日本の自動車メーカー・部品サプライヤー各社の第3四半期(2024年3月期)決算まとめ

決算まとめ

第3四半期決算概況

 2024年3月期における第3四半期累計(4-12月)の業績が、自動車メーカー・部品メーカー各社で出そろった。 マークラインズで集計している73社(OEM9社・主要サプライヤー64社)のうち、前年同期比で増収増益となった企業は76.7%の56社。一方で増収減益となった企業は16.4%の12社であった。

 OEMでは2024年第2四半期(4-9月)に引き続き、日本および北米を中心とした販売台数回復および円安が追い風となった8社で増収増益、エンジン認証不正問題およびASEAN地域での販売不振の影響を受けた日野のみが減益となった。
 トヨタは、2023年4月から12月の累計連結販売台数が前年同期比8.6%増の856万4,000台を記録。前年同期比で37.9%増となったハイブリッド車 (HV)を中心とする販売の好調や円安が寄与し、営業利益は初の4兆円台を記録した。また、ダイハツと豊田自動織機による認証取得の不正問題を受け、通期での連結販売台数見通しを下方修正したものの、営業収益見通しをを従来予想より5,000億円高い43兆5,000億(前期比17%増)、営業利益を4,000億円高い4兆9,000億円(前期比79.8%増)、純利益を5,500億円増の4兆5,000億円(前期比84%増)に上方修正した。前回の見通しで1ドル=125円から141円に見直した想定為替レートを1ドル=143円に見直し、営業利益における円安効果が前回見通し比で2,350億円増加している。

社数
増収減益12
国内OEM9社と主要部品メーカー64社を集計
*上記グラフにおける増益/減益の集計は、各社四半期純利益等を使用。

Copyright (C) MarkLines Co., Ltd. All rights reserved.

 主要サプライヤーも第2四半期(4-9月)同様、販売台数増および円安の影響を受けて9割超の企業で増収となった。トヨタ系主要サプライヤー各社が過去最高の売上高を記録したが、デンソーやアイシンでは製品の不具合の影響を受け、通期業績予想の下方修正を行った。デンソーは燃料ポンプの不具合に関連する品質費用を約1,500億円計上し、通期の営業利益が1,350億円下振れると予想。アイシンは630億円のエアバッグ向けのセンサー関連品質費用を計上し、前回公表値から通年の営業利益見通しを600億円下方修正した。また、デンソーはダイハツの出荷停止による影響が合計約190億円になると見込んでいる。豊田自動織機はエンジン国内認証問題の影響について精査中のため、今期の業績予想には織り込んでいない。
 トヨタ系各社の足元の業績はこれまで続いた販売台数の増加と円安で好調を保ってきた。しかし、第4四半期以降はダイハツや豊田自動織機の不正による生産停止が業績に影響を及ぼすと考えられ、着地は不透明。
 ニデックは売上高が前年同期比3.2%増の1兆7,546億円、営業利益が36.1%増の1,693億円となり、全ての項目で過去最高を更新したものの、通期での各利益の下方修正を行った。受注を選別しているEVトラクションモータ事業では、第4四半期に450億円の構造改革に関する一時費用が発生する見通し。

会員登録いただくと、OEM9社のほか主要部品メーカー64社の決算数値やグラフを一覧でご覧いただけます。
この機会に是非ご利用ください