は前年を下回り、また北米市場から撤退した。このような中でスズキは、日本、インドに次ぐ生産・販売市場として東南アジア、特にタイとインドネシアを強化している。

 スズキの最大市場であるインドでは、2013年3月期販売台数が前期比4.4%増の105万台。Ertiga, Swift DZire等の新型車が好調で、販売が増加した。生産体制では、Manesar工場に第3ラインを追加、Gujarat州に新工場を建設する計画で、2016年には年産能力を200万台とする見通し。

 日本国内市場の2013年3月期販売は、軽自動車・登録車とも増加し、合計販売は前期比12.7%増の67.2万台。しかし、ホンダのN BOX投入で競争が激化した軽自動車市場では、シェアが29.7%に低下した。スズキは2012年9月発売の新型Wagon Rに搭載した低燃費化技術を他のモデルにも展開して拡販を図り、シェア3割を確保したいとしている。

 中国では、日中関係の悪化により2013年3月期の販売が14.5%落ち込んだ。長安スズキが第2工場を建設しているが、稼働時期は需要の回復を見ながら決めるとしている。

 生産体制を強化しているASEAN地域では、タイで2012年3月に新工場を稼働させ、新型Swiftの生産を開始。2016年までに同工場の年産能力を10万台に引き上げる。インドネシアでは2014年に年産能力10万基のエンジン工場を新設。小型車の年産能力も現行の10万台からさらに高める計画。タイとインドネシア間での完成車の相互供給も拡大する。

 2013年3月期の世界販売は3.9%増の266万台、業績は増収増益で、純利益は過去最高の804億円となった。2014年3月期販売見通しは5.4%増の280万台。業績見通しは、円安とインド・東南アジアでの販売増加等に支えられ、売上高2兆8,000億円、営業利益1,500億円、純利益900億円を目指す。

 なお、VWとの資本・業務提携の包括契約解除をめぐる国際仲裁裁判所での係争は、2013年5月時点でまだ解決していない。

スズキの地域別新車販売台数

(1,000台)
日本 欧州 北米 アジア その他 合計
インド 中国 ASEAN
2010年度 588 244 33 1,133 290 96 106 1,625 153 2,643
2011年度 596 223 32 1,006 296 121 127 1,550 160 2,560
2012年度 672 197 30 1,051 253 186 98 1,588 174 2,660
2013年度(計画) 660 220 3 n.a. 1,756 164 2,803

資料:スズキの決算参考資料と決算説明会資料 2012.5.10/2013.5.9
(注) 2012年度の ASEAN での販売 186,000台の内訳は、インドネシアが 139,000台、タイが 33,000台、マレーシアが 7,000台、その他が 7,000台。

このレポートは有料会員限定です。 残り 6 章
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。