日本精工株式会社 2006年度の動向
ハイライト
業績
合弁事業
インドの軸受けメーカー、ABCベアリング(ムンパイ市)と合弁で、軸受け生産会社をインドに設立すると発表した。インドで軸受けを生産するのは、日本メーカーとしては初めてとなる。生産開始は2008年1月の予定。名称は「NSK―ABC Bearings」。チェンナイ市近郊の工業団地内に建築面積7千平方メートル(敷地面積8万平方メートル)の工場を建設する。生産品目は、HUBユニット軸受けやトランスミッション用玉軸受け、電磁クラッチ用軸受けなど。(2007年3月8日付日刊自動車新聞より)
単位:百万円 | 2007年3月期 |
2006年3月期 |
増減率 (%) |
要因 |
全社 | ||||
売上高 | 717,225 | 628,474 | 14.1 | - |
営業利益 | 62,383 | 42,552 | 46.6 | 売上・生産の拡大による操業度効果、生産性の改善、為替レートが円安に推移したことによる輸出採算の改善、外部調達コストの削減などにより増益。 |
経常利益 | 57,595 | 38,916 | 48.0 | - |
当期純利益 | 34,853 | 25,586 | 36.2 | - |
自動車関連製品 | ||||
売上高 | 397,863 | 353,124 | 12.7 | 自動車軸受は、グローバルにハブユニット軸受、標準玉軸受、ニードル軸受の売上が増加。 自動車部品は、日本では電動パワーステアリングやオートマチックトランスミッション用部品が伸長。また、米州、タイ、中国のステアリングコラム、欧州の電動パワーステアリングも伸長。 |
営業利益 | 22,687 | 17,388 | 30.5 | 物量増による操業度効果、外部調達コスト削減などにより増益。 |
合弁事業
インドの軸受けメーカー、ABCベアリング(ムンパイ市)と合弁で、軸受け生産会社をインドに設立すると発表した。インドで軸受けを生産するのは、日本メーカーとしては初めてとなる。生産開始は2008年1月の予定。名称は「NSK―ABC Bearings」。チェンナイ市近郊の工業団地内に建築面積7千平方メートル(敷地面積8万平方メートル)の工場を建設する。生産品目は、HUBユニット軸受けやトランスミッション用玉軸受け、電磁クラッチ用軸受けなど。(2007年3月8日付日刊自動車新聞より)
2007年度の課題
以下の4点を課題として挙げている。
-生産力の強化
-製品開発力の強化
-グローバルマネジメントの強化
-海外事業の収益力強化
開発動向
2007年3月期の研究開発費はグループ全体で10,100百万円。
内、自動車関連製品6,013百万円
基本理念
・トライボロジー(摩擦、潤滑)技術、材料技術、解析技術、メカトロ技術を深化させ、モーション&コントロール技術などのコアテクノロジーを強化し、製品に迅速に展開する。
主な研究成果(自動車関連製品)
ステアリング
・乗用車用に超軽量の高剛性チルト・テレスコピックコラムを開発、発売
・乗用車用電動パワーステアリング向け高効率ブラシレスモータ及びモータ制御技術を開発
・3・5リットル級FF車に対応する出力と高級モデルに適する騒音特性を初めて実現したコラム式の電動パワーステアリング(EPS)を開発したと発表した。2008年末に投入される新型車向けから供給を開始する。コラム式EPSは搭載性に優れる半面、高出力化と静粛性の両立が難しいため、採用が小型車以下のクラスに限られがちだった。ブラシレスモーターの電流制御と構造を同時に見直して弱点を解消するとともに、世界トップクラスの小型・軽量化に結びつけた。10年に130万セットの販売を目指す。(2007年3月20日付日刊自動車新聞より)
・従来品比で25%の軽量化と同時に、高級車に適した振動特性を実現したFF乗用車用のステアリングコラムを開発したと発表した。ハウジングをアルミ製として、コラム本体の重量配分を最適化した。これにより、エンジンやタイヤから伝わる振動で生じる共振を抑えやすくして快適性の向上につなげた。また、板バネを利用してコラムを車両に取り付ける独自の工夫を施し、これまで難しかったステアリング系の剛性アップと衝突安全性の確保を両立した。トヨタ自動車のグローバル戦略車「カムリ」に採用された。日本、北米、タイの生産モデルに納入する。今後は新技術を提案して拡販に取り組み、2010年には新型コラムの年販を130万本に引き上げる計画。(2007年3月6日付日刊自動車新聞より)
・衝突安全性と操作性を同時に改善する新機構を搭載したステアリングコラムを開発したと発表した。チルト機構などステアリング位置の可変装置に独自のくさび型のギアを採用、位置調整時のスムーズな動きを実現するとともに、ステアリング位置の保持能力を40%高めた。衝突時のハンドルの“ズレ”を抑えられるので、運転席エアバッグの拘束効果を最大限引き出せる。同時に、衝突エネルギーの吸収ストロークを30%拡大したほか、コラム本体にマグネシウムを活用して20-30%の軽量化につなげた。強化の見込まれる衝突安全規制への対応に取り組む自動車メーカーの次期モデルへの採用を狙い、提案活動を展開する。(2006年8月10日付日刊自動車新聞より)
