Renault:2013年は自動車部門の黒字化を目指す

新型Clio/新型Logan投入によるシェア拡大と生産体制再構築

2013/04/30

要 約

Renault Group の地域別販売台数  Renaultの2012年の世界販売台数は4年ぶりに前年を下回る成績となり、前年比6.4%減の255万台となった。欧州市場は減少を続け2012年は前年比18.0%減の127万台となった。

 一方、Renaultグループ全体の販売台数の、欧州域外販売比率が50%以上となり、欧州外の販売台数合計は128万台。域外市場での販売台数は増加を続けているが、欧州市場の販売台数減少を相殺するには至らなかった。

2012年の自動車部門の営業利益は2009年以来の赤字転落で2011年の3億3,000万ユーロから、マイナス2,500万ユーロと採算が悪化した。

 Renaultは2013年に自動車部門の黒字化と、2012年の販売台数を上回ることを目標としている。同社は欧州域外での事業拡大と強化を実施する。

 Renaultは 欧州事業のコスト競争力の強化のために、生産コストの低いモロッコ等への移管や、人件費が高いフランス工場での人員削減、スペインでの工場稼働日数の調整など、コスト削減を図る。

 並行して、欧州ではCaptur、EV Zoe、Clio Estate、新型 Loganなどの新モデル投入による市場シェア拡大を狙う方針。
ロシアではAvtoVAZのプラットフォームや部品などを共有し、年170万台の生産能力確立を目指す。韓国Renault Samsungでは、日産のモデル、RenaultのリバッジモデルやEVを投入し韓国国内のシェアを長期的に10%に引き上げる計画。インド、ブラジル、中国では生産体制を再構築する。

関連レポート:
欧州6社:域外市場への進出とコスト削減を目指す (2013年3月掲載)
欧州の新型車装備 (2): PSA, Renault, 欧州GM, 欧州Ford, Volvo (2012年12月掲載)

Renault 2013年の目標

世界市場見通し ・Renaultは2013年の市場見通しについて、世界の自動車市場は3%拡大すると予想している。
・EURASIA市場が6%、EUROMED-AFRICA市場が6%、AMERICAS市場が3%、ASIA-PACIFIC市場が3%拡大する。一方、欧州市場は5%縮小するとみている。(当初の見通しでは世界市場は4%の成長を見込み、欧州は3-4%の縮小を想定していた。)
域外市場戦略 ・域外市場の販売比率を高めていく。
・ロシア、ブラジル、インドでの成長を見込む。
・韓国Renault Samsungの経営立て直し計画の実施。
・中国国内での販売と現地生産体制の整備。
欧州市場戦略 ・新モデル投入でシェアの拡大を目指す。
・コスト削減、効率化を実施して利益を高めていく。
生産体制・コスト削減 ・フランス:交渉を続け、生産競争力を強化を図る。
・スペイン:生産体制再編による競争力の強化。
・日産方式に基づく新たな生産管理システム「ものづくり」アプローチにより6億ユーロのコスト削減を行う。
 (2012年は目標:5億ユーロ削減、実績:5億8,300万ユーロ削減。)
資本投資・研究開発 ・資本投資・研究開発費は合計で売上高の9%以下とする。
 (2012年:資本投資4.3%、研究開発費3.8%、合計:8.1%)
・パワートレイン、EVの研究開発を進める。
・日産との、C/Dセグメント用、共有プラットフォームCMF1の開発を推進する。
目標 ・2013年は、前年の販売台数を上回る。
・自動車部門の営業黒字化。
・自動車部門のフリーキャッシュフローの黒字化。
・2011~2013年の期間で累計20億ユーロのフリーキャッシュフローの達成。
 (2012年は5億9,700万ユーロ。2011年は10億8,400万ユーロ。)

 

このレポートは有料会員限定です。 残り 5 章
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。