日本の自動車メーカー・部品サプライヤー各社の通期(2023年3月期)決算まとめ

決算まとめ

通期決算概況

2023年3月期における通期の業績が、自動車メーカー・部品メーカー各社で出そろった。マークラインズで集計しているOEM9社と主要サプライヤー67社の合計76社のうち、通期で前年比増収増益となった企業は38社。一方で、増収減益となった企業は36社となった。

OEMは、主に日本国内での販売台数回復などが牽引し、9社すべてが増収となった。利益面では、販売台数効果や円安により増加効果があったものの原材料価格の高騰影響を吸収できず、一部OEMでは減益となった。

マークラインズで集計している主な部品メーカーの決算では、増収増益と増収減益がそれぞれ32社と33社と、ほぼ同数となる結果となった。どちらの企業群もOEM同様、為替円安による増収影響があり、OEMの販売台数回復に伴って販売数量をどれだけ確保できたか、また原材料価格の高騰をいかに吸収できたかが明暗を分ける結果となった。

増収減益となった企業では、多くの企業が販売数量を伸ばせなかった。部品メーカー各社は半導体不足・サプライチェーンでの混乱の影響や、中国市場におけるロックダウンの影響、北米・欧州の厳しい市況の影響を受けたが、増収減益の企業は、円安による増加効果だけでは原材料費高騰、諸経費の増加を吸収できなかった。

原材料価格の高騰への対応も、企業の利益増減に大きく影響した。一部には為替効果で原材料の高騰分を吸収し、そのまま逃げ切るように増益で着地する企業もあったが、総じて増益企業は原価低減による増加効果が大きかった。特にデンソーは対応力強化・合理化で1,794億円を確保し、部材費、エネルギー費などの費用の高騰を吸収したほか、東海理化は、201億円の営業利益に対し、85億円の原価改善による増益効果で原材料費を回収した。なお、円安や物価高騰の影響により人件費がかさんだことで、増収増益、増収減益となったどちらの企業群でも固定費の増加が見られた。ニデックは20233月期に売上高過去最高を記録したが、収益体制を改善するべく構造改革費用を計上したため減益となった。来年度は反動で過去最高益を見込んでいる。

減益となった企業でも、市場の回復に従い年後半にかけて態勢を整えている。引き続き円安傾向が続いているほか、トヨタが2023年の販売台数を過去最高と予測するなど、通期決算と同時に発表された20243月期通期の見通しは、全体の75%、59社の企業が増収、66%、52社が増益を見込む。20233月期において部品メーカー各社の原材料費の価格転嫁の動きは原価低減活動に比べて比較的緩やかであったが、20243月期ではこれらが進む可能性があり、OEM各社は部品メーカーからの調達にあたる変動費増加への対応が試されそうだ。

国内OEM9社と主要部品メーカー67社を集計
*上記グラフにおける増益/減益の集計は、各社純利益等を使用。

Copyright (C) MarkLines Co., Ltd. All rights reserved.

会員登録いただくと、OEM9社のほか主要部品メーカー67社の決算数値やグラフを一覧でご覧いただけます。
この機会に是非ご利用ください