・断面高(厚み)を従来タイプの半分以下となる1・5ミリメートルに薄型化した自動変速機(AT)用のシーリング付シェル形ニードル軸受(転がり軸受)を開発したと発表した。ブッシュ(金属製の滑り軸受け)の代替品を目指したもので、高回転時の焼付け防止に効果を示すコロやオイルの流れをコントロールするシーリングを備えた上で、厚みをブッシュ同等に抑えるように構造を工夫した。同タイプの軸受けでは最薄を実現できたとする。多段化に伴い負荷が高まっているATの信頼性を向上させる部品として提案する。2010年に量産開始と40億円の売り上げを目指す。(2006年7月22日付日刊自動車新聞より)
ベアリング
・長寿命アイドラ用軸受の開発
・電子スロットルやEGR(排ガス再循環装置)の制御モーターの作動レスポンス改善と長寿命化を両立する「ナノ粒子グリース封入軸受」を開発したと発表した。作動レスポンスの改善では、グリースの粘度を下げる手法が通例だった。ただ、これら吸排気系の制御ユニットは、セ氏200度に達するエンジンルーム内に置かれる。高温下では特に流れやすくなり、潤滑性の確保が難しい粘度の低いグリースを使用すると、耐久性の悪化につながりがちだった。新技術はナノ粒子を配合してグリースの流動性を最適化、従来品に対して定常トルクを30%減に抑え動きをより滑らかにするとともに、同等以上の焼付け寿命を実現した。近く自動車メーカーへの提案活動を本格化し、09年度に5億円の売上高を目指す。(2006年11月30日付日刊自動車新聞より)
・自動車エンジンの補機ベルトシステムの張力維持プーリーに最適化した軸受けを開発したと発表した。独自の潤滑技術やシール材を採用、現行品に比べ約2倍の耐久性を実現した。今後、自動車メーカーやベルトシステムを手掛ける部品メーカーなどへ売り込み、08年をめどに年間20億円の売り上げと世界シェア20%以上の獲得を目指す。エンジン補機全体における同社の軸受けシェアは約50%に達するが、アイドラ用では15%程度にとどまっている。新型軸受けの投入に伴い、アイドラ用でもトップメーカーとしてのポジションを狙う。(2006年11月15日付日刊自動車新聞より)
新生産技術
・住友金属工業と住友鋼管、同社グループのNSKステアリングシステムズの3社は18日、ハイドロフォーム(液圧成形加工法)工程内で、複数個の大型異形孔を同時かつ高精度に打ち抜くことができる世界初の「ハイドロピアシング技術」を共同で開発したと発表した。今後は、この技術を生かして自動車部品における平断面部分でのハイドロフォーム化を、自動車メーカーなどに提案していく。今回開発した技術では、ハイドロフォーム工程の内圧が上昇した最終段階で、雄型のポンチを加工物と反対側の外側に引き抜くことで孔空けを行う「外向きピアシング」も国内で初めて実用化に成功している。これらの技術の採用で、大型で複雑な孔のすべての部位のせん断変形を均一にし、同時にせん断が完了することを可能にした。今回開発した技術は、既にNSKステアリングシステムズが生産施設に導入し、複数の自動車メーカーへの供給が始まっている。従来のステアリングコラムの胴体部は主要3部品を溶接で固定していたが、ハイドロフォームを適用することで一体化に成功。部品点数の削減につなげた。(2006年4月19日付日刊自動車新聞より)
内、自動車関連製品6,013百万円
基本理念
・トライボロジー(摩擦、潤滑)技術、材料技術、解析技術、メカトロ技術を深化させ、モーション&コントロール技術などのコアテクノロジーを強化し、製品に迅速に展開する。
主な研究成果(自動車関連製品)
ステアリング
・乗用車用に超軽量の高剛性チルト・テレスコピックコラムを開発、発売
・乗用車用電動パワーステアリング向け高効率ブラシレスモータ及びモータ制御技術を開発
・3・5リットル級FF車に対応する出力と高級モデルに適する騒音特性を初めて実現したコラム式の電動パワーステアリング(EPS)を開発したと発表した。2008年末に投入される新型車向けから供給を開始する。コラム式EPSは搭載性に優れる半面、高出力化と静粛性の両立が難しいため、採用が小型車以下のクラスに限られがちだった。ブラシレスモーターの電流制御と構造を同時に見直して弱点を解消するとともに、世界トップクラスの小型・軽量化に結びつけた。10年に130万セットの販売を目指す。(2007年3月20日付日刊自動車新聞より)
・従来品比で25%の軽量化と同時に、高級車に適した振動特性を実現したFF乗用車用のステアリングコラムを開発したと発表した。ハウジングをアルミ製として、コラム本体の重量配分を最適化した。これにより、エンジンやタイヤから伝わる振動で生じる共振を抑えやすくして快適性の向上につなげた。また、板バネを利用してコラムを車両に取り付ける独自の工夫を施し、これまで難しかったステアリング系の剛性アップと衝突安全性の確保を両立した。トヨタ自動車のグローバル戦略車「カムリ」に採用された。日本、北米、タイの生産モデルに納入する。今後は新技術を提案して拡販に取り組み、2010年には新型コラムの年販を130万本に引き上げる計画。(2007年3月6日付日刊自動車新聞より)
