日本の自動車メーカー・部品サプライヤー各社の第1四半期(2024年3月期)決算まとめ

決算まとめ

第1四半期決算概況

 2024年3月期における第1四半期(4-6月)の業績が、自動車メーカー・部品メーカー各社で出そろった。マークラインズで集計しているOEM9社と主要サプライヤー67社の合計76社のうち、前年同期比で増収増益となった企業は77.6%の59社。一方で、増収減益となった企業は18.4%の14社となった。

 OEMは、国内外での販売台数回復や円安などが追い風となった8社で増収増益となり、国内における認証不正問題の影響を受けた日野のみが減益となった。トヨタでは、販売台数の増加に加え車両価格の改定などが影響し、四半期での営業利益が日本企業としては初めて1兆円を超えた。
 主要部品メーカーも販売台数増および円安の影響を受け9割超の企業で増収となった。特にトヨタ系のサプライヤーであるデンソーやトヨタ紡織などを含め、13社が2024年3月期営業利益の上方修正を行った。ニデックは車載向け製品の収益構造改善を課題としていたが、収益性の高い第2世代e-Axleの量産を開始し、今期よりe-Axle事業の黒字化を達成した。
 2023年3月期は、原材料およびエネルギー価格の上昇への対応遅れにより減益となった部品メーカーが多く見られたが、第1四半期(4-6月)は多くのサプライヤーが積極的に価格転嫁し増益に転じた。

 一方で、一部減益となったサプライヤーもあった。自動車関連事業の回復があったものの、情報通信事業の低迷を受けたアルプスアルパインや住友電工では増収減益、古河電工やサンコールでは減収減益となった。

 また、中国での日系OEMの低迷を懸念した企業も複数見られ、約7割の企業は業績予想を据え置いた。
 中国乗用車市場では、中国系OEMの販売が好調に推移している。2023年上半期(1-6月)の中国系OEM販売台数は、前年同期比23.3%増の612.1万台となり、市場の過半数以上を占めた。一方で、日系メーカーは苦戦を強いられている。日系メーカーの中国市場における販売台数は前年同期比19.2%減の174.9万台でシェアは前年同期の20.9%から15.5%縮小した。
 トヨタは、中国における電動車の研究開発強化を開始。デンソーやアイシンも参加し、電動パワートレイン開発を加速するという。中国における電動化対応および戦略的な設備・研究開発への投資が、日系企業の長期的な競争力を確保する上で重要になるだろう。

国内OEM9社と主要部品メーカー67社を集計
*上記グラフにおける増益/減益の集計は、各社四半期純利益等を使用。

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