・衝突安全性と操作性を同時に改善する新機構を搭載したステアリングコラムを開発したと発表した。チルト機構などステアリング位置の可変装置に独自のくさび型のギアを採用、位置調整時のスムーズな動きを実現するとともに、ステアリング位置の保持能力を40%高めた。衝突時のハンドルの“ズレ”を抑えられるので、運転席エアバッグの拘束効果を最大限引き出せる。同時に、衝突エネルギーの吸収ストロークを30%拡大したほか、コラム本体にマグネシウムを活用して20-30%の軽量化につなげた。強化の見込まれる衝突安全規制への対応に取り組む自動車メーカーの次期モデルへの採用を狙い、提案活動を展開する。(2006年8月10日付日刊自動車新聞より)
・断面高(厚み)を従来タイプの半分以下となる1・5ミリメートルに薄型化した自動変速機(AT)用のシーリング付シェル形ニードル軸受(転がり軸受)を開発したと発表した。ブッシュ(金属製の滑り軸受け)の代替品を目指したもので、高回転時の焼付け防止に効果を示すコロやオイルの流れをコントロールするシーリングを備えた上で、厚みをブッシュ同等に抑えるように構造を工夫した。同タイプの軸受けでは最薄を実現できたとする。多段化に伴い負荷が高まっているATの信頼性を向上させる部品として提案する。2010年に量産開始と40億円の売り上げを目指す。(2006年7月22日付日刊自動車新聞より)
ベアリング
・長寿命アイドラ用軸受の開発
・電子スロットルやEGR(排ガス再循環装置)の制御モーターの作動レスポンス改善と長寿命化を両立する「ナノ粒子グリース封入軸受」を開発したと発表した。作動レスポンスの改善では、グリースの粘度を下げる手法が通例だった。ただ、これら吸排気系の制御ユニットは、セ氏200度に達するエンジンルーム内に置かれる。高温下では特に流れやすくなり、潤滑性の確保が難しい粘度の低いグリースを使用すると、耐久性の悪化につながりがちだった。新技術はナノ粒子を配合してグリースの流動性を最適化、従来品に対して定常トルクを30%減に抑え動きをより滑らかにするとともに、同等以上の焼付け寿命を実現した。近く自動車メーカーへの提案活動を本格化し、09年度に5億円の売上高を目指す。(2006年11月30日付日刊自動車新聞より)
・自動車エンジンの補機ベルトシステムの張力維持プーリーに最適化した軸受けを開発したと発表した。独自の潤滑技術やシール材を採用、現行品に比べ約2倍の耐久性を実現した。今後、自動車メーカーやベルトシステムを手掛ける部品メーカーなどへ売り込み、08年をめどに年間20億円の売り上げと世界シェア20%以上の獲得を目指す。エンジン補機全体における同社の軸受けシェアは約50%に達するが、アイドラ用では15%程度にとどまっている。新型軸受けの投入に伴い、アイドラ用でもトップメーカーとしてのポジションを狙う。(2006年11月15日付日刊自動車新聞より)
新生産技術
・住友金属工業と住友鋼管、同社グループのNSKステアリングシステムズの3社は18日、ハイドロフォーム(液圧成形加工法)工程内で、複数個の大型異形孔を同時かつ高精度に打ち抜くことができる世界初の「ハイドロピアシング技術」を共同で開発したと発表した。今後は、この技術を生かして自動車部品における平断面部分でのハイドロフォーム化を、自動車メーカーなどに提案していく。今回開発した技術では、ハイドロフォーム工程の内圧が上昇した最終段階で、雄型のポンチを加工物と反対側の外側に引き抜くことで孔空けを行う「外向きピアシング」も国内で初めて実用化に成功している。これらの技術の採用で、大型で複雑な孔のすべての部位のせん断変形を均一にし、同時にせん断が完了することを可能にした。今回開発した技術は、既にNSKステアリングシステムズが生産施設に導入し、複数の自動車メーカーへの供給が始まっている。従来のステアリングコラムの胴体部は主要3部品を溶接で固定していたが、ハイドロフォームを適用することで一体化に成功。部品点数の削減につなげた。(2006年4月19日付日刊自動車新聞より)
設備投資
2007年3月期は、大型・超大型軸受、自動車用軸受、電動パワーステアリングへの投資により、設備投資額は全体で37,689百万円。
自動車関連製品事業
・ハブユニット軸受の国内外での需要対応、トランスミッションを中心としたドライブトレイン用軸受の増産対応への投資を実施。
・海外も含めて油圧駆動からシフトして需要が増加している電動パワーステアリングへの増強投資。
・合計19,550百万円の投資を実施。
自動車関連製品の主な設備の新設
自動車関連製品事業
・ハブユニット軸受の国内外での需要対応、トランスミッションを中心としたドライブトレイン用軸受の増産対応への投資を実施。
・海外も含めて油圧駆動からシフトして需要が増加している電動パワーステアリングへの増強投資。
・合計19,550百万円の投資を実施。
自動車関連製品の主な設備の新設
設備の内容 | 投資予定 金額 (百万円) |
着手 | 完了 | 目的 |
大津工場 | ||||
一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 | 2,803 | 2006年4月 | 2008年3月 | 生産基盤整備及び増強・合理化対策 |
石部工場 | ||||
自動車用軸受生産設備等 | 4,327 | 2006年4月 | 2008年3月 | 生産基盤整備及び増強・合理化対策 |
埼玉工場 | ||||
自動車用軸受生産設備等 | 2,032 | 2006年4月 | 2008年3月 | 生産基盤整備及び増強・合理化対策 |
NSK ステアリングシステムズ(株) | ||||
ステアリング生産設備 | 4,281 | 2006年4月 | 2008年3月 | 生産基盤整備及び増強・合理化対策 |
NSK ニードルベアリング(株) | ||||
ニードル軸受生産設備 | 3,288 | 2006年4月 | 2008年3月 | 生産基盤整備及び増強・合理化対策 |
NSK コーポレーション (NSK Corporation) |
||||
一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 | 3,158 | 2006年4月 | 2008年3月 | 生産再編成及び増強・合理化対策 |
NSK ステアリングシステムズ・アメリカ (NSK Steeling Systems America. Inc.) |
||||
ステアリング生産設備 | 1,199 | 2006年4月 | 2008年3月 | 生産能力増強対策 |
NSK ブラジル (NSK Brazil LTDA.) |
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一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 | 1,215 | 2006年4月 | 2008年3月 | 生産基盤整備及び増強・合理化対策 |
NSK ベアリング・ヨーロッパ (NSK Bearings Europe Ltd.) |
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一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 | 1,396 | 2006年4月 | 2008年3月 | 生産基盤整備及び増強・合理化対策 |
NSK ステアリングシステムズ・ポーランド (NSK Steering Systems Europe (Polska) Sp.Zo.o) |
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ステアリング生産設備 | 1,314 | 2006年4月 | 2008年3月 | 生産能力増強対策 |
NSK ベアリング・マニファクチュアリング(タイ) (NSK Bearings Manufacturing (Thailand) Co., Ltd.) |
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自動車用軸受生産設備等 | 1,932 | 2006年4月 | 2008年3月 | 生産能力増強対策 |
サイアムNSKステアリングシステムズ (Siam NSK Steering Systems Co., Ltd.) |
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ステアリング生産設備 | 1,009 | 2006年4月 | 2008年3月 | 生産能力増強対策 |
昆山恩斯克有限公司 (Kunshan NSK Co., Ltd.) |
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一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 | 2,645 | 2006年4月 | 2008年3月 | 生産能力増強対策 |
常熟恩斯克軸承有限公司 (Changshu NSK Needle Bearing Co., Ltd.) |
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ニードル軸受生産設備 | 1,455 | 2006年4月 | 2008年3月 | 生産能力増強対策 |
NSK 韓国 (NSK Korea Co., Ltd) |
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一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 | 1,187 | 2006年4月 | 2008年3月 | 生産再編成及び増強・合理化対策 |